ビタミンB群で疲れはとれる?

ビタミンB群で疲れはとれる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

疲れは少し減ります。ただし、減り方は小さいです。

根拠

病気のない人が、マルチビタミン・ミネラルのサプリを28日間以上飲んだ比較試験8件をまとめた解析で、疲労感はプラセボ(偽薬)より小さくなりました。差は標準化平均差0.27で、小さめの大きさです [1]。この解析はB群だけの結果ではありません。B1の誘導体を326人で試した試験では差がありませんでした [2]。根拠の確かさは低めです。結果がそろっておらず、B群だけを調べた試験が少ないためです。

この答えの範囲

病気のない大人が飲むサプリの話です。B群だけの効果を分けた解析はありません。食事から摂る場合や、病気で疲れている人は、この結果に当てはまるとは限りません。

じゃあ、どうする?

疲れを減らす目的なら試す価値はありますが、大きな変化は期待しすぎないでください。睡眠や食事の見直しとあわせるのが現実的です。疲れが長引くときは、病気が隠れていることもあるので医師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。7 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量13.220研究件数と参加人数
一致度13.525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 81.7 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本・RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ビタミンB群とは

ビタミンB群は、食べ物からエネルギーを取り出すときに働く水溶性ビタミンの仲間です。疲れを和らげるとされ、B群だけのサプリや、B群を多く含むマルチビタミンがあります。豚肉や玄米、納豆などの食品にも含まれます。注意点は、サプリを重ねて飲むと摂りすぎになりやすいことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イギリスのスウォンジー大学などの研究チームが2013年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た試験の結果を集めて、数字でまとめ直す方法です。病気のない人を対象に、マルチビタミン・ミネラルを28日間以上飲んだプラセボ対照の試験8件が集められました。

研究の種類ランダム化比較試験8件のメタ解析
対象病気の診断のない一般の人
比べたものマルチビタミン・ミネラルのサプリとプラセボ(28日間以上)
結果疲労感がプラセボより小さい(標準化平均差0.27)
まとめて分析した結果疲労感は、プラセボより小さくなりました(標準化平均差0.27)[1]。

高用量のB群を含むサプリのほうが、気分への効果が大きい可能性があると論文は書いています。

読み方には注意があります。このまとめはB群だけのサプリではなく、ミネラルも含むサプリ全般の結果です。0.27という値は、効果が「ある」と言える一方で、大きな差ではありません。

B群のサプリを個別に調べた試験

B群そのものを調べた試験は、数が多くありません。

  • 20〜30歳の男女32人が、B1・B2・B6・B12のサプリを28日間飲みました。プラセボより走り続けられる時間が長く、運動中と運動後の血中乳酸とアンモニア(疲労の指標)が低くなりました [3]。
  • 男性の運動選手16人が、B1を1日100mg、運動前の3日間飲みました。血中のB1が正常だった人では、運動直後の疲れの訴えがプラセボより少なくなりました [4]。

どちらも人数が少なく、運動による疲れを測った試験です。ふだんの生活の疲れにそのまま当てはまるとは言えません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

感染症のあとに疲れが長引く326人に、B1の誘導体を28日間飲んでもらった試験では、全体としてプラセボと疲労感に差がありませんでした [2]。20〜50歳の健康な138人がB群を多く含むマルチビタミンを16週間飲んだ試験でも、検査室で測った気分と疲労の指標に差はありませんでした。自宅で答えた評価では、体の疲れやストレスが少ない時点がありました [5]。

差がなかった試験感染症のあとに疲れが長引く326人(B1の誘導体を1日400mgまたは600mg、28日間)

7日目に600mgの女性だけ疲労が少なかったものの、28日目には続いていませんでした。

よく言われていることは本当?

  • 疲れがとれる・疲労回復に役立つ効きますが、差は小さいです。 マルチビタミン・ミネラルの試験のまとめで疲労感が減りました [1]。B1の誘導体の試験では差がありませんでした [2]。
  • 糖質などをエネルギーに変えるのを助ける体のしくみとしては説明されていますが、サプリで代謝が上がるかを健康な人で測った研究は見当たりません。
  • ストレス・イライラをやわらげる効きますが、差は小さいです。 B群を3種類以上、4週間以上飲んだ試験のメタ解析(958人分)で、ストレスがプラセボより少し改善しました(標準化平均差0.23、信頼区間0.02〜0.45)[6]。気分の落ち込みと不安には有意な差がありませんでした。信頼区間の下限が0に近く、このテーマのまとめは1本です。
  • 口内炎に良い効きます。 口内炎をくり返す58人が、B12を舌の下で溶かす方法で6か月とった試験で、最後の1か月に口内炎が出なかった人が74.1%いました(プラセボは32.0%)[7]。根拠の確かさは低めです。研究が1件だけのためです。
  • 肌荒れ・ニキビに良い研究が足りません。 飲むB2・B6が健康な人の肌荒れに効くかを調べた試験は見つかりません。
  • 肩こり・目の疲れに良い研究が足りません。 健康な人で調べた試験は見つかりません。

02注意点

研究で使われた量や期間はまちまちです。たとえば20〜50歳の健康な138人の試験では、B群を多く含むマルチビタミンを毎日16週間飲んでいました [5]。同じ量が自分に合うとは限りません。サプリはB群以外の成分も含むものが多く、重ねて飲むと摂りすぎになることがあります。持病がある人、薬を飲んでいる人、妊娠中の人は、医師や薬剤師に確認してください。

疲れが長引くときは、サプリの前に受診を

貧血や睡眠の問題など、ほかの原因が隠れていることがあります。

03まとめ

ビタミンB群を含むサプリで、疲れは少し減ります。ただし差は小さく、B群だけで調べた研究は多くありません。
病気のない大人が飲む場合の結果で、感染症のあとの疲れなどには差が出ない試験もあります。
試すなら、一定期間飲んで自分の疲れが変わるかを確かめ、変わらなければ睡眠や食事の見直しに回しましょう。

04よくある質問

QB群だけで疲れはとれますか?

B群だけを調べたまとめの解析はありません。個別の試験では、B1・B2・B6・B12を28日間飲んだ32人で、走り続けられる時間が長くなりました [[37786445]]。人数が少ない試験です。

Q疲れが長引いているときも効きますか?

感染症のあとに疲れが長引く326人の試験では、B1の誘導体を飲んでも全体では差がありませんでした [[10573727]]。疲れが続くときは医師に相談してください。

Q食事から摂るのでも同じですか?

研究では確かめられていません。ここで紹介した試験は、すべてサプリを飲んだものです。

QビタミンCも疲れに効きますか?

この記事の研究では、ビタミンC単独は調べていません。ビタミンCの別の話題は [ビタミンCで風邪は防げるって本当?](/evidence/vitamin-c-common-cold) にまとめています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(7本)

[1]一般の人のストレス・軽い精神症状・気分に対するビタミンとミネラルの効果のメタ解析

発表年
2013年
研究機関
イギリス・スウォンジー大学
掲載誌
Psychosomatic medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
良い方向

病気のない人のRCT8件で、マルチビタミン・ミネラルを飲むと疲労感がプラセボより小さかった。

[2]感染症後の慢性疲労に対するスルブチアミン2用量とプラセボの二重盲検試験

発表年
1999年
研究機関
フランス・サンタントワーヌ病院
掲載誌
La Revue de medecine interne
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
326人
結果の向き
差なし

疲れが長引く326人で、スルブチアミンを28日間飲んでも全体では疲労感に差がなかった。

[3]健康な人でビタミンB群が疲労と運動能力に与える効果を調べた二重盲検試験

発表年
2023年
研究機関
台湾・国立台湾体育大学
掲載誌
International journal of medical sciences
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
32人
結果の向き
良い方向

20〜30歳の32人で、B群を28日間飲むと走れる時間が長く、乳酸とアンモニアが低かった。

[4]ビタミンB1の補給が運動による疲労に与える影響

発表年
1996年
研究機関
日本・筑波大学
掲載誌
Metabolic brain disease
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
16人
結果の向き
良い方向

男性の運動選手16人で、B1を3日間飲むと血中B1が正常な人は運動直後の疲れの訴えが少なかった。

[5]健康な若い成人の気分に対するマルチビタミンの効果を検査室と自宅で調べた試験

発表年
2013年
研究機関
オーストラリア・スウィンバーン工科大学
掲載誌
Appetite
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
138人
結果の向き
結果が割れている

健康な138人で、B群を多く含むマルチビタミンを16週間飲んでも、検査室の指標に差はなかった。

[6]ビタミンB群が抑うつ・不安・ストレスに与える効果のメタ解析

発表年
2019年
研究機関
オーストラリア・スウィンバーン工科大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
958人
結果の向き
良い方向

B群を3種類以上飲む試験のメタ解析で、958人分のデータでストレスがプラセボより少し改善した。

[7]再発性アフタ性口内炎に対するビタミンB12の効果を調べた二重盲検試験

発表年
2009年
研究機関
イスラエル・ベングリオン大学
掲載誌
Journal of the American Board of Family Medicine : JABFM
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
58人
結果の向き
良い方向

口内炎をくり返す58人で、B12を6か月とると最後の1か月に出なかった人が多かった。

ほかに参考にした論文(14本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。