[1]心理的な治療で先延ばしを減らせるか、メタ解析
- 発表年
- 2018年
- 研究機関
- スウェーデン・カロリンスカ研究所
- 掲載誌
- Frontiers in psychology
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 718人
- 結果の向き
- 良い方向
ランダム化比較試験12件・718人をまとめ、先延ばしが減りました。効果の大きさは小さめ(g 0.34)でした。

減らせます。ただし効果は大きくなく、人によって差があります。
先延ばしに困る大学生が中心の結果です。ポモドーロは研究が見つかりませんでした。
先延ばしがつらいなら、認知行動療法や、いやな気持ちとの付き合い方の練習が、研究で最も確かめられた方法です。自分でできる工夫は、取りかかる前に「いつ・どこで・どうやるか」を決めること。日常生活に支障が出るほど重いときは、医師や心理の専門家に相談を [3]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 14.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 94.6 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 95 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
先延ばしは、やるべきと分かっているのに、取りかかりや仕上げを後回しにしてしまうことです。意志の弱さというより、不安やいやな気持ちを避けようとする反応と考えられています。対策には、認知行動療法(考え方と行動を練習で変える心理療法)、計画づくり、自分への思いやりなどが挙がります。
答えの中心は、スウェーデンのカロリンスカ研究所などの研究チームが2018年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た研究の結果を集めて、まとめて分析する方法です。先延ばしを減らす心理的なプログラムを、何もしない・順番待ちのグループと比べたランダム化比較試験が集められました。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 先延ばしに困っている大学生・大人(12件・718人) |
| 比べたもの | 心理的なプログラムを受けたグループと、何もしない・順番待ちのグループ |
| 結果 | 先延ばしが減った。効果の大きさは小さめ(g 0.34)で、ばらつきは大きい |
認知行動療法の研究(3件・236人)にしぼると、効果の大きさは g 0.55 でした。
効果は「小さめ」と読むのが正確です。研究ごとのばらつきも大きく、誰にでも同じだけ効くわけではありません。
同じ分野の2019年のメタ解析では、効果は大きい結果でした [4]。対面のプログラム、学生、何もしないグループとの比較ほど、効果が大きく出ています。選んだ研究や比べ方で数字が変わるため、「大きく効く」とも「少ししか効かない」とも言い切らず、小さめから大きめまで幅がある、と受け取るのが安全です。
対面・学生・何もしないグループとの比較で、効果の大きさは g 1.18 でした。
理由は研究でまだ確かめられていません。考えられているのは、先に決めておくと、その場で迷って後回しにする余地が減るためです。中国の大学生81人の試験では、うまくいった姿と邪魔になるものを思い浮かべて「もし〜なら〜する」と対策を決める方法が、前向きに考えるだけの方法より、課題へのいやな気持ちを減らし、取りかかる意欲を高めました。1週間後も続いていました [2]。
一方、ストレス対処の計画を立てた大学生154人の試験では、対処の計画は増えましたが、先延ばしに差はありませんでした [12]。計画の対象が、後回しにしている作業そのものではなかった点が違います。
また、中国の学生の研究(40,903人)をまとめた解析では、時間の使い方を計画・管理する傾向が強い人ほど、勉強の先延ばしが少ない関連がありました [13]。これは関連であり、計画を立てれば減るという確認ではありません。
研究の対象は、先延ばしに困っている大学生が中心です。2018年のネットの認知行動療法の試験では、効果が1年後も保たれていました [14]。ただし同じグループの中での前後比較で、何もしないグループとの比較ではありません。つらさが強いとき、気分の落ち込みや不安が続くときは、先延ばしの背景に別の不調があることもあります。医師や心理の専門家に相談してください。
計画づくりは自分で始められ、重いときは専門家の力を借りる、という分け方ができます。
先延ばしは、心理的なプログラムで減らせます。効果は小さめで、人によって差があります。
計画づくりと感情の扱い方は、試す価値があります。自分を許すこと、ポモドーロは、減らせるかがまだ確かめられていません。
取りかかる前に「いつ・どこで・どうやるか」を決めることから始めましょう。
メタ解析で効果の大きさは小さめ(g 0.34)でした。認知行動療法の研究にしぼると g 0.55 でした。研究ごとのばらつきは大きく、人によって差があります。
研究では確かめられていません。完璧主義への治療の試験でも、先延ばしは副次的な結果で、治療どうしの比較だけでした [[38483057]]。
大学生85人の試験で、相談役のチャットボットを付けると時間の使い方とストレスが良くなりました。先延ばしの点数の差は、よく使った人だけに見られました [[40208664]]。
自分を許す気持ちが強い人ほど先延ばしが少ない、という関連が調査で見られています。練習で減らせるかは、実験ではまだ調べられていません。
ランダム化比較試験12件・718人をまとめ、先延ばしが減りました。効果の大きさは小さめ(g 0.34)でした。
中国の大学生81人で、前向きに考えるだけより、いやな気持ちが減り取りかかる意欲が高まりました。
先延ばしに困る大学生71人で、順番待ちより先延ばしがはっきり減りました。
ランダム化比較試験12件・646人をまとめ、効果は大きい結果(g 1.18)でした。
大学生148人の9週間のオンライン練習で、順番待ちより先延ばしが減りました。
学業に問題を抱える中高生129人で、先延ばしや燃え尽き、テスト不安が減りました。
大学生92人で、終了直後の効果に差はなく、集団のほうが半年後まで続きやすい結果でした。
大学生152人で、いつ・どこで行くかを決めた人は、時間どおりに来る見込みが約8倍高い結果でした。
1,035人で、作業を小さな手順に分けた人は「やり終えそう」と答える度合いが高く、気分もよい結果でした。
4つの集団で、先延ばししやすい人ほど自分への思いやりが低く、ストレスが高い関連がありました。
中学1年生306人を追った調査で、自分を許す気持ちが強い生徒ほど先延ばしが少ない関連がありました。
大学生154人で、対処の計画は増えましたが、先延ばしに差はありませんでした。
中国の学生40,903人の研究をまとめ、時間を管理する傾向が強いほど先延ばしが少ない関連(r -0.46)でした。
ネットの認知行動療法の効果は、1年後も保たれていました。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。