[1]運動習慣のない成人での全身EMSの効果のメタ解析
- 発表年
- 2021年
- 研究機関
- ドイツ・エルランゲン・ニュルンベルク大学
- 掲載誌
- Frontiers in physiology
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 897人
- 結果の向き
- 差なし
運動選手ではない大人の16件・897人をまとめ、全身EMSで筋肉量は増え、体脂肪は有意には減らなかった。

筋肉量と筋力は増えます。体脂肪は減りません。
運動選手ではない大人の話です。EMS単独の結果が中心で、筋トレに足した場合は別です。
体脂肪を減らしたいなら、EMSより食事と運動が軸です。減量中に筋肉量を保てたのは筋トレの群だけでした [2]。筋肉をつける補助が目的なら、EMSで筋肉はつく?も読んでください。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 17.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 15.9 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 88.5 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 6 本・RCT のメタ解析 1 本・観察研究 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
EMSは、電気の刺激で筋肉を縮ませる機器です。筋肉を鍛える目的で使われ、「痩せる」とうたわれることもあります。全身に着けるスーツ型、お腹や脚に当てるパッド型、ベルト型などがあります。注意点は、機器の種類や刺激の強さで、研究の結果が変わることです。
答えの中心は、ドイツのエルランゲン・ニュルンベルク大学などの研究チームが2021年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果を集めて、数字でまとめ直す方法です。運動選手ではない大人への全身EMSの試験が集められました。
| 研究の種類 | 全身EMSの比較試験をまとめたメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 運動選手ではない大人(16件・897人) |
| 比べたもの | 全身スーツ型のEMSと、EMSなしの群 |
| 結果 | 筋肉量は大きく増え、体脂肪は有意には減らなかった |
筋肉量の差は標準化平均差1.23で、脚と背中の筋力も上がっています。
「痩せる」には体脂肪が減ることが必要です。そこが減らないため、筋肉が増えても見た目や体重が変わるとは限りません。
個々の試験でも、体脂肪に差が出ない結果が続いています。
118人の試験では、EMSで筋力は上がりましたが、減量中に筋肉量を保てたのは筋トレの群だけでした [2]。「短い時間で運動と同じ」という期待には、この結果が近い答えです。数時間の運動と直接比べた研究は見つかっていません。
26件・1183人をまとめた別のメタ解析では、EMSの群で体脂肪が小さく減りました [7]。筋肉が少なく脂肪が多い中高年に限ると、体脂肪率が平均2.01ポイント下がった報告もあります。ただし研究ごとのばらつきは大きく、若い人や普通の体型の人の結果ではありません [8]。筋トレにEMSを毎日足した試験でも、筋トレだけの群より体脂肪が減りました [9]。違いは、対象者の年齢と体型、運動と組み合わせたかどうか、期間にあります。
8週間の筋トレにEMSを毎日足した群は、筋トレだけの群より体脂肪が減りました。EMS単独の結果ではありません。
研究で調べられた結果を、分けて並べます。
研究で使われたのは、強さと時間が管理された機器です。たとえば前述の54人の試験は、週に一度20分で、軽い動きと組み合わせて行われました [6]。ペースメーカーなどの体内機器がある人、妊娠中の人、持病や服薬のある人は、使う前に医師や薬剤師に確認してください。
研究の条件より強い刺激で長く使うと、筋肉や体に負担がかかります。
EMSは、筋肉量と筋力を増やしますが、体脂肪は減らしません。
ウエストは小さくなる試験がありますが、根拠の確かさは低めです。
痩せたいときは、食事と筋トレを軸にして、EMSは筋肉をつける補助として考えましょう。
毎日のEMSを筋トレに足した28人の試験で、筋トレだけの群より体脂肪が減りました [[37868059]]。ただしEMS単独の結果ではなく、参加者も少ないため、毎日使えば痩せるとは言えません。
上がりませんでした。食事を減らして12週間続けた118人で、EMSの群も何もしない群も、体重と脂肪の減り方は同じでした [[34068089]]。
60歳を超える人のRCT13件のまとめでは、手足の筋肉量が増えました [[35710211]]。腹囲は有意には小さくなりませんでした。
運動選手ではない大人の16件・897人をまとめ、全身EMSで筋肉量は増え、体脂肪は有意には減らなかった。
118人で、EMSの群も何もしない群も体重と脂肪が同じように減り、筋肉量を保てたのは筋トレの群だけだった。
60人で、12週間のEMSの腹囲は平均5.2cm減り、偽の刺激の群の2.9cmより大きく減った。
60歳を超える人のRCT13件をまとめると、全身EMSで腹囲は有意には小さくならなかった。
27人で、メーカーの推奨どおりにEMSを使っても、偽の刺激と比べて体重・体脂肪・見た目に差はなかった。
健康な男性54人で、週に一度20分の全身EMSを16週間続けても、体脂肪の量に有意な差はなかった。
全身EMSの試験26件(1183人)のまとめで、EMSの群は体脂肪が減っていた。差は小さめだった。
筋肉が少なく脂肪が多い中高年で、EMSにより体脂肪率が平均2.01ポイント下がり、腹囲も小さくなった。
若い男女28人で、筋トレに毎日のEMSを足した群は、筋トレだけの群より体脂肪が減った。
16人で、強めの全身EMSを1回行うと、その後の消費エネルギーが増えた。
健康な若い大人41人で、8週間の体幹トレーニングにEMSを重ねても、体組成は筋トレだけの群と差がなかった
閉経後の女性34人で、10週間の運動にEMSを重ねても、体組成への効果はごくわずかだった
判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。