[1]コーヒーと2型糖尿病リスクの低下に関するメタ解析
- 発表年
- 2018年
- 研究機関
- スウェーデン・カロリンスカ研究所
- 掲載誌
- Nutrition reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 1,185,210人
- 結果の向き
- 良い方向
前向き研究30件をまとめ、デカフェ1日1杯増で糖尿病リスクが0.94倍と低い関連。

糖尿病や死亡のリスクが低いことと関連しています。差はごく小さいです。
習慣として飲む人の統計上の関連の話です。飲むと病気が防げるという意味ではありません。
カフェインを避けたい人がデカフェに替えても、コーヒーを飲む人の統計上の関連は大きく変わりません。ただし血糖値を下げる目的で飲む根拠はありません。血糖や肝臓の持病がある人は、主治医に相談してください。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 24 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 80 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 80 点です。 判定に使った研究は、観察研究 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
カフェインレスコーヒー(デカフェ)は、コーヒー豆からカフェインの大部分を取り除いたコーヒーです。夜やカフェインを控えたいときに選ばれます。ここは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。以下の研究は「飲む習慣と病気の関連」を見たものが中心です。
答えの中心は、スウェーデンのカロリンスカ研究所などの研究チームが2018年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果を統計的にまとめる方法です。前向き研究(飲む習慣を先に調べ、あとから病気になった人を追う研究)が30件集められました。
| 研究の種類 | 前向き研究30件のメタ解析(観察研究) |
|---|---|
| 対象 | 一般の成人 |
| 比べたもの | カフェインレスコーヒーを1日1杯多く飲む人と、少ない人 |
| 結果 | 2型糖尿病のリスクが0.94倍と低いことと関連 |
カフェイン入りは0.93倍で、ほぼ同じです [1]。
リスクの差は6%ほどで、ごく小さい関連です。2014年の別のメタ解析でも、デカフェは1日1杯増えるごとに0.94倍で、カフェイン入りとの差は統計的にはっきりしませんでした [3]。
観察研究で関連が見られても、飲んで血糖値が下がるとは限りません。ランダム化比較試験(くじ引きで飲む人を分ける試験)27件・1898人のネットワークメタ解析では、空腹時の血糖値を下げたのは緑茶で、コーヒー(カフェイン入りとカフェインレスをまとめた群)では下がりませんでした [4]。健康な人の試験6件の系統的レビューでも、クロロゲン酸を多くしたデカフェは血糖値に有意な影響を示しませんでした [5]。
太り気味の健康な45人が、デカフェを1日5杯・8週間飲んだ試験では、水と比べて糖の処理能力やインスリンの効きに差はありませんでした [6]。一方、健康な男性17人が1回飲んだ短時間の試験では、水よりインスリンの効きが高くなりました [7]。1回の結果と、8週間続けた結果が違う、ということです。
デカフェは水と比べて、糖の処理能力に差がありませんでした。
コホート研究21件のメタ解析では、デカフェでもカフェイン入りと同様に、死亡リスクが低いことと関連していました [2]。2019年の40件のメタ解析も、コーヒーと死亡リスクの逆の関連はカフェインの有無にかかわらず保たれていたと報告しています [8]。ただしどちらも、デカフェ単独の数値は要旨に示されていません。
結果が合わない研究もあります。スペインの1567人を18年追跡した研究では、死亡リスクの低さと関連したのはカフェイン入りだけで、デカフェでは関連が見られませんでした [9]。英国の大規模な研究では、デカフェでも飲む量と死亡リスクのあいだにU字型の関連が見られ、量によって結果が違いました [10]。根拠の確かさは低めです。
肝がんのメタ解析では、デカフェを1日2杯多く飲むと肝がんのリスクが0.86倍と関連しましたが、統計的にははっきりしませんでした。デカフェのコホート研究は3件で、確実性は非常に低い研究です [11]。英国の494,585人の研究では、デカフェでも慢性の肝臓病のリスクの低さと関連していました [12]。一方、欧州の研究では、肝がんとの関連はカフェイン入りで見られ、デカフェでは見られませんでした [13]。研究が少なく、向きもそろっていません。
ここでの結果は、飲む習慣のある人を追った観察研究が中心です。コーヒーを飲む人は、ほかの生活習慣も違う場合があり、デカフェそのものの効果とは言えません。試験の例では、デカフェを1日5杯・8週間飲んだ45人で糖の処理に差はありませんでした [6]。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、主治医や薬剤師に確認してください。
血糖や肝臓の病気がある人は、自己判断で食事を変えず、医師に相談してください。
デカフェを飲む人は、2型糖尿病や死亡のリスクが低いことと関連していますが、差はごく小さい関連です。
試験では血糖値は下がっておらず、肝臓は研究が足りません。
カフェインを控えたいときの選択肢として、無理のない範囲で楽しんでください。
短期の試験では、血糖値が下がった結果は見られていません。ランダム化比較試験27件のネットワークメタ解析で、コーヒー(カフェイン入りとカフェインレスをまとめた群)では空腹時血糖が下がりませんでした [[30591664]]。
糖尿病では、1日1杯増えるごとに0.94倍(デカフェ)と0.93倍(カフェイン入り)で、ほぼ同じでした [[29590460]]。肝がんでは、カフェイン入りのほうが関連がはっきりしていました [[25219573]]。
この記事では研究を整理していません。別の記事で扱う話題です。
前向き研究30件をまとめ、デカフェ1日1杯増で糖尿病リスクが0.94倍と低い関連。
コホート研究21件で、デカフェでもカフェイン入りと同様に死亡リスクが低い関連。
前向き研究28件・1,109,272人で、デカフェは1日1杯増えるごとに0.94倍と低い関連。
RCT27件・1898人で、空腹時血糖を下げたのは緑茶で、デカフェでは下がらなかった。
健康な人のRCT6件で、クロロゲン酸を多くしたデカフェは血糖値に有意な影響を示さなかった。
太り気味の45人が1日5杯・8週間飲んでも、水と糖の処理能力に差はなかった。
健康な男性17人のクロスオーバー試験で、1回飲むと水よりインスリンの効きが高かった。
40件のメタ解析で、逆の関連はカフェインの有無にかかわらず保たれていた。
スペインの1567人を18年追跡し、デカフェでは死亡リスクとの関連が見られなかった。
英国の研究で、デカフェでも量と死亡リスクにU字型の関連が見られた。
デカフェ1日2杯増で肝がんリスク0.86倍と関連したが、統計的にははっきりしなかった。
英国の494,585人で、デカフェでも慢性の肝臓病のリスクの低さと関連していた。
肝がんのリスクの低さとの関連はカフェイン入りで見られ、デカフェでは見られなかった。
判定「効くが、差はごく小さい」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。