亜鉛で肌荒れ(ニキビ)は良くなる?

亜鉛で肌荒れ(ニキビ)は良くなる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え良い関連がある

赤いニキビが減ることと関連しています。ただし抗菌薬の飲み薬より改善した人は少なく、効果は控えめです。

根拠

亜鉛の治療を調べた研究をまとめたメタ解析では、亜鉛を使った人は赤く炎症したブツブツの数が有意に改善していました [1]。ニキビを調べた14件の研究のうち10件で、亜鉛が役に立ったと判断されています [2]。根拠の確かさは低めです。ニキビを調べた研究は14件と少なく、著者自身が「予備的な根拠」とし、より大きな研究が必要だとしているためです。抗菌薬の飲み薬と比べた332人の試験では、炎症のあるニキビが大きく減った人は亜鉛で31.2%、抗菌薬で63.4%でした [3]。

この答えの範囲

赤く炎症したニキビを、亜鉛の治療(飲む・塗るの両方を含む)で調べた研究の話です。

じゃあ、どうする?

試すなら、皮膚科の飲み薬や塗り薬と相談しながらが安心です。亜鉛は抗菌薬の飲み薬より改善した人が少ない結果でした [3]。飲むときは吐き気などの胃腸の症状に気をつけ、続けるか迷ったら医師や薬剤師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。13 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 57 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量220研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 57 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 57 点です。 判定に使った研究は、観察研究 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

亜鉛とは

亜鉛は、体に欠かせないミネラルの一つです。肉や魚介、種実などの食品に含まれ、サプリメントとしても売られています。ニキビや肌荒れに良いとされ、菌や炎症を抑える作用、皮脂を減らす作用が考えられています [4]。飲むもの(研究では硫酸亜鉛やグルコン酸亜鉛)と、塗り薬や化粧品に配合されるもの(酸化亜鉛など)があります。注意点は、摂り過ぎると害になること、飲むと吐き気などの胃腸の症状が出やすいことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校などの研究チームが2020年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体としてどんな違いがあるかを調べる方法です。

研究の種類亜鉛の治療を調べた研究を集めたメタ解析
対象ニキビ(尋常性ざ瘡)のある人
比べたもの亜鉛を使った人 / 使わなかった人
結果赤く炎症したブツブツ(炎症性丘疹)の平均の数が有意に改善
まとめて分析した結果亜鉛を使った人は、使わなかった人より、赤く炎症したブツブツの数が改善していました [1]。

副作用の起こりやすさは、比較した相手と有意な差がありませんでした。

まとめた数値は要旨に示されていないため、「どれくらい減るか」は読み取れません。同じ2020年のアメリカのカリフォルニア大学デービス校などによる系統的レビューでは、ニキビを調べた14件のうち10件で亜鉛が役に立ったと判断されました [2]。著者は、予備的な根拠にとどまり、より大きな研究が必要だとまとめています。

よく言われていることは本当?

  • 亜鉛を飲むと赤いニキビが減る減ることと関連しています。 14件中10件で役に立ったと判断され、根拠の確かさは低めです [2]。
  • 亜鉛が足りないからニキビができるニキビの人は血液中の亜鉛が低いことと関連しています [1]。 大人100人ずつの研究でも低い結果でした [5]。一方、体内の量をよく表す赤血球中の亜鉛では差がありませんでした [6]。測って比べただけの研究で、不足が原因かは分かりません。根拠の確かさは低めです。
  • 皮脂を抑える皮脂が減ることと関連しています [4]。 ただ、直接測ったのは健康な男性10人が硫酸亜鉛を3週間飲んだ小さな研究だけで [7]、ニキビの人では確かめられておらず、根拠の確かさは低めです。
  • 亜鉛配合の塗り薬や化粧品でも効く効果は確認されていません。 塗り薬の試験49件・3880人を集めたコクラン・レビューで、塗る亜鉛の効果ははっきりしませんでした [8]。個々の試験でも、効果が出た塗り薬の多くは抗菌薬との配合で、亜鉛だけの効果は分かりません。
  • 抗菌薬の代わりになる大きな試験では、抗菌薬のほうが改善した人が多い結果でした [3]。 下のカードのとおりです。
  • 肌のバリア機能を高める、ニキビ跡を消す調べた研究は見つかりませんでした。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

フランスのナント大学病院などによる332人の試験では、亜鉛と抗菌薬のミノサイクリンを3か月飲み比べました [3]。

抗菌薬と比べた試験炎症のあるニキビの人 332人

大きく改善した人は亜鉛で31.2%、ミノサイクリンで63.4%でした [3]。

亜鉛だけを飲んだ古い試験でも、結果が割れています。

  • 4週間、亜鉛として毎日135 mg: 赤いブツブツ・膿をもったニキビ・しこりの数が有意に減りました [9]。
  • 6週間、54人: プラセボ(有効成分の入っていない偽薬)より、わずかですが有意に良くなりました [10]。
  • 12週間、52人: 膿をもったニキビにはやや良い傾向でしたが、白ニキビ・赤いブツブツ・しこり・のう腫には効果がありませんでした [11]。
  • 最長12週間、亜鉛20人とプラセボ19人: どちらのグループもニキビは減り、有意な差はありませんでした。どちらを飲んだか本人も医師も知らない二重盲検試験です [12]。

同じ硫酸亜鉛でも、効いたニキビの種類が試験で食い違っています。量や期間が試験ごとに違い、参加者も数十人の試験が中心だからです。

また、ニキビに飲むサプリのランダム化比較試験42件(3346人)を整理した2023年のレビューでは、質が中程度以上の研究で効果の可能性が示された成分に、亜鉛は挙がっていません [13]。

02注意点

副作用は吐き気などの胃腸の症状です。メタ解析では、副作用の起こりやすさに比較した相手との有意な差はありませんでしたが [1]、軽症〜中等症のニキビの52人に硫酸亜鉛かプラセボを12週間飲んでもらった試験では、亜鉛のグループの50%に吐き気・嘔吐・下痢があり、21%は吐き気のためにやめました [11]。量は研究ごとに大きく違い、332人の試験は亜鉛として30 mgを3か月 [3]、別の試験は毎日135 mgでした [9]。厚生労働省の統合医療情報サイトは、亜鉛を摂り過ぎると害になると注意しており、アメリカの資料では50 mg以上を数週間続けると銅の吸収を妨げるとされています。持病や服薬中の人は、医師や薬剤師に確認してください。

自己判断で量を増やさない

研究で使われた量は、そのまま日常のサプリの目安にはなりません。

03まとめ

赤いニキビが減ることは、亜鉛を使うことと関連しています。根拠の確かさは低めです。
白ニキビ、ニキビ跡、肌荒れ全般は確かめられておらず、効果は抗菌薬の飲み薬より小さい結果です。
皮膚科で相談しながら試し、飲むなら胃腸の症状に気をつけましょう。

04よくある質問

Q「飲んだら治った」という口コミは当てになりますか?

飲まなくても良くなることはあります。プラセボと比べた二重盲検試験では、どちらのグループもニキビが減り、統計的な差は見られませんでした [[70931]]。

Q塗る亜鉛でも同じですか?

塗る亜鉛だけの効果は、コクラン・レビューでも効果は確認されていません [[33034949]]。亜鉛の治療を調べたメタ解析 [[32860489]] は飲む亜鉛と塗る亜鉛の両方を含み、塗る場合だけの結果は要旨から読み取れません。

Qどのくらいで変わりますか?

研究では4週間 [[137693]]、12週間 [[153730]]、3か月 [[11586012]] で評価されています。何週間で変わるかは、研究から言えません。

Q抗菌薬の代わりになりますか?

炎症のあるニキビでは、亜鉛はミノサイクリンより効果が劣る結果でした [[11586012]]。37人の小さな試験では、テトラサイクリン系の抗菌薬と差がありませんでした [[145237]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(13本)

[1]ニキビの血中亜鉛と、亜鉛治療の効果を調べたメタ解析

発表年
2020年
研究機関
アメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校
掲載誌
Dermatologic therapy
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

亜鉛を使った人は、赤く炎症したブツブツの数が有意に改善した。副作用は比較相手と差がなかった。

[2]炎症のある皮膚の病気への亜鉛補給を調べた系統的レビュー

発表年
2020年
研究機関
アメリカ・カリフォルニア大学デービス校
掲載誌
American journal of clinical dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究14件を統合
結果の向き
良い方向

ニキビの14件のうち10件で亜鉛が役に立ったと判断。著者は予備的な根拠とした。

[3]炎症性ニキビで亜鉛とミノサイクリンを比べた試験

発表年
2001年
研究機関
フランス・ナント大学病院
掲載誌
Dermatology (Basel, Switzerland)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
332人
結果の向き
悪い方向

332人で、大きく改善した人は亜鉛31.2%、ミノサイクリン63.4%だった。

[4]ニキビへの飲む亜鉛・塗る亜鉛の効果としくみの系統的レビュー

発表年
2013年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Journal of drugs in dermatology : JDD
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

亜鉛には菌や炎症を抑える作用があり、皮脂を減らす可能性があるとまとめられた。

[5]ニキビの人の血中の亜鉛・セレン・ビタミンDの症例対照研究

発表年
2024年
研究機関
イラン・マザンダラン医科大学
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
症例対照研究ある病気の人とそうでない人で、過去の生活習慣などを比べる研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

ニキビの100人は、ない100人より血中の亜鉛が有意に低かった。

[6]ニキビの人の赤血球中の亜鉛を調べた症例対照研究

発表年
2015年
研究機関
Bilgiç Öほかの研究チーム
掲載誌
Cutaneous and ocular toxicology
研究の種類
症例対照研究ある病気の人とそうでない人で、過去の生活習慣などを比べる研究。
対象
—
結果の向き
差なし

赤血球中の亜鉛は、ニキビの人と健康な人で有意な差がなかった。

[7]亜鉛が皮脂の分泌量に与える影響を調べた試験

発表年
1980年
研究機関
Demetree JWほかの研究チーム
掲載誌
Acta dermato-venereologica
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
10人
結果の向き
良い方向

健康な男性10人で、亜鉛を飲んだグループは皮脂の出る量の変化がプラセボと有意に違った。

[8]ニキビの塗り薬のコクラン・レビュー要約版

発表年
2020年
研究機関
中国・南京大学医学院金陵病院
掲載誌
Journal of evidence-based medicine
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
3,880人
結果の向き
差なし

試験49件(3880人)で、塗る亜鉛の効果ははっきりしないとされた。

[9]ニキビへの亜鉛とビタミンAの試験

発表年
1977年
研究機関
Michaëlsson Gほかの研究チーム
掲載誌
Archives of dermatology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

亜鉛を毎日135 mg飲むと、4週間後に赤いブツブツなどが有意に減った。

[10]ニキビへの硫酸亜鉛を6週間飲む二重盲検試験

発表年
1978年
研究機関
Göransson Kほかの研究チーム
掲載誌
Acta dermato-venereologica
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
54人
結果の向き
良い方向

ニキビの54人で、硫酸亜鉛を飲んだグループはプラセボより、わずかだが統計的に有意に良くなった

[11]ニキビに対する硫酸亜鉛の試験

発表年
1978年
研究機関
Weimar VMほかの研究チーム
掲載誌
Archives of dermatology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
52人
結果の向き
結果が割れている

52人で、亜鉛のグループの50%に吐き気・嘔吐・下痢があった。

[12]ニキビへの硫酸亜鉛の内服を調べた二重盲検試験

発表年
1977年
研究機関
Weismann Kほかの研究チーム
掲載誌
Acta dermato-venereologica
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

亜鉛20人とプラセボ19人で、どちらも減ったが有意な差はなかった。

[13]ニキビに飲むサプリは安全で効くか、系統的レビュー

発表年
2023年
研究機関
アメリカ・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院
掲載誌
JAMA dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
3,346人
結果の向き
悪い方向

試験42件(3346人)で、効果の可能性が示された成分に亜鉛は挙がらず、胃腸の副作用が報告された。

ほかに参考にした論文(9本)

判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。