パンを食べると太るって本当?

パンを食べると太るって本当?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答えほぼウソ

ほぼウソです。パンを入れても抜いても、減量の結果は変わりません。

根拠

太り気味・肥満の女性122人を16週追った比較試験で、同じ低カロリー食にパンを入れても抜いても、体の計測値の改善に差はありませんでした [1]。中年の男女1764人を20年追った研究でも、パン全体の量は体重の変化と関連がありませんでした [2]。白いパンに限ると、多く食べていた人ほど体重が増えていましたが、観察研究の結果です [2]。

この答えの範囲

大人の話です。減量の試験は女性だけです。

じゃあ、どうする?

パンを避ける必要はありません。パンを入れた低カロリー食は、途中でやめた人が少なくなっていました(6.6%対21.3%)[1]。続けやすい形で、食事全体の量を見ましょう。ライ麦の食品に替える手もあり、精製小麦より1.08kg多く減った試験と、差がなかった試験があります [3] [4]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 76 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量11.420研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 76.4 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 76 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

パンとは

パンは、小麦粉を主な原料に、イーストなどで発酵させて焼いた主食です。食べすぎると太るとされ、食パン・菓子パン・惣菜パンのほか、全粒粉パンやライ麦パンなど種類があります。白い小麦粉で作る白いパンと、全粒粉やライ麦を使うパンで、原料の精製の度合いが違うのが特徴です。注意点は、小麦アレルギーの人は避ける必要があること、菓子パンなどは商品によって砂糖や脂質の量が大きく違うことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、スペインのラ・パス大学病院などの研究チームが2012年に発表したランダム化比較試験です [1]。ランダム化比較試験とは、くじ引きで人を2つの群に分け、結果を比べる方法です。パンの有無だけを変えて、減量への影響を調べています。

研究の種類ランダム化比較試験(16週間)
対象太り気味・肥満の女性122人(BMI25以上40未満)
比べたものパンありの低カロリー食と、パンなしの低カロリー食
結果体の計測値や血液検査の改善に、群の間で差はなかった
試験の結果同じ低カロリー食なら、パンを入れても抜いても、改善に差はありませんでした [1]。

途中でやめた人は、パンを抜いた群で多くなっていました(21.3%対6.6%)。

ノルウェーのベルゲン大学などの研究チームが2025年に発表した研究でも、中年の男女1764人を20年追い、開始時のパン全体の量は、その後の体重の変化と関連がありませんでした [2]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

白いパンに絞ると、結果は分かれます。同じ研究で、白いパンを多く食べていた人ほど体重が増えていました(開始時に1日1g多いごとに、20年間で0.017kg)[2]。スペインの大学卒業者9267人を平均5年追った研究では、白いパンを1日2個分以上食べる人は、週1個分以下の人より、過体重・肥満になるリスクが1.40倍(オッズ比)でした [5]。一方、年間の体重の増え方とは関連がありませんでした。

どちらも観察研究です。白いパンを多く食べる人は、ほかの食事や生活も違う可能性があり、「白いパンを多く食べる人に、体重が増えやすい傾向がある」という関連の話です。

よく言われていることは本当?

  • パンを食べると太る研究では差がありません。 同じカロリーなら、パンの有無で差はありませんでした [1]。
  • 白いパンは太りやすい根拠は弱く、結果も割れています。 精製した穀物全体のリスク比は1.05(信頼区間1.00〜1.10)で、論文は根拠の質を「非常に低い〜低い」と評価しています [6]。
  • パンはGIが高く血糖値が上がるので太る根拠は弱いです。 低GIの食事で体重がわずかに減るというRCT101件・8527人のまとめがある一方 [7]、太り気味の成人のRCT10件 [8] や長期の試験14件のまとめ [9] では、差がありませんでした。ただし前者でBMI30以上の人に限ると、0.93kg多く減りました [8]。GIの表では、パンもごはんも、高いもの・中くらいのもの・低いものがあります [10]。
  • 消化が早く腹持ちが悪い小さな研究で結果が割れています。 健康な12人が同じカロリーの主食を食べ比べた試験では、空腹感・満腹感に差はなく、昼食で食べた量も変わりませんでした [11]。一方、38の食品の実験では、白いパンより満腹感が高い食品が76%で、白いパンは満腹感が低い側でした(最も低かったのはクロワッサン)[12]。
  • 全粒粉パンに替えると痩せる研究では差がありません。 全粒穀物の食品(全粒粉パンを含む)に替えても、RCT19件・1698人のまとめで、体重にも体脂肪にも差はありませんでした [13]。玄米など、ごはんを全粒に替えた場合は別の研究があり、玄米や雑穀米は白米より痩せやすい?で分けて扱っています。
  • ライ麦パンはダイエット向き試験によって分かれます。 減量食の中でライ麦の食品を食べた242人の試験では、精製小麦の食品より体重が1.08kg多く減りました [3]。255人の試験では3.2kgと2.9kgで、差はありませんでした [4]。
  • 全粒粉・ライ麦パンは腹持ちが良い食後の空腹感は小さい一方、食べる量の差ははっきりしません。 RCT32件のまとめで、全粒穀物の食品は食後の空腹感が小さく満腹感が大きかったものの、そのあとに食べた量の差ははっきりしませんでした [14]。
  • 菓子パン・惣菜パンは太りやすい体重を直接調べた研究は見つかっていません。 脂質や糖質が多い商品があるのは食品の成分の話で、太るかどうかとは別です。

02注意点

研究の対象は、それぞれ違います。減量の試験は女性だけで、16週間でした [1]。20年の追跡は、開始時に平均47.4歳の男女で、体重は平均2.1kg増えていました [2]。年齢や生活の違う人に、そのまま当てはまるとは限りません。

小麦アレルギーなど、パンを避ける必要がある人は、医師に確認してください。持病で食事制限を受けている人や、薬を飲んでいる人は、医師・管理栄養士に相談しましょう。

「パンが原因」とは言えない

白いパンとの関連は観察研究の結果で、量や食べ方の違いも含まれています。

03まとめ

パンを食べるだけで太る、という結果は出ていません。
気になるのは白いパンを多く食べ続けることで、その場合も関連は弱いものです。
パンを避けるより、食事全体の量を見て、続けやすい形で食べましょう。

04よくある質問

Qご飯よりパンのほうが太りますか?

パンとご飯を直接比べて体重を調べた研究は、集めた中にありませんでした。研究では確かめられていません。主食の違いは [玄米や雑穀米は白米より痩せやすい?](/evidence/brown-rice-weight-loss) も参考になります。

Q減量中はパンを抜いたほうがいいですか?

パンを入れても抜いても、体の計測値の改善に差はありませんでした。違いが出たのは続けやすさで、途中でやめた人はパンを抜いた群のほうが多くなりました [[22209501]]。

Q朝のパンは太りますか?

朝食だけに絞って体重を調べた研究は、見つかっていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]パンあり・なしの低カロリー食を比べた減量の試験

発表年
2012年
研究機関
スペイン・ラ・パス大学病院
掲載誌
Clinical nutrition (Edinburgh, Scotland)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
122人
結果の向き
差なし

太り気味・肥満の女性122人で、パンの有無による減量の差を16週調べた。

[2]パン・全粒穀物の摂取と、中年から高齢期の体重変化の研究

発表年
2025年
研究機関
ノルウェー・ベルゲン大学
掲載誌
European journal of nutrition
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
1,764人
結果の向き
差なし

中年の男女1764人を20年追い、パンの量と体重の変化の関係を調べた。

[3]ライ麦の食品を中心にしたカロリー制限食と体重の減り方を比べた試験

発表年
2021年
研究機関
スウェーデン・チャルマース工科大学
掲載誌
Clinical nutrition ESPEN
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
242人
結果の向き
良い方向

太り気味・肥満の成人242人で、ライ麦と精製小麦の食品を12週間比べた。

[4]ライ麦と精製小麦のカロリー制限食を12週間比べた試験

発表年
2026年
研究機関
スウェーデン・チャルマース工科大学
掲載誌
Clinical nutrition (Edinburgh, Scotland)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
255人
結果の向き
差なし

太り気味・肥満の成人255人で、体重の減り方に差はなかった。

[5]血糖負荷・パンと、過体重・肥満の発生を調べた研究

発表年
2014年
研究機関
de la Fuente-Arrillaga Cほかの研究チーム
掲載誌
BMC public health
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
9,267人
結果の向き
結果が割れている

スペインの大学卒業者9267人を平均5年追い、パンと体重の関係を調べた。

[6]食品群と、過体重・肥満・体重増加の関係を調べたメタ解析

発表年
2019年
研究機関
ドイツ・ドイツ糖尿病センター
掲載誌
Advances in nutrition (Bethesda, Md.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究43件を統合
結果の向き
差なし

前向きの観察研究43報告をまとめ、食品群と肥満のリスクの関係を調べた。

[7]低GI食を肥満対策にする効果を調べたメタ解析

発表年
2019年
研究機関
中国・華中科技大学
掲載誌
Obesity reviews : an official journal of the International Association for the Study of Obesity
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
8,527人
結果の向き
良い方向

RCT101件・8527人で、低GIの食事と体重の関係を調べた。

[8]体重が多めの成人の低GI食を調べたRCTのメタ解析

発表年
2022年
研究機関
ブラジル・リオグランデ・ド・スル心臓病研究所
掲載誌
Journal of human nutrition and dietetics : the official journal of the British Dietetic Association
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究10件を統合
結果の向き
差なし

太り気味の成人のRCT10件で、低GI食と高GI食を比べた。

[9]低GI食と高GI食の長期の効果を比べたメタ解析

発表年
2013年
研究機関
オーストリア・ウィーン大学
掲載誌
Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases : NMCD
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究14件を統合
結果の向き
差なし

長期の試験14件で、低GIと高GIの食事を比べた。

[10]食品の血糖指数(GI)の国際的な一覧表

発表年
2021年
研究機関
オーストラリア・シドニー大学
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

世界の食品のGIを集め、パンもごはんもGIに幅があることを示した。

[11]じゃがいもなどの主食を食べたあとの満腹感を比べた試験

発表年
2013年
研究機関
アメリカ・コロンビア大学
掲載誌
Annals of nutrition & metabolism
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
12人
結果の向き
差なし

健康な12人で、同じカロリーの主食を食べ比べ、満腹感を調べた。

[12]ふだんの食品の満腹感指数を調べた実験

発表年
1995年
研究機関
オーストラリア・シドニー大学
掲載誌
European journal of clinical nutrition
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

38の食品を白いパンと比べ、食後の満腹感を調べた。

[13]全粒穀物の摂取と肥満の指標を調べたランダム化比較試験のメタ解析

発表年
2020年
研究機関
イラン・テヘラン医科大学
掲載誌
Advances in nutrition (Bethesda, Md.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,698人
結果の向き
差なし

RCT19件・成人1698人で、全粒穀物と体重・体脂肪の関係を調べた。

[14]全粒穀物の食品と精製穀物の、満腹感・空腹感を比べたメタ解析

発表年
2021年
研究機関
アメリカ・ミッドウェスト・バイオメディカル・リサーチ
掲載誌
Advances in nutrition (Bethesda, Md.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究32件を統合
結果の向き
良い方向

RCT32件で、全粒穀物の食品と精製穀物の食品の食後の食欲を比べた。

ほかに参考にした論文(20本)

判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。