[1]中鎖脂肪酸が体重と体組成に与える影響: 比較試験のメタ解析
- 発表年
- 2015年
- 研究機関
- Mumme Kほかの研究チーム
- 掲載誌
- Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 749人
- 結果の向き
- 良い方向
13件・749人で、MCTに置き換えると体重が平均0.51kg多く減った。

痩せます。ただし、減る量はわずかです。
ふだんの油をMCTオイルに置き換えた場合の話です。足しただけの場合や、糖質制限の有無で結果が変わるかは、研究が見つかりませんでした。
使うなら、いつもの油の一部をMCTオイルに置き換える形が、研究の条件に近いです。ただし減る量は小さいので、主役は食事と運動のままにしましょう。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 14.9 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 94.9 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
MCTオイルは、中鎖脂肪酸という種類の脂肪だけを集めた油です。ココナッツやパーム核油から作られ、すばやくエネルギーになるとされます。注意点は、油なので少量でもエネルギーが多いことです。ここまでは一般的な紹介で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、Mummeらの研究チームが2015年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た試験の結果を集めて数字でまとめる方法です。3週間を超える比較試験が対象でした。
| 研究の種類 | 比較試験(RCT)のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 健康な成人(13件・749人) |
| 比べたもの | ふつうの油(長鎖脂肪酸)とMCT |
| 結果 | MCTのほうが体重・腹囲・内臓脂肪などが減った |
腹囲は1.46cm、内臓脂肪も減っています。
体重で0.51kgは、小さな差です。「効く」という向きはそろっていますが、これだけで体型が変わるほどではない、と読むのが正確です。
太りぎみ・肥満の人に絞った2026年の解析でも、結果は同じ向きでした。京都府立医科大学の研究チームが、7件・346人をまとめています [2]。体脂肪量・体重・腹囲が減り、筋肉などの除脂肪量には差がありませんでした。
2015年のメタ解析の著者は、品質を十分に評価できない試験が多く、企業による偏りも見つかったと書いています [1]。2026年の解析も、根拠の確実性は低いと評価されました [2]。まとめた試験は7件・346人で、1件ごとの人数は少なめです。
MCTだけの油とMCTと長鎖脂肪酸を組み合わせた油(MLCT)を分けた2024年の解析では、MCTだけの油で体重の減り方が平均1.62%大きく、MLCTでは有意な差がありませんでした [3]。「MCT入り」と書かれた油でも、効いたのはMCTだけの油です。
MCTだけの油は差が出て、MCTと長鎖脂肪酸を組み合わせた油では有意な差がありませんでした。
続けると差が縮む例もあります。肥満の女性が超低カロリー食をとる4週間の試験では、MCTにすると最初の2週間は体重が多く減りましたが、差は3〜4週目にかけて小さくなりました [4]。
研究の多くは、ふだんの食事のなかで、ふつうの油をMCTに置き換えた試験です。たとえば、太りぎみの人にMCTを毎日2g、2週間とってもらった二重盲検の試験があります [8]。この試験は企業の研究部門による研究です。2026年のメタ解析は、MCTによる副作用はまれで、おおむね問題なく続けられたと報告しています [2]。ただし、慣れていない人は少量から始め、体調に合わないときはやめてください。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師や薬剤師に確認してください。
足した場合の研究は見つかっていません。油は少量でもエネルギーが多いので、研究の条件に近い、いつもの油の一部との置き換えがすすめられます。
MCTオイルは、ふつうの油と置き換えると体重を減らします。差は小さく、根拠の確かさは低めです。
効いたのはMCTだけの油で、MCTと長鎖脂肪酸の組み合わせ油では差がありませんでした。
使うなら、足すのではなく、いつもの油の一部と置き換えましょう。
研究では確かめられていません。ここで紹介した解析は、どれもふつうの油との比較で、糖質制限を条件にしたものではありません。
研究では確かめられていません。メタ解析の試験は、ふつうの油との置き換えで比べたものでした。油はエネルギーが多いので、足す場合は総量に気をつけましょう。
食後の熱の産生がふえる点は、メタ解析で確認されています。ただし、続けると差が小さくなった試験があり、体重の減りは平均0.51kgと小さいままです。
研究では確かめられていません。MCTオイルの昼食量の試験で、ココナッツオイルはMCTオイルと同じ働きとは言えないと著者は結論しています。
13件・749人で、MCTに置き換えると体重が平均0.51kg多く減った。
7件・346人で、MCTの摂取は体脂肪量・体重・腹囲を減らした。
MCTだけの油で効果があり、MCTと長鎖脂肪酸を組み合わせた油では有意な差がなかった。
超低カロリー食の間、MCTだと最初の2週間は体重が多く減ったが差は小さくなった。
MCTを含む食事は、長鎖脂肪酸の食事より熱の産生が有意に大きかった。
24人の男性で、2日目はエネルギー消費が多かったが28日目には有意な差がなかった。
MCTのあと、好きなだけ食べる食事の量が減った。空腹感の自己評価には差がなかった。
太りぎみの人で、MCTを毎日2g、2週間とると食後のエネルギー消費がふえた。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。