[1]湿疹に対する保湿剤のコクランレビュー
- 発表年
- 2017年
- 研究機関
- オランダ・ライデン大学医療センター
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 607人
- 結果の向き
- 良い方向
湿疹の人607人(RCT6件)で、保湿剤を使うとぶり返しが約3分の1に減りました。

肌荒れしにくくなります。乾燥肌では乾燥が軽くなり、湿疹のある肌ではぶり返しが減ります。
乾燥肌の人と、湿疹(アトピー性皮膚炎)のある人で確かめた結果です。水仕事で手が荒れやすい人の研究は、本文にまとめています。
乾燥肌なら、保湿を続ける価値があります。湿疹がある人は、保湿がぶり返しを減らすので、医師の指示に沿って毎日続けてください。水仕事が多い人の手荒れ対策としても、試す価値があります。保湿剤の中身で結果が分かれた試験があるので、塗って赤みやひりつきが出たものは使い続けないでください [4]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 12.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 88.6 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
保湿剤は、クリームやローション、ワセリンなど、肌の水分を保つために塗るものです。かさつきや乾燥を和らげるとされ、水分を抱え込む成分(尿素やグリセリンなど)と、油で覆う成分(ワセリンなど)があります。化粧品として売られるものと、医療で使うものがあります。
研究が確かめた対象は、次の三つです。
答えの中心は、湿疹(アトピー性皮膚炎)のある人の研究です。保湿剤で湿疹のぶり返しが約3分の1に減りました。RCT6件・607人のまとめで、リスク比は0.33です [1]。ステロイドの塗り薬で湿疹が治まった大人が、保湿剤を12週間塗ると、保湿成分を除いた基剤よりぶり返しが少なくなりました [9]。
乾燥肌の人では、方向がそろっています。中等度〜重度の乾燥肌の52人が、低刺激の洗浄料に加えて保湿剤を朝晩塗ると、洗浄料だけの人より2週間で乾燥・赤み・皮むけがはっきり改善しました [3]。50〜75歳のかゆみのある乾燥肌の50人では、保湿クリームを4週間塗ると、何も塗らない人より乾燥が改善しました。白色ワセリンは乾燥だけが改善しました [10]。ワセリンについては ワセリンで乾燥肌は良くなる? にまとめています。
根拠の確かさは低めです。介護施設の高齢者で調べた試験が中心で、人数が少なく、方法に弱い点もあるためです [2]。
肌荒れのない人で調べたのは、ドイツのドレスデン工科大学などの研究チームが2018年に発表したコクランレビューです [5]。コクランレビューとは、決めた手順で比較試験を集め、結果を整理する方法です。肌荒れのない人に、保湿剤で水仕事の手荒れを防げるかを調べました。
| 研究の種類 | 比較試験のまとめ(コクランレビュー) |
|---|---|
| 対象 | 手荒れのない、職場で手が傷みやすい人(507人・3件) |
| 比べたもの | 保湿剤を使った人と、使わなかった人 |
| 結果 | 手荒れが出た人は13%対19%。差ははっきりしない |
差は統計的にはっきりせず、根拠の確かさは低めです。
対象は金属加工、清掃、調理、看護などの仕事の人で、期間は4週間〜3年と幅があります。
短い期間でははっきりした差が出た試験もあります。イギリスのリーズ大学などの研究チームによる2010年の試験では、健康な大人132人が1日15回、14日間手を洗いました。保湿剤を塗らなかった人は手の荒れが悪化し、保湿剤を塗った人では悪化が見られませんでした [11]。
健康な肌に保湿剤を塗り続けると、逆に刺激に弱くなったという試験があります。片腕に1日3回・4週間塗った試験では、刺激物を当てたあと、塗った腕のほうが肌から逃げる水分が多くなりました [6]。78人が7週間塗った試験では、成分を絞った簡素なクリームとジェルで刺激を受けやすくなり、尿素入りの市販のクリームでは受けにくくなりました [4]。
簡素なクリームとジェルは刺激に弱くなり、尿素入りのクリームは強くなりました。
結果が分かれる理由は、保湿剤の中身の違いと考えられます。ただし、どの成分が原因かは確かめられていません。
研究で使われた保湿剤の種類、期間、対象者はばらばらです。水仕事の試験は4週間〜3年、洗浄料と併用した乾燥肌の試験は2週間でした。湿疹の解析では、保湿剤で有害事象が増えたという差は見られませんでした [1]。湿疹がある人、塗って赤みやかゆみが出る人は、皮膚科の医師や薬剤師に相談してください。
健康な肌では、保湿剤の中身で結果が分かれました。塗って赤みやひりつきが出たものは、使うのをやめてください。
保湿は、乾燥肌と湿疹のある肌に効きます。
湿疹ではぶり返しが約3分の1に減り、乾燥肌では乾燥が軽くなります。
乾燥や湿疹があるなら、毎日の保湿を続けましょう。
乾燥肌では、クリームだけでも十分に潤ったという試験があります [[29394018]]。化粧水とクリームの順番は、ほとんど関係ありませんでした。
健康な肌に塗り続けて刺激に弱くなった試験と、強くなった試験の両方があります [[10086859]] [[9197961]]。量そのものを比べた研究は見つかっていません。
研究では確かめられていません。花粉による肌荒れに保湿剤を使った比較試験は見つかっていません。
湿疹の人607人(RCT6件)で、保湿剤を使うとぶり返しが約3分の1に減りました。
乾燥の程度は3件の研究(245人)で測られ、スキンケアで乾燥が軽くなったと報告されました。
中等度〜重度の乾燥肌の52人で、保湿剤を加えた人は洗浄料だけの人より2週間で改善しました。
健康な78人が7週間塗ると、簡素なクリームとジェルは刺激に弱くなり、尿素入りのクリームは強くなりました。
職場で手が傷みやすい507人(3件)で、手荒れは保湿剤を使った人の13%、使わなかった人の19%でした。
健康な人が片腕に1日3回・4週間塗ると、塗った腕のほうが刺激後に肌から逃げる水分が多くなりました。
健康な肌に保湿クリームを14日間塗ると、肌から逃げる水分が減り、刺激物への反応も小さくなりました。
乾燥肌では、クリームだけでも十分な保湿になり、化粧水とクリームの順番はほとんど関係ありませんでした。
ステロイドで治まった大人が保湿剤を12週間塗ると、基剤より湿疹のぶり返しが少なくなりました。
50〜75歳の50人で、保湿クリームは4週間で乾燥が改善し、白色ワセリンは乾燥だけが改善しました。
健康な大人132人が1日15回、14日間手を洗い、保湿剤を塗った人では悪化が見られませんでした。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。