[1]下痢を防ぐ手洗い指導のコクランレビュー
- 発表年
- 2021年
- 研究機関
- ナイジェリア・カラバル大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 4,664人
- 結果の向き
- 良い方向
手洗いの指導で下痢の回数が何もしない場合の0.70倍に減った(9件・4664人)。

防げます。保育園・学校で石けんの手洗いを指導すると、下痢になる回数が0.70倍に減ります。
子どもの集まる場所での手洗いの結果が中心で、家庭内を直接調べたのは消毒剤の試験1本です。家の消毒や抗菌タイプの製品については、効果を示せていません。
石けんと流水の手洗いを基本に、トイレのあと・食事や調理の前・おむつ替えのあとに行いましょう。流水で洗えない場面では、アルコールの手指消毒剤が補助になります。抗菌タイプの洗剤を選ばなくても、差は示されていません [3]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 15.9 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 95.9 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 96 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「高い」で、これを強度の上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
胃腸炎は、ウイルスや細菌で起こる、吐き気・嘔吐・下痢の病気です。ノロウイルスなどが原因になり、感染した人の便や吐いた物から手を介してうつるとされています。家族の誰かが感染すると、家庭内に広がりやすいのが特徴です。注意点は、症状が治まったあともしばらくウイルスが出ることがあるとされている点です。
答えの中心は、ナイジェリアのカラバル大学などの研究チームが2021年に発表したコクランの系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する試験を集め、結果を整理する方法です。主に先進国の保育園・学校で、手洗いを指導した試験が集められました。
| 研究の種類 | 手洗い指導の比較試験をまとめたメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 先進国の保育園・学校の子ども(9件・4664人) |
| 比べたもの | 手洗いの指導(石けんの配布を含むこともある)と、何もしない場合 |
| 結果 | 下痢になる回数が、何もしない場合の0.70倍に減った |
家庭や学校など地域での手洗いを調べた30件のメタ解析でも、胃腸の病気は31%減っています [4]。
注意したいのは、この結果が保育園・学校の研究を中心にしていることです。家庭の中だけを調べた研究ではありません。それでも、手洗いで下痢が減るという向きは、複数のまとめでそろっています。
家庭の中でのうつりを直接調べた試験は、見つかった範囲で1本です。アメリカのボストン小児病院などの研究チームが2005年に発表した試験で、保育園に通う子どもがいる292家族が対象でした [2]。家にアルコールの手指消毒剤を置き、手洗いの資料を配った家庭では、家族の中で胃腸炎がうつる率が0.41倍に下がりました。かぜなど呼吸器の病気のうつりには差がありませんでした。
オーストラリアのアデレード大学などの研究チームによる2020年のコクランのレビューでは、保育園・学校で水ですすがない手指消毒剤を使うと、胃腸炎による欠席が0.79倍に減りました(RCT4件)[5]。根拠の確かさは低めです。試験の方法に偏りが入りやすく、結果にもばらつきがあるためです。
ニュージーランドの小学校68校で教室に手指消毒剤を置いた試験では、病気による欠席は減らず、そのあと家族がかかる回数にも差がありませんでした(2443人)[6]。どちらの群にも手洗いの授業をしていて、新型インフルエンザの流行中でもあり、どの学校でも手洗いが増えていた可能性があります。
消毒剤を置いても、欠席や家族への広がりに差はありませんでした。
表面の消毒は、手指消毒と組み合わせた試験が中心で、どちらが効いたかは分けられません。
つまり、手洗いと消毒を組み合わせた取り組みには効果がありました。ただ、抗菌タイプの製品を選ぶ必要は、試験では示されていません。1960年から2007年までの30件のまとめでも、普通の石けんの手洗いがいちばん効果が大きく、抗菌石けんを足しても上乗せはほとんどありませんでした [4]。
手洗いの試験は、保育園・学校で行われたものが中心です。家庭の消毒剤の試験は、保育園に通う子どもがいる家庭を5か月間追ったもので、期間や対象の違う家庭には当てはまらない場合があります [2]。肌のトラブルは、消毒剤を使わない場合と差がありませんでした [5]。乳幼児や高齢の人が下痢や嘔吐でぐったりしているとき、水分がとれないときは、早めに医師に相談してください。
消毒剤は、水で洗えないときに足す補助として使いましょう。
石けんの手洗いで下痢は減り、アルコール消毒も家族内のうつりを減らしました。
ただし家庭内を直接調べた試験は少なく、根拠の確かさは低めです。
洗剤を抗菌タイプにするより、まず石けんと流水の手洗いを丁寧に続けましょう。
研究では、手洗いに消毒剤を足したときの結果を調べています。消毒剤だけで手洗いの代わりになるかは、今回の研究では確かめられていません。
選ぶ必要は示されていません。家庭238世帯の試験で、抗菌タイプとふつうの製品に下痢や嘔吐の差はありませんでした [[14996673]]。
塩素系だけを人で試した研究は見つかっていません。自治体の資料が勧める手順として、手袋とマスクをつけ、換気して処理します。
感染で比べた研究は見つかっておらず、研究では確かめられていません。
手洗いの指導で下痢の回数が何もしない場合の0.70倍に減った(9件・4664人)。
292家族で、家族内の胃腸炎のうつる率が0.41倍に下がった。
抗菌タイプとふつうの製品で、下痢や嘔吐に差はなかった(238世帯・1178人)。
地域での手洗いの改善で胃腸の病気が31%減った(30件)。
胃腸炎による欠席が0.79倍に減った(4件)。
欠席や家族がかかる回数に差はなかった(2443人)。
胃腸炎による欠席が減り、表面のノロウイルスは9%と少なかった(285人)。
子どもの下痢や胃腸の病気が少なくなった(393人)。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。