[1]魚油サプリが心拍変動に与える短期的な影響: ランダム化比較試験のメタ解析
- 発表年
- 2013年
- 研究機関
- 中国・中国人民解放軍総医院
- 掲載誌
- The American journal of clinical nutrition
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究15件を統合
- 結果の向き
- 結果が割れている
RCT15件のメタ解析。副交感神経の指標HFは魚油で増えたが、SDNNなどには差がなかった。

副交感神経の働きの指標は、DHA・EPAで増えました。心拍のゆらぎ全体は変わらず、安静時の心拍数は下がります。
魚油のサプリを短期間とった人で、心拍の間隔のゆらぎを測って確かめた結果です。中性脂肪が高めの人や、透析中の人などを対象にした研究が中心です。
自律神経を整える目的で、サプリを選ぶ必要はありません。一方、安静時の心拍数は毎分2.23回ほど下がることが分かっています [3]。病気で治療中の人や、薬の量のサプリを考えている人は、医師に相談してください。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 11.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 0 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 3 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 54.7 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
DHA・EPAは、青魚などの魚の油に多いオメガ3系の脂肪酸です。血液や脳の健康に良いとされ、魚油のサプリとしても売られています。自律神経の働きは、心拍の間隔のゆらぎ(心拍変動)で測るのが一般的です。注意点は、薬の量に近い多量では不整脈との関係が報告されていることです。この節の説明は一般に知られている内容で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、中国人民解放軍総医院などの研究チームが2013年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ条件の試験を集めて結果をまとめる方法です。魚油のサプリを短期間とった人を対象にした、ランダム化比較試験15件が集められました。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 魚油のサプリを短期間とった人(試験15件) |
| 比べたもの | 魚油のサプリとプラセボ(偽薬) |
| 結果 | 副交感神経の指標(HF)は増え、SDNNなど時間で見る指標には差がなかった |
心拍変動の全体を表す SDNN などの指標には差がありませんでした [1]。
結果は指標によって分かれ、条件によります。HF は増えましたが、全体のゆらぎは変わっていません。摂る量が少ない2件を除くと、交感神経と副交感神経のバランスを示す LF/HF 比の低下も有意になりました [1]。根拠の確かさは低めです。結果が指標によって分かれているためです。
中性脂肪が高めの成人26人が、EPA+DHA 毎日0.85g・毎日3.4g・プラセボを8週間ずつ順番にとる試験があります [2]。毎日3.4gでは、心拍変動(RMSSD)がプラセボより9.9%大きくなりました。毎日0.85gでは差がありませんでした。気分にも差はありませんでした。
妊婦でDHA 毎日800mgと200mgを比べた試験では、800mgのほうが副交感神経の働きを表す指標が高い結果でした。ただしプラセボとの比較ではありません [4]。
透析を受けている人では、主な指標の SDNN は変わらず、心拍数が毎分2.5回下がりました [5]。腎移植を受けた人132人で44週間とっても、時間で見る指標に差はありませんでした [6]。
時間で見る心拍変動の指標には差がなく、立ち上がったときの反応の指標だけが変わりました。
自律神経とは別に、安静時の心拍数は下がることが分かっています。ランダム化比較試験51件・約3000人のメタ解析で、プラセボより毎分2.23回少なくなりました [3]。下がり方は小さく、DHAだけの試験では下がりましたが、EPAだけの試験では下がりませんでした。30件をまとめた2005年の解析でも、毎分1.6回の低下でした [7]。
薬の量(毎日1800〜4000mg)のDHA・EPAでは、心房細動のリスクが約50%増えたと整理した総説があります。毎日約1000mgでは約12%でした。副交感神経の働きが強まることが関係すると考えられています [8]。「多くとるほど良い」とは言えません。持病や服薬中の人、薬の量のサプリを考えている人は、医師や薬剤師に確認してください。
量が増えると不整脈のリスクが上がる報告があるため、自己判断で増やさないでください。
DHA・EPAのサプリで、副交感神経の働きの指標は増え、心拍のゆらぎ全体の指標は変わりませんでした。
安静時の心拍数が下がることは、研究でそろっています。
治療中の人や多量を考えている人は、先に医師へ相談しましょう。
研究では確かめられていません。中性脂肪が高めの人や透析中の人などを対象にした研究が中心です [[23592752]]。
中性脂肪が高めの成人26人の試験では、毎日3.4gで心拍変動が大きくなり、毎日0.85gでは差がありませんでした [[23592752]]。量が多いほど良いとは言えず、多量では心房細動のリスクが上がる報告もあります [[39617283]]。
研究では確かめられていません。心拍変動の試験では、気分に差がありませんでした [[23592752]]。
この記事で扱った研究はサプリを調べたものです。魚を食べた場合は確かめられていません。
RCT15件のメタ解析。副交感神経の指標HFは魚油で増えたが、SDNNなどには差がなかった。
成人26人のクロスオーバー試験。毎日3.4gで心拍変動(RMSSD)が9.9%大きくなったが、毎日0.85gでは差がなかった。
RCT51件・約3000人のメタ解析。安静時の心拍数がプラセボより毎分2.23回少なかった。
妊婦でDHA 毎日800mgは200mgより、副交感神経の指標が高かった。
透析を受けている人で、SDNNは変わらず心拍数は毎分2.5回下がった。
腎移植を受けた人132人で、44週間とっても時間で見る心拍変動に差はなかった。
魚油で心拍数が毎分1.6回下がった。
毎日1800〜4000mgで心房細動のリスクが約50%増えたと整理した総説。
この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。