[1]虫歯におけるシュガーレスガムの役割
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
- 掲載誌
- JDR clinical and translational research
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究12件を統合
- 結果の向き
- 良い方向
子どもと大人を対象にした研究をまとめ、虫歯の増え方が28%少なかった。

減ります。噛まない場合より、虫歯の増え方が28%少なくなります。
砂糖を使わないガムの話です。糖の入ったガムは対象外です。ガムは歯みがきの代わりではなく、そのうえに足す習慣として調べられています。
食後にシュガーレスガムを噛む習慣は、試す価値があります。キシリトールだけのガムが特に優れているとまでは言えないので、キシリトールの表示にこだわるより、続けやすいものを選べば十分です [3]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 7.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 78.5 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 78 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本・観察研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
シュガーレスガムは、砂糖を使わず、キシリトールやソルビトールなどの甘味料で甘みをつけたガムです。噛むと唾液が出て、口の中の酸を洗い流すとされています。種類によってキシリトールだけのもの、ソルビトールと混ぜたものなどがあります。注意点は、「シュガーレス」でも歯みがきの代わりにはならないことです。
答えの中心は、イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが2020年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の数値をまとめて計算し直す方法です。子どもと大人を対象にした12件の研究が集められました。
| 研究の種類 | シュガーレスガムと虫歯を調べた研究のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 子どもと大人(12件) |
| 比べたもの | シュガーレスガムを噛む群と、噛まない群やトローチ・飴・洗口などの対照 |
| 結果 | 虫歯の増え方が28%少ない(信頼区間は7%から48%) |
研究ごとのばらつきは大きく、著者は暫定的な根拠としています [1]。
信頼区間の幅が広いのは、研究によって効き方に差があるためです。「確実に3割近く減る」ではなく、「減る向きはそろっているが、大きさは幅がある」と読むのが正確です。
質の基準で絞った別の系統的レビューも、同じ向きです。39本から9本に絞り、7件でガムの虫歯を減らす効果が見られ、2件では見られませんでした [2]。食後すぐに噛むと唾液が出ることが、効果の理由として挙げられています。
ガム全体の28%と、キシリトールだけの33%は、別々の研究ではありません。どちらも2020年のメタ解析の中の、全体の解析(12件)と、キシリトールだけのガムに絞った解析(8件)の結果です [1]。つまり、33%は「キシリトールが別格に効いた」という独立した証拠ではなく、同じデータを切り分けた数字です。33%の信頼区間は4%から61%と、さらに広くなっています。
2008年までの研究をまとめたレビューでは、噛まない場合と比べた予防率はキシリトールのガムで58.66%、ソルビトールのガムで20.01%でした [7]。古い研究には観察研究が混ざっています。2020年の結果と数字が大きく違うのは、集めた研究や計算が異なるためです。
研究は、子どもと大人をまとめた結果が中心です。子どもだけを見ると根拠は弱く、キシリトールのガムを使った5件の試験は、比べる予防法によって結果が大きくばらつきました [4]。キシリトール製品の研究では、毎日3〜5回、食後に合計5〜10gを使ったときに効果が大きかったと報告されています [8]。ただし、この量が最適かどうかは、研究では確かめられていません。
歯の詰め物や顎に不安がある人、虫歯がすでに多い人は、歯科医師に相談してください。ガムは歯みがきやフッ素の代わりではありません。
ガムは、歯みがきやフッ素入り歯みがき粉に足す習慣として考えてください。
シュガーレスガムは、虫歯の増え方を28%少なくします。
キシリトールだけが特別に優れているとまでは、研究では言えません。
食後に噛む習慣を足し、歯みがきとフッ素入り歯みがき粉は続けましょう。詳しくはフッ素入り歯みがき粉で虫歯は防げる?安全性は?も参考になります。
ガム全体で28%、キシリトールだけで33%減と数字は近く、同じメタ解析の中の数字です [[31743654]]。ソルビトールのガムと直接比べた試験では、キシリトールが上回ったのは5件中3件でした [[40731400]]。根拠の確かさは低めです。
代わりになるかを調べた研究は、今回集めた中にありません。ガムは歯みがきに足す習慣として調べられています。
子どもを対象にした10件のレビューでは、虫歯が減っていました。特にもともと虫歯が多い子どもで、効果がはっきりしていました [[38430364]]。一方、別のレビューは根拠不十分としており [[34341229]]、結果は割れています。
シュガーレスガムだけの最適な回数は、研究では確かめられていません。キシリトール製品では、食後に毎日3〜5回の使い方で効果が大きかったと報告されています [[35462747]]。
子どもと大人を対象にした研究をまとめ、虫歯の増え方が28%少なかった。
39本から質の基準で9本に絞り、7件でガムの虫歯を減らす効果がみられた。
ソルビトールのガムとの比較で、キシリトールのほうが虫歯が少なかったのは5件中3件だった。
子どもにキシリトールだけのガムを使った5件の研究で、結果が割れ根拠は不十分とされた。
8件の研究をまとめ、シュガーレスガムを噛んだ人は歯垢の量が少なかった。
口の渇きのある高齢者や病気の人では、ガムを噛むと唾液の量が増えた。
キシリトールのガムの予防率は58.66%、ソルビトールのガムは20.01%だった。
キシリトール100%の製品を食後に毎日3〜5回、合計5〜10g使ったとき効果が大きかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。