カフェインレスコーヒーでも健康効果はある?

カフェインレスコーヒーでも健康効果はある?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効くが、差はごく小さい

糖尿病や死亡のリスクが低いことと関連しています。差はごく小さいです。

根拠

カフェインレスコーヒーを1日1杯多く飲む人は、2型糖尿病のリスクが0.94倍と低いことと関連していました。前向き研究30件のメタ解析で、カフェイン入りの0.93倍とほぼ同じです [1]。死亡リスクも、デカフェでカフェイン入りと同様に低いことと関連していました [2]。根拠の確かさは低めです。デカフェ単独の数値が示されていない研究が多く、結果のばらつきもあるためです。いずれも観察研究なので、因果関係までは分かりません。

この答えの範囲

習慣として飲む人の統計上の関連の話です。飲むと病気が防げるという意味ではありません。

じゃあ、どうする?

カフェインを避けたい人がデカフェに替えても、コーヒーを飲む人の統計上の関連は大きく変わりません。ただし血糖値を下げる目的で飲む根拠はありません。血糖や肝臓の持病がある人は、主治医に相談してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。13 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 80 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量2020研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 80 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 80 点です。 判定に使った研究は、観察研究 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

カフェインレスコーヒーとは

カフェインレスコーヒー(デカフェ)は、コーヒー豆からカフェインの大部分を取り除いたコーヒーです。夜やカフェインを控えたいときに選ばれます。ここは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。以下の研究は「飲む習慣と病気の関連」を見たものが中心です。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

糖尿病は、関連が見られます

答えの中心は、スウェーデンのカロリンスカ研究所などの研究チームが2018年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果を統計的にまとめる方法です。前向き研究(飲む習慣を先に調べ、あとから病気になった人を追う研究)が30件集められました。

研究の種類前向き研究30件のメタ解析(観察研究)
対象一般の成人
比べたものカフェインレスコーヒーを1日1杯多く飲む人と、少ない人
結果2型糖尿病のリスクが0.94倍と低いことと関連
まとめて分析した結果デカフェを1日1杯多く飲むごとに、2型糖尿病のリスクは0.94倍と低いことと関連していました。

カフェイン入りは0.93倍で、ほぼ同じです [1]。

リスクの差は6%ほどで、ごく小さい関連です。2014年の別のメタ解析でも、デカフェは1日1杯増えるごとに0.94倍で、カフェイン入りとの差は統計的にはっきりしませんでした [3]。

試験では血糖値は下がっていません

観察研究で関連が見られても、飲んで血糖値が下がるとは限りません。ランダム化比較試験(くじ引きで飲む人を分ける試験)27件・1898人のネットワークメタ解析では、空腹時の血糖値を下げたのは緑茶で、コーヒー(カフェイン入りとカフェインレスをまとめた群)では下がりませんでした [4]。健康な人の試験6件の系統的レビューでも、クロロゲン酸を多くしたデカフェは血糖値に有意な影響を示しませんでした [5]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

太り気味の健康な45人が、デカフェを1日5杯・8週間飲んだ試験では、水と比べて糖の処理能力やインスリンの効きに差はありませんでした [6]。一方、健康な男性17人が1回飲んだ短時間の試験では、水よりインスリンの効きが高くなりました [7]。1回の結果と、8週間続けた結果が違う、ということです。

差がなかった試験太り気味の健康な45人(1日5杯・8週間)

デカフェは水と比べて、糖の処理能力に差がありませんでした。

死亡リスクは、低い関連がありますが結果が割れます

コホート研究21件のメタ解析では、デカフェでもカフェイン入りと同様に、死亡リスクが低いことと関連していました [2]。2019年の40件のメタ解析も、コーヒーと死亡リスクの逆の関連はカフェインの有無にかかわらず保たれていたと報告しています [8]。ただしどちらも、デカフェ単独の数値は要旨に示されていません。

結果が合わない研究もあります。スペインの1567人を18年追跡した研究では、死亡リスクの低さと関連したのはカフェイン入りだけで、デカフェでは関連が見られませんでした [9]。英国の大規模な研究では、デカフェでも飲む量と死亡リスクのあいだにU字型の関連が見られ、量によって結果が違いました [10]。根拠の確かさは低めです。

肝臓は、まだ分かりません

肝がんのメタ解析では、デカフェを1日2杯多く飲むと肝がんのリスクが0.86倍と関連しましたが、統計的にははっきりしませんでした。デカフェのコホート研究は3件で、確実性は非常に低い研究です [11]。英国の494,585人の研究では、デカフェでも慢性の肝臓病のリスクの低さと関連していました [12]。一方、欧州の研究では、肝がんとの関連はカフェイン入りで見られ、デカフェでは見られませんでした [13]。研究が少なく、向きもそろっていません。

よく言われていることは本当?

  • デカフェでも糖尿病になりにくい低いことと関連しています。 ごく小さな差で、観察研究での関連です [1]。
  • デカフェでも長生きにつながる低い関連が報告されていますが、デカフェでは関連が見られなかった研究もあります [2] [9]。
  • デカフェでも肝臓に良い研究が足りません。 研究によって結果が分かれています [11] [13]。
  • カフェインを抜いてもクロロゲン酸(コーヒーに含まれるポリフェノール)が残り、抗酸化作用がある飲んで体の抗酸化の働きが高まるかを測ったヒトの研究は、今回の調査では見つかっていません。 クロロゲン酸を多くしたデカフェの試験を集めたレビューでも、血糖値への有意な影響はありませんでした [5]。

02注意点

ここでの結果は、飲む習慣のある人を追った観察研究が中心です。コーヒーを飲む人は、ほかの生活習慣も違う場合があり、デカフェそのものの効果とは言えません。試験の例では、デカフェを1日5杯・8週間飲んだ45人で糖の処理に差はありませんでした [6]。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、主治医や薬剤師に確認してください。

病気の予防や治療のためではなく、味や習慣として選ぶ

血糖や肝臓の病気がある人は、自己判断で食事を変えず、医師に相談してください。

03まとめ

デカフェを飲む人は、2型糖尿病や死亡のリスクが低いことと関連していますが、差はごく小さい関連です。
試験では血糖値は下がっておらず、肝臓は研究が足りません。
カフェインを控えたいときの選択肢として、無理のない範囲で楽しんでください。

04よくある質問

Qデカフェを飲むと血糖値は下がりますか?

短期の試験では、血糖値が下がった結果は見られていません。ランダム化比較試験27件のネットワークメタ解析で、コーヒー(カフェイン入りとカフェインレスをまとめた群)では空腹時血糖が下がりませんでした [[30591664]]。

Qカフェイン入りと比べて健康面で劣りますか?

糖尿病では、1日1杯増えるごとに0.94倍(デカフェ)と0.93倍(カフェイン入り)で、ほぼ同じでした [[29590460]]。肝がんでは、カフェイン入りのほうが関連がはっきりしていました [[25219573]]。

Q認知症の予防には関係しますか?

この記事では研究を整理していません。別の記事で扱う話題です。

05参照した論文

判定に使った主な論文(13本)

[1]コーヒーと2型糖尿病リスクの低下に関するメタ解析

発表年
2018年
研究機関
スウェーデン・カロリンスカ研究所
掲載誌
Nutrition reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,185,210人
結果の向き
良い方向

前向き研究30件をまとめ、デカフェ1日1杯増で糖尿病リスクが0.94倍と低い関連。

[2]カフェイン入り・カフェインレスコーヒーと全死亡リスクの用量反応メタ解析

発表年
2019年
研究機関
中国・鄭州大学
掲載誌
Journal of human nutrition and dietetics : the official journal of the British Dietetic Association
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
10,103,115人
結果の向き
良い方向

コホート研究21件で、デカフェでもカフェイン入りと同様に死亡リスクが低い関連。

[3]カフェイン入り・カフェインレスコーヒーと2型糖尿病の用量反応メタ解析

発表年
2014年
研究機関
Ding Mほかの研究チーム
掲載誌
Diabetes care
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,109,272人
結果の向き
良い方向

前向き研究28件・1,109,272人で、デカフェは1日1杯増えるごとに0.94倍と低い関連。

[4]コーヒーとお茶が血糖に与える影響のネットワークメタ解析

発表年
2018年
研究機関
日本・横浜市立大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,898人
結果の向き
差なし

RCT27件・1898人で、空腹時血糖を下げたのは緑茶で、デカフェでは下がらなかった。

[5]クロロゲン酸を多くしたデカフェと血糖値の系統的レビュー

発表年
2018年
研究機関
イラン・Faraji Hほかの研究チーム
掲載誌
International journal of preventive medicine
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究6件を統合
結果の向き
差なし

健康な人のRCT6件で、クロロゲン酸を多くしたデカフェは血糖値に有意な影響を示さなかった。

[6]カフェイン入り・カフェインレスコーヒーと糖尿病リスク因子のRCT

発表年
2011年
研究機関
アメリカ・Wedick NMほかの研究チーム
掲載誌
Nutrition journal
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
45人
結果の向き
差なし

太り気味の45人が1日5杯・8週間飲んでも、水と糖の処理能力に差はなかった。

[7]デカフェが健康な男性のインスリン感受性を高めるか

発表年
2018年
研究機関
ブラジル・Reis CEGほかの研究チーム
掲載誌
The British journal of nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
17人
結果の向き
良い方向

健康な男性17人のクロスオーバー試験で、1回飲むと水よりインスリンの効きが高かった。

[8]コーヒーと全死亡・死因別死亡のメタ解析

発表年
2019年
研究機関
韓国・慶熙大学
掲載誌
European journal of epidemiology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,852,651人
結果の向き
良い方向

40件のメタ解析で、逆の関連はカフェインの有無にかかわらず保たれていた。

[9]地中海地域の成人のコーヒー摂取と死亡

発表年
2021年
研究機関
スペイン・アリカンテ保健生物医学研究所
掲載誌
Nutrients
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
1,567人
結果の向き
差なし

スペインの1567人を18年追跡し、デカフェでは死亡リスクとの関連が見られなかった。

[10]加糖・人工甘味料・無糖コーヒーと死亡リスクの大規模コホート

発表年
2022年
研究機関
中国・南方医科大学
掲載誌
Annals of internal medicine
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
171,616人
結果の向き
結果が割れている

英国の研究で、デカフェでも量と死亡リスクにU字型の関連が見られた。

[11]コーヒーと肝細胞がんのリスクのメタ解析

発表年
2017年
研究機関
イギリス・サウサンプトン大学
掲載誌
BMJ open
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,272,642人
結果の向き
差なし

デカフェ1日2杯増で肝がんリスク0.86倍と関連したが、統計的にははっきりしなかった。

[12]慢性肝疾患とコーヒーの種類に関する英国の研究

発表年
2021年
研究機関
イギリス・サウサンプトン大学
掲載誌
BMC public health
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
494,585人
結果の向き
良い方向

英国の494,585人で、デカフェでも慢性の肝臓病のリスクの低さと関連していた。

[13]欧州集団のコーヒー・お茶・デカフェと肝細胞がん

発表年
2015年
研究機関
ギリシャ・アテネ大学
掲載誌
International journal of cancer
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
486,799人
結果の向き
差なし

肝がんのリスクの低さとの関連はカフェイン入りで見られ、デカフェでは見られなかった。

ほかに参考にした論文(8本)

判定「効くが、差はごく小さい」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。