筋トレするならタンパク質は1日何gとればいい?

筋トレするならタンパク質は1日何gとればいい?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

体重1kgあたり1日1.6g前後が目安です。それを超えると、筋肉は増えにくくなります。

根拠

筋トレをする健康な成人のランダム化比較試験を集めたメタ解析で、一日のタンパク質を増やした人は筋肉量の増え方がわずかに大きくなりました[1]。上乗せがはっきりしたのは、65歳未満では体重1kgあたり一日1.6g以上、65歳以上では1.2〜1.59gをとったときです [1]。別のメタ解析では、総摂取量が1.62gを超えるとそれ以上増えませんでした [2]。根拠の確かさは中程度です。

この答えの範囲

筋トレをしている健康な成人の話です。足りている人がさらに足しても増えにくく、筋トレをしない人の筋肉は増えません。腎臓の病気がある人は対象外です。

じゃあ、どうする?

まず今の食事で、体重1kgあたり1.6g前後に届いているかを数えます。足りない分だけを食事かプロテインで補えば十分で、それを超えて足しても筋肉の増え方は変わりにくいです。腎臓の病気がある人は、医師に量を相談してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。11 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1020研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 90 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

タンパク質とは

タンパク質は、筋肉や皮膚、髪などの材料になる栄養素です。肉・魚・卵・大豆・乳製品などの食品に含まれ、プロテインは食事で足りない分を補う粉末の食品です。必要な量は体重で決まるため、目安は「体重1kgあたり何g」で表されます。注意点は、腎臓の病気がある人は量の制限があることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、マクマスター大学などの研究チームが2022年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ疑問を調べた複数の試験の結果をまとめて計算する方法です。結果に出てくる標準化平均差は、研究ごとに単位が違っても比べられるよう、差の大きさをそろえた指標です。

研究の種類ランダム化比較試験を集めたメタ解析
対象筋トレをしている健康で肥満でない成人
比べたもの一日のタンパク質を増やした人と、増やさなかった人
結果除脂肪量(筋肉など)の増え方が、わずかに大きかった
まとめて分析した結果筋トレ中にタンパク質を増やすと、筋肉量の増え方が標準化平均差0.22だけ大きくなりました(62件)[1]。

差は大きくありませんが、研究の確かさは中程度とされています。

年齢で目安が変わる

このメタ解析で上乗せがはっきりしたのは、年齢によって次の量からでした [1]。

  • 65歳未満: 体重1kgあたり一日1.6g以上
  • 65歳以上: 体重1kgあたり一日1.2〜1.59g

頭打ちになる量

マクマスター大学の2018年のメタ解析では、筋トレ中にタンパク質を足すと除脂肪量が平均0.30kg多く増え、総摂取量が1.62gを超えるとそれ以上は増えませんでした [2]。2g以上でさらに上乗せがあるという研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。

筋トレの有無を問わない研究ですが、企業の研究部門の研究チームによる2020年のメタ解析でも、0.1g増やすごとの増え方は、1.3g未満では0.39kg、1.3gを超えると0.12kgに小さくなりました [3]。

筋力も上がる?

筋トレと合わせてタンパク質を増やすと、筋力の伸びは平均2.01%大きくなりました。企業の研究部門の研究チームが2022年に発表した、82本の論文を統合したメタ解析の結果です [4]。伸びは1.5gまでは量とともに大きくなり、それ以上は伸びませんでした。筋トレをしないときは差がありませんでした [4]。

よく言われていることは本当?

  • 筋トレするなら体重1kgあたり2g前後が目安1.6g以上は研究で確かめられています。 ただし2gを超えて上乗せがあるという研究は見つかりませんでした [1] [2]。
  • タンパク質を増やすと筋肉が増える増えますが、差は小さいです。 筋トレと組み合わせたときだけの結果です [1]。
  • タンパク質を増やすと筋力も上がる上がります。 1.5gで頭打ちになります [4]。
  • 運動しない人もタンパク質を増やせば筋肉がつくほぼウソです。 筋トレなしでは、タンパク質を増やしても筋肉量や筋力に上乗せはありませんでした [4] [5]。
  • 筋トレの直後に飲まないと意味がない研究が足りません。 もともと体重1kgあたり1.0g以上とっていた高齢男性30人では、運動後や寝る前に40gを足しても差がありませんでした [6]。タイミングは プロテインは筋トレの前と後どっちに飲むといい? で扱っています。
  • とりすぎると腎臓に悪いほぼウソです。 多くは短い期間の研究ですが、腎臓の病気のない成人1358人(28件)で、高タンパク食でも腎臓のろ過の力に差はありませんでした [7]。詳しくは 高たんぱく食は腎臓に悪いって本当? にあります。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

2022年以降の小さな試験では、タンパク質を足しても筋トレだけの人と差が出ませんでした。このうち若い男性の試験は、参加者がもともと体重1kgあたり1.2g超のタンパク質をとっていて、足りている人が足しても増えにくいという頭打ちの結果と合っています。ほかの試験では、もともとの摂取量は分かりません。いずれも人数が少なく、メタ解析の結果とあわせて見る必要があります。

差がなかった試験若い男性18人(8週間)、もともと1.2g/kg超をとっていた

ホエイプロテインを足しても、除脂肪量と筋力の伸びは上乗せされませんでした [8]。

高齢者などの試験でも、36人 [9]、31人 [10]、閉経後の女性55人 [11] の試験で上乗せは見られませんでした。

02注意点

筋力の結果を出したメタ解析は、著者が企業の研究部門に所属しています [4]。除脂肪量の結果は、大学の研究チームによるものです [1]。量は、研究では総摂取量(食事とプロテインの合計)で測られています。腎臓の病気がある人、持病や服薬がある人は、医師や管理栄養士に確認してください。

増やす前に、今の摂取量を確かめる

足りている人がさらに足しても筋肉は増えにくいため、まず食事の量を数えるのがおすすめです。

03まとめ

筋トレ中のタンパク質は、体重1kgあたり1.6g前後までは筋肉の増え方に上乗せがあり、それ以上は増えにくいです。
65歳以上は1.2〜1.59gから上乗せが見られ、もともと足りている人の上乗せは小さくなります。
まず今の食事の量を数え、足りない分だけを補いましょう。

04よくある質問

Q体重1kgあたり2gとらないと筋肉は増えませんか?

そうではありません。上乗せがはっきりしたのは1.6g以上からで、1.62gを超えるとそれ以上は増えませんでした [[28698222]]。2g以上で上乗せがあるという研究は見つかりませんでした。

Q女性や高齢者も同じ量でいいですか?

65歳以上は1.2〜1.59gから上乗せが見られました [[35187864]]。女性だけの量の研究は、今回は見つかりませんでした。

Qプロテインは飲まないといけませんか?

研究で比べているのは総摂取量です。食事で届くなら、プロテインは必須ではありません。

Qとりすぎると腎臓に悪いですか?

腎臓の病気のない成人では、高タンパク食でろ過の力に差はありませんでした [[30383278]]。腎臓の病気がある人は対象外なので、医師に相談してください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(11本)

[1]健康な成人の筋肉量と機能のためのたんぱく質摂取量のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
カナダ・マクマスター大学
掲載誌
Journal of cachexia, sarcopenia and muscle
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究62件を統合
結果の向き
良い方向

筋トレ中にタンパク質を増やすと、除脂肪量の増え方がわずかに大きかった。65歳未満は1.6g以上から。

[2]プロテインを足した筋トレによる筋肉量と筋力の増加のメタ解析

発表年
2018年
研究機関
カナダ・マクマスター大学
掲載誌
British journal of sports medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,863人
結果の向き
良い方向

健康な成人1863人(RCT49件)で、除脂肪量が平均0.30kg多く増えた。1.62gを超えると増えなかった。

[3]たんぱく質摂取量と筋肉量の増加の用量反応関係

発表年
2020年
研究機関
日本・企業の研究部門
掲載誌
Nutrition reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
5,402人
結果の向き
良い方向

5402人(105本)のRCTで、1.3g未満では0.1gごとに0.39kg、1.3gを超えると0.12kg増えた。

[4]たんぱく質摂取量と筋トレの組み合わせが筋力に与える相乗効果

発表年
2022年
研究機関
日本・企業の研究部門
掲載誌
Sports medicine - open
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究82件を統合
結果の向き
良い方向

82本のRCTで、筋力の伸びが平均2.01%大きかった。筋トレなしでは差がなかった。

[5]中高年で、たんぱく質が筋トレの効果を高めるかを調べた解析

発表年
2022年
研究機関
イギリス・リバプール・ジョン・ムーア大学
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究28件を統合
結果の向き
良い方向

平均50歳以上の28件で、筋トレと組み合わせたときだけ手足の除脂肪量が多く増えた。

[6]高齢男性では寝る前も運動後のたんぱく質も筋トレの効果を変えない

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・フロリダ州立大学
掲載誌
Journal of the International Society of Sports Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
差なし

高齢男性30人で、運動後や寝る前に40gを足しても筋肉の厚みと筋力は変わらなかった。

[7]たんぱく質の多い食事が腎臓の働きに与える影響を調べたメタ解析

発表年
2018年
研究機関
カナダ・ウォータールー大学
掲載誌
The Journal of nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,358人
結果の向き
差なし

腎臓の病気のない成人1358人(28件)で、ろ過の力の変化に差はなかった。

[8]ふだんからたんぱく質が多い若者では、ホエイを足しても筋トレの効果は変わらない

発表年
2023年
研究機関
チリ・フィニス・テラエ大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
18人
結果の向き
差なし

若い男性18人の8週間の試験で、ホエイプロテインは除脂肪量と筋力の伸びを上乗せしなかった。

[9]健康な高齢男性の筋トレとホエイプロテインの効果を調べた二重盲検試験

発表年
2022年
研究機関
イギリス・コベントリー大学
掲載誌
Experimental gerontology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
36人
結果の向き
差なし

健康な高齢男性36人の12週間の試験で、筋トレとの相乗効果は見られなかった。

[10]たんぱく質が少ない食事にホエイを足すと、高齢者の筋トレの効果は変わるか

発表年
2022年
研究機関
ブラジル・ポルトアレグレ連邦保健科学大学
掲載誌
Experimental gerontology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
31人
結果の向き
差なし

健康な高齢者31人の12週間の試験で、筋力と筋肉量の伸びは上乗せされなかった。

[11]閉経後の女性の筋トレと高タンパク食が体組成と筋力に与える効果

発表年
2024年
研究機関
ドイツ・ドイツスポーツ大学ケルン
掲載誌
The journal of nutrition, health & aging
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
55人
結果の向き
差なし

閉経後の女性55人の12週間の試験で、体組成と筋力に筋トレだけとの差はなかった。

ほかに参考にした論文(5本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。