[1]睡眠障害と精神・神経疾患への光療法のメタ解析
- 発表年
- 2019年
- 研究機関
- イギリス・マンチェスター大学
- 掲載誌
- Sleep medicine reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究40件を統合
- 結果の向き
- 良い方向
光の介入で、遅れていた睡眠の時刻が早まった(効果量 -0.34。小さい効果)。

早起きしやすくなります。ただし効果は小さめで、起きる時刻を早める習慣とセットです。
寝る時刻が遅い夜型の人と、体内時計の睡眠障害がある人の研究が中心です。
起きたら、起きる時刻を少しずつ早めながら、窓際や屋外で朝の光を浴びる使い方が、研究の条件に近いです。光だけに頼らず、起きる時刻を決めて続けましょう。寝室の明るさは 寝室を暗くすると眠りは良くなる? も参考になります。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 17.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 20.5 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 88.2 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 88 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 1 本・観察研究 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
体内時計は、約1日の周期で眠気や体温を調整するしくみです。朝に明るい光を浴びると、この時計が早まる方向に動くとされ、光療法のライトや光のめがねが研究に使われます。窓からの日光や光目覚まし時計も同じ仲間として語られますが、研究で多く調べられたのは、光療法のライトやめがねです。
答えの中心は、イギリスのマンチェスター大学などの研究チームが2019年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果を数字でまとめて比べる方法です。体内時計の睡眠障害や、精神・神経の病気がある人を対象にした、光の量を変える対照つき研究 40 件が集められました。
| 研究の種類 | 光の介入を調べた対照つき研究のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 体内時計の睡眠障害や精神・神経の病気がある人(研究40件) |
| 比べたもの | 光の介入と、対照 |
| 結果 | 遅れていた睡眠の時刻が早まった(効果量 -0.34。小さい効果) |
効果の大きさは小さい、という結果です [1]。
別の研究 53 件(1154人)のメタ解析では、体内時計の睡眠障害の人で光療法により睡眠の問題が改善しました(効果量 0.41。小〜中程度)。ただしランダム化比較試験に限ると効果は小さく、出版バイアスの兆候もありました [3]。不眠症の研究 22 件のまとめでも、朝の光で睡眠と目覚めのリズムが早まり、夜に浴びると遅れました [5]。
16〜19歳の高校生 86 人の試験では、起きてすぐの朝の光のめがねに、寝る・起きる時刻を早める予定と、寝る前のブルーライトカットめがねを2週間組み合わせると、体内時計が対照より 45 分早まりました [2]。ただし組み合わせた結果で、朝の光だけの効果は分けて調べていません。
同じ点は、起きる時刻を早めた寝る時刻が遅い若い大人 25 人の試験にも表れています。6日間続けると、朝に青い光を浴びた組も暗い光の組も、同じように体内時計が早まりました(前進は暗い光の組で1.5時間、青い光の組で1.4時間)。青い光による上乗せはありませんでした [6]。起きる時刻を早める予定そのものが、時計を動かしていたと読めます。
睡眠相後退型(寝る時刻が極端に遅くなる)の大人 140 人・研究 5 件の系統的レビューでは、多くの研究で朝の光療法と対照のあいだに差がなく、長期の結果を見た2件では効果が続きませんでした [4]。
緑の明るい光と赤い光の対照で、睡眠の時刻などに組のあいだの差はありませんでした [7]。
一方、遅れがもともと大きい人では、明るい光のマスクを26日間使った組だけ寝つく時刻が早まった試験もあります [8]。効き方は、もともとの遅れの大きさで変わる可能性があります。
健康な若い大人 36 人の実験室の試験では、いつも起きる時刻の1時間前から3時間、約3000ルクスの明るい光を浴びると体内時計が早まり、その大きさはメラトニンの錠剤と同じくらいでした [9]。メラトニンについては メラトニンは睡眠に効く? で扱っています。
夜型の人に、起きる・寝る時刻を早めて朝の光を増やし、食事の時刻を固定し、カフェインと運動の時間を決める方法を組み合わせると、睡眠と目覚めの時刻が約2時間早まりました [10]。ここでも光だけの効果は分けられていません。
研究で使われた光は、光療法のライトやめがねで、時間は朝の起きてから 30〜60 分の例があります [2]。窓際の自然光では、同じ強さとは限りません。目の病気がある人、気分の波が大きい人、服薬中の人は、光療法の機器を使う前に医師や薬剤師に確認してください。睡眠相後退型が疑われるほど遅い人は、睡眠外来への相談も選べます。
起きる時刻を決めて少しずつ早めることとセットで使ってください。
朝の光は、遅れた睡眠の時刻を早める助けになりますが、効果は小さめです。
早起きの主役は、起きる時刻を少しずつ早める習慣と考えて使いましょう。
今日からは、起きる時刻を決め、起きたら窓際で朝の光を浴びるところから始められます。
研究によって異なります。高校生の試験では起きてから 30〜60 分 [[42008244]]、健康な若い大人の実験では約3000ルクスの光を3時間浴びています [[24179293]]。日常で何分が最適かは、研究では確かめられていません。
研究では確かめられていません。研究で使われたのは光療法のライトやめがねです。
不眠症の研究 22 件のまとめでは、夜に光を浴びると睡眠と目覚めのリズムが遅れました [[37002704]]。
起きる時刻を少しずつ早める予定を立て、光はその補助に使う形が、研究の条件に近いです。起きる時刻だけを早める方法の単独の効果は、研究が見つかっていません。
光の介入で、遅れていた睡眠の時刻が早まった(効果量 -0.34。小さい効果)。
高校生86人で、朝の光のめがねなどを2週間組み合わせると体内時計が45分早まった。
研究53件(1154人)をまとめ、体内時計の睡眠障害で睡眠の問題が改善した(効果量 0.41)。
大人140人・研究5件で、多くの研究では対照との差がなかった。
研究22件で、朝の光で睡眠と目覚めのリズムが早まり、夜の光で遅れた。
寝る時刻が遅い若い大人25人で、青い光の組も暗い光の組も体内時計が同じように早まった。
13〜24歳60人で、緑の光と赤い光の組のあいだに差はなかった。
睡眠相後退型の人で、遅れが大きい人では明るい光の組だけ寝つく時刻が早まった。
健康な若い大人36人で、明るい光とメラトニンの前進の大きさは同じくらいだった。
夜型の人で、光・食事・カフェイン・運動を組み合わせると睡眠の時刻が約2時間早まった。
朝が苦手な8人で、光目覚ましを使った日は目の覚め具合の評価が高かった。
50人で、光目覚ましは起きにくさと寝起きの眠気を減らした。
56人で、睡眠の質・長さ・寝る時刻は変わらなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。