会う回数が増えると、相手への好意は高まる?

会う回数が増えると、相手への好意は高まる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え良い関連がある

くり返し接するほど、好感度は高まります。増えすぎると下がります。

根拠

くり返し見せたときの好感度を調べた実験をまとめたメタ解析(論文81本)で、見る回数が増えるほど好感度が上がり、増えすぎると下がる「逆U字」の形でした [1]。初対面の人どうしが実際に話す実験でも、たくさん話した人ほどおたがいへの好意が強くなっていました [2]。根拠の確かさは低めです。人と会う回数を直接調べた研究が少なく、顔・図形・言葉などを見せた実験が中心のためです。

この答えの範囲

中心は、顔・図形・言葉などを見せた実験です。

じゃあ、どうする?

会う回数は、増やすほど良いわけではありません。回数だけを詰め込まず、自然に会える範囲で重ねるのが無難です。相手のことを一度に知りすぎる場面では、好意が下がる結果もあります。苦手意識が強い相手には、無理に回数を増やさないのが無難です。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 63 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1020研究件数と参加人数
一致度18.825結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 62.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 63 点です。 判定に使った研究は、その他のヒトの研究 2 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

単純接触効果(ザイオンス効果)とは

単純接触効果は、何度も目にしたり耳にしたりしたものを、だんだん好ましく感じる心理の傾向です。ザイオンス効果とも呼ばれます。顔・図形・言葉・音など、いろいろな対象で調べられてきました。注意点は、研究の多くが「人と会う」場面ではなく、実験で刺激を見せる形だということです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのデイトン大学などの研究チームが2017年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じテーマの研究の結果を集めて、まとめて分析する方法です。論文81本から、268の推定が集められました。

研究の種類くり返し見せたときの好感度を調べた実験のメタ解析
対象顔・図形・言葉などを見せた実験(論文81本・268の推定)
比べたもの見た回数が少ない場合と多い場合
結果回数が増えるほど好感度が上がり、増えすぎると下がる「逆U字」の形
メタ解析の結果くり返し見るほど好感度は上がりますが、回数が増えすぎると下がる逆U字の形でした [1]。

逆U字は目で見る刺激で見られ、音の刺激では見られませんでした。

1回の提示が10秒より短いときと1分より長いときに、逆U字が見られました。ただし、要旨には「何回で下がり始めるか」という回数の数字がありません。世間で言われる「回数の上限」は、この研究からは確かめられません。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

2022年のオンライン実験では、同じ顔写真をくり返し見せても、若い人・高齢の人のどちらでも好感度は上がりませんでした [3]。「効果なし」を支持する結果です。

差がなかった実験表情のない顔写真をオンラインで見た若い人と高齢の人

くり返し見せても、どちらの年代でも好感度は上がりませんでした。

2016年の実験では、同じ顔でも毎回ちがう場面とセットで見せると好感度は上がらず、同じ場面とセットのときだけ上がりました [4]。見る回数だけでなく、見え方の条件で結果が変わります。

実際に会って話すとどうなる?

初対面の同性どうしが話す時間を変えた2011年の実験では、たくさん話した人ほど、おたがいへの好意が強くなりました [2]。好意が高まった理由として、相手が自分に応えてくれると感じること、会話中の居心地と満足、相手を知っている感覚の3つが見つかっています。ただし、この種類の研究は1本で、研究はまだ少ない段階です。

増えすぎる・知りすぎるとどうなる?

相手の情報が増えるほど、平均すると好意が下がった実験があります [5]。自分と違う点が一度見つかると、そのあとの情報も「違う」証拠に見えやすくなるためでした。方法を少し変えた追試でも、同じ結果が出ています [6]。一方、同じ方法をくり返した別の研究では、情報が増えても好意は下がりませんでした [7]。結果は割れていて、実験の研究3本だけです。

クモが強く苦手な人では、クモの写真をくり返し見せると、新しい写真のほうが好まれ、効果が逆になりました [8]。苦手なものでは、くり返しが逆に働く例です。

関係の段階で変わる

意見が対立していた研究者どうしがまとめた2015年の総説は、関係を「相手を知っているだけ」「表面的な接触」「おたがいに深く関わる」の3段階に分け、なじみが好意を高めるか下げるかは、関係の段階と中身によって変わると整理しています [9]。

よく言われていることは本当?

  • 何度も会う・見るほど好きになる好感度は上がる傾向があります。 ただし増えすぎると下がり、顔写真では上がらなかった実験もあります [1] [3]。
  • 実際に会って話す回数を増やすと好かれやすい研究が足りません。 初対面の会話の実験が1本あり、たくさん話した人ほど好意が強くなっていました [2]。
  • 効果には回数の上限があり、それ以上会っても好意は増えない上限があるという点は半分当たっています。 増えすぎると下がる逆U字は確かめられていますが、具体的な回数は確かめられていません [1]。
  • 接触が多すぎる・しつこいと逆効果になる逆U字の形は実験で確かめられています。 ただし実験用の刺激の話で、人間関係のしつこさを調べたものではありません [1]。
  • 合わない相手と接触を増やすと、かえって嫌われる条件によります。 相手の情報が増えて好意が下がった実験と、下がらなかった研究に割れています。苦手なものでは、くり返しが逆に働いた実験もあります [5] [7] [8]。
  • メッセージの回数を増やすと恋愛で好かれる研究が見つかりませんでした。 送信回数と好意を比べた研究は、調べた範囲にありません。
  • 広告をくり返し見せると好感度が上がる広告に絞ったメタ解析は、調べた範囲で見つかりませんでした。 今回のメタ解析は刺激全般を扱っており、広告に限った結論ではありません [1]。

02注意点

研究の中心は、顔・図形・言葉などの刺激を見せる実験です。人と会う回数を調べた研究は少なく、職場や恋愛での最適な回数は分かっていません。たとえば2011年の会話の実験は、初対面の同性どうしが対象でした [2]。不安を感じやすい人や不安が強いときほど、くり返し見たものを好きになる効果が小さかった研究もあります [10]。

回数の「正解」は、まだ分かっていない

「何回会えば好かれる」という数字は、研究では確かめられていません。

03まとめ

くり返し接するほど好感度は高まる傾向がありますが、増えすぎると下がります。
人と会う回数の研究は少なく、顔・図形・言葉などの実験が中心です。
会うときは、回数を詰め込みすぎず、自然に重ねましょう。

04よくある質問

Q何回会えば好きになってもらえますか?

研究では確かめられていません。メタ解析で分かったのは、増えすぎると好感度が下がる逆U字の形があることまでで、具体的な回数の数字は示されていません [[28263645]]。

Q毎日会うのは逆効果ですか?

研究では確かめられていません。逆U字は、顔・図形・言葉などを見せた実験で見られたものです。人と会う頻度を調べた研究ではありません。

Q第一印象が悪い相手でも、会ううちに好きになりますか?

条件によります。苦手なものでは、くり返し見ると逆に避けたくなった実験があります [[26898811]]。相手の情報が増えると好意が下がる結果も、下がらない結果もあります [[17201545]] [[24295380]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(11本)

[1]くり返し見るほど好きになる効果の再検討:回数と好感度のメタ解析

発表年
2017年
研究機関
アメリカ・デイトン大学
掲載誌
Psychological bulletin
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究81件を統合
結果の向き
良い方向

81本の論文をまとめると、くり返し見るほど好感度は上がるが、増えすぎると下がる逆U字の形だった。

[2]実際の会話では、なじみが好意を高める

発表年
2011年
研究機関
アメリカ・ロチェスター大学
掲載誌
Journal of personality and social psychology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

初対面の同性どうしが話す時間を変えた実験で、たくさん話した人ほど、おたがいに好意が強かった。

[3]高齢者と若い成人で単純接触効果は見られなかった

発表年
2022年
研究機関
Chow JKほかの研究チーム
掲載誌
Psychology and aging
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
差なし

同じ顔写真をくり返し見せても、若い人・高齢の人のどちらでも好感度は上がらなかった。

[4]複数の場面での単純接触:好意の限界を探る

発表年
2016年
研究機関
オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学
掲載誌
Quarterly journal of experimental psychology (2006)
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

毎回ちがう場面で顔を見せると好感度は上がらず、同じ場面のときだけ上がった。

[5]少ないほうが良い:あいまいさの魅力と、なじみが軽蔑を生む理由

発表年
2007年
研究機関
アメリカ・ハーバード大学
掲載誌
Journal of personality and social psychology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
悪い方向

相手の情報が増えるほど、平均すると好意が下がった。

[6]少ないほうが良いことが多いが、いつもではない:追加の証拠

発表年
2013年
研究機関
Norton MIほかの研究チーム
掲載誌
Journal of personality and social psychology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

方法を少し変えた追試でも、相手の情報が多いほど好意が下がる結果がもう一度出た。

[7]情報が多くても好意は下がらない

発表年
2013年
研究機関
Ullrich Jほかの研究チーム
掲載誌
Journal of personality and social psychology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
差なし

同じ方法をくり返した研究では、相手の情報が増えても好意は下がらなかった。

[8]クモが苦手な人で単純接触効果が逆になる

発表年
2016年
研究機関
オランダ・ラドバウド大学
掲載誌
Biological psychology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

クモが強く苦手な人では、くり返し見たクモの写真より、新しい写真のほうが好まれた。

[9]なじみは対人的な魅力をいつ高め、いつ損なうか:対立していた研究者による統合モデル

発表年
2015年
研究機関
アメリカ・ノースウェスタン大学
掲載誌
Perspectives on psychological science : a journal of the Association for Psychological Science
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

なじみが好意を高めるか下げるかは、関係の段階と中身によって変わると整理した総説。

[10]不安の強さは単純接触効果を弱める

発表年
2015年
研究機関
アメリカ・ボストン大学
掲載誌
Frontiers in psychology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

不安を感じやすい人・不安が強いときほど、くり返し見たものを好きになる効果が小さかった。

単純接触の顕著性理論:相対的な回数が好感度を高める

発表年
2020年
研究機関
意思決定科学センター
掲載誌
Journal of personality and social psychology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

刺激を見せる回数を増やすと好感度が上がった。ただし、まわりより多く見たかどうかが効いていた。

ほかに参考にした論文(3本)

判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。