グルテンフリーの食事にデメリットはある?

グルテンフリーの食事にデメリットはある?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え悪い関連がある

食物繊維・葉酸・ビタミンDが足りなくなりやすいことと関連しています。

根拠

グルテンフリーを続けるセリアック病の人 2114 人(研究 38 件)をまとめた解析で、大人の食物繊維は 18.9g と足りず、ビタミンDはどの年代でも不足していました [1]。大人を対象にした別のまとめでも、グルテンを含む食事の人よりエネルギーと脂質が多く、食物繊維と葉酸が少ない結果でした [2]。根拠の確かさは低めです。対象が病気の人で、研究の作りも観察研究に限られるためです。

この答えの範囲

調べられたのは、治療としてグルテンフリーを続けるセリアック病の人です。

じゃあ、どうする?

続けるなら、不足しやすい食物繊維・葉酸・ビタミンDを、玄米・雑穀・豆・野菜・魚・卵などで意識して補いましょう。病気のない人が抜くと健康になるという根拠は、確かめられていません。診断を受けないまま自己判断で抜くのは避けてください [1]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。11 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量18.320研究件数と参加人数
一致度20.725結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 73 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、観察研究 4 本。 根拠の研究が、この疑問の対象とは違う人たちのものだけなので、強度は B を上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

グルテンフリーとは

グルテンフリーは、小麦・大麦・ライ麦に含まれるたんぱく質「グルテン」を食事から除く方法です。セリアック病という、グルテンで小腸が傷つく病気の治療として確立しています。最近は病気のない人も、体調やダイエットのために取り入れることがあります。注意点は、パンやめんを置き換えた食品で栄養の中身が変わりやすいことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イタリアのボローニャ大学などの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて分析する方法です。グルテンフリーを続けるセリアック病の大人と子どもの、食事からとる栄養の量が集められました。

研究の種類観察研究をまとめた系統的レビューとメタ解析
対象グルテンフリーを続けるセリアック病の大人と子ども(2114人・研究38件)
比べたもの食事からとる栄養の量と、推奨される量
結果大人の食物繊維は18.9gと足りず、ビタミンDはどの年代でも不足。思春期はカルシウム・マグネシウム・鉄も不足
まとめて分析した結果グルテンフリーを続ける人は、脂質が多く、必要な微量栄養素が少ない食事になりやすいことと関連していました。

アメリカのタフツ大学などによる2018年のメタ解析でも、対照の食事より食物繊維と葉酸が少ない結果でした [2]。

結果の読み方に注意が必要です。調べられたのは「グルテンフリーが治療として必要な人」で、病気のない人が自分で抜いた研究ではありません。また観察研究なので、「グルテンフリーにしたから不足した」とは言い切れず、関連が見られたという意味です。根拠の確かさは低めです。研究の作りに弱さがあり、対象も限られているためです。

子どもでは

ギリシャのアギア・ソフィア小児病院などの研究チームによる2025年の系統的レビューは、セリアック病の子ども2004人(研究15件)を調べました [3]。ビタミンCとヨウ素の摂取は良くなりましたが、ほかの多くの栄養素は足りないままか、さらに減っていました。スペインの5〜14歳の子ども128人では、グルテンフリーを続けた子どものビタミンDの摂取は、健康な子どもより少ない結果でした(4.6μgと6.2μg)。鉄・カルシウム・葉酸・マグネシウム・亜鉛は、どちらの子どもも足りていませんでした [4]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

スペインの研究では、長くグルテンフリーを続けるセリアック病の大人64人の栄養状態は、病気のない74人とほぼ同じでした [5]。どちらも脂質とたんぱく質が多い食事でした。グルテンフリーだけでなく、もともとの食生活の偏りも影響していることを示す結果です。

差がなかった研究スペインのセリアック病の大人64人と、病気のない74人

栄養状態はほぼ同じで、どちらも脂質とたんぱく質が多い食事でした。

また、セリアック病の人では、グルテンフリーを始めると治療前よりビタミンD・B12・E・カルシウム・鉄の不足の危険が下がっていました [6]。治療前は吸収が悪い人との比較なので、病気のない人の話とは別です。

米の製品でヒ素などの金属が増えるって本当?

グルテンを避けて米の製品が増えると、金属の量が増えるとも言われます。アメリカの国民調査では、病気のないのにグルテンフリーの人101人は、そうでない人より血液の水銀(1.40と0.93mcg/L)と鉛(1.44と1.13mcg/L)、尿のヒ素(14.69と8.32mcg/L)が多い結果でした [7]。ただし尿のヒ素は調べられた人数がさらに少なく、血液の金属より確かさが落ちます。セリアック病の子ども35人では、始めて6か月後に尿のヒ素が3.3から13.6µg/Lに上がりました [8]。急な中毒が起きる量よりはずっと低い値で、健康への影響は分かっていません。根拠の確かさは低めです。観察研究2件にとどまるためです。

よく言われていることは本当?

  • 栄養が偏りやすい本当です。 ただし確かめられたのはセリアック病の人で、食物繊維・葉酸・ビタミンDなどの不足と関連していました [1]。
  • ヒ素など有害な金属をとりやすい半分本当です。 血液や尿の値は高い関連が見られましたが、健康への影響は分かっていません [7]。
  • 全粒穀物が減って心臓病や糖尿病が増える条件によります。 コクランのレビューでは、グルテンが少ない食事と心臓・血管の病気による死亡に関連はなく、2型糖尿病はやや高い関連でした(ハザード比1.14。根拠の確実性は低い)[9]。日本の高山スタディでは、グルテンを最も多くとる人たちで心臓・血管の病気による死亡が低くなりました(ハザード比0.73)[10]。
  • 病気のない人は健康になる・痩せる健康になる根拠は確かめられていません。 健康な人27人が4週間続けた研究では、炎症の値は下がったものの、心臓・血管の指標全体と生活の質は良くなりませんでした [11]。痩せるかは グルテンフリーの食事で痩せる? で別に扱っています。
  • 加工食品で脂質や砂糖が増えて太る体重が増えるかを直接調べた研究は見つかっていません。
  • 値段が高い・手間がかかる健康の研究の対象外です。

02注意点

研究の対象はセリアック病の人で、大人は食物繊維や葉酸、思春期は鉄やカルシウムなどが不足していました [1]。グルテンフリーを続けるなら、不足しやすい栄養を食べ物で補う工夫が要ります。食物繊維の補い方は 食物繊維で体重は減る? も参考になります。セリアック病が疑われる症状がある人は、グルテンを抜く前に検査が必要です。持病や服薬がある人、子どもに続けさせる場合は、医師や管理栄養士に確認してください。

診断の前に自己判断で抜かない

抜いてしまうと検査で正しい結果が出にくくなるため、気になる症状があれば先に受診してください。

03まとめ

グルテンフリーは、食物繊維・葉酸・ビタミンDの不足と関連しています。
ただし研究の中心はセリアック病の人で、病気のない人に同じとは言えません。
続けるなら、不足しやすい栄養を食材で補うところから始めましょう。

04よくある質問

Q病気がなくてもグルテンフリーで栄養は不足しますか?

研究では確かめられていません。栄養の研究はセリアック病の人が中心で、病気のない人が自分で抜いた場合の研究はほぼありません。

Q子どもにグルテンフリーを続けさせても大丈夫ですか?

セリアック病の子ども2004人の研究では、多くの栄養素が足りないままか減っていました [[39940345]]。診断がある場合も、医師や管理栄養士と栄養を確認しながら進めてください。

Qグルテンを避けると心臓病のリスクは下がりますか?

コクランのレビューでは、グルテンが少ない食事と心臓・血管の病気による死亡に関連はありませんでした [[35199850]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(11本)

[1]グルテンフリーを続けるセリアック病の大人と子どもの栄養摂取量のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
イタリア・ボローニャ大学
掲載誌
European journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,114人
結果の向き
悪い方向

セリアック病の人2114人(研究38件)では、大人の食物繊維が18.9gと足りず、ビタミンDはどの年代でも不足していた。

[2]グルテンフリーの食事は栄養が優れているか。実際の食事と見本の献立の評価

発表年
2018年
研究機関
アメリカ・タフツ大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究7件を統合
結果の向き
悪い方向

グルテンフリーのセリアック病の大人は、対照よりエネルギーと脂質が多く、食物繊維と葉酸が少なかった。

[3]グルテンフリーを続けるセリアック病の子どもの栄養状態の系統的レビュー

発表年
2025年
研究機関
ギリシャ・アギア・ソフィア小児病院
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
2,004人
結果の向き
悪い方向

子ども2004人(研究15件)で、ビタミンCとヨウ素は良くなったが、ほかの多くの栄養素は足りないままか減っていた。

[4]グルテンフリーの食事での超加工食品の食べ方

発表年
2026年
研究機関
スペイン・グラナダ大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
128人
結果の向き
結果が割れている

スペインの5〜14歳の子ども128人で、グルテンフリーを続ける子どもはビタミンDの摂取が少なかった。

[5]長くグルテンフリーを続けるスペインのセリアック病の大人の栄養状態

発表年
2021年
研究機関
スペイン・サン・パブロCEU大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
症例対照研究ある病気の人とそうでない人で、過去の生活習慣などを比べる研究。
対象
—
結果の向き
差なし

セリアック病の大人64人の栄養状態は、病気のない74人とほぼ同じだった。

[6]グルテンフリーと微量栄養素の不足のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
カナダ・ファーンコム消化器健康研究所
掲載誌
Journal of clinical medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究46件を統合
結果の向き
良い方向

グルテンフリーを始めると、治療前よりビタミンD・B12・E・カルシウム・鉄の不足の危険が下がっていた。

[7]グルテンフリーの人の体内の重金属の蓄積

発表年
2018年
研究機関
アメリカ・メイヨー・クリニック
掲載誌
Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association
研究の種類
横断研究ある一時点での生活習慣と健康状態の関係を調べる研究。
対象
11,354人
結果の向き
悪い方向

病気のないグルテンフリーの人は、血液の水銀・鉛と尿のヒ素が多かった。

[8]セリアック病の子どもがグルテンフリーを始めたときのヒ素などの曝露

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・ボストン小児病院
掲載誌
The American journal of gastroenterology
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
35人
結果の向き
悪い方向

子ども35人で、始めて6か月後に尿のヒ素が3.3から13.6µg/Lに上がった。

[9]心血管病の予防に向けたグルテン減量食のコクランレビュー

発表年
2022年
研究機関
ドイツ・フライブルク大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
269,282人
結果の向き
結果が割れている

グルテンが少ない食事は、心臓・血管の病気による死亡と関連がなく、2型糖尿病はやや高い関連だった。

[10]日本の高山スタディでのグルテン摂取量と心血管病による死亡

発表年
2025年
研究機関
日本・岐阜大学
掲載誌
The Journal of nutrition
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

グルテンを最も多くとる人たちは、最も少ない人たちより心臓・血管の病気で亡くなるリスクが低かった。

[11]健康な人の短期間のグルテンフリーが心血管の指標と生活の質に与える影響

発表年
2024年
研究機関
ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツ医療センター
掲載誌
Nutrients
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
27人
結果の向き
差なし

健康な人27人が4週間続けると炎症の値は下がったが、心臓・血管の指標全体と生活の質は良くならなかった。

ほかに参考にした論文(2本)

判定「悪い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。