果物を切ってから時間がたつとビタミンは減る?

果物を切ってから時間がたつとビタミンは減る?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.01
答え半分本当

半分本当です。冷蔵した切り身なら、数日たってもビタミンCの多くが残ります。しぼった果汁は速く減ります。

根拠

切った果物は、5℃で6日置いても、6種のうち5種でビタミンCの減りが12%以下でした [1]。冷蔵のほうが、20℃で置くより減る速さが遅い結果でした [2]。一方、しぼった果汁は速く、グレープフルーツ果汁は約105分(約1時間45分)、オレンジ果汁は約366分(約6時間)から半分になる予測です [3]。野菜はゆでるとビタミンCが減り、電子レンジでは90%以上が残る例が多くありました [4]。根拠の確かさは低めです。果物や野菜の種類・保存条件ごとに結果が大きく違い、同じ条件を調べた研究が少ないためです。

この答えの範囲

どれも食品を測った実験で、人を対象にした試験ではありません。レモンの切り身を時間ごとに測った研究は見つかっておらず、果汁やほかの果物からの読み取りです。

じゃあ、どうする?

切ったら冷蔵庫へ。栄養の面では、切ってすぐ食べなくても大丈夫です。果汁は早めに飲みましょう。野菜は、ゆでるより蒸す方が残りやすい傾向があり、電子レンジも残りやすい研究が多くあります [4] [5]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。15 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 46 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン1040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量5.220研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 46.2 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 46 点です。 判定に使った研究は、その他のヒトの研究 5 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ビタミンCとは

ビタミンCは、野菜や果物に含まれる水に溶けるビタミンです。皮膚や血管の材料になるコラーゲンづくりにかかわり、酸化を防ぐ働きがあるとされます。レモンやキウイなどの果物、ブロッコリーなどの野菜に多く含まれます。水や熱、空気に弱く、調理や保存で減りやすいのが特徴です。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、スペインの国立研究評議会(CEBAS-CSIC)などの研究チームが2006年に発表した、切った果物の分析実験です [1]。

研究の種類切った果物を冷蔵で保存して成分を測った食品の分析実験
対象パイナップル・マンゴー・カンタロープ(メロンの仲間)・スイカ・イチゴ・キウイ
比べたもの5℃で保存した日数
結果6日後のビタミンCの減りは、マンゴー・イチゴ・スイカで5%以下、パイナップル10%、キウイ12%、カンタロープ25%
切った果物の結果冷蔵した切り身は、6種のうち5種で、6日置いてもビタミンCの減りが12%以下でした。

著者は、切った果物は栄養が目立って減る前に見た目が傷むとまとめています [1]。

一方、果汁は速く減ります。トルコのエゲ大学が2020年に発表した実験では、しぼった柑橘4種の果汁を4時間置き、ビタミンCが半分になるまでの時間を予測しました [3]。

果汁の実験の結果**グレープフルーツの果汁は、約105分(約1時間45分)で半分になる予測でした。**

タンジェリン(ミカンの仲間)は約138分(約2時間18分)から、オレンジは約366分(約6時間)から、ライムは約540分(約9時間)から半分になる予測です。

しぼったレモン果汁を3週間置くと、100mLあたり38.50mgから約22mgになりました [6]。

よく言われていることは本当?

  • 切ったらすぐ食べないと、ビタミンCが逃げる減るのは本当ですが、速さは食品しだいです。 冷蔵した切り身は6日で多くが12%以下の減りでした [1]。数十分で大きく抜けることを示した研究は見つかっていません。根拠の確かさは低めです。
  • 空気や光に触れると、酸化して減る果汁では本当です。 しぼった果汁の実験で、減りに強く影響したのは置いた時間・光・酸素でした [3]。総説も、ビタミンCが減る主な原因を温度と酸素とまとめています [7]。切り身で光や酸素を比べた研究は見つかっていません。
  • 冷蔵庫に入れると、減りにくい研究で確かめられています。 根拠の確かさは低めです。切ったメロン・キウイ・パイナップルは、冷蔵すると20℃で置くより減る速さがはっきり遅く [2]、マンゴーは10℃より5℃で [8]、イチゴは温度が低いほど [9]、ビタミンCが残りやすい傾向でした。ただし果汁を4時間置いた実験では、4℃と25℃の差ははっきりしませんでした [3]。
  • 細かく切るほど減る研究が足りません。 サツマイモは輪切りや扇形に切って4℃で6日置いても、丸ごとと差がありませんでした [10]。ブロッコリーは2つに切った直後に、ビタミンCが35%増えていました [11]。
  • 切ってから水にさらすと、流れ出る研究が足りません。 水にさらした時間とビタミンCを比べた研究は見つかっていません。ゆでたときは、切ったほうれん草でビタミンCの60%がゆで汁に出ました [12]。
  • ゆでると溶け出す。蒸す・電子レンジなら残る研究で確かめられています。 根拠の確かさは低めです。ブロッコリーは、ゆでると34%、蒸すと22%減り、電子レンジでは90%以上が残りました [4]。ただしウガンダの葉物野菜は、ゆでても蒸しても最大99%減りました [13]。
  • レモンは冷凍すると、ビタミンCが増える研究が足りません。 冷凍と、生のまま冷蔵したものを8品目で比べた実験では、5品目で差がなく、3品目で冷凍のほうが多い結果でした [14]。冷凍する前より増えたことを示した研究は見つかっていません。ラズベリーを-20℃で12か月冷凍すると、ビタミンCは33〜55%減りました [15]。レモンの研究は見つかっていません。

02注意点

これらは食品を測った実験で、人が食べて体のビタミンCがどうなるかを調べた試験ではありません。条件も、果物を5℃で6日、果汁を4時間、レモン果汁を3週間と、実験ごとに違います。レモンの切り身を時間ごとに測った研究は、今回は見つかっていません。ビタミンC以外の成分は、食品で違います。カロテノイド(体内でビタミンAになる成分を含む色素)は、切った果物を5℃で6日置くと、キウイとスイカでは減らず、パイナップルで25%減りました [1]。持病や食事の制限がある人は、医師や管理栄養士に相談してください。

時間より、置き方と調理を見る

切ったら冷蔵庫に入れ、野菜はゆでずに蒸すか電子レンジを選ぶと、ビタミンCは残りやすい傾向があります。

03まとめ

切った果物のビタミンCは、冷蔵すれば数日は多くが残ります。
果汁は速く減り、野菜はゆでると減るので、置き方と調理のしかたで差が出ます。
切ったら冷蔵庫へ、果汁は早めに、野菜は蒸すか電子レンジを選びましょう。

04よくある質問

Q切ったレモンは、30分でビタミンCが抜けますか?

30分で大きく減るという結果は、研究では確かめられていません。しぼった果汁でも、半分になるのは約105分(約1時間45分)以降の予測です [[32556050]]。

Qカットフルーツは、冷蔵で何日くらい大丈夫ですか?

栄養の面では、5℃で6日置いても、6種のうち5種でビタミンCの減りは12%以下でした [[16756358]]。衛生面の日持ちは、この研究では調べられていません。

Q野菜は、蒸せばビタミンCが減りませんか?

減りにくい傾向はありますが、減らないとは言えません。ブロッコリーは蒸して22%減り [[17995854]]、ウガンダの葉物野菜では、蒸しても最大99%減りました [[35097106]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(16本)

[1]切った果物と丸ごとの果物の、保存中の品質と栄養の変化

発表年
2006年
研究機関
スペイン・CEBAS-CSIC(国立研究評議会)
掲載誌
Journal of agricultural and food chemistry
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

切った果物を5℃で6日保存すると、ビタミンCの減りはマンゴー・イチゴ・スイカで5%以下、カンタロープで25%だった。

[2]安価な装置で測る、切ったメロン・キウイ・パイナップルのビタミンC変化

発表年
2012年
研究機関
イタリア・イタリア国立研究評議会 食品生産科学研究所
掲載誌
Food chemistry
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

切った果物は、冷蔵すると20℃で置くよりビタミンCの減る速さがはっきり遅かった。

[3]異なる保存条件での、しぼった柑橘果汁のビタミンC減少の速度論モデル

発表年
2020年
研究機関
トルコ・エゲ大学
掲載誌
Anais da Academia Brasileira de Ciencias
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

柑橘4種の果汁を4時間置いた実験で、ビタミンCが半分になるまでの予測時間は、グレープフルーツがいちばん短かった。

[4]調理法がブロッコリーの成分に与える影響の比較

発表年
2007年
研究機関
イタリア・バジリカータ大学
掲載誌
Journal of food science
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

ブロッコリーはゆでるとビタミンCが34%、蒸すと22%減ったが、電子レンジなどでは90%以上が残った。

[5]調理法が紫キャベツの成分に与える影響

発表年
2014年
研究機関
中国・寧波大学
掲載誌
Food chemistry
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

紫キャベツは蒸したときにビタミンCがはっきり多く残り、炒める・ゆでるではっきり減った。

[6]加熱殺菌していないレモン果汁の、通常の保存中のビタミンC分解

発表年
2008年
研究機関
イラン・シラーズ大学
掲載誌
Pakistan journal of biological sciences : PJBS
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

レモン果汁のビタミンCは、100mLあたり38.50mgから最初の3週間で約22mgに減り、12週間後は約15mgだった。

[7]果物・野菜製品のビタミンC安定性に対する保存工程の影響:批判的レビュー

発表年
2021年
研究機関
ギリシャ・西アッティカ大学
掲載誌
Foods (Basel, Switzerland)
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

果物・野菜の加工と保存でビタミンCが減る主な原因は、温度と酸素だとまとめた総説。

[8]保存温度が、切ったマンゴーの品質と成分に与える影響

発表年
2017年
研究機関
インド・サルダール・パテル大学
掲載誌
Journal of food science and technology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

切ったマンゴー4品種を最大12日保存すると、ビタミンCは10℃より5℃のほうがよく残った。

[9]切ったイチゴのビタミンC減少と保存温度の関係のモデル解析

発表年
2009年
研究機関
スペイン・リェイダ大学
掲載誌
Journal of food science
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

切ったイチゴを5〜20℃で保存した実験で、温度が高いほどビタミンCが減りやすかった。

[10]切り方が、切ったサツマイモの品質と抗酸化力に与える影響

発表年
2019年
研究機関
中国・南京農業大学
掲載誌
Foods (Basel, Switzerland)
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

サツマイモを輪切りや扇形に切って4℃で6日保存しても、ビタミンCの量は丸ごととはっきりした差はなかった。

[11]切り方と保存時間が、ブロッコリーの成分の安定性に与える影響

発表年
2017年
研究機関
メキシコ・モンテレイ工科大学
掲載誌
Molecules (Basel, Switzerland)
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

ブロッコリーの房を2つに切ると、切った直後にビタミンCが35%増え、その後の保存でも変わらなかった。

[12]収穫後の保存と加工が、切ったほうれん草のフラボノイドとビタミンCに与える影響

発表年
1999年
研究機関
スペイン・CEBAS-CSIC(スペイン国立研究評議会)
掲載誌
Journal of agricultural and food chemistry
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

切ったほうれん草をゆでると、ビタミンCの60%がゆで汁に出た。

[13]調理法がウガンダ西部の在来の葉物野菜のビタミンC損失に与える影響

発表年
2022年
研究機関
ウガンダ・カバレ大学
掲載誌
International journal of food science
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

葉物野菜を10分ゆでる・蒸すと、ビタミンCは最大99%減った。

[14]8種類の果物・野菜のビタミン残存率:冷蔵保存と冷凍保存の比較

発表年
2015年
研究機関
アメリカ・カリフォルニア大学デイビス校
掲載誌
Journal of agricultural and food chemistry
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

冷凍と生のまま冷蔵で比べると、ビタミンCは8品目のうち5品目で差がなく、3品目では冷凍のほうが多かった。

[15]ラズベリーの冷凍と冷凍保存が、エラグ酸・ビタミンC・総フェノールに与える影響

発表年
2000年
研究機関
スペイン・国立研究評議会(CSIC)
掲載誌
Journal of agricultural and food chemistry
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

ラズベリーを-20℃で12か月冷凍保存すると、ビタミンCは33〜55%減った。

市販のオレンジジュースに含まれるビタミンCの安定性

発表年
2002年
研究機関
アメリカ・アリゾナ州立大学
掲載誌
Journal of the American Dietetic Association
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

開封して4℃で置いた市販のオレンジジュースは、還元型ビタミンCが毎日約2%ずつ減った。

ほかに参考にした論文(31本)

判定「悪い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。