部屋の湿度は何%がいい?加湿で風邪やインフルエンザは防げる?

部屋の湿度は何%がいい?加湿で風邪やインフルエンザは防げる?
読了目安 6〜8分最終更新日 2026.11.06
答え効く

目安は50〜60%です。加湿により学校の欠席は減りました。

根拠

学校や職場の加湿を調べたコクラン・レビュー(13件・4551人以上)で、学校の比較試験6件のうち4件で、加湿すると病気による欠席が減りました [1]。ただし、レビューによると、かぜなどの感染症にかかった人の数を結果にした研究はありません。根拠の確かさは低めです。欠席の数え方が研究ごとに違い、研究の作りにも弱さがあるためです。

この答えの範囲

学校での加湿の話です。

じゃあ、どうする?

湿度は、厚生労働省が示す50〜60%が目安です。上げすぎると結露やカビにつながり、カビや湿気は子どもの呼吸器の感染症と関連しています [2]。湿度計で測りながら、結露が出ない範囲で加湿し、加湿器は水を替えて掃除しましょう。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。16 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量14.820研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 89.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

部屋の湿度とは

部屋の湿度は、空気に含まれる水蒸気の量のことです。ふつうの湿度計が示す「相対湿度」は、その気温で空気が含める限度に対する割合で、気温が上がると同じ水蒸気でも数字が下がります。「絶対湿度」は空気中の水蒸気の重さそのもので、気温に左右されません。加湿器は、水を蒸気や霧にして室内の湿度を上げる家電です。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、スイスのチューリッヒ大学などの研究チームが2021年に発表したコクラン・レビューです [1]。コクラン・レビューは、決めた手順で比較試験を集め、結果を整理した報告のことです。学校や職場の加湿を調べた13件・4551人以上の研究が集められました。

研究の種類学校・職場の加湿を調べた比較試験のコクラン・レビュー
対象学校や職場で過ごす子どもと大人(4551人以上)
比べたもの室内を加湿した場合と、加湿しない場合
結果学校の比較試験6件のうち4件で、病気による欠席が減った
欠席を調べた結果学校の比較試験6件のうち4件で、教室を加湿すると病気による欠席が減りました [1]。

一方、レビューによると、かぜなどの感染症にかかった人の数を結果にした研究はありませんでした。

欠席の数え方は研究ごとに違い、結果をひとつの数値にまとめられませんでした。レビューは、根拠はとても不確かと判定しています。欠席が減った理由が、感染した人が減ったからなのかは、この結果からは分かりません。

教室を加湿すると、何が変わった?

保育園の教室を加湿した研究では、加湿しない教室より、空気やおもちゃなどから見つかるインフルエンザAウイルスの数が減りました [3]。インフルエンザのような症状の子は、加湿しない教室で2.3倍いましたが、原因と結果の関係は分からないとされています。冬の小学校では、教室用の加湿器を4時間使うと絶対湿度が4 mb上がり、計算上は1時間後に生き残るウイルスの割合が30ポイント下がる水準でした [4]。こちらは感染そのものを調べていません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

ジュネーブの役所で働く1321人を冬に調べた1978年に報告された調査では、加湿器のある部屋とない部屋で、呼吸器の感染症の多さに有意な差はありませんでした [5]。ただし部屋の湿度は、加湿器ありが33%、なしが30%でほとんど変わりませんでした。加湿器を置いても湿度が上がらなければ、差が出ない結果になります。

差がなかった調査ジュネーブの役所で働く1321人(冬の調査)

加湿器の有無で、呼吸器の感染症の多さに差はありませんでした。

湿度は何%がいい?

厚生労働省は、乾燥しやすい室内では、加湿器などで湿度50〜60%を保つことも効果的だとしています。ただし、この数値を、かぜやインフルエンザにかかる人の数で確かめた研究は見つかっていません。実験や総説(研究をまとめた論文)は、中くらいの湿度でウイルスが弱まりやすいとしますが、結果は割れています。

  • 湿度が高いと弱まる: せきを再現した人形の実験で、湿度23%以下ではインフルエンザウイルスの70.6〜77.3%が感染力を保ち、湿度43%以上では14.6〜22.2%でした [6]。室内の湿度の総説は、感染の危険が最も低いのは40〜60%の範囲だとする研究が増えているとまとめています [7]。
  • 湿度に関係しない: 人の気道の分泌物を加えたウイルスは、調べたどの湿度でも1時間、感染力を保ちました [8]。
  • 湿りすぎると逆戻り: 飛沫の実験では、湿度が100%近くか約50%未満のときに最も生き残りやすく、その間で弱まりました [9]。

湿度が高いと、感染は少ない?

人を調べた観察研究では、湿度が高いと感染が少ない結果が目立ちますが、ウイルスや地域で割れています。

  • 香港の高齢者285人を追跡した研究で、寒い季節に家の中の絶対湿度が高いと、急性の呼吸器の病気が少ない関連が見られました(絶対湿度が1単位上がるごとに、6日間の累積で9.0%少ない)[10]。相対湿度との関連ははっきりしませんでした。
  • 世界の108件をまとめた2026年のメタ解析では、湿度が1単位上がるごとに、インフルエンザBにかかるリスクは4割ほど低く(相対リスク 0.61)、エンテロウイルスは2倍ほど高くなりました(相対リスク 2.21。1より小さいほど少ない)[11]。最も強く関係していたのは湿度ではなく気温です。
  • 日本では、絶対湿度が低くなる日が早く来た年ほど、インフルエンザの流行が早く始まる傾向がありました [12]。沖縄の7年間の調査では、インフルエンザAは湿度が低いほど多く、Bは湿度が高いときに多くなりました [13]。

どれも観察研究で、湿度の違いが原因とは言えません。

よく言われていることは本当?

  • 加湿器を使えば、かぜやインフルエンザを防げる欠席が減った例はありますが、防げるかは確かめられていません。 レビューに、かかる人の数を結果にした研究がないためです [1]。
  • 部屋の湿度は50〜60%に保つとよい厚生労働省の目安です。 感染の数で確かめた研究はなく、実験の結果も割れています。
  • 湿度が高いとウイルスが生き残りにくい条件によります。 湿度43%以上で感染力が弱まった実験がある一方、湿度に関係なく保たれた実験や、湿りすぎで生き残りやすくなる実験もあります [6] [8] [9]。
  • 乾燥すると粘膜の防御が落ちて、感染しやすくなる研究が足りません。 人で確かめた研究は見つかっておらず、総説が述べる段階です [7]。
  • 乾燥すると肌・喉・目がつらくなり、加湿で楽になる部位で結果が分かれます。 詳しくは部屋が乾燥すると肌や喉がつらくなるって本当?加湿器で楽になる?で調べました。
  • 湿度60%を超えるとカビやダニが増え、加湿しすぎは体に悪い家の湿気やカビは、子どもの呼吸器の感染症やぜんそくと関連しています [2] [14]。 加湿器の使いすぎそのものを調べた研究ではなく、60%という線を示した研究でもありません。
  • 加湿器の手入れをしないと、加湿器肺になるまれですが、実際にある病気です。 日本の214施設の調査で、2011〜2021年に430人が見つかり、年々増えていました [15]。

02注意点

湿度を上げすぎる害も、研究にあります。高所得国の子どもを調べた30件のまとめでは、家に湿気があると呼吸器の感染症が多い関連が見られました(オッズ比1.28。1より大きいほど多い)[2]。子どもを追跡したコホート研究11件では、カビのある家で育つと、のちにぜんそくになるリスクが15%高い関連でした [14]。湿気やカビにさらされると、新しくゼーゼーする息が出るリスクが上がるというレビューもあります(根拠の確実性は中くらい)[16]。どれも、結露やカビが出るほど湿った家の話で、加湿器の使い方を調べたものではありません。乳幼児やぜんそくなど持病のある人は、加湿の方法を医師や薬剤師に確認してください。

湿度は「高いほど良い」ではない

結露やカビが出るなら、加湿を弱めて換気しましょう。

03まとめ

加湿した学校で欠席が減った例はありますが、かぜやインフルエンザにかかる人が減るかは確かめられていません。
湿度の目安は厚生労働省の50〜60%ですが、感染の数で確かめた数値ではなく、上げすぎはカビと関連しています。
加湿するなら、湿度計で測りながら結露が出ない範囲にとどめ、加湿器の手入れも忘れずに。

04よくある質問

Q湿度は高いほどよいですか?

高ければよいとは言えません。実験では湿度が100%近いと、飛沫の中のウイルスが生き残りやすい結果があります [[23056454]]。家の湿気やカビは、子どもの呼吸器の感染症やぜんそくと関連しています [[37482434]]。結露が出るなら上げすぎです。

Q加湿だけでインフルエンザは防げますか?

研究では確かめられていません。コクラン・レビューによると、加湿でかかる人が減るかを数えた研究はなく [[34891215]]、厚生労働省は加湿を対策の一つとして挙げています。

Q湿度計は、どの数値を見ればよいですか?

動物の感染実験などを解析し直した研究では、インフルエンザのうつりやすさは、相対湿度より絶対湿度でよく説明できました [[19204283]]。ただし50〜60%や40〜60%の目安は相対湿度(%)で示されたもので、ふつうの湿度計の表示と合います。

05参照した論文

判定に使った主な論文(16本)

[1]職場や学校の加湿が目・肌・喉や鼻の乾燥の症状に効くかを調べたコクラン・レビュー

発表年
2021年
研究機関
スイス・チューリッヒ大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
4,551人
結果の向き
良い方向

学校・職場の加湿を調べた13件のコクラン・レビュー。学校の比較試験6件のうち4件で、加湿すると欠席が減った。

[2]高所得国の子どもの家のカビ・湿気と呼吸器の症状のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
デンマーク・コペンハーゲン大学
掲載誌
Paediatric respiratory reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究30件を統合
結果の向き
悪い方向

30件のメタ解析。家に湿気があると、子どもの呼吸器の感染症が多かった(オッズ比1.28)。

[3]保育園の教室を加湿すると、インフルエンザAウイルスが減るかを調べた研究

発表年
2018年
研究機関
アメリカ・メイヨー・クリニック
掲載誌
PloS one
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

保育園の教室を加湿すると、空気やおもちゃから見つかるインフルエンザAウイルスの数が減った。

[4]小学校の教室の加湿と、室内の絶対湿度・ウイルスの生存の関係

発表年
2013年
研究機関
アメリカ・メイヨー・クリニック
掲載誌
BMC infectious diseases
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

冬の小学校で教室用の加湿器を4時間使うと、絶対湿度が4 mb上がった。感染そのものは調べていない。

[5]冬の役所で、加湿器の有無と呼吸器の感染症を比べた調査

発表年
1978年
研究機関
Gubéran Eほかの研究チーム
掲載誌
Schweizerische medizinische Wochenschrift
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
差なし

ジュネーブの役所で働く1321人の調査。加湿器の有無で、呼吸器の感染症の多さに差はなかった。

[6]せきを再現した実験で、湿度とインフルエンザウイルスの感染力の関係を調べた研究

発表年
2013年
研究機関
アメリカ・米国国立労働安全衛生研究所
掲載誌
PloS one
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

せきをする人形を使った実験。湿度が低いと感染力を保ちやすく、湿度43%以上では保ちにくかった。

[7]室内の湿度と健康についての総説

発表年
2024年
研究機関
デンマーク・デンマーク国立労働環境研究センター
掲載誌
International journal of hygiene and environmental health
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

室内の湿度の総説。感染の危険が最も低いのは湿度40〜60%の範囲だとする研究が増えているとまとめた。

[8]インフルエンザウイルスの感染力が、湿度に関係なく保たれるかを調べた研究

発表年
2018年
研究機関
アメリカ・ピッツバーグ大学
掲載誌
The Journal of infectious diseases
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
差なし

人の気道の分泌物を加えたウイルスは、調べたどの湿度でも1時間、感染力を保った。

[9]飛沫の中のインフルエンザAウイルスの生存と湿度の関係

発表年
2012年
研究機関
アメリカ・バージニア工科大学
掲載誌
PloS one
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

飛沫の実験。湿度が100%近くか約50%未満のときに最も生き残りやすく、その間では弱まった。

[10]高齢者の家の中の湿度と、急性の呼吸器の病気の関係

発表年
2020年
研究機関
中国・香港理工大学
掲載誌
The Journal of infectious diseases
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
285人
結果の向き
良い方向

香港の高齢者285人を追跡した観察研究。寒い季節に家の中の絶対湿度が高いと、急性の呼吸器の病気が少なかった。

[11]気候と、世界の呼吸器ウイルス感染の関係を調べたメタ解析

発表年
2026年
研究機関
中国・華中科技大学
掲載誌
Environment international
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究108件を統合
結果の向き
結果が割れている

108件の研究のメタ解析。湿度が高いとインフルエンザBが少なく、エンテロウイルスは多かった。

[12]日本の気象と人口の要因が、インフルエンザの流行に与える影響を調べた大規模な観察研究

発表年
2023年
研究機関
日本・企業の研究部門
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

日本の47都道府県のデータ。絶対湿度が低くなる日が早く来た年ほど、流行が早く始まる傾向があった。

[13]沖縄で7年間続けた、インフルエンザAとBの調査

発表年
2016年
研究機関
日本・琉球大学
掲載誌
BMC infectious diseases
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

沖縄の7年間の調査。インフルエンザAは湿度が低いほど多く、Bは湿度が高いときに多かった。

[14]子どものぜんそくと、家のカビのメタ解析

発表年
2025年
研究機関
オーストリア・ウィーン医科大学
掲載誌
Wiener klinische Wochenschrift
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究11件を統合
結果の向き
悪い方向

子どもを追跡したコホート研究11件のまとめで、カビのある家で育つと、のちにぜんそくになるリスクが15%高かった。

[15]日本の全国調査で見た、加湿器が原因の過敏性肺炎(加湿器肺)

発表年
2026年
研究機関
日本・東邦大学
掲載誌
BMJ open respiratory research
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

日本の214施設の調査。2011〜2021年に加湿器肺の人が430人見つかり、年々増えていた。

[16]室内の汚れた空気とぜんそくに関する、ヨーロッパの指針のための系統的レビュー

発表年
2024年
研究機関
ルーマニア・トランシルバニア大学
掲載誌
Allergy
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究48件を統合
結果の向き
悪い方向

湿気・カビを調べた48件の系統的レビュー。湿気やカビにさらされると、新しくゼーゼーする息が出るリスクが上がった。

ほかに参考にした論文(8本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。