大人になってからでも、性格は変えられる?

大人になってからでも、性格は変えられる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

変えられます。取り組みを続けると、性格の点数は変わります。

根拠

心理療法などの介入を受けた人を追った207件の研究のまとめで、平均24週間で性格の点数がはっきり変わり、とくに情緒の安定性が高まりました [1]。性格を変える取り組み7件のまとめでも、望む方向に小さな変化が見られています [2]。根拠の確かさは低めです。中心の研究が心の不調で治療を受けた人で、介入の前後を比べただけの研究も含むためです。

この答えの範囲

主に心の不調で治療を受けた大人の研究です。ふつうの大人は、アプリの研究が中心です。2,094人の研究では順番待ちの人も同じくらい変わりました。

じゃあ、どうする?

変えたい性格を1つ決め、それに合う小さな行動を毎週やり遂げるのが、研究に近いやり方です [3]。心の不調やつらさが強いときは、まず医療機関や相談窓口へ。外向的にふるまう練習は、内向的な人は疲れやすいので短い時間から。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 63 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量220研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 63 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 63 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

性格の変化とは

研究でいう「性格」は、情緒の安定性・外向性・誠実性などを質問票の点数で測ったものです。点数は、心理療法やカウンセリング、練習のアプリなどの取り組みで変わるかどうかが調べられてきました。注意点は、研究の多くが心の不調で治療を受けた人を対象にしていることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校などの研究チームが2017年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。

研究の種類性格の変化を調べた研究の系統的レビュー
対象主に心の不調で治療を受けた大人
比べたもの介入の前と後、または介入を受けない人
結果平均24週間で、性格の点数がはっきり変わった
系統的レビューの結果207件の研究をまとめると、性格の点数が変わり、効果量は d = .37でした [1]。

いちばん変わったのは情緒の安定性で、次が外向性でした。

効果量 d = .37 は、小さめから中くらいの変化にあたります。ランダム化した実験と、介入の前後を比べただけの研究の両方を含みます。治療が目的でない介入でも、終わったあとの追跡でも変化は続いていました [1]。

よく言われていることは本当?

  • 性格は大人になってからでも変えられる本当です。 上の207件のまとめで、点数の変化が確認されています [1]。介入がなくても、情緒の安定性は一生を通じて少しずつ高まります [4]。
  • なりたい性格を決めて行動を続けると変わる条件によります。 性格を変える取り組み7件のまとめでは、望む方向への変化が小さく見られました (d = 0.22) [2]。1,523人が3か月アプリで練習した試験では、順番待ちの人より自己評価で望む方向に変わりました [5]。一方、2,094人の研究では差がはっきりしませんでした (下で説明します) [6]。
  • 変わりたいと思うだけでは変わらず、行動が必要本当です。 毎週の行動の課題を「引き受けた」だけでは変わらず、「やり遂げた」人ほど変わっていました [3]。
  • 内向的な人も外向的にふるまうと幸福感が上がる条件によります。 147人の試験では1週間で前向きな気分が高まりましたが、内向的な人は疲れや嫌な気分が増えました [7]。
  • 性格の約半分は遺伝で決まる約4割です。 家族や双子の研究のまとめでは、個人差の40%が遺伝で、60%が環境の影響でした [8]。
  • 留学やボランティアなど新しい経験で変わる研究が足りず、介入として確かめた比較試験は見つかっていません。

誰にどのくらい効く?

  • 神経症傾向が強い人: マインドフルネス認知療法 (17人) が、オンラインのセルフヘルプ (17人) より、終了4週間後の神経症傾向が低くなりました。小規模の予備的な試験です [9]。
  • ふつうの大人: ドイツ語圏の446人が6週間アプリで練習し、神経症傾向 (不安や落ち込みやすさ) が自己評価で下がり、2か月後も続いていました [10]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

3か月のオンラインの性格改善プログラムを受けた人は、望む方向へ変わりました。ただ、順番待ちの人も同じくらい変わり、差ははっきりしませんでした [6]。研究者は、「性格を変えるプログラム」という呼びかけによる期待の影響で、受けていない人も前向きに変わった可能性を指摘しています。変化そのものは本物でも、プログラムの中身のおかげかどうかは分かっていません。

順番待ちと差がなかった研究18〜75歳の2,094人 (3つの研究)

受けた人も順番待ちの人も、同じくらい望む方向に変わりました。

02注意点

研究の中心は心の不調で治療を受けた人です。ふつうの大人に同じだけ当てはまるとは言えません。外向的にふるまう練習では、内向的な人ほど気分の上がり方が小さく、疲れや嫌な気分が増え、自分らしさの感覚が下がりました [7]。性格の点数の多くは自己評価なので、周りの人の見方と一致しないこともあります。持病や服薬がある人、強いつらさがある人は、医師や専門家に相談してください。

自分に合うやり方を選ぶ

内向的な人は、無理のない短い時間と場面から試してください。

03まとめ

大人になってからでも、取り組みで性格の点数は変わります。ただし変化は大きくなく、根拠の確かさは低めです。
ふつうの大人では、期待だけで変わる分も含まれることを頭に置いてください。
変えたい点を1つに絞って、小さな行動を最後までやり遂げることから始めましょう。

04よくある質問

Q決意するだけで性格は変わりますか?

変わりにくいです。行動の課題を引き受けただけの人は変わらず、やり遂げた人ほど変わっていました [[30359069]]。

Q内向的な人は外向的にふるまったほうがいいですか?

気分は上がる人が多い一方、内向的な人は疲れや嫌な気分が増えました [[30489119]]。短い時間から試すのが無理のない進め方です。

Q変わった性格は続きますか?

アプリの試験では、終了の3か月後まで変化が続いていました [[33558417]]。長期でどこまで続くかは、研究では確かめられていません。

Q性格が変わると幸せになれますか?

望む方向に変われた人ほど、その後に幸福感が高まる傾向がありましたが、観察研究なので原因とは言えません [[27016068]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(10本)

[1]介入による性格の変化を調べた系統的レビュー

発表年
2017年
研究機関
アメリカ・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校
掲載誌
Psychological bulletin
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究207件を統合
結果の向き
良い方向

心理療法などの介入を受けた人を追った207件をまとめ、平均24週間で性格の点数が変わった。

[2]自分で選んだ性格の変化を調べた系統的レビュー

発表年
2024年
研究機関
スイス・チューリッヒ大学
掲載誌
Communications psychology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
7,719人
結果の向き
良い方向

性格を変える取り組み7件で、望む方向への小さな変化が見られた (d = 0.22)。

[3]行動の目標を達成することと性格の変化

発表年
2019年
研究機関
サザンメソジスト大学
掲載誌
Journal of personality and social psychology
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

行動の課題を引き受けただけでは変わらず、やり遂げた人ほど性格が変わっていた。

[4]性格の安定と変化を追った縦断研究のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
Bleidorn Wほかの研究チーム
掲載誌
Psychological bulletin
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

情緒の安定性は一生を通じて一貫して高まっていた。

[5]デジタル介入で性格を変える試験

発表年
2021年
研究機関
アメリカ・ブランダイス大学
掲載誌
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

1,523人が3か月アプリで練習し、順番待ちより自己評価で望む方向に変わった。

[6]性格を変える介入の効果は何で説明できるか

発表年
2025年
研究機関
スイス・チューリッヒ大学
掲載誌
Journal of personality and social psychology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
2,094人
結果の向き
差なし

2,094人の研究で、順番待ちの人も同じくらい変わり、差ははっきりしなかった。

[7]外向的にふるまうことの利点と代償のランダム化試験

発表年
2019年
研究機関
オーストラリア・メルボルン大学
掲載誌
Journal of experimental psychology. General
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
147人
結果の向き
良い方向

147人が1週間外向的にふるまい、前向きな気分が高まった。内向的な人は疲れが増えた。

[8]性格の遺伝率を調べた行動遺伝学のメタ解析

発表年
2015年
研究機関
ザグレブ大学
掲載誌
Psychological bulletin
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

性格の個人差のうち遺伝で説明できるのは40%、残り60%は環境の影響だった。

[9]神経症傾向に対するマインドフルネス認知療法の予備的ランダム化試験

発表年
2016年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
Behavior therapy
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

神経症傾向が高い人で、認知療法のグループが終了後の神経症傾向が低かった。

[10]神経症傾向を下げるスマホ介入の効果

発表年
2026年
研究機関
アメリカ・テキサスA&M大学
掲載誌
Psychological science
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
446人
結果の向き
良い方向

446人が6週間練習し、自己評価で神経症傾向が下がり、2か月後も続いた。

ほかに参考にした論文(9本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。