離乳食で牛乳やヨーグルトを早く始めると牛乳アレルギーは防げる?

離乳食で牛乳やヨーグルトを早く始めると牛乳アレルギーは防げる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

防げたのは、生後1〜2か月から毎日続けた粉ミルクです。離乳食で始めた場合ではありません。

根拠

沖縄の赤ちゃん491人の試験で、生後1〜2か月に粉ミルクを毎日飲んだ群の牛乳アレルギーは0.8%、避けた群は6.8%でした [1]。一方、生後3か月から牛乳など6品目を始めた英国の試験では、牛乳アレルギーに差がありませんでした [2]。ヨーグルトで牛乳アレルギーを防げるかを調べた研究は見つかっていません。根拠の確かさは低めです。牛乳についての複数の試験のまとめで、確実性が非常に低いとされているためです [3]。

この答えの範囲

赤ちゃんの最初の数か月の粉ミルクと、離乳食期の牛乳の話です。

じゃあ、どうする?

離乳食の牛乳やヨーグルトは、予防のために急ぐ必要も、遅らせる必要もありません。進め方は離乳食のガイドに沿って、少量から。湿疹がある、家族にアレルギーがある場合は、始める前に小児科で相談を。卵は 卵を早く始めると卵アレルギーは防げる? で別に答えています。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 80 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量15.720研究件数と参加人数
一致度15.425結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 80.1 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 80 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・観察研究 3 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

牛乳アレルギーとは

牛乳アレルギーは、牛乳のたんぱく質に体が反応して、じんましんや嘔吐などが出る食物アレルギーです。ヨーグルトや粉ミルクにも同じたんぱく質が入っています。乳糖不耐症による下痢は、アレルギーとは別のものです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、沖縄のハートライフ病院などの研究チームが2021年に発表した無作為化比較試験です [1]。無作為化比較試験とは、くじ引きで群を分けて結果を比べる方法です。

研究の種類無作為化比較試験
対象日本 (沖縄) の4病院で生まれた赤ちゃん491人
比べたもの生後1〜2か月に粉ミルクを毎日10 mL以上飲む群と、粉ミルクを避ける群
結果6か月時点の牛乳アレルギーは、飲んだ群で242人中2人、避けた群で249人中17人
試験の結果粉ミルクを毎日飲んだ群の牛乳アレルギーは0.8%で、避けた群の6.8%より少なくなりました。

リスクは0.12倍で、どちらの群も約70%は6か月でも母乳を続けていました [1]。

重要なのは、これが離乳食ではなく、生後1〜2か月の話だという点です。さらに、毎日続けることが条件でした。

続けないとどうなる?

同じ試験の追加の解析では、生後3日以内に粉ミルクを飲んだ子のうち、1か月までにやめた子の41.2%が牛乳アレルギーになり、6か月まで続けた子では0.6%でした [4]。トルコの症例対照研究でも、生後72時間以内に粉ミルクを飲み始めて14日以内にやめた子は、15日以上続けた子より牛乳アレルギーのオッズが高く、調整オッズ比は8.07でした [5]。

一方、東京のアレルギーになりやすい新生児312人の試験では、生まれた日から粉ミルクを足し続けた群の即時型の食物アレルギーが13.2%で、最初の3日以上粉ミルクを避けた群の2.6%より多くなりました [6]。粉ミルクは、いつ始めるか、続けるかやめるかで結果が変わり、研究の間でも結果は割れています。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

離乳食に近い時期の研究では、差が出ていません。英国の試験は、母乳で育つ生後3か月の赤ちゃん1303人に、ピーナッツ・ゆで卵・牛乳など6品目を早めに始めてもらいました。牛乳アレルギーには差がありませんでした [2]。23件の試験をまとめた解析も、卵とピーナッツは早く始めると減ったが、牛乳は確実性が非常に低いとしています [3]。コクランのレビューも、生後4〜6か月から始めても1〜3歳の食物アレルギーは減らなかったとしています [7]。

差がなかった試験母乳で育つ生後3か月の赤ちゃん 1303人

牛乳を含む6品目を早めに始めても、牛乳アレルギーには差がありませんでした。

観察研究では

イスラエルでは、生後2か月まで粉ミルクを毎日飲んだ子に牛乳アレルギーは出ず、母乳だけの子では1.58%に出ました。母乳中心でたまに少しだけ粉ミルクを飲んだ子では3.27%でした [8]。親の希望で群を分けた観察研究なので、粉ミルクが原因と言い切れるものではありません。同じ地域の13,019人の調査では、生後14日以内に粉ミルクを始めた子の牛乳アレルギーは0.05%、生後105〜194日に始めた子は1.75%でした [9]。

よく言われていることは本当?

  • 牛乳・ヨーグルトは離乳食中期から始める研究が見つかっていません。 この時期と他の時期を比べた研究は無く、進め方は離乳食のガイドの案内によります。
  • アレルギーが心配なら乳製品は遅めに始める遅らせても防げません。 粉ミルクを避けた群のほうが牛乳アレルギーが多く、6.8%と0.8%でした [1]。生後3か月から始めた試験でも差はありませんでした [2]。
  • ヨーグルトはアレルギー予防に良い研究が足りません。 東京の1166人の観察研究で、赤ちゃんのころにヨーグルトをふだん食べていた子は、5歳でアトピー性皮膚炎が少ない関連が見られました (調整オッズ比0.70) [10]。調べたのはアトピー性皮膚炎で、牛乳アレルギーの予防は調べられていません。

02注意点

粉ミルクの試験は、生後1〜2か月の赤ちゃんで毎日10 mL以上を続けた条件で、離乳食の牛乳やヨーグルトには当てはまりません [1]。アレルギーになりやすい新生児では、生まれた日から足し続けた群で食物アレルギーが多かった試験もあり、赤ちゃんの状況で結果は変わります [6]。授乳や粉ミルクの足し方は、自己判断で変えず、産院や小児科で相談してください。湿疹がある子や、すでに症状が出たことのある子も、始める前に医師に相談してください。

赤ちゃんの粉ミルクは、自己判断で足したりやめたりしない

続けるかやめるかで結果が大きく変わるため、産院や小児科の指示に沿ってください。

03まとめ

離乳食で牛乳やヨーグルトを早めても、牛乳アレルギーを防げるとは言えません。効いたのは、生後1〜2か月から毎日続けた粉ミルクです。
ヨーグルトの予防効果は、研究で確かめられていません。
離乳食は急がず遅らせず、少量から。迷うときは小児科に相談しましょう。

04よくある質問

Q牛乳アレルギーが心配なら、離乳食を遅らせたほうがいい?

遅らせても防げません。粉ミルクを避けた群のほうが牛乳アレルギーが多い試験があります [[32890574]]。

Qヨーグルトを食べると牛乳アレルギーを予防できますか?

研究では確かめられていません。調べられたのはアトピー性皮膚炎で、東京の観察研究で、食べていた子に少ない関連が見られただけです [[28108060]]。

Q生まれてすぐ少しだけ粉ミルクを足すのは予防になりますか?

短い期間でやめると、牛乳アレルギーが増えたという報告があります [[34403836]]。足すかどうかは、産院や小児科で相談してください。

Q卵ではどうですか?

卵は早く始めると減ったという結果が出ています。くわしくは [卵を早く始めると卵アレルギーは防げる?](/evidence/egg-early-introduction-allergy) をご覧ください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(11本)

[1]牛乳アレルギー予防のための早期の粉ミルク導入の無作為化試験

発表年
2021年
研究機関
日本・ハートライフ病院
掲載誌
The Journal of allergy and clinical immunology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
491人
結果の向き
良い方向

沖縄の赤ちゃん491人で、生後1〜2か月に粉ミルクを毎日飲んだ群の牛乳アレルギーは0.8%、避けた群は6.8%でした。

[2]母乳で育つ赤ちゃんでアレルギーを起こしやすい食べ物を早く始める無作為化試験

発表年
2016年
研究機関
イギリス・セント・ジョージ大学ロンドン
掲載誌
The New England journal of medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
1,303人
結果の向き
差なし

母乳で育つ赤ちゃん1303人で、牛乳を含む6品目を生後3か月から始めても、牛乳アレルギーに差はありませんでした。

[3]アレルギーを起こしやすい食べ物を始める時期と食物アレルギーのメタ解析

発表年
2023年
研究機関
イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドン
掲載誌
JAMA pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

RCT 23件のメタ解析で、卵とピーナッツは早く始めると減りましたが、牛乳は確実性が非常に低い結果でした。

[4]牛乳たんぱく質を早くやめることと牛乳アレルギーの関連

発表年
2022年
研究機関
日本・ハートライフ病院
掲載誌
The journal of allergy and clinical immunology. In practice
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

生後3日以内に粉ミルクを飲んだ子で、1か月までにやめた子の41.2%、6か月まで続けた子の0.6%が牛乳アレルギーでした。

[5]短期間の早い粉ミルク接触と牛乳アレルギー

発表年
2026年
研究機関
トルコ・エゲ大学
掲載誌
Pediatric allergy and immunology : official publication of the European Society of Pediatric Allergy and Immunology
研究の種類
症例対照研究ある病気の人とそうでない人で、過去の生活習慣などを比べる研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

生後72時間以内に粉ミルクを始めて14日以内にやめた子は、15日以上続けた子より牛乳アレルギーのオッズが高い結果でした。

[6]生まれてすぐの粉ミルクを避けて牛乳の感作と食物アレルギーを防ぐ無作為化試験

発表年
2019年
研究機関
日本・東京慈恵会医科大学
掲載誌
JAMA pediatrics
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
312人
結果の向き
悪い方向

アレルギーになりやすい新生児312人で、粉ミルクを足し続けた群の食物アレルギーは13.2%、避けた群は2.6%でした。

[7]母乳の赤ちゃんへの早めの追加の食べ物のコクランレビュー

発表年
2016年
研究機関
アイルランド・アワー・レディーズ小児病院
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

母乳の赤ちゃんに生後4〜6か月から始めても、1〜3歳の食物アレルギーは減りませんでした。

[8]粉ミルクを早くから続けて飲むことと牛乳アレルギー

発表年
2023年
研究機関
イスラエル・メイア医療センター
掲載誌
Annals of allergy, asthma & immunology : official publication of the American College of Allergy, Asthma, & Immunology
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
1,992人
結果の向き
良い方向

イスラエルの赤ちゃん1992人で、生後2か月まで毎日粉ミルクを飲んだ子に牛乳アレルギーは出ませんでした。

[9]牛乳たんぱく質への早い接触は牛乳アレルギーを防ぐ

発表年
2010年
研究機関
イスラエル・アサフ・ハロフェ医療センター
掲載誌
The Journal of allergy and clinical immunology
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
13,019人
結果の向き
良い方向

イスラエルの赤ちゃん13,019人で、生後14日以内に粉ミルクを始めた子の牛乳アレルギーは0.05%でした。

[10]赤ちゃんのヨーグルトとアトピー性皮膚炎・食物感作の関連

発表年
2017年
研究機関
日本・国立成育医療研究センター
掲載誌
Journal of dermatological science
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
1,166人
結果の向き
良い方向

東京の子ども1166人で、ヨーグルトをふだん食べていた子は5歳でアトピー性皮膚炎が少ない関連がありました。

離乳食の指針が卵・ピーナッツ・牛乳アレルギーを減らす

発表年
2025年
研究機関
オーストラリア・キッズ・リサーチ・インスティテュート・オーストラリア
掲載誌
The journal of allergy and clinical immunology. In practice
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

指針を渡した世代の1歳の牛乳アレルギーは0.5%で、渡す前の世代の2.4%より少ない結果でした。

ほかに参考にした論文(7本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。