[1]乾燥肌の人で、ワセリンとグリセリン入りクリームの効果を比べた試験
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- フランス・トゥール大学
- 掲載誌
- Journal of cosmetic dermatology
- 研究の種類
- ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
- 対象
- 51人
- 結果の向き
- 良い方向
乾燥肌の人51人で、ワセリンの成分は水分の蒸発を減らし、水分量を上げたのはグリセリンの成分でした。

乾燥肌に効きます。水分の蒸発を防ぐ力は植物油などの油剤より強く、クリームとは差がありません。
大人の乾燥肌の話です。試験が測ったのは12時間後までの水分の蒸発量などで、症状の軽さではありません。蒸発を防ぐ力は油剤より強く、クリームとは差がなく、水分を足す力はクリームが上です。赤ちゃんのアトピー予防には効きません。
ふだんの保湿のあとに、乾燥がひどい部分や唇・手に薄くのばすのが基本です。化粧水や保湿剤のあとに重ねる使い方が一般に勧められますが、塗る順番を比べた研究はありません。水分も足したいときは、グリセリンなどを含む保湿剤と組み合わせます [1]。湿疹やただれがあるとき、赤ちゃんに使うときは、医師か薬剤師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 32 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 7.8 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 70.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ワセリンは、石油から得られる炭化水素類の半固形の混合物を精製した、油性の軟膏の基剤です。皮膚の乾燥を防ぎ、保護するとされ、医薬品としても化粧品としても使われ、精製の度合いで白色ワセリンや黄色ワセリンなどに分かれます。油の膜で肌を覆い、水分の蒸発を防ぐのが特徴です。注意点は、湿疹やただれ、傷のある肌には、使う前に医師か薬剤師に確認することです。
| 研究の種類 | ランダム化クロスオーバー試験 |
|---|---|
| 対象 | 乾燥肌の人(51人) |
| 比べたもの | 保湿クリーム、基剤だけ、基剤+グリセリン、基剤+ワセリン |
| 結果 | ワセリンの成分が蒸発を減らし、グリセリンの成分が水分量を上げた |
肌の水分量そのものを上げたのは、グリセリンの成分でした [1]。
水分の蒸発を防ぐ力は、油剤(植物油・流動パラフィン・シリコーン)よりワセリンのほうが強いです。クリームとの比較では、蒸発の量に差はありません。肌の水分量そのものを上げる力は、クリームのほうが上です。乾燥肌の人で、市販の化粧水や保湿クリームと直接比べたランダム化比較試験や系統的レビューは、見つかっていません。
油剤との比較: 蒸発を防ぐ力はワセリンが上
どれも健康な人で、1回塗って数時間の測定です。
クリームとの比較: 蒸発の量は同じ
水分量を上げる力: クリームが上
脂質配合の保湿剤・尿素
選ぶ理由は、蒸発を防ぐ力と、成分の単純さです。
日本薬局方(医薬品の公的な規格)では、白色ワセリンは精製して完全に、または大部分を脱色したもの、黄色ワセリンは精製したもので黄色です。製品によっては、白色ワセリンの規格に合わせて不純物をさらに減らしたものがあります。ただし、種類ごとに肌への合いやすさを比べた研究は見つかりません。
かぶれは、まれです。皮膚の手術後の922人の試験で、かぶれは白色ワセリン側で0人、抗菌薬の軟膏側で4人でした [6]。白色ワセリンでかぶれた人の症例報告もごくわずかです [23] [24] [25]。ただし、どれも傷に塗った研究で、乾燥肌にふだん使う研究ではありません。
大人の乾燥肌で長く使った安全性を調べた試験は、集めた中にありません [1]。湿疹やただれ、傷のある肌、薬でアレルギー症状を起こしたことがある人、赤ちゃんは、使う前に医師か薬剤師に確認してください。
添付文書にも、使用後に皮膚の発疹・発赤、かゆみが出たら中止して相談するよう書かれています。
ワセリンは、水分を閉じ込めて乾燥肌を守ります。蒸発を防ぐ力は油剤より強く、クリームとの差はなく、水分を足す力はクリームが上です。
医薬品か化粧品かは、区分と成分欄で見分けられます。
ふだんの保湿のあとに薄く塗り、合わないと感じたら中止して相談してください。
植物油やシリコーンなどの油剤よりは、強く防ぎます。クリームとは差がありませんでした [[12828742]]。化粧水と直接比べた研究は見つかっていません。
顔に塗って効くかを直接調べた研究は、今回集めた中にありません。
試験は12時間後までを測っており、何日で良くなるかは研究から言えません。
肌への合いやすさを比べた研究は見つかりません。日本薬局方では、白色ワセリンは脱色したもの、黄色ワセリンは精製したままのものと区別されます。
乾燥肌の人51人で、ワセリンの成分は水分の蒸発を減らし、水分量を上げたのはグリセリンの成分でした。
大人9人と赤ちゃん7人の腕で、肌を覆う力は油が10〜20%、ワセリンは40〜60%だった。
健康な人の腕で、植物油と流動パラフィンは同じ程度に覆い、いちばん強く覆ったのはワセリンだった。
15人のほおに塗り分けて寒い部屋で60分過ごすと、水分の蒸発量と赤みに差はなかった。
健康な人20人の背中で、白色ワセリンが洗剤の成分などによる肌荒れを強く防ぎました。
皮膚科の手術を受けた922人で、白色ワセリンを塗った人にかぶれは1人もいませんでした。
軽いやけどの大人の試験で、ワセリンのジェルの群でも抗菌薬の群でも、かぶれや傷の感染は見られなかった
目のまわりの手術のあと、ミネラルオイルとワセリンの軟膏と抗菌薬の軟膏で、かぶれの割合はどちらも0.5%で同じだった
健康な女性26人で、ワセリンは肌を覆う層をつくり、4時間を超えて肌の水分量を上げた。化粧品によく使われるシリコーンの油剤は肌を保湿しなかった
健康な大人54人で、どちらも水分量を上げ、ワセリンはさらに水分の蒸発量を減らした。
女性80人で、植物油は塗った直後はワセリンに及ばないが、多くは6時間を通して見ると同じくらいだった。
大人23人に28日間塗り分けると、蒸発量は変わらず、アトピーのある人で水分量が上がったのはクリームだけだった。
女性42人で、10時間後の水分量は、クリームでは上がり、白色ワセリンでは上がらなかった。
高齢者の乾燥肌で、保湿成分(D/DC)を20%含むクリームは、白色ワセリンより乾燥のスコアと肌の水分の指標を良くした。白色ワセリンは、何も塗らない場合より乾燥のスコアだけを良くした
洗剤やテープで傷めた肌で、肌と同じ脂質のクリームがワセリンだけより優れる結果は出ませんでした。
慢性の手湿疹の大人30人で、どちらの保湿剤も症状が良くなり、差はありませんでした。
軽い〜中くらいのアトピー性皮膚炎の子ども53人で、パラフィンが主成分の保湿剤とセラミドの保湿剤は、3か月後の水分の蒸発量や症状の改善が同じくらいだった
すねの乾燥が中くらい〜重い人の試験で、深海魚の油(オレンジラフィー油)の乾燥への有効率は60%、ワセリンは68%で、同じくらいだった
健康な20人の前腕で、先にワセリンを塗っておくと、洗剤の成分・アルカリ・有機溶剤による肌荒れを、程度の差はあるが防いだ。乳酸に対しては効きが弱かった
水仕事の多い職場の人507人(RCT3件)のコクランのメタ解析で、保湿剤を使った人の13%、使わない人の19%に手荒れが出た(リスク比0.71)。減る傾向はあったが、統計的にははっきりしなかった。ワセリンだけでなく保湿剤全体の結果
赤ちゃん3075人で、スキンケアをしても湿疹のリスクはほぼ変わらず、皮膚の感染はやや増えました。
11件のメタ解析で、アトピーになりやすい赤ちゃんに早くから保湿剤を塗ると、アトピー性皮膚炎のリスクが下がった(リスク比0.64)。
白色ワセリンでかぶれた人の症例報告。白色ワセリンによるかぶれの報告は、これまでごくわずかしかないとされる
手の湿疹が続き軟膏が合わなかった51歳の男性で、傷ついた肌に白色ワセリンを当てるとかぶれの反応が出た(まれな症例報告)
アトピー性皮膚炎と思われていた31歳の女性で、ワセリンだけを当てたパッチテストに強い反応が出た(まれな症例報告)
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。