飲む前のサプリや食品で二日酔いは予防できる?

飲む前のサプリや食品で二日酔いは予防できる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え

一部の成分で、翌日の症状が軽くなった試験があります。飲酒後の血中のアセトアルデヒドは、下がった試験が多くあります。

根拠

二日酔いの予防・治療を調べたプラセボ対照の試験21件(386人)の系統的レビューでは、一部の成分で症状が軽くなりました。ただし成分ごとの試験は1件ずつで、根拠の質はすべて非常に低いと評価されています [1]。飲む前にとる小さな試験9件では、飲酒後の血中のアルコールやアセトアルデヒドが下がったものが多くありましたが、症状に差がなかった試験もあります [2]。

この答えの範囲

健康な大人が、決まった量のお酒を飲んだ試験で確かめた結果です。調べた成分は、乳酸菌・アミノ酸・植物のエキスなどです。ウコンやしじみの研究の状況は、本文にまとめています。

じゃあ、どうする?

サプリや食品は、二日酔いを確実に防ぐ手段としては頼れません。研究が確かめている範囲では、飲む量を控えることが最も確実です [3]。使う場合も、補助と考え、飲み過ぎないことが前提です。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。限定的
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。9 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。結果は混在
判定の内訳を見る(スコア 39 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量15.520研究件数と参加人数
一致度10.825結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 76.3 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 5 本・RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

二日酔い対策のサプリ・食品とは

二日酔い対策のサプリや食品は、飲酒の前後にとることで、お酒の分解を助けたり翌日のつらさを和らげたりするとされるものです。乳酸菌・アミノ酸・植物のエキス・ウコン・しじみなど、成分はさまざまです。飲料やカプセルなど形も多く、医薬品ではなく食品として売られます。注意点は、成分ごとの研究が少ないことです。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが2022年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。二日酔いの予防・治療を調べたプラセボ(効果のない偽物)対照の試験21件が集められました。

研究の種類二日酔いの予防・治療を調べたプラセボ対照の試験の系統的レビュー
対象健康な大人(21件・386人)
比べたものクローブのエキス・高麗人参・韓国の梨ジュースなどと、プラセボ
結果一部の試験で症状が軽くなったが、成分ごとの試験は1件ずつで、根拠の質はすべて非常に低い
系統的レビューの結果一部の成分で症状が軽くなりましたが、確かめた試験は成分ごとに1件ずつでした [1]。

同じ成分を調べた試験が複数なく、統合解析はできませんでした。

血中の数値と、翌日の症状は別の話

血中のアルコールやアセトアルデヒドが下がっても、翌日の症状が軽くなるとは限りません。飲む前にとる小さな試験9件では、乳酸菌・アミノ酸・植物エキスなどをとると、飲酒後の血中の数値がプラセボより低いものが多くありました。ただし血液の数値が下がっても、症状に差がなかった試験もあります。

  • グルタチオンを含む酵母エキス: 二日酔いになりやすい40人で、血中のアセトアルデヒドは低かったのに、症状の点数はプラセボと差がありませんでした [2]。
  • ノニの果実エキス: 30人で、血中のアセトアルデヒドと下痢は少なかったものの、症状が軽くなったと報告されたのは、若く飲酒量の多い人を分けて調べた分析でした [4]。
  • アミノ酸の混合物: 健康な大人で、飲酒の13時間後の症状(特にだるさと頭の働きにくさ)がプラセボより軽くなりました [5]。
  • 乳酸菌(発酵食品由来): 28人で、二日酔いの自覚症状が軽く、特にのどの渇きが少なくなりました [6]。
  • 加熱殺菌した乳酸菌: 28人で、2つの質問票の合計点がプラセボより低くなりました。筆頭著者は企業の所属で、企業が関わった研究です [7]。
症状に差がなかった試験N-アセチルシステイン(49人)、乳酸菌とビフィズス菌の混合物(27人ずつの2群)

二日酔いの点数は、どちらもプラセボと差がありませんでした [8] [9]。

効くのはどんなとき? 効かないのはどんなとき?

効いた報告は、成分も飲み方もばらばらです。いつ飲むか、どの成分か、どんな体質の人かで結果が変わります。乳酸菌とビフィズス菌の混合物では、お酒に弱い体質(ALDH2のヘテロ型)の人では血中の数値が下がり、強い体質の人では下がりませんでした [9]。試験の多くは、参加者が数十人で、1回の飲酒だけを調べています。

よく言われていることは本当?

  • 二日酔い対策のドリンク・サプリを飲む前に飲むと、翌日の二日酔いが軽くなる条件によります。 症状が軽くなった試験もあれば、差がなかった試験もあります [1]。肝臓エキスを使った飲料そのものを調べた試験は見つかっていません。
  • 飲む前のサプリでアルコールの分解が早まり、アセトアルデヒドが減る条件によります。 小さな試験9件で血中の数値は下がる方向でしたが、成分はばらばらで、症状に差がなかった試験もあります [2]。
  • ウコン(クルクミン)を飲む前に飲むと二日酔いを防げる研究が足りません。 ヒトの試験は見つかっていません。
  • しじみ(オルニチン・アラニン)で二日酔いを防げる研究が足りません。 ヒトの試験は見つかっていません。
  • 飲む前に食べておく・牛乳で胃に膜を張ると二日酔いになりにくい研究が足りません。 食事の効果を人で調べた論文は見つかっていません。
  • お酒と一緒に水(チェイサー)を飲むと二日酔いを防げる研究が足りません。 査読された論文の介入試験は見つかっていません。

02注意点

試験で使われたお酒の量は、体重1 kgあたりアルコール0.78 g分のウイスキーや、アルコール90 g相当のウイスキーなど、研究ごとに違います [2] [7]。サプリは、お酒をたくさん飲んでも大丈夫にするものではありません。古い系統的レビューも、最も確実なのは飲まないか控えめにすることと結論しています [3]。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師や薬剤師に確認してください。

飲む量が先、サプリは補助

血中の数値が下がることと、翌日が楽になることは別の結果です。

03まとめ

飲む前のサプリや食品では、一部の成分で翌日の症状が軽くなった試験があります。
成分ごとの試験は1件ずつで、血中の数値が下がっても症状に差がない試験があります。
使うなら補助と考え、飲む量を控えることを先に考えましょう。

04よくある質問

Qウコンやしじみは、二日酔いに効きますか?

研究が足りません。ウコン(クルクミン)・しじみ(オルニチン)と二日酔いを調べたヒトの試験は見つかっていません。

Q飲む前に食事をとれば、二日酔いは防げますか?

研究では確かめられていません。

Q血中のアセトアルデヒドが下がれば、二日酔いは軽くなりますか?

試験によって分かれました。グルタチオンを含む酵母エキスは、血中のアセトアルデヒドが低くても症状に差がありませんでした [[39408229]]。

Q飲んだ後にとる場合はどうですか?

この記事は飲む前の話です。27人の酵母エキスの試験は、飲んだ後にとり、症状の差ははっきりしませんでした [[42019562]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(9本)

[1]二日酔いの予防・治療を調べたプラセボ対照試験の系統的レビュー

発表年
2022年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
Addiction (Abingdon, England)
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
386人
結果の向き
結果が割れている

プラセボ対照の試験21件(386人)を集め、一部の成分で症状が軽くなったが根拠の質はすべて非常に低いと評価。

[2]グルタチオンを含む酵母エキスと二日酔いの試験

発表年
2024年
研究機関
韓国・CHA大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
40人
結果の向き
差なし

二日酔いの経験がある40人で、症状の点数はプラセボと差がなかった。血中のアセトアルデヒドは低かった。

[3]二日酔いの予防・治療法の系統的レビュー

発表年
2005年
研究機関
イギリス・ペニンシュラ医科大学
掲載誌
BMJ (Clinical research ed.)
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
差なし

ランダム化試験8件の古い系統的レビュー。どの方法も効くという説得力のある根拠はないと結論。

[4]ノニの果実エキスと飲酒後の症状の試験

発表年
2023年
研究機関
韓国・ソウル科学技術大学
掲載誌
Food & function
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
結果が割れている

30人の交差試験。血中のアセトアルデヒドと下痢は少なかったが、症状が軽くなったのは一部の人に限られた。

[5]アミノ酸の混合物と飲酒後の症状の試験

発表年
2026年
研究機関
韓国・高麗大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

健康な大人で、飲酒の13時間後の症状(だるさと頭の働きにくさ)がプラセボより軽かった。

[6]乳酸菌と二日酔いの症状の試験

発表年
2025年
研究機関
韓国・延世大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
28人
結果の向き
良い方向

健康な大人28人の交差試験。二日酔いの自覚症状が軽く、特にのどの渇きが少なかった。

[7]加熱殺菌した乳酸菌と二日酔いの試験

発表年
2025年
研究機関
韓国・企業の研究部門
掲載誌
Journal of microbiology and biotechnology
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
28人
結果の向き
良い方向

28人の交差試験。二日酔いの2つの質問票の合計点がプラセボより低かった。

[8]N-アセチルシステインと二日酔いの試験

発表年
2021年
研究機関
アメリカ・セントルークス大学ヘルスネットワーク
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
49人
結果の向き
差なし

49人で、二日酔いの合計点はプラセボと差がなかった。

[9]乳酸菌とビフィズス菌の混合物と飲酒後の血中の数値の試験

発表年
2021年
研究機関
韓国・全北大学病院
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

お酒に弱い体質の人では血中のアルコールとアセトアルデヒドが下がったが、強い体質の人では下がらなかった。

ほかに参考にした論文(10本)

この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。