[1]牛乳アレルギー予防のための早期の粉ミルク導入の無作為化試験
- 発表年
- 2021年
- 研究機関
- 日本・ハートライフ病院
- 掲載誌
- The Journal of allergy and clinical immunology
- 研究の種類
- ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
- 対象
- 491人
- 結果の向き
- 良い方向
沖縄の赤ちゃん491人で、生後1〜2か月に粉ミルクを毎日飲んだ群の牛乳アレルギーは0.8%、避けた群は6.8%でした。

防げたのは、生後1〜2か月から毎日続けた粉ミルクです。離乳食で始めた場合ではありません。
赤ちゃんの最初の数か月の粉ミルクと、離乳食期の牛乳の話です。
離乳食の牛乳やヨーグルトは、予防のために急ぐ必要も、遅らせる必要もありません。進め方は離乳食のガイドに沿って、少量から。湿疹がある、家族にアレルギーがある場合は、始める前に小児科で相談を。卵は 卵を早く始めると卵アレルギーは防げる? で別に答えています。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 34 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 15.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 15.4 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 80.1 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 80 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・観察研究 3 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
牛乳アレルギーは、牛乳のたんぱく質に体が反応して、じんましんや嘔吐などが出る食物アレルギーです。ヨーグルトや粉ミルクにも同じたんぱく質が入っています。乳糖不耐症による下痢は、アレルギーとは別のものです。
答えの中心は、沖縄のハートライフ病院などの研究チームが2021年に発表した無作為化比較試験です [1]。無作為化比較試験とは、くじ引きで群を分けて結果を比べる方法です。
| 研究の種類 | 無作為化比較試験 |
|---|---|
| 対象 | 日本 (沖縄) の4病院で生まれた赤ちゃん491人 |
| 比べたもの | 生後1〜2か月に粉ミルクを毎日10 mL以上飲む群と、粉ミルクを避ける群 |
| 結果 | 6か月時点の牛乳アレルギーは、飲んだ群で242人中2人、避けた群で249人中17人 |
リスクは0.12倍で、どちらの群も約70%は6か月でも母乳を続けていました [1]。
重要なのは、これが離乳食ではなく、生後1〜2か月の話だという点です。さらに、毎日続けることが条件でした。
同じ試験の追加の解析では、生後3日以内に粉ミルクを飲んだ子のうち、1か月までにやめた子の41.2%が牛乳アレルギーになり、6か月まで続けた子では0.6%でした [4]。トルコの症例対照研究でも、生後72時間以内に粉ミルクを飲み始めて14日以内にやめた子は、15日以上続けた子より牛乳アレルギーのオッズが高く、調整オッズ比は8.07でした [5]。
一方、東京のアレルギーになりやすい新生児312人の試験では、生まれた日から粉ミルクを足し続けた群の即時型の食物アレルギーが13.2%で、最初の3日以上粉ミルクを避けた群の2.6%より多くなりました [6]。粉ミルクは、いつ始めるか、続けるかやめるかで結果が変わり、研究の間でも結果は割れています。
離乳食に近い時期の研究では、差が出ていません。英国の試験は、母乳で育つ生後3か月の赤ちゃん1303人に、ピーナッツ・ゆで卵・牛乳など6品目を早めに始めてもらいました。牛乳アレルギーには差がありませんでした [2]。23件の試験をまとめた解析も、卵とピーナッツは早く始めると減ったが、牛乳は確実性が非常に低いとしています [3]。コクランのレビューも、生後4〜6か月から始めても1〜3歳の食物アレルギーは減らなかったとしています [7]。
牛乳を含む6品目を早めに始めても、牛乳アレルギーには差がありませんでした。
イスラエルでは、生後2か月まで粉ミルクを毎日飲んだ子に牛乳アレルギーは出ず、母乳だけの子では1.58%に出ました。母乳中心でたまに少しだけ粉ミルクを飲んだ子では3.27%でした [8]。親の希望で群を分けた観察研究なので、粉ミルクが原因と言い切れるものではありません。同じ地域の13,019人の調査では、生後14日以内に粉ミルクを始めた子の牛乳アレルギーは0.05%、生後105〜194日に始めた子は1.75%でした [9]。
粉ミルクの試験は、生後1〜2か月の赤ちゃんで毎日10 mL以上を続けた条件で、離乳食の牛乳やヨーグルトには当てはまりません [1]。アレルギーになりやすい新生児では、生まれた日から足し続けた群で食物アレルギーが多かった試験もあり、赤ちゃんの状況で結果は変わります [6]。授乳や粉ミルクの足し方は、自己判断で変えず、産院や小児科で相談してください。湿疹がある子や、すでに症状が出たことのある子も、始める前に医師に相談してください。
続けるかやめるかで結果が大きく変わるため、産院や小児科の指示に沿ってください。
離乳食で牛乳やヨーグルトを早めても、牛乳アレルギーを防げるとは言えません。効いたのは、生後1〜2か月から毎日続けた粉ミルクです。
ヨーグルトの予防効果は、研究で確かめられていません。
離乳食は急がず遅らせず、少量から。迷うときは小児科に相談しましょう。
遅らせても防げません。粉ミルクを避けた群のほうが牛乳アレルギーが多い試験があります [[32890574]]。
研究では確かめられていません。調べられたのはアトピー性皮膚炎で、東京の観察研究で、食べていた子に少ない関連が見られただけです [[28108060]]。
短い期間でやめると、牛乳アレルギーが増えたという報告があります [[34403836]]。足すかどうかは、産院や小児科で相談してください。
卵は早く始めると減ったという結果が出ています。くわしくは [卵を早く始めると卵アレルギーは防げる?](/evidence/egg-early-introduction-allergy) をご覧ください。
沖縄の赤ちゃん491人で、生後1〜2か月に粉ミルクを毎日飲んだ群の牛乳アレルギーは0.8%、避けた群は6.8%でした。
母乳で育つ赤ちゃん1303人で、牛乳を含む6品目を生後3か月から始めても、牛乳アレルギーに差はありませんでした。
RCT 23件のメタ解析で、卵とピーナッツは早く始めると減りましたが、牛乳は確実性が非常に低い結果でした。
生後3日以内に粉ミルクを飲んだ子で、1か月までにやめた子の41.2%、6か月まで続けた子の0.6%が牛乳アレルギーでした。
生後72時間以内に粉ミルクを始めて14日以内にやめた子は、15日以上続けた子より牛乳アレルギーのオッズが高い結果でした。
アレルギーになりやすい新生児312人で、粉ミルクを足し続けた群の食物アレルギーは13.2%、避けた群は2.6%でした。
母乳の赤ちゃんに生後4〜6か月から始めても、1〜3歳の食物アレルギーは減りませんでした。
イスラエルの赤ちゃん1992人で、生後2か月まで毎日粉ミルクを飲んだ子に牛乳アレルギーは出ませんでした。
イスラエルの赤ちゃん13,019人で、生後14日以内に粉ミルクを始めた子の牛乳アレルギーは0.05%でした。
東京の子ども1166人で、ヨーグルトをふだん食べていた子は5歳でアトピー性皮膚炎が少ない関連がありました。
指針を渡した世代の1歳の牛乳アレルギーは0.5%で、渡す前の世代の2.4%より少ない結果でした。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。