[1]健康な大人のインフルエンザワクチンの効果をまとめた分析
- 発表年
- 2018年
- 研究機関
- イタリア・アレッサンドリア地域保健局
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 71,221人
- 結果の向き
- 良い方向
16〜65歳の健康な大人71,221人で、接種するとインフルエンザにかかる人が2.3%から0.9%に減った。

減ります。かかる人は減りますが、ゼロにはなりません。
検査で確かめたインフルエンザにかかる人の話です。重症化 (入院など) は、観察研究で少ないという関連が見られる段階で、比較試験での確認はまだ十分ではありません。
受けておくと、かかる人の割合は下がります。打ったあとも、かかる人はいます。体調が悪いときは早めに受診を。高齢の方や持病のある方は、かかりつけ医に相談してから決めましょう。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 21.3 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 95.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
インフルエンザの予防接種は、ウイルスの成分を体に入れて、かかりにくくするための注射です。鼻に噴霧するタイプもあります。かかる人を減らし、かかったときの症状を軽くするとされています。毎年、流行しそうな型に合わせて中身が変わるのが特徴です。注意点は、打っても絶対にかからないわけではないことです。
答えの中心は、イタリアのアレッサンドリア地域保健局などの研究チームが2018年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た条件の試験の結果を集めて、まとめて計算する方法です。
| 研究の種類 | 健康な大人を対象にした比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 16〜65歳の健康な大人 (25件・71,221人) |
| 比べたもの | 不活化ワクチン (注射) と、プラセボまたは接種なし |
| 結果 | 検査で確かめたインフルエンザにかかる人が2.3%から0.9%に減少 |
71人に接種して1人を防げる計算です [1]。
試験は1969〜2009年のものです。かかる人は半分より少なくなりましたが、ゼロにはなっていません。
65歳以上の人を対象に、ワクチンとプラセボを比べた8件の試験では、かかる人が6%から2.4%に減りました (リスク比0.42) [2]。30人に接種して1人を防げる計算です。インフルエンザの診断方法がはっきりしない試験があり、根拠の確かさは低めです。
流行しているウイルスとワクチンの型がずれた年は、効き方が小さくなります。2016〜2017年に12か国で行われた65歳以上の試験では、アジュバント (効きを高める成分) 入りのワクチンの有効率は19.8%で、はっきりした差は出ませんでした。調べたウイルスの85%がワクチンの型と合っていなかった年です [3]。
流行株とワクチン株が大きくずれたシーズンで、有効率は19.8%でした。
アメリカのミネソタ大学などによるまとめでは、18〜65歳の大人で有効率は59%でしたが、有効だったのは12シーズン中8シーズンでした [4]。毎年、同じ効き方をするわけではありません。
比較試験ではなく、実際に接種した人を調べた観察研究191件のまとめ (2017〜2022年に発表) でも、接種はインフルエンザにかかる人が少ないことと関連していました。有効率は18歳未満で48.6%、18〜64歳で36.7%、65歳以上で30.6%でした [5]。
入院や肺炎などの重い状態については、今ある研究は観察研究が中心です。
観察研究は、接種した人としない人の元々の違いが結果に影響します。重症化を防ぐと言い切るには、比較試験での確認が必要です。今回集めた研究では、その確認はまだ十分ではありません。
コクランレビュー (イギリスのオックスフォード大学などの研究チーム、2018年) では、2〜16歳の子どもで注射のワクチンを打つと、インフルエンザにかかる子が30%から11%に減りました (リスク比0.36)。根拠の確かさは高いとされています [7]。
新しい試験でも同じ向きです。2017〜2019年の試験では、2歳から18歳未満の4514人で、細胞培養でつくった不活化ワクチンを打った子のうちインフルエンザにかかったのは7.8%で、比較のワクチンの16.2%より少なくなりました [8]。2023〜2024年のシーズンに中国の3〜17歳6000人で行われた、鼻に噴霧するワクチンの試験でも、プラセボよりかかる子が少なくなりました (ハザード比0.53) [9]。
数値は、研究が行われた年の流行株とワクチンの組み合わせでの結果です。大人の試験は1969〜2009年に行われたもので、いまの流行とぴったり同じではありません。高齢者の試験も、診断方法がはっきりしないものを含みます [2]。持病がある人、服薬中の人、過去の接種で体調を崩したことがある人は、医師に確認してください。
流行株とワクチンがずれた年は、差が小さくなります。
インフルエンザの予防接種で、かかる人は減ります。ただしゼロにはなりません。
重症化については、接種した人で入院が少ないという関連は見られますが、比較試験での確認はまだ十分ではありません。
高齢の方や持病のある方は、かかりつけ医に相談して決めましょう。
意味はあります。接種した大人でも0.9%はかかりましたが、接種なしの2.3%より少なくなっています [[29388196]]。入院などの重症化は、比較試験での確認がまだ十分ではありません。
研究では確かめられていません。今回の研究が調べたのは、1シーズンの間にかかる人の割合です [[29388196]]。
インフルエンザ以外の風邪は、今回の研究では確かめられていません。風邪については [ビタミンCで風邪は防げるって本当?](/evidence/vitamin-c-common-cold) で研究を紹介しています。
接種とは別の疑問です。[ビタミンDで免疫力は上がる?](/evidence/vitamin-d-immunity) で、インフルエンザへの研究をまとめています。
16〜65歳の健康な大人71,221人で、接種するとインフルエンザにかかる人が2.3%から0.9%に減った。
65歳以上でワクチンを打つと、かかる人が6%から2.4%に減った。RCT8件。
流行株がずれた年の65歳以上で、有効率は19.8%。はっきりした差は出なかった。
18〜65歳の大人で有効率は59%。有効だったのは12シーズン中8シーズン。
観察研究191件で、有効率は18歳未満48.6%、18〜64歳36.7%、65歳以上30.6%。
入院した人の観察研究165件で、接種は入院が42%少ないことと関連していた。
2〜16歳で注射のワクチンを打つと、かかる子が30%から11%に減った。
2歳から18歳未満の4514人で、かかった割合は7.8%と16.2%。有効率54.6%。
3〜17歳の6000人で、検査で確かめたインフルエンザがプラセボより少なかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。