[1]夫婦げんかを見た子どもの気持ちと対処のしかた
- 発表年
- 2011年
- 研究機関
- アメリカ・ノートルダム大学
- 掲載誌
- Journal of experimental child psychology
- 研究の種類
- その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
- 対象
- 207人
- 結果の向き
- 良い方向
平均8.02歳の子ども207人に夫婦げんかの場面を見せた。うれしい気持ちは解決したけんかと結びついていた。

仲直りで終わるけんかを見た子どもは、動揺が小さいことと関連しています。測ったのは、その場の気持ちです。
幼児〜小学生が、映像や実演で大人の言い争いを見たときの、その場の気持ちの話です。長い目で見た子どもの成長を測った実験ではありません。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 10 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 10.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 3 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 48.5 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 48 点です。 判定に使った研究は、その他のヒトの研究 4 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
夫婦のけんかの「終わり方」を、子どもに見せることです。話し合って歩み寄る、謝る、気持ちを切り替えて笑い合う、といった場面が当てはまります。研究では、けんかの頻度・強さ・内容と並んで、「どう終わったか」が子どもへの影響を分ける要素の一つとして扱われています [5]。
答えの中心は、アメリカのノートルダム大学などの研究チームが2011年に発表した実験です [1]。子どもに夫婦げんかの場面を見せて、気持ちとストレスホルモン (コルチゾール) を調べました。
| 研究の種類 | 子どもに夫婦げんかの場面を見せた実験 |
|---|---|
| 対象 | 平均8.02歳の子ども207人 |
| 比べたもの | 解決する・解決しない・エスカレートする・子育てをめぐるけんかの場面 |
| 結果 | 怖さは「エスカレートする」「解決しない」けんかと、うれしい気持ちは「解決した」けんかと結びついていた |
解決しない場面とエスカレートする場面では、怖さが強く出ました [1]。
同じ向きの結果は、ほかの実験にもあります。アメリカのオーバーン大学などの研究では、4〜5 歳の幼児に、目の前で大人が演じる言い争いを見せました。前に仲直りで終わる言い争いを見ていた子は、次の言い争いを見たときの動揺が小さくなりました [2]。アメリカのウェストバージニア大学などの研究では、前向きな気持ちで終わる場面や、争いをやめて終わる場面のほうが、子どもの受け止め方が良くなりました [3]。
実験は全部で 4 件で、ランダム化の記載はありません。測っているのは、見た直後や次の言い争いでの気持ちで、数年後の心の健康ではありません。ここが、いちばん大事な読み方の注意です。
アメリカのロチェスター大学などの研究では、6〜11 歳の子どもに大人の怒りのやりとりを見せました。虐待を受けた44人は、受けていない44人にくらべて、怒りが解決したかどうかに特に敏感でした [6]。
怒りが解決したかどうかへの反応が、虐待を受けた子どものほうで強く出ました。
フロリダ州立大学などの研究チームが2026年に発表した系統的レビューは、研究23件をまとめました [7]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。建設的な夫婦げんか (落ち着いた話し合い・歩み寄り・解決) が多い家庭ほど、子どもの不安・落ち込みや問題行動が少なく、心の安定や人との問題を解決する力が高い、という関連が見られました。観察研究が中心なので、原因と結果までは言えません。根拠の確かさは低めです。研究の作りがさまざまで、多くの関連がほかの要因の影響を受けていたためです。
一方、研究169件のメタ解析では、敵意のある・避ける・建設的でない夫婦げんかが、子どもの心の問題や、けんかへの反応のリスクと関連していました [8]。
夫婦の対立の扱い方を学ぶ短いプログラムは、ランダム化比較試験で確かめられています。アメリカのノートルダム大学などの研究チームが2016年に発表した試験では、思春期の子どもがいる225家庭を、親と子で参加・親だけ参加・自習・何もしない、の組に分けました。プログラムで建設的なけんかが増え (d = 0.89)、破壊的なけんかが減りました (d = -0.30) [4]。4〜8歳の子どもがいる夫婦を対象にした試験でも、プログラムを受けた組は、どの時点でも建設的なけんかが多く、破壊的なけんかが少なくなっていました [9]。同じ225家庭の追跡では、夫婦げんかへの子どもの感情的な動揺も、直後から長期にわたって減りました [10]。根拠の確かさは中程度です。
実験の対象は、映像や実演で大人の言い争いを見た子どもです。ふだんの家庭で、毎日のけんかを見て育つ子どもの結果とは別の話です。プログラムの試験では、思春期の子どもがいる225家庭が、終了時と6か月後に調べられました [4]。暴力がある、けんかが長く続く、子どもの様子が気になる、というときは、小児科医・児童相談所・心理の専門家に相談してください。
前向きな気持ちで終わる場面も、争いをやめて終わる場面も、子どもの受け止め方が良くなりました [3]。
仲直りで終わるけんかは、子どもの動揺が小さいことと関連しています。
これは、見た直後の気持ちを測った実験の結果で、根拠の確かさは低めです。
けんかのあとは、前向きな気持ちで、争いを収めて終える姿を見せましょう。
敵意のあるけんかや、解決しないけんかは、子どもの心の問題と関連しています [[32437177]]。仲直りの姿は、その場の動揺を小さくする結果でしたが [[21397249]]、けんかを重ねてよいという意味ではありません。
4〜5 歳の幼児では、前に仲直りを見ていた子の動揺が、次の言い争いで小さくなりました [[8956090]]。それより小さい子を対象にした実験は、今回の抽出にはありません。
前向きな気持ちで終えることです。前向きな気持ちで終えることも、争いをやめて終えることも、それぞれ子どもの受け止め方を良くしました [[W2126532166]]。
夫婦の対立の扱い方を学ぶ短いプログラムで、建設的なけんかが増えた試験があります [[26678399]]。地域の相談窓口や心理の専門家に聞いてみてください。
平均8.02歳の子ども207人に夫婦げんかの場面を見せた。うれしい気持ちは解決したけんかと結びついていた。
前に仲直りで終わる言い争いを見ていた幼児は、次の言い争いでの動揺が小さかった。
前向きな気持ちで終わる場面や争いをやめて終わる場面のほうが、子どもの受け止め方が良くなった。
225家庭の試験で、建設的なけんかが増え (d = 0.89)、破壊的なけんかが減った (d = -0.30)。
夫婦げんかを頻度・強さ・内容・解決のしかたなどの側面で分けて考える必要があるとまとめた総説。
6〜11歳の子ども (虐待を受けた44人と受けていない44人) に大人の怒りのやりとりを見せた。
研究23件のまとめ。建設的な夫婦げんかは、子どもの問題が少ないことと関連していた。
研究169件のメタ解析。建設的でない夫婦げんかは、子どもの心の問題と関連していた。
4〜8歳の子どもがいる夫婦で、プログラムを受けた組は建設的なけんかが多かった。
プログラムは夫婦げんかへの子どもの感情的な動揺を、直後から長期にわたって減らした。
幼児238人の追跡で、建設的な夫婦げんかは翌年の問題解決の力の伸びを予測した。
親が前向きに解決していると、子どもの社会性・情緒の力への悪い影響が和らいでいた。
大人どうしの怒りのやりとりの映像を見た子どもは、解決しないまま終わる怒りを、解決した怒りよりずっと悪い出来事と受け止め、怒りや苦痛を強く感じた
判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。