[1]オメガ3と認知機能の低下を調べたレビューのまとめ
- 発表年
- 2025年
- 研究機関
- ポルトガル・サンタ・マリア病院
- 掲載誌
- Nutrients
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 26,881人
- 結果の向き
- 良い方向
認知症ではない40歳以上26,881人のRCT14件を統合し、検査の点数がわずかに良かった(効果量0.16)。

効きます。差はごく小さいです。
認知症ではない中高年が、サプリをとった場合の話です。健康な子どもには効きません。
記憶力を目的にサプリを試すなら、変化は小さい前提で。食事で魚を多くとる人は、認知症のリスクが低いという関連があります(観察研究)[3]。血をサラサラにする薬を飲んでいる人や持病のある人は、始める前に医師か薬剤師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 17.2 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 92.2 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 4 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
オメガ3は、魚の脂に多く含まれる脂肪酸の仲間です。DHAとEPAが代表で、脳や血管の材料になるとされ、魚やサプリでとります。DHAを多く含むサプリと、EPAを多く含むサプリがあるのが特徴です。注意点は、血をサラサラにする薬を飲んでいる人は医師への確認が要ることです。
答えの中心は、ポルトガルのサンタ・マリア病院などの研究チームが2025年に発表した、系統的レビューをまとめた研究です [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集めて整理する方法です。ここでは、くじ引きで飲む人と偽薬の人に分けて比べる試験(RCT)14件が統合されました。
| 研究の種類 | 系統的レビュー9本に含まれるRCT14件の統合解析 |
|---|---|
| 対象 | 認知症ではない40歳以上の人(26,881人) |
| 比べたもの | オメガ3のサプリと偽薬 |
| 結果 | 認知機能の検査(MMSE)の点数がわずかに良かった(効果量0.16) |
効果量は0.16で、信頼区間は0.01〜0.32と、下限がほぼゼロに近い結果です [1]。
「効く」という向きは出ていますが、検査の点数でわずかな差が出た、という程度の結果です。飲む期間や量と効果の大きさの間には、関係は見られませんでした [1]。
40歳以上を3〜36か月追ったRCT24件(9,660人)のまとめでは、物事を計画・判断する力(実行機能)に上向きの傾向がありました [4]。大人のRCT58件を量で比べた2025年の解析では、注意力や短期の記憶も良くなっていました [5]。ただしこの数値は「一日2000 mg増やしたとき」への換算で、上の効果量とは並べて比べられません。
60歳以上で認知機能に問題のない3,221人(RCT2件、24〜40か月)では、検査(MMSE)の点数に偽薬との差がありませんでした [2]。DHAを毎日2 g、24か月飲んだ試験でも、認知機能に差は出ませんでした [6]。70歳以上の健康な人 [7]、物忘れの自覚がある70歳以上 [8]、目の病気のある高齢者 [9] の大規模なRCTでも、認知機能に差はありませんでした。
DHAは脳脊髄液まで届いていましたが、24か月後の認知機能や脳の大きさに差はありませんでした [6]。
結果が分かれる理由として、対象者の年齢や認知機能の状態、飲んだ量、期間、使った検査の違いが考えられます。これが、根拠の確かさが低めになる理由です。
単語の記憶が良くなりましたが、オメガ3以外も混ざっているため、オメガ3だけの結果とは言えません [16]。
高用量を長く飲んだ試験もあります。55〜80歳の365人がDHAを毎日2 g、24か月飲んだ試験です [6]。この量でも認知機能に差はなく、量を増やせば効くとは言えません。血をサラサラにする薬を飲んでいる人、持病のある人、妊娠中の人は、始める前に医師や薬剤師に確認してください。
記憶力が大きく変わることを期待すると、期待外れになりやすいです。
オメガ3のサプリは、中高年の頭の働きを検査でわずかに良くします。
子どもには効かず、認知症の人の治療にも確かめられた効果はありません。
試すなら小さな変化を前提にし、食事で魚をとることも続けましょう。
研究では、飲む期間や量と効果の大きさの間に関係は見られませんでした。どの量が良いかは、まだ言えません [[41010527]]。
魚を週に1回多く食べるごとに、認知症のリスクが低い関連が見られました(0.95)。観察研究のため、魚が原因とは言えません [[26718417]]。
軽度〜中等度のアルツハイマー病の人のRCTをまとめたコクランレビューでは、確かな効果は見つかっていません [[27063583]]。
健康な子どもでは、記憶や注意などの成績は全体として改善しませんでした [[32070694]]。
認知症ではない40歳以上26,881人のRCT14件を統合し、検査の点数がわずかに良かった(効果量0.16)。
認知機能に問題のない60歳以上3,221人で、MMSEの点数に偽薬との差はなかった。
追跡調査48件・103,651人で、食事のDHAが多い人は認知症や認知機能の低下のリスクが低かった(相対リスク0.82)。
40歳以上9,660人のRCT24件で、実行機能に上向きの傾向があるとまとめた。
大人のRCT58件を量で比べ、注意力や短期の記憶なども改善していた。
55〜80歳365人がDHAを毎日2 g、24か月飲んでも、認知機能や脳の大きさに差はなかった。
70歳以上の健康な人で、オメガ3を飲んでも認知機能の検査(MoCA)に効果はなかった。
物忘れの自覚がある70歳以上で、オメガ3を飲んでも認知機能の低下に差はなかった。
目の病気のある高齢者で、DHA・EPAのサプリを飲んでも認知機能に差はなかった。
追跡調査21件・181,580人で、食事のDHAが一日0.1 g多いごとに認知症のリスクが低かった(相対リスク0.86)。
オメガ3を最も多くとる人と最も少ない人で、認知症のリスクに差はなかった(相対リスク0.97)。
軽度〜中等度のアルツハイマー病の人で、オメガ3のサプリに確かな効果は見つからなかった。
子ども・若者4,247人のRCT29件で、認知機能の検査の成績は全体としては改善しなかった。
健康な7〜12歳106人で、DHAを毎日300 mg、6か月飲んでも実行機能に差はなかった。
健康な未就学児78人で、EPAとDHAを毎日1.6 g、12週間飲んでも実行機能に差はなかった。
健康な13〜14歳が藻由来のオメガ3・7・9の混合油を16週間飲み、単語の記憶の成績が良くなった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。