[1]物語が考え・態度・意図・行動に与える説得効果のメタ解析
- 発表年
- 2016年
- 研究機関
- アメリカ・ペンシルベニア州立大学
- 掲載誌
- Communication Monographs
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 7,132人
- 結果の向き
- 良い方向
物語に触れた人ほど物語の方向に沿った態度を持っていた(40件・7,132人、r = .19)。行動は5件・978人で r = .23。

説得しやすくなります。ただし、統計データで伝えた場合と説得力は変わりません。
物語を使わない伝え方と比べた話です。身近な相手を説得する場面の実験は、まとめの中心ではありません。
物語は使って損のない伝え方です。ただし、データを並べる説明より必ず強いわけではありません。考えや態度を変えたいときは統計データ、行動しようという気持ちを高めたいときは物語、と使い分けた研究もあります [3]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 90.6 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。 この上限により、強度を A から B に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ストーリーによる説得は、体験談や物語の形でメッセージを伝え、相手の考えや行動を動かそうとする方法です。広告、健康の啓発、教育、プレゼンテーションなどで使われます。物語に入り込むほど説得されやすい、と言われてきました。比べる相手は、主張や説明をそのまま並べる伝え方や、統計データを示す伝え方です。ここまでは一般によく紹介されている説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、アメリカのペンシルベニア州立大学などの研究チームが2016年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ疑問を調べた複数の研究の数値をまとめて分析する方法です。物語に触れた人と、触れない人(または物語でない伝え方に触れた人)を比べた、実験と調査の両方の研究が集められました。
| 研究の種類 | 実験と調査の両方をまとめたメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 物語に触れた成人・学生(態度は40件・7,132人) |
| 比べたもの | 物語に触れる場合と、物語に触れない場合 |
| 結果 | 態度 r = .19、考え r = .17、行動の意図 r = .17、行動 r = .23 |
行動(5件・978人)では r = .23 で、同じ向きでした [1]。
考えは37件・7,376人、行動の意図は28件・5,211人でした。文章でも映像でも、研究デザインが違っても、効果の大きさは変わりませんでした。r は関係の強さを表す数値で、0 は関係なし、1 はいつでも完全に連動する場合です。数値はこのとおり並べるのが正確で、「大きい」「小さい」は読む人の期待で変わります。
物語と統計データを直接比べた実験をまとめた2023年のメタ解析では、説得力に差はありませんでした(50件・13,113人、r = 0.016)。健康の話題でも、それ以外の話題でも差はありませんでした [2]。ただし、病気の予防行動をすすめる健康のメッセージでは、物語のほうが有利でした。
説得力は同じで、「データより物語」とは言えませんでした。
2015年の別のメタ解析では、考えと態度を変える力は統計データのほうが強く、行動しようという気持ち(意図)を高める力は物語のほうが強いと報告されました [3]。
語り方の研究もあります。健康づくりの実験16件のまとめでは、一人称(「私は」)の物語は、三人称より「自分にも起こりうる」と感じさせる度合いがわずかに高くなりました(d = 0.10)[6]。若者向けの物語仕立てのメディア番組(10件・23,476人)では、知識は増えました(SMD 0.67)が、態度は変わらず、避妊をしない性行為がわずかに減った程度でした(SMD 0.08)[7]。話題になじみがあるか、物語に入り込みやすい人かどうかで、説得との関係の強さが大きく変わったというまとめもあります [8]。
数値の多くは、実験室や調査での態度や意図の変化です。実際の生活で相手が行動を変えるかは、行動を測った5件(978人)が根拠で、数は多くありません。対象も健康の話題に偏っています。身近な人を説得する場面に、そのまま当てはめられるとは限りません。
統計データで伝えた場合と差がなかったことも、あわせて覚えておいてください。
物語に触れた人ほど、態度や行動が物語の方向に沿っていることが、40件のメタ解析で示されています。
統計データと比べると差はないので、「物語のほうが強い」と考えなくて大丈夫です。
反論されやすい場面では物語を、考えを変えたい場面ではデータを、と使い分けましょう。
50件・13,113人のメタ解析では差がありませんでした(r = 0.016)。別のメタ解析では、考えと態度は統計データ、行動しようという気持ちは物語のほうが動かしやすい、と報告されています。
22倍という数字を裏づける研究は見つかりませんでした。物語の文章が説明文より理解しやすく、よく覚えられたというメタ解析はあります(33,000人以上)。
本当です。物語と物語でないメッセージを比べた実験9件のメタ解析で、物語のほうが反発は少なくなりました(d = −.213)。
健康づくりの実験16件では、一人称の物語は三人称より「自分にも起こりうる」と感じさせる度合いがわずかに高くなりました(d = 0.10)。説得そのものの差は、ここでは確かめられていません。
物語に触れた人ほど物語の方向に沿った態度を持っていた(40件・7,132人、r = .19)。行動は5件・978人で r = .23。
物語と統計データを直接比べた50件・13,113人で、説得力に差はなかった(r = 0.016)。
考えと態度は統計データ、行動しようという気持ちは物語のほうが動かしやすかった。
物語と物語でないメッセージを比べた実験9件で、物語のほうが反発は少なかった(d = −.213)。
75以上の集団・33,000人以上のデータで、物語の文章は説明文より理解しやすく、よく覚えられた。
一人称の物語は三人称より「自分にも起こりうる」と感じさせる度合いがわずかに高かった(d = 0.10)。
23,476人の解析で、知識は増えた(SMD 0.67)が態度は変わらず、避妊をしない性行為はわずかに減った(SMD 0.08)。
話題になじみがあるか、入り込みやすい人かどうかで関係の強さが最も大きく変わった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。