早食いは太る?よく噛むと痩せる?

早食いは太る?よく噛むと痩せる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え悪い関連がある

ゆっくり食べると、その食事の量は減ります。早食いの人には、太っている人が多い関連があります。

根拠

大人23件の調査をまとめた解析で、早く食べる人は肥満である見込みが2.15倍でした [1]。子ども16件でも1.80倍です [2]。どれも調査研究で、早食いが原因とは言えません。ゆっくり食べると食事の量が減る試験は多くあります [3]。ただし、体重まで減ると確かめた研究は少なく、結果もそろっていません [4]。根拠の確かさは低めです。主に調査研究だからです。

この答えの範囲

早食いと肥満の関連は、一般の人を調べた調査の話です。体重の変化は、肥満の子どもの3件と、大人の小さな試験が中心です。

じゃあ、どうする?

食べる量を減らしたいときは、一口ごとに間をあけ、よく噛んで食べる方法を試す価値があります。ただし、それだけで体重が落ちるとは限りません。食事の内容や量の見直しとあわせて続けましょう [5]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。17 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量9.320研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 73.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、観察研究 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

早食いとは

早食いは、ふつうより短い時間で食事を終える食べ方です。満腹を感じる前に食べ進めてしまい、食べすぎにつながるとされています。逆に、一口ごとによく噛む、間をあけるなどでゆっくり食べる方法が、食事の量を整える工夫として紹介されています。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、九州大学などの研究チームが2015年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて計算し直す方法です。大人の食べる速さと肥満を調べた研究が集められました。

研究の種類食べる速さと肥満の関連を調べた調査研究のメタ解析
対象大人(23件)
比べたもの早く食べる人と、ゆっくり食べる人
結果早く食べる人は、肥満である見込みが2.15倍
まとめて分析した結果早く食べる人は、ゆっくり食べる人よりBMIが平均1.78高く、肥満である見込みは2.15倍でした [1]。

子どもでも、早く食べる子はふつうの速さの子より、太り気味・肥満である見込みが1.80倍でした [2]。

これは、食べる速さと体型を同じ時点で調べた調査が中心の結果です。早食いが原因で太ったのか、太りやすい人が早食いなのかは、この結果だけでは分かりません。研究ごとのばらつきも大きいです。

早食いと、体の別の数値

29件・465,155人の調査をまとめた解析では、早く食べる人はメタボリックシンドロームである見込みが1.54倍、お腹まわりの肥満である見込みも1.54倍でした [6]。大人の研究をまとめた解析でも、ほとんどの研究で、早食いでない人のほうがBMIが低い向きでした [7]。ここでも調査研究のため、原因までは言えません。

ゆっくり食べると、食べる量は減る?

実験で食べ方を変えた研究を見ると、食べる量は減ります。22件の試験をまとめた解析では、ゆっくり食べたときのほうが速く食べたときより、その食事の量が少なくなりました [3]。噛む回数を増やすなどの食べ方を調べた40件の解析でも、食べる量が減りました [8]。

14日間の試験もあります。41人が、ゆっくり食べることになる食感の食事と、速く食べられる食感の食事を、それぞれ14日間好きなだけ食べました。ゆっくりの食事のほうが、1日の摂取量が369kcal少なくなりました [5]。ただし、体重には差がありませんでした。

一口あたりの噛む回数をふだんの150%・200%にした試験では、昼食のピザを食べる量が、それぞれ9.5%・14.8%減りました [9]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

食べる量の減り方は、人や食事で変わります。標準体重の人ではゆっくり食べると昼食の量が減りましたが、太り気味・肥満の人ではっきりした差がありませんでした [10]。一口ごとの間をあけた試験では、1つ目は口に長く残る食べ物のときだけ減り、2つ目は差がありませんでした [11]。

差がなかった試験標準体重の35人と太り気味・肥満の35人の交差試験

太り気味・肥満の人では、昼食の量にはっきりした差がありませんでした。

満腹感は本当に変わる?

「ゆっくり食べると満腹感が増す」は、結果が割れています。噛むことに関わる食べ方をまとめた解析では、空腹感が少し下がりました [8]。ガムの会社の研究部門が出した解析でも、長く噛むと空腹感が下がっています。この解析は企業の研究者によるものなので、その点を踏まえて読む必要があります [12]。一方、食べる速さを変えた解析では、食後の空腹感に差がありませんでした [3]。朝食を30分かけた試験でも、10分のときと空腹感や満腹感に差がありませんでした [13]。

痩せる? 体重を見た研究

体重まで調べた介入の研究は多くありません。肥満の子ども・思春期の若者を対象にした解析では、食べる速さを落とす取り組みで、体格の指標(BMI SDS)はふつうの治療と差がありませんでした。この分野の取り組みのうち、本格的なランダム化比較試験は1件だけでした。体格の指標をまとめられたのは3件です [4]。

子どもでの結果食べる速さを落とす取り組みの解析(3件)では、ふつうの治療と体格の指標に差がありませんでした。

研究の質にも懸念がありました [4]。

食べる速さを知らせる機器を12か月使った9〜17歳の106人の試験では、ふつうの治療だけの群より体格の指標が0.24低くなりました [14]。同じ試験の一部の参加者でも体重が減っています [15]。地域の診療所の小さな試験では、参加者が集まらず目標を達成できませんでした [16]。

大人では、マインドフルネスと長く噛む練習を組み合わせた8週間のプログラムで、順番待ちの群よりBMIが下がりました [17]。ただし、噛む練習だけの効果は分かりません。

よく言われていることは本当?

  • 早食いは太りやすい関連はあります。 大人も子どもも、早く食べる人に肥満が多い結果です。ただし原因とは言えません [1] [2]
  • ゆっくり食べると食べる量が減る本当です。 その食事の量は減ります。ただし人や食事による差があります [3]
  • 満腹中枢が働くまで時間がかかるので、早食いは食べすぎる食べる量が減ることは確かめられています。 時間の数字そのものを確かめた研究は、今回集めていません [3]
  • よく噛むと満腹感が得られる結果が割れています。 空腹感が少し下がった解析と、差がなかった解析があります [8] [13]
  • ゆっくり食べると痩せる研究が少なく、そろっていません。 子どもの3件の解析では差がなく、体重が減った試験もあります [4]
  • 一口30回噛むのが目安研究では確かめられていません。 回数そのものを体重や食事量で比べた研究は見つかっていません。

02注意点

噛む回数を増やした試験は、18〜45歳の45人が対象で、昼食1回の量を測ったものです [9]。体重まで追った長期の研究は少なく、結果もそろっていません。また、歯や顎の病気で噛みにくい人、飲み込みに不安がある人、持病や食事制限がある人は、無理に噛む回数を増やさず、医師や歯科医師、管理栄養士に相談してください。

体重の変化は、まだ確かめられていない

食事の量が減ることと、体重が減ることは別の話です。

03まとめ

早食いと肥満には関連がありますが、早食いが原因とは言えません。
ゆっくり食べると、その食事の量は減りますが、体重が落ちると決まったわけではありません。
食べ方を整える工夫の一つとして、一口ごとに間をあけてみましょう。

04よくある質問

Q早食いをやめれば太らなくなりますか?

研究では確かめられていません。早食いと肥満に関連はありますが、調査研究のため、早食いをやめて体重が減るかは分かりません。

Qよく噛むと痩せますか?

その食事で食べる量は減ります。体重まで減るかは研究が少なく、子どもの3件の解析では差がありませんでした [[34743830]]。

Q一口30回噛むのは効果がありますか?

30回という回数そのものを確かめた研究は見つかっていません。噛む回数をふだんの150%・200%に増やすと食事量が減った試験はあります [[24215801]]。

Qガムを噛むと食欲が落ちますか?

長く噛むと空腹感が下がった解析がありますが、企業の研究者が出したものです。食べる速さを変えた解析では差がありませんでした [[26188140]] [[24847856]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(17本)

[1]食べる速さと肥満の関連を調べたメタ解析

発表年
2015年
研究機関
日本・九州大学
掲載誌
International journal of obesity (2005)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究23件を統合
結果の向き
悪い方向

大人23件で、早く食べる人は肥満である見込みが2.15倍だった。

[2]子どもの食べる速さと太り気味・肥満の関連を調べたメタ解析

発表年
2024年
研究機関
中国・杭州市疾病予防管理センター
掲載誌
Journal of tropical pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究16件を統合
結果の向き
悪い方向

16件で、早く食べる子は太り気味・肥満である見込みが1.80倍だった。

[3]食べる速さが食べる量と空腹感に与える影響のメタ解析

発表年
2014年
研究機関
イギリス・リバプール大学
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究22件を統合
結果の向き
良い方向

22件で、ゆっくり食べると食べる量は少なく、食後の空腹感に差はなかった。

[4]子どもの肥満治療で食べる速さを落とす取り組みを調べたメタ解析

発表年
2022年
研究機関
イギリス・ブリストル大学
掲載誌
Appetite
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
486人
結果の向き
差なし

3件の統合で、体格の指標はふつうの治療と差がなかった。

[5]食べる速さが超加工食の摂取量に与える2週間の交差試験

発表年
2026年
研究機関
オランダ・ワーヘニンゲン大学
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
41人
結果の向き
良い方向

41人で、ゆっくり食べる食事のほうが1日の摂取量が369kcal少なかった。体重に差はなかった。

[6]食べる速さとメタボリックシンドロームの関連を調べたメタ解析

発表年
2021年
研究機関
中国・湖南師範大学
掲載誌
Frontiers in nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
465,155人
結果の向き
悪い方向

29件・465,155人で、早食いはメタボである見込みが1.54倍だった。

[7]自己申告の食べる速さと大人の肥満の指標を調べたメタ解析

発表年
2021年
研究機関
ポーランド・ポズナン生命科学大学
掲載誌
Healthcare (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

早食いでない人は、早食いの人よりBMIが低かった。

[8]噛むことが食欲と食べる量に与える影響のメタ解析

発表年
2018年
研究機関
イギリス・リーズ大学
掲載誌
Appetite
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究40件を統合
結果の向き
良い方向

40件で、食べる量が減り、空腹感も少し下がった。

[9]飲み込む前の噛む回数が食事量に与える影響の試験

発表年
2014年
研究機関
Zhu Yほかの研究チーム
掲載誌
Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
45人
結果の向き
良い方向

45人で、噛む回数を150%・200%にすると食事量が9.5%・14.8%減った。

[10]ゆっくり食べる効果が体型で違うかを調べた試験

発表年
2014年
研究機関
Shah Mほかの研究チーム
掲載誌
Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
70人
結果の向き
結果が割れている

標準体重では昼食の量が減り、太り気味・肥満では差がなかった。

[11]口の中の刺激と食べる速さが満腹に与える影響の試験

発表年
2020年
研究機関
オランダ・ワーヘニンゲン大学
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
60人
結果の向き
結果が割れている

2つの試験の結果は分かれ、1つ目だけ食べる量が42g減った。

[12]噛むことが食欲・食べる量・腸のホルモンに与える影響のメタ解析

発表年
2015年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Physiology & behavior
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究17件を統合
結果の向き
良い方向

長く噛むと、自分で感じる空腹感が下がった。

[13]朝食の食べる速さと食欲ホルモン・1日の食事量を調べた試験

発表年
2015年
研究機関
アメリカ・テキサスクリスチャン大学
掲載誌
Journal of investigative medicine : the official publication of the American Federation for Clinical Research
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
25人
結果の向き
差なし

25人で、30分と10分の朝食で、空腹感や1日の食べる量に差はなかった。

[14]食べ方の練習による子どもの肥満治療の試験

発表年
2009年
研究機関
イギリス・ブリストル大学
掲載誌
BMJ (Clinical research ed.)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
106人
結果の向き
良い方向

106人で、12か月後の体格の指標が機器の群のほうが0.24低かった。

[15]食べ方を整えることによる肥満の思春期の体重とホルモンの変化

発表年
2012年
研究機関
イギリス・ブリストル大学
掲載誌
The Journal of clinical endocrinology and metabolism
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
27人
結果の向き
良い方向

ゆっくり食べる練習の群で、ふつうの治療より体重が減った。

[16]地域の診療所で食べ方の練習を試した予備的な試験

発表年
2014年
研究機関
イギリス・ブリストル大学
掲載誌
Health technology assessment (Winchester, England)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
21人
結果の向き
差なし

参加者が集まらず、機器もあまり使われず、目標を達成できなかった。

[17]マインドフルネスと長く噛む練習を組み合わせた体重への効果の試験

発表年
2019年
研究機関
オーストリア・ザルツブルク大学
掲載誌
Journal of consulting and clinical psychology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

8週間のプログラムで、順番待ちの群よりBMIが下がった。

ほかに参考にした論文(2本)

判定「悪い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。