[1]食べる速さと肥満の関連を調べたメタ解析
- 発表年
- 2015年
- 研究機関
- 日本・九州大学
- 掲載誌
- International journal of obesity (2005)
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究23件を統合
- 結果の向き
- 悪い方向
大人23件で、早く食べる人は肥満である見込みが2.15倍だった。

ゆっくり食べると、その食事の量は減ります。早食いの人には、太っている人が多い関連があります。
早食いと肥満の関連は、一般の人を調べた調査の話です。体重の変化は、肥満の子どもの3件と、大人の小さな試験が中心です。
食べる量を減らしたいときは、一口ごとに間をあけ、よく噛んで食べる方法を試す価値があります。ただし、それだけで体重が落ちるとは限りません。食事の内容や量の見直しとあわせて続けましょう [5]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 24 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 9.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 73.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、観察研究 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
早食いは、ふつうより短い時間で食事を終える食べ方です。満腹を感じる前に食べ進めてしまい、食べすぎにつながるとされています。逆に、一口ごとによく噛む、間をあけるなどでゆっくり食べる方法が、食事の量を整える工夫として紹介されています。
答えの中心は、九州大学などの研究チームが2015年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて計算し直す方法です。大人の食べる速さと肥満を調べた研究が集められました。
| 研究の種類 | 食べる速さと肥満の関連を調べた調査研究のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 大人(23件) |
| 比べたもの | 早く食べる人と、ゆっくり食べる人 |
| 結果 | 早く食べる人は、肥満である見込みが2.15倍 |
子どもでも、早く食べる子はふつうの速さの子より、太り気味・肥満である見込みが1.80倍でした [2]。
これは、食べる速さと体型を同じ時点で調べた調査が中心の結果です。早食いが原因で太ったのか、太りやすい人が早食いなのかは、この結果だけでは分かりません。研究ごとのばらつきも大きいです。
29件・465,155人の調査をまとめた解析では、早く食べる人はメタボリックシンドロームである見込みが1.54倍、お腹まわりの肥満である見込みも1.54倍でした [6]。大人の研究をまとめた解析でも、ほとんどの研究で、早食いでない人のほうがBMIが低い向きでした [7]。ここでも調査研究のため、原因までは言えません。
実験で食べ方を変えた研究を見ると、食べる量は減ります。22件の試験をまとめた解析では、ゆっくり食べたときのほうが速く食べたときより、その食事の量が少なくなりました [3]。噛む回数を増やすなどの食べ方を調べた40件の解析でも、食べる量が減りました [8]。
14日間の試験もあります。41人が、ゆっくり食べることになる食感の食事と、速く食べられる食感の食事を、それぞれ14日間好きなだけ食べました。ゆっくりの食事のほうが、1日の摂取量が369kcal少なくなりました [5]。ただし、体重には差がありませんでした。
一口あたりの噛む回数をふだんの150%・200%にした試験では、昼食のピザを食べる量が、それぞれ9.5%・14.8%減りました [9]。
食べる量の減り方は、人や食事で変わります。標準体重の人ではゆっくり食べると昼食の量が減りましたが、太り気味・肥満の人ではっきりした差がありませんでした [10]。一口ごとの間をあけた試験では、1つ目は口に長く残る食べ物のときだけ減り、2つ目は差がありませんでした [11]。
太り気味・肥満の人では、昼食の量にはっきりした差がありませんでした。
「ゆっくり食べると満腹感が増す」は、結果が割れています。噛むことに関わる食べ方をまとめた解析では、空腹感が少し下がりました [8]。ガムの会社の研究部門が出した解析でも、長く噛むと空腹感が下がっています。この解析は企業の研究者によるものなので、その点を踏まえて読む必要があります [12]。一方、食べる速さを変えた解析では、食後の空腹感に差がありませんでした [3]。朝食を30分かけた試験でも、10分のときと空腹感や満腹感に差がありませんでした [13]。
体重まで調べた介入の研究は多くありません。肥満の子ども・思春期の若者を対象にした解析では、食べる速さを落とす取り組みで、体格の指標(BMI SDS)はふつうの治療と差がありませんでした。この分野の取り組みのうち、本格的なランダム化比較試験は1件だけでした。体格の指標をまとめられたのは3件です [4]。
研究の質にも懸念がありました [4]。
食べる速さを知らせる機器を12か月使った9〜17歳の106人の試験では、ふつうの治療だけの群より体格の指標が0.24低くなりました [14]。同じ試験の一部の参加者でも体重が減っています [15]。地域の診療所の小さな試験では、参加者が集まらず目標を達成できませんでした [16]。
大人では、マインドフルネスと長く噛む練習を組み合わせた8週間のプログラムで、順番待ちの群よりBMIが下がりました [17]。ただし、噛む練習だけの効果は分かりません。
噛む回数を増やした試験は、18〜45歳の45人が対象で、昼食1回の量を測ったものです [9]。体重まで追った長期の研究は少なく、結果もそろっていません。また、歯や顎の病気で噛みにくい人、飲み込みに不安がある人、持病や食事制限がある人は、無理に噛む回数を増やさず、医師や歯科医師、管理栄養士に相談してください。
食事の量が減ることと、体重が減ることは別の話です。
早食いと肥満には関連がありますが、早食いが原因とは言えません。
ゆっくり食べると、その食事の量は減りますが、体重が落ちると決まったわけではありません。
食べ方を整える工夫の一つとして、一口ごとに間をあけてみましょう。
研究では確かめられていません。早食いと肥満に関連はありますが、調査研究のため、早食いをやめて体重が減るかは分かりません。
その食事で食べる量は減ります。体重まで減るかは研究が少なく、子どもの3件の解析では差がありませんでした [[34743830]]。
30回という回数そのものを確かめた研究は見つかっていません。噛む回数をふだんの150%・200%に増やすと食事量が減った試験はあります [[24215801]]。
長く噛むと空腹感が下がった解析がありますが、企業の研究者が出したものです。食べる速さを変えた解析では差がありませんでした [[26188140]] [[24847856]]。
大人23件で、早く食べる人は肥満である見込みが2.15倍だった。
16件で、早く食べる子は太り気味・肥満である見込みが1.80倍だった。
22件で、ゆっくり食べると食べる量は少なく、食後の空腹感に差はなかった。
3件の統合で、体格の指標はふつうの治療と差がなかった。
41人で、ゆっくり食べる食事のほうが1日の摂取量が369kcal少なかった。体重に差はなかった。
29件・465,155人で、早食いはメタボである見込みが1.54倍だった。
早食いでない人は、早食いの人よりBMIが低かった。
40件で、食べる量が減り、空腹感も少し下がった。
45人で、噛む回数を150%・200%にすると食事量が9.5%・14.8%減った。
標準体重では昼食の量が減り、太り気味・肥満では差がなかった。
2つの試験の結果は分かれ、1つ目だけ食べる量が42g減った。
長く噛むと、自分で感じる空腹感が下がった。
25人で、30分と10分の朝食で、空腹感や1日の食べる量に差はなかった。
106人で、12か月後の体格の指標が機器の群のほうが0.24低かった。
ゆっくり食べる練習の群で、ふつうの治療より体重が減った。
参加者が集まらず、機器もあまり使われず、目標を達成できなかった。
8週間のプログラムで、順番待ちの群よりBMIが下がった。
判定「悪い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。