[1]アシュワガンダはストレスと不安の管理に役立つか:RCTのメタ解析
- 発表年
- 2022年
- 研究機関
- イラン・テヘラン医科大学
- 掲載誌
- Phytotherapy research : PTR
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 1,002人
- 結果の向き
- 良い方向
RCT12件・1,002人。ストレスの点数 (SMD -1.75)・不安の点数 (SMD -1.55) がプラセボより下がった。確実性は低い。

ストレスの点数を下げる研究が多く、効きます。質問票の点数は、平均4.72点低くなりました。
成人が根などのエキスを飲んだ試験の話です。試験の多くはインドで、商品名つきのエキスが使われています。妊娠中や肝臓の病気がある人の安全性は、この結果からは言えません。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 15.4 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 22.1 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 92.5 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 6 本・RCT のメタ解析 5 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
アシュワガンダは、インドの伝統医学で使われてきたハーブです。ストレスや疲れを和らげるとされ、根のエキスを使ったサプリやお茶、粉末などがあります。成分をそろえた(標準化した)根のエキスが、研究でよく使われるのが特徴です。注意点は、妊娠中の安全性が確かめられていないこと、肝臓の不調の報告があることです。
答えの中心は、イランのテヘラン医科大学などの研究チームが2022年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果を合わせて整理する方法です。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 成人(試験12件・1,002人) |
| 比べたもの | 飲む群とプラセボ群の、ストレスと不安の点数 |
| 結果 | ストレスの点数も不安の点数も下がった(SMD -1.75、SMD -1.55)。研究の間のばらつきが大きく、根拠の確かさは低め |
SMDは試験どうしで比べられるよう点数をそろえた値で、マイナスが大きいほど下がったことを示します。
別の解析では、試験9件・558人で、ストレスの質問票(PSS)の点数が平均4.72点低くなりました [2]。
試験6件の解析では、自分で感じるストレスの点数にプラセボとの差がはっきりしませんでした(SMD -0.355) [3]。30日間の試験では、著者は差が出るにはもっと長い期間が必要とみています [6]。
同じ解析で、コルチゾールは下がっていました [3]。
しくみは、研究ではまだ確かめられていません。よく言われるのは、ストレスホルモンのコルチゾールが下がる、という説です。コルチゾールは解析で下がっていますが [8]、90人の試験では、ストレスの点数は改善したのにコルチゾールには差がありませんでした [9]。コルチゾールを調べた臨床試験9件は、副腎の働きや長期の影響を調べていませんでした [11]。コルチゾールが下がることが原因だとは、言えません。
試験の多くはインドで行われ、商品名つきのエキスが使われています [9] [12]。メーカーがエキスを提供し、資金も出した試験があります [10]。企業に所属する著者の試験もあります [15]。
健康な成人のRCT23件・2,317人では、肝臓などの検査値は正常の範囲にとどまり、軽い副作用はプラセボ群でも同じように出ました [14]。1,002人の8週間の試験でも、副作用はアシュワガンダ群5.6%・プラセボ群9.2%で、重い副作用の報告はありませんでした [16]。ただし最長180日までで、長期のデータは少ないです。
頻度は不明ですが、重い肝障害の症例報告があります。アイスランドと米国の5人は、2〜12週間後に黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が出ました [17]。インドの8人の報告では、慢性の肝臓病があった5人のうち3人が亡くなりました [18]。甲状腺ホルモンのT4は、わずかに上がるという解析があります(平均0.61µg/dL) [8]。甲状腺の治療中の人は、伝えてください。妊娠への影響は、ヒトの根拠がはっきりしていません [19]。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師か薬剤師に確認してください。
皮膚や白目が黄色くなったときは、自己判断で続けず、医療機関で相談してください。
ストレスの点数が下がる研究は多く、効きます。根拠の確かさは低めで、差が出なかった解析もあります。
条件の目安は、一日300〜600mg・8週間ほどです。
始める前に、肝臓の病気・妊娠・服薬があれば医師か薬剤師に相談しましょう。
試験は60日や8週間のものが多く、30日間の試験では、ストレスの点数にはっきりした差が出ませんでした [[35984871]]。何日で効くかは、研究から言えません。
飲む時間による違いは、研究では確かめられていません。眠りの解析は、毎日続けて8週間以上飲んだ試験で効果が大きくなりました [[34559859]]。
飲み合わせは、研究では確かめられていません。総説も、薬との飲み合わせを調べる必要があるとしています [[34254920]]。服薬中は医師か薬剤師に確認してください。
RCT12件・1,002人。ストレスの点数 (SMD -1.75)・不安の点数 (SMD -1.55) がプラセボより下がった。確実性は低い。
RCT9件・558人。ストレスの質問票 (PSS) の点数が平均4.72点低かった。
ストレスの質問票を調べた解析 (合計488人) で、自分で感じるストレスに差がはっきりしなかった (SMD -0.355)。コルチゾールは下がった。
心の病気のある人のRCT14件。ストレスの症状 (SMD -0.95) が改善した。
RCT5件・400人。睡眠が小さいながらはっきり改善した (SMD -0.59)。
大学生60人の30日間のRCT。睡眠は良くなったが、ストレスははっきりした差が出なかった。
不安や不眠のある患者のRCT5件・254人。不安の点数が平均5.96点低かった。ばらつきは非常に大きい。
RCT23件・1,706人。コルチゾールが下がり (SMD -1.18)、甲状腺の T4 はわずかに上がった。
軽い〜中くらいのストレスがある90人のRCT。84日間でストレスの点数は改善したが、コルチゾールに差はなかった。
太り気味の40〜75歳のRCT (12週間)。疲労感の点数は下がったが、主な評価のストレスには差がなかった。
ストレスを感じている人の臨床試験9件のレビュー。コルチゾールは減ったが、副腎の働きや長期の影響は調べられていない。
ストレスが強い成人のRCT。8週間で軽い〜中くらいの慢性的なストレスが減った。
動物とヒトの研究の総説。エキスの種類がばらばらで、最適な製品や量は決められないとした。
健康な成人のRCT23件・2,317人。検査値は正常の範囲で、軽い副作用はプラセボ群でも出た。
ストレスが強い成人のRCT。60日間でストレスの質問票 (PSS) の点数がプラセボより下がった。
ストレスと不安のある成人1,002人の8週間のRCT。副作用はアシュワガンダ群5.6%・プラセボ群9.2%で、重い副作用はなかった。
症例集。5人が2〜12週間後に黄疸を伴う肝障害を起こした。
症例集。8人に肝障害が見られ、慢性の肝臓病があった5人のうち3人が亡くなった。
妊娠への影響の系統的レビュー。動物では生殖への毒性は見られず、ヒトの根拠ははっきりしないとした。
成人100人の24週間のRCT。ストレスの質問票 (PSS) などの点数がプラセボより改善した。主な評価は体重。
ストレスと不安のある141人のRCT。8週間でストレスと不安の点数が改善した。コルチゾールは全群で下がった。
ストレスを感じている健康な成人135人のRCT。60日間でストレスの点数がプラセボより改善した。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。