[1]慢性腰痛では運動の種類によって効果に差がある
- 発表年
- 2021年
- 研究機関
- カナダ・ダルハウジー大学
- 掲載誌
- Journal of physiotherapy
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 20,969人
- 結果の向き
- 良い方向
慢性腰痛の成人で、ピラティスは最小限の治療より痛みと生活の不自由さを中くらい〜臨床的に意味のある大きさで減らした。

慢性腰痛では、週1〜3回・8〜12週間ほどで痛みが減ります。
3か月以上続く腰痛のある成人の話です。健康な人で頻度や期間を比べた研究は見つかっておらず、体重の変化も太りぎみ・肥満の人に限った結果です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 100 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 5 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ピラティスは、体幹を意識しながら呼吸と合わせてゆっくり動く運動です。床で行うマットと、器具を使うマシンがあります。姿勢や柔軟性、腰の不調の改善が期待されるとされています。研究で多く調べられているのは、慢性腰痛への効果です。
頻度と期間をいちばん詳しく調べたのは、慢性腰痛の研究です。答えの中心は、中国民用航空飛行大学などの研究チームが2025年に発表したメタ解析です [3]。メタ解析とは、似た試験の結果を集めて一つにまとめる方法です。
| 研究の種類 | 慢性腰痛への体幹トレーニングを比べた、ランダム化比較試験のメタ解析(57件) |
|---|---|
| 対象 | 18〜65歳の慢性腰痛の成人(7705人) |
| 比べたもの | ピラティス、体幹の筋力トレーニング、体幹の安定化トレーニング |
| 結果 | ピラティスは対照群より痛みを改善した(効果量0.75。3種類の中で最大だが、種類の間に統計的な差はなかった) |
ピラティスでは、週2〜3回・各回50分・8〜12週間が、最も効果的な条件でした。
別の見方でも同じ傾向です。慢性腰痛のランダム化比較試験118件・9710人のネットワークメタ解析では、ピラティスは痛みと生活の不自由さを減らす可能性が最も高い運動で、効果が大きかったのは週1〜2回以上、3〜9週間のプログラムでした [6]。ネットワークメタ解析とは、直接比べていない運動どうしも含めて順位をつける方法です。
試験で回数を直接比べた例もあります。慢性腰痛の296人で、全員に助言をしたうえで、ピラティスを週1回・週2回・週3回に分けました。6週後には、どの回数でも助言だけの群より痛みが減りました。週2回は週1回より、痛みも生活の不自由さもさらに減っていました [4]。
コクランレビュー(研究の質を厳しく評価する国際的なまとめ)でも、腰痛のある成人で、ピラティスは最小限の介入より短期的な痛みを平均14.05点(100点満点)減らしました。ただし、研究の質は低いと評価されています [2]。
ピラティスが、ほかの運動より腰痛に効くとは言えません。コクランレビューでは、ほかの運動と比べたとき、生活の不自由さに有意な差はありませんでした [2]。自宅での運動と比べた試験でも、ピラティスのほうが痛みは少なかったものの、差は臨床的に意味のある大きさではありませんでした [7]。
終了時の痛みは少なかったが、臨床的に意味のある差ではなかった。
体重は、太りぎみ・肥満の人に限った結果です。ランダム化比較試験11件・393人のメタ解析で、ピラティスはほかの運動や何もしない場合と比べて、体重を平均2.40kg減らしました。期間が長い研究ほど、体重とBMIの減り方がはっきりしていました [8]。
一方、健康な成人のマットピラティスでは、BMI・体脂肪率・除脂肪量・腹囲は、ほかの運動や運動しない場合と差がありませんでした [9]。
柔軟性や体幹では、健康な中年の男女50人が週2回・1回60分を12週間続けた試験で、腹筋の持久力と太ももの裏の柔軟性が対照群より伸びました。姿勢とバランスには差がありませんでした [10]。60歳以上の人では、バランスが運動しない群より改善しました(効果量0.36、39件のメタ解析。研究の質は低い)[11]。
研究で使われた量は、週1〜3回・6〜12週間ほどの教室やプログラムです。たとえば、慢性腰痛の296人の試験は、6週後に痛みを測っています [4]。3か月以上の長期の結果は、集めた研究からは分かりません。痛みが急に強くなる、足にしびれが出るなどの症状があるときは、続ける前に医師に相談してください。持病がある人や妊娠中の人も、医師や専門家に確認してから始めましょう。
3か月以上続く腰痛の人の結果です。急な痛みやしびれがあるときは、運動の前に受診してください。
ピラティスは、慢性腰痛では週1〜3回・8〜12週間ほどの運動で痛みを減らします。
体重の変化は太りぎみ・肥満の人の結果で、健康な人の頻度や期間を比べた研究はありません。
週2回を目安に始め、数週間単位で痛みの変化を確かめてください。
慢性腰痛の人では、週1回でも助言だけの群より6週後の痛みが減りました。週2回は週1回よりさらに改善が大きい結果でした [[29525763]]。
研究では確かめられていません。多くの試験は、数週間から3か月ほどの期間のあとで痛みなどを測っています [[41178988]]。
毎日行った場合を調べた研究は、今回集めた中にはありません。研究で使われたのは、週1〜3回ほどでした [[35722759]]。
慢性腰痛の週2回・6週間の試験では、高強度でも低強度でも痛みと生活の不自由さの改善はほぼ同じでした [[40122758]]。
慢性腰痛の成人で、ピラティスは最小限の治療より痛みと生活の不自由さを中くらい〜臨床的に意味のある大きさで減らした。
腰痛の成人で、ピラティスは最小限の介入より短期的な痛みを平均14.05点減らした(研究の質は低い)。
慢性腰痛の成人を対象に、ピラティスは体幹トレーニングの中で痛みを最も改善した(効果量0.75)。
慢性腰痛の296人で、週1・2・3回のどれも助言だけより痛みが減り、週2回は週1回よりさらに減った。
週2回・6週間で、高強度でも低強度でも痛みと生活の不自由さの改善はほぼ同じだった。
慢性腰痛の成人で、ピラティスは痛みと生活の不自由さを減らす可能性が最も高い運動だった。
週2回・6週間のピラティスは自宅運動より痛みが少なかったが、臨床的に意味のある差ではなかった。
太りぎみ・肥満の成人で、ピラティスは体重を平均2.40kg減らした。
健康な成人のマットピラティスは、BMIや体脂肪率などで差がなかった。
中年の男女で、週2回・12週間で腹筋の持久力などが伸びたが、姿勢とバランスには差がなかった。
60歳以上でバランスが改善した(効果量0.36、研究の質は低い)。
成人の姿勢が改善したが、研究の質は非常に低い〜低い。
腰痛のある人で、ピラティスは運動しない場合より腰痛を和らげた。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。