[1]東京と大阪のオフィスで、室内の湿度と働く人の上気道の症状を調べた研究
- 発表年
- 2022年
- 研究機関
- 日本・近畿大学
- 掲載誌
- Indoor air
- 研究の種類
- コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
- 対象
- 483人
- 結果の向き
- 悪い方向
東京と大阪のオフィスで働く483人の調査で、部屋の平均湿度が38%未満だと鼻や喉など上気道の症状が多かった(オッズ比2.68)。

本当です。湿度が低い部屋は、乾燥や不快感と関連しています。
健康な大人が家庭やオフィスで過ごす場合の話です。調査と短時間の実験が中心です。病気の治療やアトピーは別です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 20 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 14.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 23.7 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 73 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、その他のヒトの研究 7 本・観察研究 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
加湿器は、水を蒸気や細かい水の粒にして、部屋の湿度を上げる家電です。乾燥による肌や喉のつらさをやわらげ、風邪を防ぐとされています。水を温めて蒸気にする加熱式、超音波で水を霧にする超音波式、濡れたフィルターに風を当てて蒸発させる気化式などの種類があります。注意点は、手入れをしないとタンクの水で細菌やカビが増えることです。
答えの中心は、近畿大学などの研究チームが2022年に発表したコホート研究です [1]。コホート研究とは、同じ人たちを追って調べる方法です。
| 研究の種類 | オフィスで働く人を1年以上追った調査(コホート研究) |
|---|---|
| 対象 | 東京と大阪のオフィスで働く483人 |
| 比べたもの | 部屋の平均湿度が38%未満の人と、それ以上の人 |
| 結果 | 平均湿度が38%未満だと、鼻や喉など上気道の症状が多かった |
調査なので、乾燥が原因とまでは言えません。
1986年の総説は、湿度による健康への悪い影響の大半は、湿度を40〜60%に保てば最小にできるとまとめました。ダニは湿度50%未満で少なく、多くのカビは湿度60%を超えないと増えません [6]。2021年の総説も、40〜60%が健康・仕事の成績・感染の危険の低さの点で最も良いようだとしています [5]。
加湿器は、手入れをしないと細菌が増えます。超音波式を1日10時間、15日間使い続けた実験では、空気中の細菌が6日目から増え、壁紙にカビが生えました [18]。
家で加湿器を使う子どもにぜんそくの診断が多い観察研究もありますが、加湿器が原因かは分かっていません [19]。韓国の重い肺の障害の集団発生は、加湿器そのものではなく、タンクに入れた除菌剤が原因と判断されました [20]。ぜんそくや肺の持病がある人、咳や息切れが続く人は、医師に相談してください。
細菌の増加と除菌剤の問題を避けるための、基本の手入れです。
湿度が低い部屋ほど、乾燥や不快感を訴える人が多い関連は、研究でそろっています。
加湿で快適になるかは確かめられておらず、ストレスや気分への効果も分かっていません。
まず湿度計で測り、40%を下回るときに、手入れをしながら40〜60%を目安に加湿を考えましょう。
研究で60%が出てくるのは、カビの増えやすさの話です。多くのカビは湿度60%を超えないと増えません [[3709462]]。最も良いのは40〜60%の幅とされ [[33601136]]、喉に60%がいちばん良いと確かめた研究は見つかっていません。
細菌が増えた実験は超音波式が中心ですが、気化式でもタンクの水に緑膿菌がいると空気中の細菌が増えました [[42561695]]。方式より手入れが結果を分けます。
置くだけでは足りなかった例があります。1978年のジュネーブの役所の冬の調査では、加湿器のある部屋の湿度は33%で、ない部屋の30%とほとんど変わらず、呼吸器の感染症の多さにも差はありませんでした [[653342]]。古い調査ですが、置いたあとに湿度計で確かめる意味はあります。
東京と大阪のオフィスで働く483人の調査で、部屋の平均湿度が38%未満だと鼻や喉など上気道の症状が多かった(オッズ比2.68)。
30人が22℃の部屋で湿度5〜35%の空気に5時間いた実験で、湿度が低いと事務作業の速さが3〜7%落ちた。
13件・4551人のレビュー。肌の乾燥の症状は減る傾向があったが、はっきりした差ではなく、根拠の質は低い。
オフィスで働く134人の調査で、湿度30〜60%の職場で主に過ごした人はストレスの反応が25%少なかった。
オフィスの湿度は40〜60%が健康・仕事の成績・感染の危険の低さのうえで最も良いようだとまとめられた。
湿度40〜60%という目安のもとになった1986年の総説。ダニは湿度50%未満で少なく、多くのカビは湿度60%を超えないと増えないとされた。
227人の調査で、室内の湿度が低いほど、女性では喉や肌の乾燥・刺激を訴えやすかった。
健康な女性11人で、湿度30%未満の部屋で7時間寝ると肌の水分量が24.23%減った。湿度70%以上の日は有意な変化がなかった。
ノルウェーの大学職員173人の調査で、湿度15〜30%の低い湿度は、空気が乾いていると感じることと関連していた。
健康な男子学生16人の実験で、湿度30%以下では目と肌が乾いた。鼻の粘膜が乾いたのは湿度10%のときだった。
職員104人の研究で、湿度を40〜45%に加湿した病棟では、空気の乾燥を毎週感じる人が24%で、加湿しない病棟の73%より少なかった。
湿度40%の部屋は湿度20%の部屋より、疲れが23.3%、集中の途切れが61.1%少なかった。
空気中のインフルエンザAウイルスは、湿度30%未満では5時間以上感染力を保ち、湿度40〜70%で最も早く感染力を失った。
パソコンを使う44人の試験で、卓上加湿器を使った日は涙の膜が壊れるまでの時間が中央値で4.0秒長かった。
軽い睡眠時無呼吸の男性12人が湿度85%前後と16%前後の部屋で眠り、眠りの深さの割合に差はなかった。
子ども474人の家の調査で、寝具のダニのアレルゲンは湿度が平均より高いときに多かった。
76軒を3つに分けた1年間の試験で、除湿機の家では湿度は下がったが、ダニの数やアレルゲンは大きく減らなかった。
超音波式の加湿器を1日10時間、15日間使い続けた実験で、空気中の細菌は6日目から増え、12日目ごろから壁紙にカビが生えた。
ぜんそくのない子ども3535人を最大5年追った研究で、ゼーゼーした経験のない子では、家に加湿器があるとぜんそくの新たな診断が1.7倍だった。
患者18人と対照121人を比べた研究で、加湿器の使用そのものは原因から外され、加湿器の除菌剤が原因と判断された。
健康な人が乾燥した部屋に3〜6時間いると、腕と頬の角層の水分量が減り、肌のきめも粗くなった。
湿度30%の部屋に3時間いると、アトピー性皮膚炎の人10人では肌のきめが粗くなったが、健康な人10人では有意な変化がなかった。
165軒の寝室の湿度を1年間測った調査で、湿度の高い家の人は粘膜や肌の症状が少なかった。
オフィスで働く人の調査で、湿度が低いほど肌の乾燥や喉や鼻の乾燥が強かった。
判定「悪い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。