オメガ3は脳の働きや記憶力に効く?

オメガ3は脳の働きや記憶力に効く?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

効きます。差はごく小さいです。

根拠

認知症ではない40歳以上のRCT14件・26,881人をまとめた解析で、認知機能の検査の点数がわずかに良くなりました(効果量0.16)[1]。一方、60歳以上3,221人のコクランレビューでは差がありませんでした [2]。根拠の確かさは低めです。研究によって結果のばらつきが大きいためです。

この答えの範囲

認知症ではない中高年が、サプリをとった場合の話です。健康な子どもには効きません。

じゃあ、どうする?

記憶力を目的にサプリを試すなら、変化は小さい前提で。食事で魚を多くとる人は、認知症のリスクが低いという関連があります(観察研究)[3]。血をサラサラにする薬を飲んでいる人や持病のある人は、始める前に医師か薬剤師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。16 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量2020研究件数と参加人数
一致度17.225結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 92.2 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 4 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

オメガ3とは

オメガ3は、魚の脂に多く含まれる脂肪酸の仲間です。DHAとEPAが代表で、脳や血管の材料になるとされ、魚やサプリでとります。DHAを多く含むサプリと、EPAを多く含むサプリがあるのが特徴です。注意点は、血をサラサラにする薬を飲んでいる人は医師への確認が要ることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、ポルトガルのサンタ・マリア病院などの研究チームが2025年に発表した、系統的レビューをまとめた研究です [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集めて整理する方法です。ここでは、くじ引きで飲む人と偽薬の人に分けて比べる試験(RCT)14件が統合されました。

研究の種類系統的レビュー9本に含まれるRCT14件の統合解析
対象認知症ではない40歳以上の人(26,881人)
比べたものオメガ3のサプリと偽薬
結果認知機能の検査(MMSE)の点数がわずかに良かった(効果量0.16)
統合解析の結果検査の点数は、偽薬よりわずかに良くなりました。

効果量は0.16で、信頼区間は0.01〜0.32と、下限がほぼゼロに近い結果です [1]。

「効く」という向きは出ていますが、検査の点数でわずかな差が出た、という程度の結果です。飲む期間や量と効果の大きさの間には、関係は見られませんでした [1]。

40歳以上を3〜36か月追ったRCT24件(9,660人)のまとめでは、物事を計画・判断する力(実行機能)に上向きの傾向がありました [4]。大人のRCT58件を量で比べた2025年の解析では、注意力や短期の記憶も良くなっていました [5]。ただしこの数値は「一日2000 mg増やしたとき」への換算で、上の効果量とは並べて比べられません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

60歳以上で認知機能に問題のない3,221人(RCT2件、24〜40か月)では、検査(MMSE)の点数に偽薬との差がありませんでした [2]。DHAを毎日2 g、24か月飲んだ試験でも、認知機能に差は出ませんでした [6]。70歳以上の健康な人 [7]、物忘れの自覚がある70歳以上 [8]、目の病気のある高齢者 [9] の大規模なRCTでも、認知機能に差はありませんでした。

差がなかった試験認知症のリスクがあり、ふだんDHAをあまりとらない55〜80歳 365人

DHAは脳脊髄液まで届いていましたが、24か月後の認知機能や脳の大きさに差はありませんでした [6]。

結果が分かれる理由として、対象者の年齢や認知機能の状態、飲んだ量、期間、使った検査の違いが考えられます。これが、根拠の確かさが低めになる理由です。

よく言われていることは本当?

  • DHA・EPAで記憶力や頭の働きが上がる効きますが、差はごく小さいです。 検査の点数がわずかに良くなった程度で、差がない大規模な試験もあります [1] [2]。
  • 年を取ってからの物忘れ・認知機能の低下を防ぐ差はごく小さく、60歳以上3,221人のレビューでは差がありませんでした [2]。
  • 認知症の予防になる食事から多くとる人ほど、認知症のリスクが低いという関連があります。 追跡調査48件・103,651人のメタ解析で、リスクの比は0.82でした [3]。食事のDHAが一日0.1 g多いごとにも、リスクが低い関連が見られます(0.86)[10]。ただし観察研究のため、オメガ3が原因とは言えません。オメガ3の摂取量では差がなかった解析もあります(0.97)[11]。サプリで認知症の発症が減るかを確かめたRCTは、2012年までを調べたコクランレビューでは見つかっていません [2]。すでに認知症の人の治療にも、効果は確かめられていません [12]。
  • 子どもの頭が良くなる・集中力が上がる効きません。 子ども・若者4,247人(RCT29件)のメタ解析で、記憶や注意などの成績は全体として改善しませんでした [13]。中国の健康な小学生106人 [14] や、未就学児78人 [15] のRCTでも差はありませんでした。
混合油の試験健康な13〜14歳が、藻由来のオメガ3・7・9の混合油を16週間飲んだ試験

単語の記憶が良くなりましたが、オメガ3以外も混ざっているため、オメガ3だけの結果とは言えません [16]。

02注意点

高用量を長く飲んだ試験もあります。55〜80歳の365人がDHAを毎日2 g、24か月飲んだ試験です [6]。この量でも認知機能に差はなく、量を増やせば効くとは言えません。血をサラサラにする薬を飲んでいる人、持病のある人、妊娠中の人は、始める前に医師や薬剤師に確認してください。

変化は小さい前提で試す

記憶力が大きく変わることを期待すると、期待外れになりやすいです。

03まとめ

オメガ3のサプリは、中高年の頭の働きを検査でわずかに良くします。
子どもには効かず、認知症の人の治療にも確かめられた効果はありません。
試すなら小さな変化を前提にし、食事で魚をとることも続けましょう。

04よくある質問

Q量や種類は何が良いですか?

研究では、飲む期間や量と効果の大きさの間に関係は見られませんでした。どの量が良いかは、まだ言えません [[41010527]]。

Qサプリでなく、魚を食べるのでも同じですか?

魚を週に1回多く食べるごとに、認知症のリスクが低い関連が見られました(0.95)。観察研究のため、魚が原因とは言えません [[26718417]]。

Q認知症の人が飲むと良くなりますか?

軽度〜中等度のアルツハイマー病の人のRCTをまとめたコクランレビューでは、確かな効果は見つかっていません [[27063583]]。

Q子どもに飲ませると頭が良くなりますか?

健康な子どもでは、記憶や注意などの成績は全体として改善しませんでした [[32070694]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(16本)

[1]オメガ3と認知機能の低下を調べたレビューのまとめ

発表年
2025年
研究機関
ポルトガル・サンタ・マリア病院
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
26,881人
結果の向き
良い方向

認知症ではない40歳以上26,881人のRCT14件を統合し、検査の点数がわずかに良かった(効果量0.16)。

[2]オメガ3による認知機能低下・認知症の予防

発表年
2012年
研究機関
イギリス・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,221人
結果の向き
差なし

認知機能に問題のない60歳以上3,221人で、MMSEの点数に偽薬との差はなかった。

[3]オメガ3と認知症・認知機能低下の関係を調べた追跡調査のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
中国・青島市立病院
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
103,651人
結果の向き
良い方向

追跡調査48件・103,651人で、食事のDHAが多い人は認知症や認知機能の低下のリスクが低かった(相対リスク0.82)。

[4]認知症のない人のオメガ3と認知機能の用量反応メタ解析

発表年
2024年
研究機関
韓国・ソウル・ヒール・メンタルヘルス・クリニック
掲載誌
BMC medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
9,660人
結果の向き
良い方向

40歳以上9,660人のRCT24件で、実行機能に上向きの傾向があるとまとめた。

[5]オメガ3の量と頭の働きの関係を調べた用量反応メタ解析

発表年
2025年
研究機関
イラン・ロレスターン医科大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究58件を統合
結果の向き
良い方向

大人のRCT58件を量で比べ、注意力や短期の記憶なども改善していた。

[6]認知症リスクのある高齢者への高用量DHAの試験

発表年
2026年
研究機関
アメリカ・南カリフォルニア大学
掲載誌
EBioMedicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
365人
結果の向き
差なし

55〜80歳365人がDHAを毎日2 g、24か月飲んでも、認知機能や脳の大きさに差はなかった。

[7]ビタミンD・オメガ3・筋トレの高齢者への効果を調べたDO-HEALTH試験

発表年
2020年
研究機関
スイス・チューリッヒ大学病院
掲載誌
JAMA
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

70歳以上の健康な人で、オメガ3を飲んでも認知機能の検査(MoCA)に効果はなかった。

[8]物忘れの自覚がある高齢者への長期のオメガ3の試験(MAPT)

発表年
2017年
研究機関
フランス・フランス国立保健医学研究機構(INSERM)
掲載誌
The Lancet. Neurology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

物忘れの自覚がある70歳以上で、オメガ3を飲んでも認知機能の低下に差はなかった。

[9]加齢黄斑変性の高齢者でのオメガ3と認知機能の試験(AREDS2)

発表年
2015年
研究機関
アメリカ・アメリカ国立眼病研究所
掲載誌
JAMA
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

目の病気のある高齢者で、DHA・EPAのサプリを飲んでも認知機能に差はなかった。

[10]魚とオメガ3の摂取量と認知障害のリスクを調べた21件の追跡調査のメタ解析

発表年
2016年
研究機関
中国・浙江大学
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
181,580人
結果の向き
良い方向

追跡調査21件・181,580人で、食事のDHAが一日0.1 g多いごとに認知症のリスクが低かった(相対リスク0.86)。

[11]オメガ3の摂取量と認知症・アルツハイマー病のリスクを調べたメタ解析

発表年
2015年
研究機関
中国・中国人民解放軍302病院
掲載誌
Neuroscience and biobehavioral reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

オメガ3を最も多くとる人と最も少ない人で、認知症のリスクに差はなかった(相対リスク0.97)。

[12]認知症の治療としてのオメガ3のコクランレビュー

発表年
2016年
研究機関
ドイツ・マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

軽度〜中等度のアルツハイマー病の人で、オメガ3のサプリに確かな効果は見つからなかった。

[13]子ども・若者の認知テストへのオメガ3の効果のメタ解析

発表年
2020年
研究機関
スイス・チューリッヒ大学
掲載誌
Neuroscience and biobehavioral reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,247人
結果の向き
差なし

子ども・若者4,247人のRCT29件で、認知機能の検査の成績は全体としては改善しなかった。

[14]小学生へのDHA300 mgの6か月の試験

発表年
2021年
研究機関
中国・中山大学
掲載誌
European journal of nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
106人
結果の向き
差なし

健康な7〜12歳106人で、DHAを毎日300 mg、6か月飲んでも実行機能に差はなかった。

[15]未就学児の自己コントロールへのオメガ3の試験

発表年
2021年
研究機関
オーストラリア・ウーロンゴン大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
78人
結果の向き
差なし

健康な未就学児78人で、EPAとDHAを毎日1.6 g、12週間飲んでも実行機能に差はなかった。

[16]10代の学習と記憶へのオメガ混合油の試験

発表年
2026年
研究機関
イギリス・レディング大学
掲載誌
European journal of nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

健康な13〜14歳が藻由来のオメガ3・7・9の混合油を16週間飲み、単語の記憶の成績が良くなった。

ほかに参考にした論文(9本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。