メラトニンは睡眠に効く?

メラトニンは睡眠に効く?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.04
答え効く

効きます。寝つくまでの時間が平均約7分短くなります。

根拠

睡眠障害のある1683人(研究19件)のメタ解析で、寝つくまでの時間はプラセボより平均7.06分短くなりました [1]。不眠症の大人の2023年のメタ解析でも、徐放性メラトニンで6.30分の短縮でした [2]。睡眠の質の点数も良くなりますが、根拠の確かさは低めです。研究ごとのばらつきが大きいためです [3]。

この答えの範囲

差は数分と小さいです。慢性の不眠症の大人に限ると差がなかった研究 [4] や、2022年のランセットの解析で睡眠の質に意味のある効果が見られなかった結果 [5] もあります。

じゃあ、どうする?

寝つきが悪い日の選択肢の一つになりますが、数分の差と知って使うのがおすすめです。時差ぼけには、到着地の寝る時刻に飲む使い方で効果が確かめられています [6]。持病や服薬がある人、不眠が続く人は、医師や薬剤師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。9 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 96 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量18.820研究件数と参加人数
一致度21.925結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 95.7 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 96 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

メラトニンとは

メラトニンは、脳の松果体(しょうかたい)から夜に分泌されるホルモンで、体内時計に働いて眠りを促すとされます。薬やサプリとして飲むほか、ゆっくり溶ける徐放性のタイプもあります。時差ぼけや寝つきの悩みに使われるのが特徴です。注意点は、飲む時刻や量で働き方が変わることと、ほかの薬との組み合わせです。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、ブラジルのサンパウロ大学などの研究チームが2013年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果をまとめて計算し直す方法です。

研究の種類ランダム化比較試験のメタ解析
対象睡眠障害と診断された大人と子ども(1683人・研究19件)
比べたものメラトニンとプラセボ(偽薬)
結果寝つくまでの時間が平均7.06分短かった
まとめて分析した結果寝つくまでの時間は、プラセボより平均7.06分短くなりました [1]。

不眠症の大人に限った2023年のメタ解析でも、徐放性メラトニンで6.30分の短縮でした [2]。

差は「数分」です。飲んだらすぐ眠れる、という大きさではありません。期間が長く量が多い試験ほど効果が大きい傾向でした [1]。

量と飲む時刻は?

不眠症の人と健康な人を合わせた26件の用量反応メタ解析では、量が増えるほど寝つくまでの時間が縮み、効果は毎日4mgのところで最大になりました [7]。この解析は、寝る3時間前に飲む、毎日4mgにする、という飲み方が、よく使われる「寝る30分前に2mg」より効果を高める可能性があるとしています。ただし時差ぼけでは、1日0.5〜5mgで効果は同程度で、5mgを超えても増えませんでした [6]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

慢性の不眠症の大人に限った解析では、結果が分かれます。韓国の慶熙大学などの研究チームによる2022年のメタ解析では、大人のグループで寝つくまでの時間・睡眠時間・睡眠効率のどれにも、プラセボとの差がありませんでした [4]。子どもと思春期の人では、寝つきと睡眠時間が良くなっています。

差がなかった解析慢性の不眠症の大人(研究24件のメタ解析)

寝つくまでの時間・睡眠時間・睡眠効率に、プラセボとの差は見られませんでした。

睡眠の質も同じです。眠りの悩みや持病のある大人では、質問票(PSQI)の点数がプラセボより平均1.24点良くなりました [3]。根拠の確かさは低めです。研究ごとのばらつきが大きいためです。一方、不眠症の大人を対象にした154件・44089人のネットワークメタ解析では、メラトニンは全体として意味のある効果を示しませんでした [5]。

効果が見られなかった解析不眠症の大人(154件・44089人のネットワークメタ解析)

睡眠の質を中心に、メラトニンは全体として意味のある効果を示しませんでした。

解析によって結論が分かれています。眠りの悩みが広い人の寝つきには数分の差が出ますが、不眠症の大人では、差が出る解析 [2] と出ない解析 [4] があります。

よく言われていることは本当?

  • 飲むと寝つきが良くなる効きます。 差は平均7.06分と小さく、慢性の不眠症の大人では差がなかった解析もあります [1] [4]。
  • ぐっすり眠れる・睡眠の質が上がる一部の解析では効きますが、根拠の確かさは低めです。 不眠症の大人の大規模な解析では意味のある効果が見られませんでした [3] [5]。
  • 時差ぼけを軽くする効きます。 時差が5時間以上の移動で、到着地の寝る時刻に飲むと、10件のうち9件の試験で時差ぼけが軽くなりました [6]。
  • 夜勤・交替勤務の睡眠の乱れを整える今回の研究では確かめていません。 交替勤務の研究はありますが、この記事では扱っていません。
  • 体内時計を整える(寝る時刻が遅すぎるタイプの睡眠障害)効きます。 睡眠相後退症候群の大人で、寝つくまでの時間が良くなりました [8] [9]。
  • 子どもの睡眠障害に使われる神経発達症の子どもで、寝つくまでの時間と睡眠時間が良くなりました [9]。 ただし子どもの長期の影響は、この記事の研究では確かめていません。
  • 量は少なくてよい・多く飲んでも効果は増えない条件によります。 寝つきは毎日4mgで効果が最大になり、時差ぼけでは5mgを超えても増えませんでした [7] [6]。0.3mgなど少量を調べた研究は、今回の抽出にありません。

02注意点

研究の対象者や量はまちまちです。たとえば時差ぼけの試験では、1日0.5〜5mgを到着地の寝る時刻に飲んでいます。早い時間に飲むと眠気が出て、時差への慣れが遅れることがあると報告されています [6]。薬のように働くホルモンなので、持病がある人、ほかの薬を飲んでいる人、妊娠中や授乳中の人は、医師や薬剤師に確認してください。不眠が長く続くときは、サプリで済ませず受診が必要です。

数分の差だと知って使う

慢性の不眠症の大人では差がなかった解析もあるため、効かない日があっても不思議ではありません。

03まとめ

メラトニンは寝つくまでの時間を平均約7分縮めますが、差は小さい薬です。
眠りの悩みが広い人には効き、慢性の不眠症の大人では差がなかった解析もあります。
寝る前の習慣の見直しを先に試し、続く不眠や持病があるなら医師に相談しましょう。

04よくある質問

Qどのくらい寝つきが良くなりますか?

メタ解析の平均で、プラセボより約7分(7.06分)短くなりました。人によって差があり、すぐ眠れるという大きさではありません [[23691095]]。

Q子どもに飲ませても大丈夫ですか?

神経発達症の子どもで寝つきが良くなった解析はありますが [[35691474]]、長期の安全性はこの記事の研究では確かめていません。必ず医師に相談してください。

Q毎日飲み続けても問題ありませんか?

この記事で見た研究では、長く飲んだ場合の影響は確かめていません。続けて使う場合は、医師や薬剤師に相談してください。

Q寝る前のほかの習慣と比べてどうですか?

寝室環境などの工夫は別の記事で扱っています。たとえば [寝室を暗くすると眠りは良くなる?](/evidence/dark-bedroom-sleep) や [睡眠の質を高める方法は?](/evidence/sleep-quality-methods) を参照してください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(9本)

[1]睡眠障害のある人の寝つきと睡眠へのメラトニンの効果

発表年
2013年
研究機関
ブラジル・サンパウロ大学
掲載誌
PloS one
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,683人
結果の向き
良い方向

睡眠障害のある1683人(研究19件)で、寝つくまでの時間がプラセボより平均7.06分短かった。

[2]成人の不眠症に対するメラトニンとラメルテオンの効果のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
フランス・パリ公立病院機構
掲載誌
Journal of sleep research
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,875人
結果の向き
良い方向

不眠症の大人で、徐放性メラトニンは寝つくまでの時間をプラセボより6.30分縮めた。

[3]メラトニンと睡眠の質のRCTのメタ解析

発表年
2022年
研究機関
イラン・テヘラン医科大学
掲載誌
Journal of neurology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究23件を統合
結果の向き
良い方向

睡眠の質の点数(PSQI)がプラセボより平均1.24点良くなったが、ばらつきが大きかった。

[4]慢性的な不眠に対するメラトニンのRCTのメタ解析

発表年
2022年
研究機関
韓国・慶熙大学
掲載誌
Sleep medicine reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究24件を統合
結果の向き
差なし

慢性の不眠症の大人では、寝つきや睡眠時間にプラセボとの差がなかった。

[5]成人の不眠症に対する薬の効果を比べたネットワークメタ解析

発表年
2022年
研究機関
イギリス・オックスフォード大学
掲載誌
Lancet (London, England)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
44,089人
結果の向き
差なし

不眠症の大人154件・44089人で、メラトニンは全体として意味のある効果を示さなかった。

[6]時差ぼけの予防と治療に対するメラトニンのレビュー

発表年
2002年
研究機関
イギリス・コクランセンター
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究10件を統合
結果の向き
良い方向

試験10件のうち9件で、到着地の寝る時刻に飲むと時差ぼけが軽くなった。

[7]メラトニンの飲む時刻と量を調べた用量反応メタ解析

発表年
2024年
研究機関
イタリア・ステラ・マリス財団
掲載誌
Journal of pineal research
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,689人
結果の向き
良い方向

量が増えるほど寝つくまでの時間が縮み、効果は毎日4mgで最大になった。

[8]成人の睡眠障害に対するメラトニンの効果のメタ解析

発表年
2017年
研究機関
イギリス・エディンバラ王立病院
掲載誌
Sleep medicine reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究12件を統合
結果の向き
良い方向

原発性不眠症などの大人で、寝つくまでの時間がプラセボより縮んだ。

[9]睡眠・精神の障害のある人でのメラトニンの効果と忍容性のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
オランダ・アムステルダム大学
掲載誌
Neuroscience and biobehavioral reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

神経発達症の子どもと睡眠相後退症候群の大人で、寝つきと睡眠時間が改善した。

ほかに参考にした論文(7本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。