ピラティスで体幹は鍛えられる?

ピラティスで体幹は鍛えられる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

鍛えられます。体幹の持久力が、運動しない人より伸びます。

根拠

健康な大人を、ピラティスをするグループとしないグループに分けた試験で、腹筋の持久力などの体幹テストが伸びました [1] [2] [3]。一方、別の運動と比べた試験では、グループ間の差はありませんでした [4]。根拠の確かさは中程度です。体幹の筋持久力だけを数値でまとめたメタ解析は無く、試験は数十人規模が中心だからです。

この答えの範囲

週2〜3回のマットピラティスを6〜12週間続けた、健康な大人の話です。腰痛のある人や高齢者は結果が別です。体幹の深い筋肉の働きが高まったのは、ピラティスの動作中だけという試験もあります。

じゃあ、どうする?

運動習慣がない人が体幹の持久力を伸ばしたいなら、ピラティスは選択肢になります。ほかの運動より優れるわけではないので、続けやすい運動を選ぶのが現実的です。体幹の別の鍛え方は プランクにはどんな効果がある? も参考になります。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。13 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 79 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量12.320研究件数と参加人数
一致度16.725結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 79 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 79 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 6 本・RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ピラティスとは

ピラティスは、呼吸を意識しながら、お腹や背中の深い筋肉を使ってゆっくり動くエクササイズです。マットの上で行うものと、専用の器具を使うものがあります。体幹やインナーマッスルに働きかけるとされ、姿勢の改善や腰痛の軽減もうたわれますが、これは研究で確かめた内容ではありません。注意点は、教室や指導者によって内容が違うことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのガスタバス・アドルファス大学などの研究チームが2010年に発表したランダム化比較試験です [1]。ランダム化比較試験とは、参加者をくじ引きのように分けて結果を比べる方法です。

研究の種類ランダム化比較試験
対象ふだん活動的な中年の男女
比べたもの器具を使わないマットピラティス(週2回・1回60分・12週間)と、運動しないグループ
結果ピラティスのグループで腹筋の持久力が有意に高まった。姿勢とバランスは差がなかった
試験の結果ピラティスを12週間続けたグループは、運動しないグループより腹筋の持久力が高まりました [1]。

同じ向きの結果が、年齢や期間の違う試験でも報告されています。

同じ向きの結果は、ほかの試験にもあります。

  • トルコの18〜25歳の健康な33人は、オンラインのピラティスを週3日・1日1時間、6週間続けました。体幹の筋持久力テストがすべて向上し、運動しなかったグループは変わりませんでした [2]。
  • トルコの健康な女子大学生は、週2回・1時間のマットピラティスを8週間続けました。運動しないグループより、腹筋の持久力を測るカールアップが有意に高まりました [3]。

体幹のテストは「どれだけ長く姿勢を保てるか」「何回できるか」を測る持久力が中心です。体幹の最大の力を測ったものではありません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

ピラティスとほかの運動を比べた試験では、差が出ていません。運動習慣のない20〜45歳の女性43人で、ピラティスとダンスなどを組み合わせた運動を週2日・60分、8週間比べたところ、プランクの持続時間を含むすべての項目で差はありませんでした。どちらも運動前よりは伸びています [4]。ピラティスと他の運動を比べたRCTのまとめも、筋力・バランス・柔軟性に差はないとしています。ただし確実性は非常に低い〜低いとされています [5]。

差がなかった試験運動習慣のない20〜45歳の女性43人(ピラティスとNIAの比較)

プランクの持続時間を含め、グループ間の差はありませんでした。

深い筋肉の働きを超音波で測った試験もあります。腰痛のないジム会員34人を、ピラティスと筋トレに分けて比べました。腹横筋(お腹の深い筋肉)の働きが高まったのは、ピラティスの動きをしているときだけでした。座る・立つ姿勢では変わらず、内腹斜筋の厚さは筋トレのグループのほうが大きくなりました [6]。

よく言われていることは本当?

  • 体幹・インナーマッスルが鍛えられる持久力については本当です。 運動しない人と比べて、腹筋などの持久力が伸びました [1]。ただし、ほかの運動より鍛えられるとは言えません [4]。
  • 腰痛が楽になる痛みは減ります。 慢性腰痛のメタ解析では、ピラティスをした人の痛みの尺度が下がりました [7]。根拠の確かさは低めです。コクランのレビューが、根拠の質は低いとしているためです [8]。
  • 姿勢が良くなる研究が足りません。 姿勢の問題のある人を中心にしたまとめでは、役立つとされつつ、今後さらに研究が必要とされています [9]。健康な中年の試験では、運動しないグループと差がありませんでした [1]。
  • 体が柔らかくなる(柔軟性)年齢によります。 60歳以上のメタ解析では柔軟性が改善しました [10]。健康な中年の試験では運動しないグループと差がなく [1]、ほかの運動と比べても差はありません。根拠の確かさは低〜非常に低いとされています [5]。
  • バランスが良くなる・転びにくくなる高齢者では本当です。 60歳以上のメタ解析で、バランスが改善し転倒のリスクも下がりました [10]。健康な中年の試験では差がありませんでした [1]。
  • 体が温まりやすくなる(冷えの改善)研究が見つかりませんでした。 今回の検索では、ピラティスで冷えを調べた研究がありませんでした。

高齢者や腰痛のある人では

60歳以上では結果が割れています。バランスや筋力が中くらい改善したというメタ解析がある一方で [10]、筋力・持久力を高める目的ではまだ勧められないとするメタ解析もあります [11]。慢性腰痛の人のRCT8件のレビューでは、ピラティスは同じ量のほかの運動に劣らず、運動しない場合などよりは、筋肉の厚さで見た体幹の筋力を高めることがありました [12]。

02注意点

紹介した試験は、週2〜3回・6〜12週間という条件でした。たとえば中年の男女の試験では、週2回・60分を12週間続けています [1]。小さな試験が中心で、人数が22人の予備的な試験もあります [13]。持病や痛みがある人、妊娠中の人、運動に不安がある人は、始める前に医師や理学療法士に相談してください。

結果は健康な大人の話

腰痛のある人や高齢者は結果が別なので、症状があるときは専門家に確認してください。

03まとめ

ピラティスは、運動しない人と比べて体幹の持久力を伸ばします。
ほかの運動と差がなかった試験もあるので、体幹だけを理由に選ぶ必要はありません。
教室の雰囲気や通いやすさで選び、まず週2回を目安に数週間続けてみましょう。

04よくある質問

Qマットだけでも体幹は鍛えられますか?

はい。紹介した試験の多くは、器具を使わないマットピラティスでした。週2回・1回60分を12週間続けた試験で、腹筋の持久力が高まっています [[20145572]]。

Qほかの運動より体幹に効きますか?

上回るとは言えません。ダンスなどを組み合わせた運動と比べた試験では、プランクの持続時間を含めて差がありませんでした [[39593466]]。

Qどのくらいで体幹の変化が出ますか?

試験では6週間のオンライン教室で、体幹の筋持久力テストが向上しています [[34716884]]。何週間で何が変わるかは、人によって違います。

Qインナーマッスルは必ず鍛えられますか?

必ずとは言えません。腹横筋の働きが高まったのは、ピラティスの動きをしているときだけという試験があります [[21075038]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(13本)

[1]ピラティスは筋持久力・柔軟性・バランス・姿勢を改善するか

発表年
2010年
研究機関
アメリカ・ガスタバス・アドルファス大学
掲載誌
Journal of strength and conditioning research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
50人
結果の向き
良い方向

ふだん活動的な中年の男女が週2回60分のピラティスを12週間続けると、腹筋の持久力が高まった。

[2]オンラインのピラティスは固有感覚と体幹の筋持久力に有効

発表年
2022年
研究機関
トルコ・シヴァス・ジュムフリイェト大学
掲載誌
Irish journal of medical science
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
33人
結果の向き
良い方向

18〜25歳の健康な33人が6週間続けると、体幹の筋持久力テストがすべて向上した。

[3]ピラティスはバランス・柔軟性・筋持久力に有効か

発表年
2016年
研究機関
トルコ・ウフク大学
掲載誌
The Journal of sports medicine and physical fitness
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
47人
結果の向き
良い方向

健康な女子大学生が週2回のマットピラティスを8週間続けると、腹筋の持久力が高まった。

[4]運動習慣のない女性での神経筋統合運動とピラティスの比較

発表年
2024年
研究機関
トルコ・アランヤ・アラアディン・ケイクバット大学
掲載誌
Journal of bodywork and movement therapies
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
43人
結果の向き
差なし

運動習慣のない20〜45歳の女性43人で、ピラティスと別の運動の間に差はなかった。

[5]ピラティスはほかの運動より筋力を高めるか

発表年
2022年
研究機関
ブラジル・サンパウロ市立大学
掲載誌
Heliyon
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

ピラティスとほかの運動を比べたRCTのまとめで、筋力に差はなかった。

[6]ピラティスと従来の運動が腹横筋・内腹斜筋の活動に与える影響

発表年
2011年
研究機関
イギリス・ロンドン大学キングス・カレッジ
掲載誌
Manual therapy
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
34人
結果の向き
結果が割れている

腰痛のないジム会員34人で、腹横筋の働きが高まったのはピラティスの動作中だけだった。

[7]慢性腰痛へのピラティスの効果のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
中国・広西師範大学
掲載誌
International journal of environmental research and public health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,108人
結果の向き
良い方向

慢性腰痛の1108人(RCT19件)で、ピラティスをした人は対照より痛みの尺度が下がった。

[8]腰痛に対するピラティス(コクランレビュー)

発表年
2015年
研究機関
オーストラリア・シドニー大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
510人
結果の向き
良い方向

最小限の対応より痛みが100点満点で平均14.05点下がったが、根拠の質は低かった。

[9]ピラティスが姿勢に与える影響の系統的レビュー

発表年
2024年
研究機関
マレーシア・プトラ・マレーシア大学
掲載誌
Archives of rehabilitation research and clinical translation
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

姿勢の問題のある人を中心に、改善に役立つとされたが、さらに研究が必要とされた。

[10]ピラティスは高齢者の身体機能を高め転倒リスクを下げる

発表年
2021年
研究機関
スペイン・カスティーリャ・ラ・マンチャ大学
掲載誌
Physiotherapy
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

60歳以上でバランス・筋力・柔軟性が中くらい改善し、転倒のリスクも下がった。

[11]高齢者の筋力・持久力・パワーへのピラティスの効果

発表年
2024年
研究機関
ブラジル・北パラナ州立大学
掲載誌
Journal of bodywork and movement therapies
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

60歳以上で、筋力・持久力を高める目的ではまだ勧められないとまとめられた。

[12]慢性腰痛での体幹の筋活動を高めるピラティスの系統的レビュー

発表年
2023年
研究機関
オーストラリア・ラ・トローブ大学
掲載誌
Healthcare (Basel, Switzerland)
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
良い方向

慢性腰痛の人のRCT8件で、筋肉の厚さで見た体幹の筋力を高めることがあった。

[13]ブラジルのヒップホップダンサーでのマットピラティスの効果

発表年
2026年
研究機関
ブラジル・リオグランデ・ド・スル連邦大学
掲載誌
Journal of dance medicine & science : official publication of the International Association for Dance Medicine & Science
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
22人
結果の向き
良い方向

ダンサー22人の予備的な試験で、12週間のピラティスにより腹筋の筋力・持久力が改善した。

ほかに参考にした論文(10本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。