運動を続けると、自信は高まる?

運動を続けると、自信は高まる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

高まります。運動を続けた人は、自己肯定感が高くなっています。

根拠

子ども・若者のRCT27件 [1]、65歳以上の高齢者のRCT18件 [2]、太極拳をした大人のRCT11件 [3]のメタ解析が、いずれも運動をした人の自尊感情が高いと報告しています。高齢者(SMD 0.49)と太極拳の大人(SMD 0.46)では、小さめから中くらいの改善です。根拠の確かさは低めです。研究の作りに弱さがあるためです。

この答えの範囲

運動を数週間から数か月続けた結果の話です。子ども・高齢者・太極拳の大人で調べられています。乳がんの女性など、対象によっては差が出ない場合もあります。

じゃあ、どうする?

自信をつけたいなら、運動を続ける価値があります。子ども・若者では筋トレの効果が最も大きく、大人は太極拳の研究があります。大学生では、体力や見た目への自信も高くなったと報告されています [4]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量18.420研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 98.4 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

運動と自己肯定感とは

自己肯定感(自尊感情)は、自分には価値があると感じる度合いのことです。「自信」には、この自分への評価のほかに、体力や見た目への自信、「やればできる」という感覚(自己効力感)が含まれます。この記事は、運動を数週間から数か月続けた人を、運動しなかった人と比べた研究で答えます。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、中国の首都体育学院などの研究チームが2025年に発表した、子ども・若者のネットワークメタ解析です [1]。ネットワークメタ解析とは、複数の運動の種類を、研究をまたいでまとめて比べる方法です。

研究の種類運動のRCTを統合したネットワークメタ解析
対象子どもと思春期の若者(27件・3059人)
比べたもの有酸素運動・筋トレ・組み合わせなどと、運動しない対照群
結果運動をした人の自尊感情が高くなり、筋トレが最も効果が大きかった
まとめて分析した結果子ども・若者では、運動をした人の自尊感情が、運動しない人より高くなりました [1]。

種類別では、筋トレが最も効果の大きい運動でした。

年代や運動の種類が違っても、同じ向きの結果

対象が違う研究も、同じ向きです。

  • 65歳以上: 運動プログラムのRCT18件のメタ解析で、運動をした人の自尊感情が高くなりました(SMD 0.49)。抑うつ症状と生活の質も改善しています [2]。
  • 太極拳をした大人: RCT11件のメタ解析で、自尊感情が対照群より高くなりました(SMD 0.46) [3]。
  • 一般的な自己効力感: 13歳以上の若者と大人のRCT8件のメタ解析で、「やればできる」という感覚が中くらいの大きさで高まりました(Hedges' g 0.59) [5]。

対象も運動の種類も違うのに、結果の向きがそろっている点が、この答えの支えです。

体への自信も高まる

「体型や体力への自信」も調べられています。中国の大学生のRCT12件(2128人)では、体力・見た目・運動能力への自信が高くなりました(SMD 0.95) [4]。子ども・若者では、自分の体への見方が良くなっています(10件・3662人、Hedges' g 0.51) [6]。大人の筋トレ11件の系統的レビューでも、8件が体への見方の改善を報告しました [7]。

よく言われていることは本当?

  • 運動を続けると自己肯定感が高まる効きます。 子ども・高齢者・太極拳の大人のメタ解析で、そろって高くなりました [1] [2] [3]。
  • 体型や体力に自信がつく効きます。 体への見方は、大学生・子ども・若者で良くなっています [4] [6]。
  • 成功体験で「やればできる」という感覚がつく効きます。 一般的な自己効力感は中くらいの大きさで高まりました [5]。
  • エンドルフィンで気分が明るくなり、自信につながる研究が見つかりませんでした。 エンドルフィンが自信を高めるしくみを、直接調べた研究は確認できていません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

乳がんと診断された女性のメタ解析(20件・2030人)では、運動全体としては自尊感情が対照群より高くなりませんでした。筋トレと、指導者がつく運動に限ると、改善が見られました [8]。子ども・若者でも、運動だけを行ったRCTでは自分についての評価が高くなりましたが、運動に他の取り組みを組み合わせた研究では差がありませんでした [9]。

差がなかった解析乳がんと診断された女性 2030人(20件)

運動全体では差がなく、筋トレと指導付きの運動に限ると改善が見られました。

根拠の確かさが低めな理由

太極拳のメタ解析は、含まれた研究のすべてでバイアスのリスクが高いか懸念がありました [3]。コクランの系統的レビュー(RCT23件・1821人)も、運動は短期的に自尊感情を高める可能性があるとしつつ、小さく質の低い研究が中心だと述べています [10]。大学生の体への自信の解析は、研究ごとのばらつきが大きく、出版バイアスもありました [4]。向きはそろっていますが、効果の大きさは割り引いて読むのが正確です。

02注意点

多くの研究は、数週間から数か月の運動プログラムで効果を測っています。やめたあとも続くかは、ここで示した研究からは分かりません。対象は、子ども・若者、65歳以上、太極拳をした大人が中心で、持病のある人が含まれる研究もあります。持病がある人や、運動を始めると体調が心配な人は、医師に相談してから始めてください。

対象の違いを確かめる

子ども・高齢者・太極拳の大人で調べられた結果で、すべての人に同じ大きさで当てはまるとは限りません。

03まとめ

運動を続けると、自己肯定感は高まります。ただし根拠の確かさは低めです。
あなたが子ども・若者、65歳以上、太極拳をする大人なら、研究の対象に近い人です。
続けやすい運動を選び、筋トレや太極拳など、教わりながらできる形も試してみましょう。

04よくある質問

Qどの運動がいちばん自信につながりますか?

子ども・若者の解析では、筋トレが最も効果の大きい運動でした [[41174613]]。ただし、有酸素運動や組み合わせなど、ほかの運動でも自尊感情は高くなっています。大人では太極拳の研究があります [[39953472]]。

Q運動で気分が明るくなれば、自信もつきますか?

エンドルフィンが自信を高めるしくみを直接調べた研究は、確認できていません。研究で確かめられているのは、運動を続けた人の自尊感情や自己効力感が高くなったという結果です [[30473437]]。

Q高齢になってからでも効果はありますか?

あります。65歳以上のRCT18件のメタ解析で、運動をした人の自尊感情が高くなりました(SMD 0.49) [[24602398]]。

Q体型が変わらなくても自信は上がりますか?

この記事の研究は、体型の変化を条件にしていません。子ども・若者や大学生では、自分の体への見方が良くなったと報告されています [[42964252]] [[42325342]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(10本)

[1]子ども・若者の運動と、うつ・不安・自尊感情のネットワークメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・首都体育学院
掲載誌
BMC public health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,059人
結果の向き
良い方向

子ども・若者のRCT27件(3059人)の統合で、運動をした人の自尊感情が高くなり、筋トレが最も効果が大きかった。

[2]高齢者の運動プログラムと、抑うつ・生活の質・自尊感情の系統的レビュー

発表年
2014年
研究機関
韓国・培材大学
掲載誌
Applied nursing research : ANR
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究18件を統合
結果の向き
良い方向

65歳以上のRCTのメタ解析(18件)で、運動をした人は自尊感情が高くなった(SMD 0.49)。

[3]大人の太極拳と、自尊感情・自信の系統的レビューとメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・香港中文大学
掲載誌
BMC nursing
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究11件を統合
結果の向き
良い方向

大人の太極拳のRCT11件で、自尊感情が対照群より高かった(SMD 0.46)。すべてバイアスのリスクが高いか懸念がある。

[4]中国の大学生の、運動と体についての自尊感情のメタ解析

発表年
2026年
研究機関
中国・中国鉱業大学
掲載誌
Frontiers in psychology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,128人
結果の向き
良い方向

中国の大学生2128人(RCT12件)で、体への自信が高くなった(SMD 0.95)。ばらつきが大きく、出版バイアスもあった。

[5]運動が、心の不調に共通する要因に与える効果のメタ解析

発表年
2019年
研究機関
アメリカ・テキサス大学オースティン校
掲載誌
Behaviour research and therapy
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
良い方向

13歳以上のRCT8件で、運動は一般的な自己効力感を中くらいの大きさで高めた(Hedges' g 0.59)。

[6]子ども・若者の運動と、身体的自己概念のメタ解析

発表年
2026年
研究機関
中国・蘭州大学
掲載誌
Frontiers in psychology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,662人
結果の向き
良い方向

子ども・若者3662人(10件)で、自分の体への見方が良くなった(Hedges' g 0.51)。ばらつきは大きかった。

[7]大人の筋トレと、ボディイメージの系統的レビュー

発表年
2017年
研究機関
アメリカ・コロンビア大学
掲載誌
Journal of strength and conditioning research
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究11件を統合
結果の向き
良い方向

大人の筋トレ11件のうち8件が、体への見方の改善を報告した。質が高い研究は3件だけだった。

[8]乳がんの女性の運動と、ボディイメージ・自尊感情・自己効力感のメタ解析

発表年
2024年
研究機関
スペイン・セビリア大学
掲載誌
Supportive care in cancer : official journal of the Multinational Association of Supportive Care in Cancer
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,030人
結果の向き
差なし

乳がんの女性(20件・2030人)で、運動全体では自尊感情に差がなく、筋トレと指導付きの運動では改善が見られた。

[9]子ども・若者の運動と、自尊感情・自己概念のメタ解析

発表年
2015年
研究機関
中国・中南大学
掲載誌
PloS one
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,991人
結果の向き
良い方向

3〜20歳の研究で、運動だけを行ったRCTでは自分への評価が高くなり、他の取り組みを組み合わせた研究では差がなかった。

[10]子ども・若者の自尊感情を高める運動のコクランレビュー

発表年
2004年
研究機関
ノルウェー・ノルウェー保健社会局
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,821人
結果の向き
良い方向

RCT23件(1821人)で、運動は短期的に自尊感情を高めるとされた。ただし小さく質の低い研究が中心。

ほかに参考にした論文(10本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。