[1]睡眠障害のある人の寝つきと睡眠へのメラトニンの効果
- 発表年
- 2013年
- 研究機関
- ブラジル・サンパウロ大学
- 掲載誌
- PloS one
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 1,683人
- 結果の向き
- 良い方向
睡眠障害のある1683人(研究19件)で、寝つくまでの時間がプラセボより平均7.06分短かった。

効きます。寝つくまでの時間が平均約7分短くなります。
寝つきが悪い日の選択肢の一つになりますが、数分の差と知って使うのがおすすめです。時差ぼけには、到着地の寝る時刻に飲む使い方で効果が確かめられています [6]。持病や服薬がある人、不眠が続く人は、医師や薬剤師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.8 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 21.9 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 95.7 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 96 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本・観察研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
メラトニンは、脳の松果体(しょうかたい)から夜に分泌されるホルモンで、体内時計に働いて眠りを促すとされます。薬やサプリとして飲むほか、ゆっくり溶ける徐放性のタイプもあります。時差ぼけや寝つきの悩みに使われるのが特徴です。注意点は、飲む時刻や量で働き方が変わることと、ほかの薬との組み合わせです。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、ブラジルのサンパウロ大学などの研究チームが2013年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果をまとめて計算し直す方法です。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 睡眠障害と診断された大人と子ども(1683人・研究19件) |
| 比べたもの | メラトニンとプラセボ(偽薬) |
| 結果 | 寝つくまでの時間が平均7.06分短かった |
不眠症の大人に限った2023年のメタ解析でも、徐放性メラトニンで6.30分の短縮でした [2]。
差は「数分」です。飲んだらすぐ眠れる、という大きさではありません。期間が長く量が多い試験ほど効果が大きい傾向でした [1]。
不眠症の人と健康な人を合わせた26件の用量反応メタ解析では、量が増えるほど寝つくまでの時間が縮み、効果は毎日4mgのところで最大になりました [7]。この解析は、寝る3時間前に飲む、毎日4mgにする、という飲み方が、よく使われる「寝る30分前に2mg」より効果を高める可能性があるとしています。ただし時差ぼけでは、1日0.5〜5mgで効果は同程度で、5mgを超えても増えませんでした [6]。
慢性の不眠症の大人に限った解析では、結果が分かれます。韓国の慶熙大学などの研究チームによる2022年のメタ解析では、大人のグループで寝つくまでの時間・睡眠時間・睡眠効率のどれにも、プラセボとの差がありませんでした [4]。子どもと思春期の人では、寝つきと睡眠時間が良くなっています。
寝つくまでの時間・睡眠時間・睡眠効率に、プラセボとの差は見られませんでした。
睡眠の質も同じです。眠りの悩みや持病のある大人では、質問票(PSQI)の点数がプラセボより平均1.24点良くなりました [3]。根拠の確かさは低めです。研究ごとのばらつきが大きいためです。一方、不眠症の大人を対象にした154件・44089人のネットワークメタ解析では、メラトニンは全体として意味のある効果を示しませんでした [5]。
睡眠の質を中心に、メラトニンは全体として意味のある効果を示しませんでした。
解析によって結論が分かれています。眠りの悩みが広い人の寝つきには数分の差が出ますが、不眠症の大人では、差が出る解析 [2] と出ない解析 [4] があります。
研究の対象者や量はまちまちです。たとえば時差ぼけの試験では、1日0.5〜5mgを到着地の寝る時刻に飲んでいます。早い時間に飲むと眠気が出て、時差への慣れが遅れることがあると報告されています [6]。薬のように働くホルモンなので、持病がある人、ほかの薬を飲んでいる人、妊娠中や授乳中の人は、医師や薬剤師に確認してください。不眠が長く続くときは、サプリで済ませず受診が必要です。
慢性の不眠症の大人では差がなかった解析もあるため、効かない日があっても不思議ではありません。
メラトニンは寝つくまでの時間を平均約7分縮めますが、差は小さい薬です。
眠りの悩みが広い人には効き、慢性の不眠症の大人では差がなかった解析もあります。
寝る前の習慣の見直しを先に試し、続く不眠や持病があるなら医師に相談しましょう。
メタ解析の平均で、プラセボより約7分(7.06分)短くなりました。人によって差があり、すぐ眠れるという大きさではありません [[23691095]]。
神経発達症の子どもで寝つきが良くなった解析はありますが [[35691474]]、長期の安全性はこの記事の研究では確かめていません。必ず医師に相談してください。
この記事で見た研究では、長く飲んだ場合の影響は確かめていません。続けて使う場合は、医師や薬剤師に相談してください。
寝室環境などの工夫は別の記事で扱っています。たとえば [寝室を暗くすると眠りは良くなる?](/evidence/dark-bedroom-sleep) や [睡眠の質を高める方法は?](/evidence/sleep-quality-methods) を参照してください。
睡眠障害のある1683人(研究19件)で、寝つくまでの時間がプラセボより平均7.06分短かった。
不眠症の大人で、徐放性メラトニンは寝つくまでの時間をプラセボより6.30分縮めた。
睡眠の質の点数(PSQI)がプラセボより平均1.24点良くなったが、ばらつきが大きかった。
慢性の不眠症の大人では、寝つきや睡眠時間にプラセボとの差がなかった。
不眠症の大人154件・44089人で、メラトニンは全体として意味のある効果を示さなかった。
試験10件のうち9件で、到着地の寝る時刻に飲むと時差ぼけが軽くなった。
量が増えるほど寝つくまでの時間が縮み、効果は毎日4mgで最大になった。
原発性不眠症などの大人で、寝つくまでの時間がプラセボより縮んだ。
神経発達症の子どもと睡眠相後退症候群の大人で、寝つきと睡眠時間が改善した。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。