キシリトールは虫歯を防ぐ?

キシリトールは虫歯を防ぐ?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え

キシリトールのガムでは、子どもの虫歯が減った研究が10件あります。学術論文としては、まだ断定できていません。

根拠

18歳以下の子どもの研究15件を整理したレビューでは、ガムの10件で、何もしない場合や偽薬ガムと比べて虫歯が減りました。飴は6件のうち5件で減りませんでした [1]。6〜18歳の永久歯で虫歯が減ったとするメタ解析 [2] がある一方、コクランレビューなどは、はっきりしないとしています [3] [4]。口の中の虫歯菌は、キシリトールガムで減ります [5]。学術論文としては、まだ断定できていません。

この答えの範囲

子どもと大人で、ガム・タブレット・飴・歯みがき粉などを使って確かめた結果です。ガムで虫歯が減った研究は、18歳以下の子どもが対象です。

じゃあ、どうする?

使うなら、食後に数回に分け、一日合計5〜10グラムをとる方法が最も効果的だったと報告されています [6]。歯みがきなどの基本のケアの代わりにはなりません。フッ素入りの歯みがき粉もあわせて使いましょう。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。限定的
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 39 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量17.820研究件数と参加人数
一致度15.525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 88.3 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 4 本・観察研究 4 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から D に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

キシリトールとは

キシリトールは、砂糖の代わりに使われる甘味料の一つです。ガム・タブレット・飴・歯みがき粉などに入っていて、虫歯予防に役立つとされてきました。注意点は、お腹の張りや軟便、下痢などの副作用が報告されている点です [3]。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

ガムと飴で結果が違う

答えの中心は、18歳以下の子どもの研究15件を整理した2024年のフィンランドのレビューです [1]。製品の種類で結果が分かれました。

  • ガム: 10件の研究で、何もしない場合や偽薬ガムと比べて虫歯が減りました。もともと虫歯が多い・中くらいの子どもの研究で、はっきりしていました
  • 飴: 6件のうち5件で、虫歯を減らす効果は見つかりませんでした

このため、ガムの結果を飴やほかの製品にそのまま当てはめることはできません。

コクランレビューの結果

キシリトール入りの製品をまとめて調べたのは、イギリスのマンチェスター大学などの研究チームが2015年に発表したコクランレビューです [3]。コクランレビューとは、決めた手順で比較試験を集め、結果を整理する方法です。ランダム化比較試験10件が集められました。

研究の種類ランダム化比較試験を集めたコクランレビュー
対象子どもと大人
比べたものキシリトール入りの製品と、使わない場合・偽薬・フッ素だけの歯みがき粉など
結果フッ素入り歯みがき粉に10%キシリトールを加えた場合だけ、虫歯が13%少なかった。ほかは判断できなかった
まとめて分析した結果子ども4216人で、10%キシリトール入りのフッ素歯みがき粉を2.5〜3年使うと、フッ素だけの歯みがき粉より虫歯が13%少なくなりました(質の低い根拠)[3]。

飴・タブレット・シロップなどのキシリトール製品は、効くかどうかを判断できるだけの根拠がありませんでした。

歯みがき粉の結果は、同じ研究者が同じ地域で行った研究によるもので、注意して読む必要があるとされています。マーシャル諸島の保育施設で、虫歯になりやすい幼児196人を調べた試験では、キシリトール入りのフッ素歯みがき粉とフッ素だけの歯みがき粉で、半年後の虫歯の増え方に差はありませんでした [7]。フッ素入り歯みがき粉そのものの効果は、フッ素入り歯みがき粉で虫歯は防げる?安全性は?で確かめています。

虫歯の数をまとめて分析した研究

2024年の香港大学などのメタ解析は、6〜18歳の永久歯で、キシリトールは何もしない場合や偽薬と比べて虫歯を減らしたと報告しました(標準化平均差 -0.50)[2]。ただし研究の多くはバイアスのリスクが中〜高とされています。キシリトールガムを使った8件の試験では、噛まない場合より虫歯の増え方が33%少なくなりました。研究間のばらつきは大きい結果です [8]。

一方で、12か月以上キシリトールをとった子どものランダム化比較試験5件をまとめると、虫歯を減らす効果は小さく、統計的にははっきりしませんでした(根拠の質は非常に低い)[4]。2024年のスペインの研究チームによるレビューも、キシリトールの虫歯予防効果は確認できないと結論しています [9]。研究ごとに対象者・期間・量がばらばらだったことが理由に挙げられています。

差がはっきりしなかったまとめ12か月以上キシリトールをとった子どもの試験5件

虫歯を減らす効果は小さく、統計的にははっきりしませんでした。

虫歯菌は減る、でも虫歯が減るとは限らない

口の中の虫歯菌(ミュータンス菌)への効果は、虫歯そのものより多くの研究で確かめられています。シュガーレスガムの比較試験13件のうち、キシリトールガムだけを使った12件のメタ解析では、ガムを噛まない場合などと比べて虫歯菌が減りました(効果量 -0.46)[5]。ソルビトールガムと比べた研究でも、14件中12件でキシリトールガムのほうが虫歯菌が減りました [10]。

ただし、虫歯菌が減ることと虫歯が減ることは同じではありません。ペルーの小学生の試験では、砂糖入りの牛乳と比べてキシリトール入りの牛乳で虫歯菌は減りましたが、虫歯の数に差はありませんでした [11]。

よく言われていることは本当?

  • キシリトールのガムやタブレットで虫歯を防げる研究が足りず、まだ分かりません。 ガムでは減った研究があり、飴では減らなかった研究が多く、全体のまとめでも結果が割れています [1] [4]。
  • 虫歯菌が減る減ります。 キシリトールガムで虫歯菌が減ったと、メタ解析がそろって報告しています [5] [12]。
  • お母さんが噛むと、赤ちゃんに虫歯菌がうつりにくい菌がうつる割合は下がります。 虫歯菌の多いお母さん601人の試験11件のまとめで、子どもに菌が見つかる割合は12〜18か月で0.54倍でした [13]。子どもの虫歯への効果は研究が足りません。10歳まで追った試験では、ほかの群と差がありませんでした [14]。
  • フッ素入り歯みがき粉に入っているとさらに効く研究が足りません。 13%少ないとする結果は、質の低い根拠です [3]。
  • 歯の再石灰化を助ける研究が足りません。 人を対象に、再石灰化を主な結果として調べたメタ解析やランダム化比較試験は見つかっていません。
  • たくさんとるとお腹がゆるくなる起こることがあります。 コクランレビューでは副作用として、お腹の張り・便秘・軟便や下痢などが挙げられています。副作用はなかったと報告した試験もありました。量との関係は調べられていません [3]。

02注意点

歯みがき粉で虫歯が少なかった結果は、キシリトール10%入りを子どもが2.5〜3年使った試験の話で、大人や、ほかの製品には当てはまるか分かりません [3]。量については、ガム・飴・タブレット・歯みがき粉・洗口液などの研究を集めた2022年のメタ解析で、著者は、食後に数回に分けて、毎日合計5〜10グラムをとる方法が最も効果的だったとしています [6]。ただし、このメタ解析の全体の結果も、研究間のばらつきを考えるとはっきりしませんでした。副作用として口のただれや腹痛、お腹の張りが報告されています。持病や服薬がある人、小さな子どもに使う場合は、歯科医師や薬剤師に確認してください。

製品の種類で、結果が違います

ガムで虫歯が減った研究があっても、飴にそのまま当てはまるとは限りません。

03まとめ

キシリトールのガムでは、子どもの虫歯が減った研究が10件あり、口の中の虫歯菌も減ります。
飴では減らなかった研究が多く、学術論文としては、虫歯を防ぐとまだ断定できていません。
使うなら食後にガムを噛む形で、歯みがきとフッ素の習慣は続けましょう。

04よくある質問

Qキシリトールは歯みがきの代わりになりますか?

研究では、歯みがきの代わりになるかは確かめられていません。キシリトール入りの歯みがき粉の試験も、フッ素入りの歯みがき粉と比べたものです [[25809586]]。

Qキシリトールの飴でも虫歯は減りますか?

飴の研究6件のうち5件で、虫歯を減らす効果は見つかっていません [[38430364]]。ガムとは結果が違います。

Qどのくらいの量をとればよいですか?

メタ解析の著者は、食後に数回に分けて毎日合計5〜10グラムをとる方法が最も効果的だったとしています [[35462747]]。ただし研究ごとに量がばらばらで、確かな量は決まっていません。

Qキシリトールで歯が再石灰化しますか?

人を対象にした研究では確かめられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(15本)

[1]子どもの虫歯に対するキシリトールのガムと飴の効果

発表年
2024年
研究機関
フィンランド・トゥルク大学
掲載誌
European archives of paediatric dentistry : official journal of the European Academy of Paediatric Dentistry
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究15件を統合
結果の向き
結果が割れている

18歳以下の研究15件のレビュー。ガムでは虫歯が減ったが、飴では多くの研究で虫歯は減らなかった。

[2]子どもと若者の永久歯の虫歯予防に使う砂糖の代替品

発表年
2024年
研究機関
中国・香港大学
掲載誌
Journal of dentistry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
6,325人
結果の向き
良い方向

6〜18歳の永久歯で、キシリトールは何もしない・偽薬と比べて虫歯を減らした。研究の多くはバイアスのリスクが中〜高。

[3]子どもと大人の虫歯予防のためのキシリトール製品

発表年
2015年
研究機関
イギリス・マンチェスター大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,216人
結果の向き
良い方向

ランダム化比較試験10件を集めたコクランレビュー。フッ素歯みがき粉に10%キシリトールを加えると虫歯が13%少なかった。

[4]子どもの虫歯を減らすキシリトールの効果

発表年
2017年
研究機関
アメリカ・メリーランド大学
掲載誌
Pediatric dentistry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究5件を統合
結果の向き
差なし

12か月以上キシリトールをとった子どもの試験5件では、虫歯を減らす効果ははっきりしなかった。根拠の質は非常に低い。

[5]シュガーレスガムがミュータンス菌に与える効果のメタ解析

発表年
2021年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
BMC oral health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究13件を統合
結果の向き
良い方向

比較試験13件で、キシリトールガムは口の中の虫歯菌を減らした。個々の研究の約半数では差がはっきりしなかった。

[6]虫歯予防におけるキシリトールの効果のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
サウジアラビア・イマーム・アブドゥルラフマン・ビン・ファイサル大学
掲載誌
Journal of International Society of Preventive & Community Dentistry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

ガム・飴・歯みがき粉などの研究をまとめた。ランダム効果モデルでは差がはっきりしなかった。

[7]幼児の虫歯予防のためのキシリトール歯みがき粉の集団ランダム化試験

発表年
2014年
研究機関
アメリカ・ワシントン大学
掲載誌
Journal of dentistry for children (Chicago, Ill.)
研究の種類
ランダム化比較試験(クラスター)学校や病院などの単位でくじ引きのように分け、結果を比べる試験。
対象
196人
結果の向き
差なし

虫歯になりやすい幼児196人で、キシリトール入りフッ素歯みがき粉は半年後の虫歯の増え方に差がなかった。

[8]虫歯におけるシュガーレスガムの役割

発表年
2020年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
JDR clinical and translational research
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
良い方向

キシリトールガムの試験8件では、噛まない場合より虫歯の増え方が33%少なかった。研究間のばらつきは大きい。

[9]キシリトールは虫歯予防に有効か

発表年
2024年
研究機関
スペイン・アビラ・カトリック大学
掲載誌
Journal of clinical and experimental dentistry
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究9件を統合
結果の向き
差なし

ヒトの臨床試験のレビュー。キシリトールの虫歯予防効果は確認できなかった。対象者・期間・量がばらばらだった。

[10]キシリトールガムが虫歯菌・歯垢・虫歯に与える特有の効果

発表年
2025年
研究機関
フィンランド・トゥルク大学
掲載誌
BMC oral health
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究16件を統合
結果の向き
良い方向

ソルビトールガムと比べた研究の多く、14件中12件でキシリトールガムのほうが虫歯菌が減った。

[11]キシリトール入り牛乳の虫歯予防試験

発表年
2016年
研究機関
アメリカ・ワシントン大学
掲載誌
Journal of dentistry for children (Chicago, Ill.)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

キシリトール入りの牛乳は虫歯菌を減らしたが、虫歯の数に差はなかった。

[12]砂糖の代替品が虫歯菌に与える臨床的効果

発表年
2024年
研究機関
中国・香港大学
掲載誌
International dental journal
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究32件を統合
結果の向き
良い方向

前向きの比較試験32件。糖アルコールをとると、歯垢と唾液の中の虫歯菌が減った。約半数はバイアスのリスクが高い。

[13]お母さんのキシリトールガムが子どもへの虫歯菌のうつりに与える効果

発表年
2016年
研究機関
台湾・台北医学大学
掲載誌
International journal of paediatric dentistry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
601人
結果の向き
良い方向

虫歯菌の多いお母さん601人の試験11件。子どもに虫歯菌が見つかる割合が12〜18か月で0.54倍に下がった。

[14]お母さんのキシリトール摂取が子どもの虫歯に与える長期の効果

発表年
2012年
研究機関
デンマーク・コペンハーゲン大学
掲載誌
European archives of paediatric dentistry : official journal of the European Academy of Paediatric Dentistry
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
140人
結果の向き
差なし

10歳時点で140人を調べた。キシリトールの群と、ほかの群の虫歯に差はなかった。

Xylitol in preventing dental caries: A systematic review and meta-analyses.

発表年
2017年
研究機関
インド・Janakiram Cほかの研究チーム
掲載誌
Journal of natural science, biology, and medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究16件を統合
結果の向き
良い方向

キシリトールはほかの対照すべてと比べて虫歯の本数(DMF/dmf)が少なかった(-1.09)。ただし質の高くない研究が多い

ほかに参考にした論文(20本)

この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。