EMSで痩せる?

EMSで痩せる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効かない

筋肉量と筋力は増えます。体脂肪は減りません。

根拠

運動選手ではない大人を対象にした全身EMSの16件・897人のメタ解析で、筋肉量ははっきり増え、体脂肪は有意には減りませんでした [1]。食事制限で減量中の肥満の118人でも、EMSの群に上乗せはありませんでした [2]。ウエストは小さくなります。お腹に当てた60人の試験で、偽の刺激より大きく減りました [3]。根拠の確かさは低めです。研究の数が少なく、高齢者のまとめでは有意差が出なかったためです [4]。

この答えの範囲

運動選手ではない大人の話です。EMS単独の結果が中心で、筋トレに足した場合は別です。

じゃあ、どうする?

体脂肪を減らしたいなら、EMSより食事と運動が軸です。減量中に筋肉量を保てたのは筋トレの群だけでした [2]。筋肉をつける補助が目的なら、EMSで筋肉はつく?も読んでください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量17.620研究件数と参加人数
一致度15.925結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 88.5 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 6 本・RCT のメタ解析 1 本・観察研究 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

EMSとは

EMSは、電気の刺激で筋肉を縮ませる機器です。筋肉を鍛える目的で使われ、「痩せる」とうたわれることもあります。全身に着けるスーツ型、お腹や脚に当てるパッド型、ベルト型などがあります。注意点は、機器の種類や刺激の強さで、研究の結果が変わることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、ドイツのエルランゲン・ニュルンベルク大学などの研究チームが2021年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果を集めて、数字でまとめ直す方法です。運動選手ではない大人への全身EMSの試験が集められました。

研究の種類全身EMSの比較試験をまとめたメタ解析
対象運動選手ではない大人(16件・897人)
比べたもの全身スーツ型のEMSと、EMSなしの群
結果筋肉量は大きく増え、体脂肪は有意には減らなかった
まとめて分析した結果全身EMSで筋肉量は大きく増えましたが、体脂肪は有意には減りませんでした。[1]

筋肉量の差は標準化平均差1.23で、脚と背中の筋力も上がっています。

「痩せる」には体脂肪が減ることが必要です。そこが減らないため、筋肉が増えても見た目や体重が変わるとは限りません。

偽の刺激や食事制限と比べても同じ

個々の試験でも、体脂肪に差が出ない結果が続いています。

  • 大学生の年代の27人では、メーカーの推奨どおりにEMSを使っても、偽の刺激と比べて体重・体脂肪・見た目に差がありませんでした [5]。
  • 食事制限中の肥満の118人は、12週間、全身EMS・筋トレ・何もしない群に分かれました。どの群も体重は約3%、脂肪は約2.6kg減り、EMSによる上乗せはありませんでした [2]。
  • 健康な男性54人が週に一度20分の全身EMSを16週間続けても、体脂肪の量に有意な差はありませんでした [6]。

筋トレと比べると

118人の試験では、EMSで筋力は上がりましたが、減量中に筋肉量を保てたのは筋トレの群だけでした [2]。「短い時間で運動と同じ」という期待には、この結果が近い答えです。数時間の運動と直接比べた研究は見つかっていません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

26件・1183人をまとめた別のメタ解析では、EMSの群で体脂肪が小さく減りました [7]。筋肉が少なく脂肪が多い中高年に限ると、体脂肪率が平均2.01ポイント下がった報告もあります。ただし研究ごとのばらつきは大きく、若い人や普通の体型の人の結果ではありません [8]。筋トレにEMSを毎日足した試験でも、筋トレだけの群より体脂肪が減りました [9]。違いは、対象者の年齢と体型、運動と組み合わせたかどうか、期間にあります。

筋トレにEMSを足した試験健康な若い男女28人(男性14人・女性14人)

8週間の筋トレにEMSを毎日足した群は、筋トレだけの群より体脂肪が減りました。EMS単独の結果ではありません。

何が測られた?

研究で調べられた結果を、分けて並べます。

  • 体脂肪・体重: 減りません。ただし、中高年の一部の解析では小さな減少があります。
  • 筋肉量・筋力: 増えます。
  • ウエスト(腹囲): 小さくなります。根拠の確かさは低めです。

よく言われていることは本当?

  • 着けるだけで痩せる効きません。 全身EMSのメタ解析で体脂肪は有意には減りませんでした [1]。
  • お腹が引き締まる・ウエストが細くなるウエストは小さくなります。 お腹まわりに脂肪の多い60人が12週間EMSを当てると、腹囲が平均5.2cm減り、偽の刺激の群(2.9cm)より大きく減りました [3]。CTで測ったお腹の脂肪は有意には減っていません。60歳を超える人のRCT13件のまとめでは、腹囲は有意には小さくなりませんでした [4]。
  • 腹筋が割れる・筋肉がつく筋肉は本当につきます [1]。 ただ、割れて見えるには体脂肪も減る必要があり、そこは上の結果のとおりです。
  • 20分で数時間分の運動と同じ研究が足りません。 比べた試験があるのは筋トレまでで、結果は上の節のとおりです。
  • 運動が苦手な人でも寝ながら・座りながらできる研究が足りません。 使いやすさや続けやすさを比べた試験は見つかっていません。
  • 基礎代謝が上がって太りにくくなる研究が足りません。 16人で強めの全身EMSを1回行うと、その後の消費エネルギーが増えましたが、体脂肪が減るかは測っていません [10]。

02注意点

研究で使われたのは、強さと時間が管理された機器です。たとえば前述の54人の試験は、週に一度20分で、軽い動きと組み合わせて行われました [6]。ペースメーカーなどの体内機器がある人、妊娠中の人、持病や服薬のある人は、使う前に医師や薬剤師に確認してください。

機器の強さは、自己判断で上げない

研究の条件より強い刺激で長く使うと、筋肉や体に負担がかかります。

03まとめ

EMSは、筋肉量と筋力を増やしますが、体脂肪は減らしません。
ウエストは小さくなる試験がありますが、根拠の確かさは低めです。
痩せたいときは、食事と筋トレを軸にして、EMSは筋肉をつける補助として考えましょう。

04よくある質問

Q毎日使えば痩せますか?

毎日のEMSを筋トレに足した28人の試験で、筋トレだけの群より体脂肪が減りました [[37868059]]。ただしEMS単独の結果ではなく、参加者も少ないため、毎日使えば痩せるとは言えません。

Q食事制限にEMSを足すと効果が上がりますか?

上がりませんでした。食事を減らして12週間続けた118人で、EMSの群も何もしない群も、体重と脂肪の減り方は同じでした [[34068089]]。

Q高齢者にも筋肉をつける効果はありますか?

60歳を超える人のRCT13件のまとめでは、手足の筋肉量が増えました [[35710211]]。腹囲は有意には小さくなりませんでした。

05参照した論文

判定に使った主な論文(12本)

[1]運動習慣のない成人での全身EMSの効果のメタ解析

発表年
2021年
研究機関
ドイツ・エルランゲン・ニュルンベルク大学
掲載誌
Frontiers in physiology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
897人
結果の向き
差なし

運動選手ではない大人の16件・897人をまとめ、全身EMSで筋肉量は増え、体脂肪は有意には減らなかった。

[2]食事制限中の肥満の人で全身EMSと筋トレを比べた試験

発表年
2021年
研究機関
ドイツ・エルランゲン・ニュルンベルク大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
118人
結果の向き
差なし

118人で、EMSの群も何もしない群も体重と脂肪が同じように減り、筋肉量を保てたのは筋トレの群だけだった。

[3]お腹まわりが太めの成人でのEMSと腹囲の試験

発表年
2018年
研究機関
韓国・釜山大学校
掲載誌
JNMA; journal of the Nepal Medical Association
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
60人
結果の向き
良い方向

60人で、12週間のEMSの腹囲は平均5.2cm減り、偽の刺激の群の2.9cmより大きく減った。

[4]高齢者の全身EMSの効果のランダム化試験のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
ブラジル・ジュイス・デ・フォーラ連邦大学
掲載誌
Journal of bodywork and movement therapies
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究13件を統合
結果の向き
差なし

60歳を超える人のRCT13件をまとめると、全身EMSで腹囲は有意には小さくならなかった。

[5]EMSが体組成・筋力・見た目に与える影響の試験

発表年
2002年
研究機関
アメリカ・ウィスコンシン大学ラクロス校
掲載誌
Journal of strength and conditioning research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
27人
結果の向き
差なし

27人で、メーカーの推奨どおりにEMSを使っても、偽の刺激と比べて体重・体脂肪・見た目に差はなかった。

[6]週1回の全身EMSが体組成に与える影響の試験

発表年
2021年
研究機関
ドイツ・エルランゲン・ニュルンベルク大学
掲載誌
International journal of environmental research and public health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
54人
結果の向き
差なし

健康な男性54人で、週に一度20分の全身EMSを16週間続けても、体脂肪の量に有意な差はなかった。

[7]全身EMSが体組成と筋力に与える影響のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
スペイン・エストレマドゥーラ大学
掲載誌
Medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,183人
結果の向き
良い方向

全身EMSの試験26件(1183人)のまとめで、EMSの群は体脂肪が減っていた。差は小さめだった。

[8]サルコペニア肥満の運動・栄養・電気刺激のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・東南大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,622人
結果の向き
良い方向

筋肉が少なく脂肪が多い中高年で、EMSにより体脂肪率が平均2.01ポイント下がり、腹囲も小さくなった。

[9]筋トレに周波数別のEMSを加えた8週間の試験

発表年
2023年
研究機関
台湾・国立台湾体育運動大学
掲載誌
PeerJ
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
28人
結果の向き
良い方向

若い男女28人で、筋トレに毎日のEMSを足した群は、筋トレだけの群より体脂肪が減った。

[10]強めの全身EMS1回のエネルギー消費への影響

発表年
2018年
研究機関
ドイツ・エルランゲン・ニュルンベルク大学
掲載誌
Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
16人
結果の向き
良い方向

16人で、強めの全身EMSを1回行うと、その後の消費エネルギーが増えた。

非運動選手の体幹トレーニングにEMSを重ねた試験

発表年
2023年
研究機関
韓国・高麗大学
掲載誌
Medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
41人
結果の向き
差なし

健康な若い大人41人で、8週間の体幹トレーニングにEMSを重ねても、体組成は筋トレだけの群と差がなかった

閉経後の女性での全身EMSの速さ・パワー・体組成への影響の試験

発表年
2020年
研究機関
スペイン・リェイダ大学
掲載誌
International journal of environmental research and public health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
34人
結果の向き
差なし

閉経後の女性34人で、10週間の運動にEMSを重ねても、体組成への効果はごくわずかだった

ほかに参考にした論文(9本)

判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。