先延ばし癖は、取り組み方の工夫で減らせる?

先延ばし癖は、取り組み方の工夫で減らせる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

減らせます。ただし効果は大きくなく、人によって差があります。

根拠

先延ばしを減らす心理的なプログラム(認知行動療法など)を、何もしないグループと比べた12件・718人のメタ解析で、先延ばしが減りました。効果の大きさは小さめで、研究ごとのばらつきは大きい結果です [1]。「いつ・どこでやるか」を決める計画づくりも取りかかりを助けますが、根拠の確かさは低めです。小さな実験が中心で、研究の数が少ないためです [2]。

この答えの範囲

先延ばしに困る大学生が中心の結果です。ポモドーロは研究が見つかりませんでした。

じゃあ、どうする?

先延ばしがつらいなら、認知行動療法や、いやな気持ちとの付き合い方の練習が、研究で最も確かめられた方法です。自分でできる工夫は、取りかかる前に「いつ・どこで・どうやるか」を決めること。日常生活に支障が出るほど重いときは、医師や心理の専門家に相談を [3]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 95 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量14.620研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 94.6 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 95 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

先延ばしとは

先延ばしは、やるべきと分かっているのに、取りかかりや仕上げを後回しにしてしまうことです。意志の弱さというより、不安やいやな気持ちを避けようとする反応と考えられています。対策には、認知行動療法(考え方と行動を練習で変える心理療法)、計画づくり、自分への思いやりなどが挙がります。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、スウェーデンのカロリンスカ研究所などの研究チームが2018年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た研究の結果を集めて、まとめて分析する方法です。先延ばしを減らす心理的なプログラムを、何もしない・順番待ちのグループと比べたランダム化比較試験が集められました。

研究の種類ランダム化比較試験のメタ解析
対象先延ばしに困っている大学生・大人(12件・718人)
比べたもの心理的なプログラムを受けたグループと、何もしない・順番待ちのグループ
結果先延ばしが減った。効果の大きさは小さめ(g 0.34)で、ばらつきは大きい
まとめて分析した結果心理的なプログラムを受けた人は、何もしない人より先延ばしが減りました。

認知行動療法の研究(3件・236人)にしぼると、効果の大きさは g 0.55 でした。

効果は「小さめ」と読むのが正確です。研究ごとのばらつきも大きく、誰にでも同じだけ効くわけではありません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

同じ分野の2019年のメタ解析では、効果は大きい結果でした [4]。対面のプログラム、学生、何もしないグループとの比較ほど、効果が大きく出ています。選んだ研究や比べ方で数字が変わるため、「大きく効く」とも「少ししか効かない」とも言い切らず、小さめから大きめまで幅がある、と受け取るのが安全です。

効果が大きく出た解析先延ばしを減らすプログラムのランダム化比較試験 12件・646人

対面・学生・何もしないグループとの比較で、効果の大きさは g 1.18 でした。

個別の試験ではどうだった?

  • 大学生71人: オンラインの認知行動療法を受けたグループは、順番待ちのグループより先延ばしがはっきり減りました [3]
  • 大学生148人: 9週間のオンラインの「感情の扱い方」の練習で、その後の先延ばしが減りました [5]
  • 学業に問題を抱える中高生129人: 認知行動療法で先延ばしが減りました。対象が大学生・大人ではない点に注意です [6]
  • 大学生92人: ネットの認知行動療法と集団の認知行動療法で、終了直後の効果に差はありませんでした。集団のほうが半年後まで効果が続きやすい結果でした [7]

よく言われていることは本当?

  • 考え方と行動を変える心理的なプログラムで、先延ばしは減る効きます。 メタ解析で、何もしないグループより先延ばしが減りました。効果は小さめです [1]。
  • 不安やいやな気持ちとの付き合い方を変えると減る効きます。 大学生148人の試験で、感情の扱い方の練習のあとに先延ばしが減りました [5]。
  • やることを書き出し、いつやるか計画を立てる効きます。 大学生152人の試験で、「いつ・どこで行くか」を決めた人は、約束どおり実験に来る見込みが約8倍高くなりました [8]。根拠の確かさは低めです。小さな実験が中心で、結果のばらつきもあるためです。
  • タスクを小さく分けると取りかかれる効きます。 1,035人の試験で、いやな気持ちを言葉にして作業を小さな手順に分けた人は、「やり終えそう」と答える度合いが高くなりました [9]。実際にやり終えたかは測っておらず、根拠の確かさは低めです。
  • 自分を責めずに許すことが第一歩先延ばしと関連しています。 自分に優しくする・自分を許す気持ちが強い人ほど先延ばしが少ない、という調査結果です。後者は中学1年生の調査です [10] [11]。許す練習で減るかを確かめた実験はありません。
  • 完璧主義をゆるめて始める研究が足りません。 ゆるめた結果、先延ばしが減るかを直接確かめた研究は見つかりませんでした。
  • ポモドーロ・テクニックが効く研究が足りません。 先延ばしへの効果を調べた研究は見つかりませんでした。

計画づくりは、なぜ効く?

理由は研究でまだ確かめられていません。考えられているのは、先に決めておくと、その場で迷って後回しにする余地が減るためです。中国の大学生81人の試験では、うまくいった姿と邪魔になるものを思い浮かべて「もし〜なら〜する」と対策を決める方法が、前向きに考えるだけの方法より、課題へのいやな気持ちを減らし、取りかかる意欲を高めました。1週間後も続いていました [2]。

一方、ストレス対処の計画を立てた大学生154人の試験では、対処の計画は増えましたが、先延ばしに差はありませんでした [12]。計画の対象が、後回しにしている作業そのものではなかった点が違います。

また、中国の学生の研究(40,903人)をまとめた解析では、時間の使い方を計画・管理する傾向が強い人ほど、勉強の先延ばしが少ない関連がありました [13]。これは関連であり、計画を立てれば減るという確認ではありません。

02注意点

研究の対象は、先延ばしに困っている大学生が中心です。2018年のネットの認知行動療法の試験では、効果が1年後も保たれていました [14]。ただし同じグループの中での前後比較で、何もしないグループとの比較ではありません。つらさが強いとき、気分の落ち込みや不安が続くときは、先延ばしの背景に別の不調があることもあります。医師や心理の専門家に相談してください。

方法は一つに決めなくてよい

計画づくりは自分で始められ、重いときは専門家の力を借りる、という分け方ができます。

03まとめ

先延ばしは、心理的なプログラムで減らせます。効果は小さめで、人によって差があります。
計画づくりと感情の扱い方は、試す価値があります。自分を許すこと、ポモドーロは、減らせるかがまだ確かめられていません。
取りかかる前に「いつ・どこで・どうやるか」を決めることから始めましょう。

04よくある質問

Q認知行動療法は、どのくらい効きますか?

メタ解析で効果の大きさは小さめ(g 0.34)でした。認知行動療法の研究にしぼると g 0.55 でした。研究ごとのばらつきは大きく、人によって差があります。

Q完璧主義が原因なら、ゆるめれば先延ばしは減りますか?

研究では確かめられていません。完璧主義への治療の試験でも、先延ばしは副次的な結果で、治療どうしの比較だけでした [[38483057]]。

Qアプリで先延ばしは減らせますか?

大学生85人の試験で、相談役のチャットボットを付けると時間の使い方とストレスが良くなりました。先延ばしの点数の差は、よく使った人だけに見られました [[40208664]]。

Q自分を許せば先延ばしは減りますか?

自分を許す気持ちが強い人ほど先延ばしが少ない、という関連が調査で見られています。練習で減らせるかは、実験ではまだ調べられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]心理的な治療で先延ばしを減らせるか、メタ解析

発表年
2018年
研究機関
スウェーデン・カロリンスカ研究所
掲載誌
Frontiers in psychology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
718人
結果の向き
良い方向

ランダム化比較試験12件・718人をまとめ、先延ばしが減りました。効果の大きさは小さめ(g 0.34)でした。

[2]計画づくり(MCII)で学業の先延ばしを抑える試験

発表年
2026年
研究機関
中国・西南交通大学希望学院
掲載誌
Acta psychologica
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
81人
結果の向き
良い方向

中国の大学生81人で、前向きに考えるだけより、いやな気持ちが減り取りかかる意欲が高まりました。

[3]大学生の先延ばしを減らす集団の認知行動療法

発表年
2026年
研究機関
オランダ・プロ・ペルソナ研究所
掲載誌
Cognitive behaviour therapy
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
71人
結果の向き
良い方向

先延ばしに困る大学生71人で、順番待ちより先延ばしがはっきり減りました。

[4]先延ばしを減らす介入の効果、ランダム化比較試験のメタ解析

発表年
2019年
研究機関
オーストラリア・ニューイングランド大学
掲載誌
Journal of Counseling & Development
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
646人
結果の向き
良い方向

ランダム化比較試験12件・646人をまとめ、効果は大きい結果(g 1.18)でした。

[5]感情の扱い方の練習で先延ばしを減らす

発表年
2022年
研究機関
ドイツ・ロイファナ大学リューネブルク
掲載誌
Frontiers in psychology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
148人
結果の向き
良い方向

大学生148人の9週間のオンライン練習で、順番待ちより先延ばしが減りました。

[6]中高生の学業の燃え尽き・先延ばしへの認知行動療法

発表年
2025年
研究機関
パキスタン・ガバメント・カレッジ大学ファイサラバード
掲載誌
BMC psychology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
129人
結果の向き
良い方向

学業に問題を抱える中高生129人で、先延ばしや燃え尽き、テスト不安が減りました。

[7]ネットと集団の認知行動療法の比較

発表年
2018年
研究機関
スウェーデン・ストックホルム大学
掲載誌
Behavior therapy
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

大学生92人で、終了直後の効果に差はなく、集団のほうが半年後まで続きやすい結果でした。

[8]先延ばしの克服、実行意図の効果

発表年
2008年
研究機関
アメリカ・ホフストラ大学
掲載誌
Journal of Applied Social Psychology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
152人
結果の向き
良い方向

大学生152人で、いつ・どこで行くかを決めた人は、時間どおりに来る見込みが約8倍高い結果でした。

[9]後回しの作業へのいやな気持ちを言葉にする短い取り組み

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・カリフォルニア大学サンタバーバラ校
掲載誌
BMC psychology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
1,035人
結果の向き
良い方向

1,035人で、作業を小さな手順に分けた人は「やり終えそう」と答える度合いが高く、気分もよい結果でした。

[10]先延ばしとストレス、自分への思いやりの役割

発表年
2013年
研究機関
カナダ・ビショップス大学
掲載誌
Self and Identity
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

4つの集団で、先延ばししやすい人ほど自分への思いやりが低く、ストレスが高い関連がありました。

[11]中学1年生の自分を許す気持ちと勉強の先延ばし

発表年
2026年
研究機関
中国・天津師範大学
掲載誌
BMC psychology
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
306人
結果の向き
良い方向

中学1年生306人を追った調査で、自分を許す気持ちが強い生徒ほど先延ばしが少ない関連がありました。

[12]大学生のストレス対処の if-then 計画の試験

発表年
2024年
研究機関
オーストラリア・サンシャイン・コースト大学
掲載誌
Stress and health : journal of the International Society for the Investigation of Stress
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
154人
結果の向き
差なし

大学生154人で、対処の計画は増えましたが、先延ばしに差はありませんでした。

[13]時間管理の傾向と勉強の先延ばしの関連、メタ解析

発表年
2026年
研究機関
中国・陝西学前師範学院
掲載誌
Acta psychologica
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

中国の学生40,903人の研究をまとめ、時間を管理する傾向が強いほど先延ばしが少ない関連(r -0.46)でした。

[14]ネットの認知行動療法の1年後の追跡

発表年
2017年
研究機関
スウェーデン・ストックホルム大学
掲載誌
Cognitive behaviour therapy
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

ネットの認知行動療法の効果は、1年後も保たれていました。

ほかに参考にした論文(7本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。