[1]慢性の首の痛みへの TENS のコクランレビュー
- 発表年
- 2019年
- 研究機関
- ブラジル・コクラン・ブラジル
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 651人
- 結果の向き
- 差なし
ふつうの TENS と偽の TENS を比べると、痛みの強さの差は平均 -0.10 点で、はっきりした差はなかった。

運動に足すと治療直後の痛みが下がり、貼るだけでは差がありませんでした。学術論文としては、まだ断定できていません。
慢性の首の痛みがある大人で、治療直後から治療後3か月までの痛みを確かめた結果です。
貼るだけで楽になる、とは言えません。使うなら、運動やストレッチの補助と考えるのが研究の形に近いです。筋トレ用の EMS に肩こりの効果は期待できません。ペースメーカーなどの体内の医療機器がある人、妊娠中の人は、使う前に医師に確認を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 17 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 12.9 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 84.9 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 3 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を C から D に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
家庭用の「低周波治療器」は、皮膚に貼ったパッドから弱い電気を流す機器です。肩こりや筋肉痛をやわらげるとされ、パッドを貼る位置や刺激のパターンを選べるものが多くあります。研究では、痛みをやわらげる目的の電気刺激を TENS (経皮的電気神経刺激) と呼びます。
名前が似ていても、狙いが違います。
研究では、この 2 つを分けて調べています。
答えの中心は、ブラジルのコクラン・ブラジルなどの研究チームが2019年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。慢性の首の痛みがある大人で、TENS を偽の TENS と比べた試験が集められました。
| 研究の種類 | 慢性の首の痛みへの TENS を調べた系統的レビュー (7 件の試験) |
|---|---|
| 対象 | 12週間を超えて首の痛みが続く大人 (平均年齢31.7〜55.5歳) |
| 比べたもの | ふつうの TENS と偽の TENS |
| 結果 | 治療後3か月までの痛みの強さ (VAS) の差は平均 -0.10 点で、はっきりした差はなかった |
この結論は、研究の確実性が非常に低いと評価されています。
TENS を偽の治療と比べた別の試験でも同じ傾向でした。首の痛みがある144人に 2 週間で 10 回 TENS を使っても、安静時の痛みは偽の治療と差がありませんでした [4]。
同じ電気刺激でも、ほかの治療に足した場合は結果が変わります。原因のはっきりしない慢性の首の痛みで、運動に電気治療を足すと、運動だけより治療直後の痛みが下がりました (SMD -0.76、7 件・441人) [2]。スペインのアルメリア大学などの研究チームによる2026年のメタ解析です。ただし、首の動かしにくさ (生活の支障) には差がなく、研究の確実性は非常に低いと評価されています。
首の痛みへの電気刺激の RCT 30 件を集めた別のメタ解析でも、ほかの治療に電気刺激を足したほうが、治療直後と短期の痛みが下がりました [5]。この比較の確実性は中程度と評価されていますが、結果は治療を終えた直後から短期のものにとどまります。
首の痛みへの電気治療をまとめたコクランレビュー (小さな試験 20 件、合計 1239人) では、EMS は偽の治療より痛みを下げませんでした。ただし確実性は非常に低く、EMS を調べた試験はその一部です [3]。肩の筋肉にこりの芯がある41人の試験では、EMS とストレッチの組み合わせで、1 回の治療の直後に押したときの痛みは感じにくくなりましたが、痛みの強さには差がありませんでした [6]。
首の痛みへの物理療法を比べたネットワークメタ解析では、効果の順位は高出力レーザー、衝撃波、干渉波、TENS の順で、TENS は真ん中より下でした [8]。腰痛が中心の別のメタ解析では、使っている最中は偽の治療より痛みが下がりましたが、終わったあとには差がありませんでした [9]。
TENS は偽の治療と比べて、安静時の痛みを下げませんでした [4]。
研究で使われたのは、首の痛みが12週間を超えて続く大人です。治療後3か月までの結果で、それ以降は分かっていません。肩こり全般 (数日の一時的なこりなど) を調べた研究は少なく、結果をそのまま当てはめられません。
痛みが続く、しびれや脱力がある場合は、肩こりではない病気が隠れていることがあります。医療機関への相談が先です。ペースメーカーなどの体内の医療機器がある人、妊娠中の人は、使う前に医師に確認してください。
運動やストレッチと組み合わせた研究で短期の痛みが下がっているので、電気だけに頼らない使い方が研究の形に近いです。
低周波治療器は、運動などに足すと、治療直後から短期の痛みが下がりました。貼るだけの場合は、偽の刺激と差がありませんでした。
筋トレ用の EMS は、肩こりの対策として研究では効果が示されていません。
使うなら運動の補助として。運動やほかの肩こり対策は 肩こりに効く方法は? も参考になります。
別の狙いの刺激です。痛みをやわらげる TENS は筋肉が動かない強さで、EMS は筋肉を収縮させます。研究でも別々に調べられ、EMS は首の痛みを偽の治療より下げませんでした [[23979926]]。
研究では、毎日 1 回 20〜60 分の TENS を使っても、偽の刺激と差がありませんでした [[31830313]]。使う時間や回数と効果の関係を比べた研究は見つかっていません。
電気刺激と湿布を直接比べた研究は、今回の調査では見つかっていません。湿布の研究は [湿布(貼り薬)で肩こりや腰痛は楽になる?](/evidence/topical-nsaid-patch-pain) にまとめています。
ふつうの TENS と偽の TENS を比べると、痛みの強さの差は平均 -0.10 点で、はっきりした差はなかった。
運動に電気治療を足すと、運動だけより治療直後の痛みが下がった (SMD -0.76)。生活の支障には差がなかった。
首の痛みがある1239人で、EMS は偽の治療より痛みを下げなかった。
首の痛みがある144人で、TENS を使っても安静時の痛みは偽の治療と差がなかった。
電気刺激をほかの治療に足すと、治療直後と短期の痛みが下がった。
僧帽筋にこりの芯がある41人で、EMS とストレッチは押したときの痛みを感じにくくしたが、痛みの強さには差がなかった。
電気刺激全体では痛みが下がったが、TENS だけでははっきりした差がなかった。
効果の順位は高出力レーザー、衝撃波、干渉波、TENS の順で、TENS は真ん中より下だった。
多くは腰痛の試験で、使用中は偽の治療より痛みが下がったが、終了後は差がなかった。
この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。