[1]グルテンフリーを続けるセリアック病の大人と子どもの栄養摂取量のメタ解析
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- イタリア・ボローニャ大学
- 掲載誌
- European journal of clinical nutrition
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 2,114人
- 結果の向き
- 悪い方向
セリアック病の人2114人(研究38件)では、大人の食物繊維が18.9gと足りず、ビタミンDはどの年代でも不足していた。

食物繊維・葉酸・ビタミンDが足りなくなりやすいことと関連しています。
調べられたのは、治療としてグルテンフリーを続けるセリアック病の人です。
続けるなら、不足しやすい食物繊維・葉酸・ビタミンDを、玄米・雑穀・豆・野菜・魚・卵などで意識して補いましょう。病気のない人が抜くと健康になるという根拠は、確かめられていません。診断を受けないまま自己判断で抜くのは避けてください [1]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 24 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 20.7 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 73 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、観察研究 4 本。 根拠の研究が、この疑問の対象とは違う人たちのものだけなので、強度は B を上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
グルテンフリーは、小麦・大麦・ライ麦に含まれるたんぱく質「グルテン」を食事から除く方法です。セリアック病という、グルテンで小腸が傷つく病気の治療として確立しています。最近は病気のない人も、体調やダイエットのために取り入れることがあります。注意点は、パンやめんを置き換えた食品で栄養の中身が変わりやすいことです。
答えの中心は、イタリアのボローニャ大学などの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて分析する方法です。グルテンフリーを続けるセリアック病の大人と子どもの、食事からとる栄養の量が集められました。
| 研究の種類 | 観察研究をまとめた系統的レビューとメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | グルテンフリーを続けるセリアック病の大人と子ども(2114人・研究38件) |
| 比べたもの | 食事からとる栄養の量と、推奨される量 |
| 結果 | 大人の食物繊維は18.9gと足りず、ビタミンDはどの年代でも不足。思春期はカルシウム・マグネシウム・鉄も不足 |
アメリカのタフツ大学などによる2018年のメタ解析でも、対照の食事より食物繊維と葉酸が少ない結果でした [2]。
結果の読み方に注意が必要です。調べられたのは「グルテンフリーが治療として必要な人」で、病気のない人が自分で抜いた研究ではありません。また観察研究なので、「グルテンフリーにしたから不足した」とは言い切れず、関連が見られたという意味です。根拠の確かさは低めです。研究の作りに弱さがあり、対象も限られているためです。
ギリシャのアギア・ソフィア小児病院などの研究チームによる2025年の系統的レビューは、セリアック病の子ども2004人(研究15件)を調べました [3]。ビタミンCとヨウ素の摂取は良くなりましたが、ほかの多くの栄養素は足りないままか、さらに減っていました。スペインの5〜14歳の子ども128人では、グルテンフリーを続けた子どものビタミンDの摂取は、健康な子どもより少ない結果でした(4.6μgと6.2μg)。鉄・カルシウム・葉酸・マグネシウム・亜鉛は、どちらの子どもも足りていませんでした [4]。
スペインの研究では、長くグルテンフリーを続けるセリアック病の大人64人の栄養状態は、病気のない74人とほぼ同じでした [5]。どちらも脂質とたんぱく質が多い食事でした。グルテンフリーだけでなく、もともとの食生活の偏りも影響していることを示す結果です。
栄養状態はほぼ同じで、どちらも脂質とたんぱく質が多い食事でした。
また、セリアック病の人では、グルテンフリーを始めると治療前よりビタミンD・B12・E・カルシウム・鉄の不足の危険が下がっていました [6]。治療前は吸収が悪い人との比較なので、病気のない人の話とは別です。
グルテンを避けて米の製品が増えると、金属の量が増えるとも言われます。アメリカの国民調査では、病気のないのにグルテンフリーの人101人は、そうでない人より血液の水銀(1.40と0.93mcg/L)と鉛(1.44と1.13mcg/L)、尿のヒ素(14.69と8.32mcg/L)が多い結果でした [7]。ただし尿のヒ素は調べられた人数がさらに少なく、血液の金属より確かさが落ちます。セリアック病の子ども35人では、始めて6か月後に尿のヒ素が3.3から13.6µg/Lに上がりました [8]。急な中毒が起きる量よりはずっと低い値で、健康への影響は分かっていません。根拠の確かさは低めです。観察研究2件にとどまるためです。
研究の対象はセリアック病の人で、大人は食物繊維や葉酸、思春期は鉄やカルシウムなどが不足していました [1]。グルテンフリーを続けるなら、不足しやすい栄養を食べ物で補う工夫が要ります。食物繊維の補い方は 食物繊維で体重は減る? も参考になります。セリアック病が疑われる症状がある人は、グルテンを抜く前に検査が必要です。持病や服薬がある人、子どもに続けさせる場合は、医師や管理栄養士に確認してください。
抜いてしまうと検査で正しい結果が出にくくなるため、気になる症状があれば先に受診してください。
グルテンフリーは、食物繊維・葉酸・ビタミンDの不足と関連しています。
ただし研究の中心はセリアック病の人で、病気のない人に同じとは言えません。
続けるなら、不足しやすい栄養を食材で補うところから始めましょう。
研究では確かめられていません。栄養の研究はセリアック病の人が中心で、病気のない人が自分で抜いた場合の研究はほぼありません。
セリアック病の子ども2004人の研究では、多くの栄養素が足りないままか減っていました [[39940345]]。診断がある場合も、医師や管理栄養士と栄養を確認しながら進めてください。
コクランのレビューでは、グルテンが少ない食事と心臓・血管の病気による死亡に関連はありませんでした [[35199850]]。
セリアック病の人2114人(研究38件)では、大人の食物繊維が18.9gと足りず、ビタミンDはどの年代でも不足していた。
グルテンフリーのセリアック病の大人は、対照よりエネルギーと脂質が多く、食物繊維と葉酸が少なかった。
子ども2004人(研究15件)で、ビタミンCとヨウ素は良くなったが、ほかの多くの栄養素は足りないままか減っていた。
スペインの5〜14歳の子ども128人で、グルテンフリーを続ける子どもはビタミンDの摂取が少なかった。
セリアック病の大人64人の栄養状態は、病気のない74人とほぼ同じだった。
グルテンフリーを始めると、治療前よりビタミンD・B12・E・カルシウム・鉄の不足の危険が下がっていた。
病気のないグルテンフリーの人は、血液の水銀・鉛と尿のヒ素が多かった。
子ども35人で、始めて6か月後に尿のヒ素が3.3から13.6µg/Lに上がった。
グルテンが少ない食事は、心臓・血管の病気による死亡と関連がなく、2型糖尿病はやや高い関連だった。
グルテンを最も多くとる人たちは、最も少ない人たちより心臓・血管の病気で亡くなるリスクが低かった。
健康な人27人が4週間続けると炎症の値は下がったが、心臓・血管の指標全体と生活の質は良くならなかった。
判定「悪い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。