着圧ソックスで脚のむくみは減る?

着圧ソックスで脚のむくみは減る?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

足首で10〜20mmHgの着圧なら、立ち仕事や座りっぱなしの脚のむくみに効きます。脚の重さも軽くなります。

根拠

立ち仕事などで脚に負担がかかる人を対象にした比較試験11件・1453人のまとめで、足首で10〜20mmHgの着圧ストッキングは、むくみと脚の不快な症状をはっきり減らしました [1]。その後の試験でも同じ向きの結果で、立ち仕事の美容師では脚の体積が平均19mL小さくなっています [2]。5時間を超える飛行機でも、むくみは少なくなりました。ただしこちらは、根拠の確かさは低めです。むくみの測り方が研究でそろっていないためです [3]。

この答えの範囲

立ち仕事や座り仕事で夕方に脚がむくむ人の話です。

じゃあ、どうする?

立ち仕事や座りっぱなしの日は、足首の圧が10〜20mmHgと表示されたものを試す価値があります。圧は強いほど良いとは限りません [1] [4]。痛み・しびれ・皮膚の変色があるときや持病がある人は、医師か薬剤師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 95 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量15.120研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 95.1 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 95 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 6 本・RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

着圧ソックスとは

着圧ソックスは、足首をいちばん強く締め、上に向かって弱くなるように作られた靴下です。脚にたまった血液や水分が心臓のほうへ戻りやすくなると考えられ、むくみやだるさを和らげるとされています。ひざ下までのソックス、ストッキング、タイツなどの形があり、研究で調べられたのは圧の強さが表示された医療用のストッキング(以下、着圧ストッキング)が中心です。注意点は、強すぎると痛みやしびれが出ることと、脚の動脈の血流が悪い人は使えない場合があることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、スイスの企業の研究部門が2008年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体としてどうなるかを調べる方法です。くじ引きのように振り分けて比べる試験(ランダム化比較試験)11件・1453人が集められました。mmHg(ミリエイチジー)は、着圧の強さを表す単位です。

研究の種類ランダム化比較試験を集めたメタ解析
対象立ち仕事などで脚に負担がかかる健康な人794人、慢性の静脈の病気がある人552人、静脈瘤の手術後の人141人
比べたもの足首で10〜20mmHgの着圧ストッキング / 圧が10mmHg未満のもの・偽のストッキング・何もしない場合
結果むくみと脚の不快な症状が、はっきり減った
まとめて分析した結果10〜20mmHgの着圧ストッキングで、むくみと脚の不快な症状がはっきり減りました [1]。

20mmHgを超える強い圧との差は見られませんでした。

対象には静脈の病気がある人も含まれ、むくみが「何割減る」とまでは言えません。

健康な人だけの試験でも、同じ向きの結果でした

6時間立ちっぱなしで働く健康な医療職75人の試験では、はかない群は勤務後に脚の体積が増え、はいた群は減りました。同じ向きの差は、1・6・12か月後のどの時点でも見られました [5]。

座りっぱなしでも同じ向きです。健康な大人20人が片脚だけにはいて120分(約2時間)座り続けた試験では、はいた脚のほうが、はかない脚より足首は平均6.3mm、ふくらはぎは平均7.9mm細い結果でした [6]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

圧の強さについては、研究の間で結果がそろっていません。

  • 強い圧: メタ解析では20mmHgを超えても上乗せは見られませんでしたが、2025年の小規模な試験では、クラスII(23〜32mmHg)のほうがクラスI(18〜21mmHg)よりむくみが少ない結果でした [7]。
  • 弱い圧: 10mmHg未満は効果がなかった試験があります [4]。一方、8〜10mmHgでも体積は減りました。ただし減り方は、医療用の18〜20mmHg2種類が平均204.7mLと153.5mL、8〜10mmHgが48.2mLでした(3日間ずつ順にはいた試験)[8]。
圧が弱いと効果がはっきりしなかった試験着圧ストッキングを作る工場の、静脈の病気がない健康な社員40人(3週間、はいているかどうかが本人に分かる形の試験)

15mmHgと20mmHgは夕方のむくみを防ぎ、10mmHg未満は効果がなく、19mmHgを超えるものははき続けにくい結果でした。

よく言われていることは本当?

検索上位やAIの要約でよく言われる8つを、研究と照らしました。

  • むくみを減らす・予防する確かめられています。 上で見たとおりです。
  • 脚の疲れ・だるさ・重さが軽くなる確かめられています。 立ち仕事の美容師では、痛みとむくみ感の点数(0〜4)が平均0.22(12%)下がりました [2]。
  • 飛行機での脚のむくみを防ぐ確かめられています。 5時間を超える飛行機の研究6件のまとめで、はいた人のほうがむくみは少なくなりました [3]。3時間のフライトの34人の試験でも、はいた脚は足首とふくらはぎが細くなり、はかない脚は太くなりました [9]。ただし根拠の確かさは低めです。むくみの測り方が研究でそろっていないためです。
  • エコノミークラス症候群(脚の血栓)を防ぐ症状のない血栓は防げています。 5時間を超える飛行機の乗客2637人で、症状のない脚の血栓ができたのは、はいた人で3人、はかない人で47人でした [3]。ただし症状のある血栓や肺塞栓は試験で1件も起きておらず、防げるかは評価できていません。
  • 血行を良くする条件によります。 座り続けた健康な大人20人の試験で、ひざの裏の静脈の血の流れは毎秒0.35cm(24%)速くなりました [6]。一方、別の20人の試験では、座り続けたことによる動脈の働きの低下は防げませんでした [10]。どちらも20人の小さな試験で、根拠の確かさは低めです。
  • 夜用をはいて寝ると、寝ている間にむくみが取れる研究では確かめられていません。
  • はくだけで脚やせ・引き締め研究では確かめられていません。 確かめられているのは、むくみが減って脚が細くなる範囲です。
  • 足の冷えを防ぐ研究では確かめられていません。

02注意点

研究の多くは医療用のストッキングで、小規模で、はいているかどうかが本人に分かる試験です。長期の安全性までは確かめられていません。飛行機の研究では、目立った副作用の報告はありませんでした [3]。足の痛み・しびれ・皮膚の変色があるとき、静脈の病気や持病があるとき、服薬中の人は、使う前に医師・薬剤師に確認してください。

圧が強いほど良いとは言えません

強いものは、はき続けにくい場合もありました。自分に合う圧は、医師や薬剤師に相談して決めましょう。

03まとめ

立ち仕事や座りっぱなしのむくみと脚の重さは、着圧ストッキングで減ることが研究でそろっています。
当てはまるのは足首で10〜20mmHgほどの圧で、脚やせや冷え、寝ている間の使用までは確かめられていません。
試すなら足首の圧がmmHgで表示されたものを選び、痛みやしびれが出たら外して医師に相談しましょう。

04よくある質問

Q圧が強いほどむくみに効きますか?

強いほど良いとは言えません。メタ解析では、20mmHgを超える強い圧との差は見られませんでした。2025年の小規模な試験ではクラスII(23〜32mmHg)のほうがむくみは少なく、研究の間で結果は一致していません。

Q寝ている間にはいても効果はありますか?

寝ている間の使用は、研究では確かめられていません。寝ている間にはいてむくみを比べた試験は見つかっておらず、ここで紹介した結果は、起きている間にはいたときのものです。

Q飛行機の長時間移動でも効果はありますか?

5時間を超える飛行機では、むくみも症状のない脚の血栓も少ない結果です。むくみの研究は、根拠の確かさが低めです。測り方が研究でそろっていないためです [[33878207]]。

Q市販の着圧ソックスでも同じ結果になりますか?

研究の多くは医療用のストッキングです。弱い着圧ソックス(8〜10mmHg)と比べた試験では、医療用のほうが体積を大きく減らしました [[35811511]]。市販品で同じ結果になるとは、研究では確かめられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(10本)

[1]立ち仕事の脚の症状と静脈の病気への着圧療法を、ランダム化比較試験のメタ解析でまとめた研究

発表年
2008年
研究機関
スイス・企業の研究部門
掲載誌
European journal of vascular and endovascular surgery : the official journal of the European Society for Vascular Surgery
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,453人
結果の向き
良い方向

RCT11件・1453人のまとめ。足首で10〜20mmHgの着圧でむくみと脚の症状が減った。

[2]立ち仕事の美容師が医療用着圧ストッキングをはいた期間とはかない期間を比べた試験

発表年
2013年
研究機関
スイス・ベルン大学病院
掲載誌
Phlebology
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
108人
結果の向き
良い方向

はく期間で脚の体積が平均19mL小さく、痛みとむくみ感の点数も平均0.22下がった。

[3]5時間を超える飛行機の乗客への着圧ストッキングを調べたコクランレビュー

発表年
2021年
研究機関
イギリス・クイーンズ大学ベルファスト
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,918人
結果の向き
良い方向

症状のない脚の血栓は2637人中、はいた人で3人、はかない人で47人。むくみも少なかった。

[4]健康な社員が圧の違う3種類の着圧ストッキングを3週間試した比較試験

発表年
2008年
研究機関
スイス・アンジオ・ベラリア血管疾患センター
掲載誌
Phlebology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
40人
結果の向き
良い方向

40人の試験。15mmHgと20mmHgは夕方のむくみを防ぎ、10mmHg未満は効果がなかった。

[5]6時間立ち仕事をする医療職が、段階着圧ストッキングを12か月はいた試験

発表年
2023年
研究機関
イタリア・フェラーラ大学
掲載誌
International angiology : a journal of the International Union of Angiology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
75人
結果の向き
良い方向

75人のRCT。はかない群は勤務後に脚の体積が増え、はいた群は減った。

[6]2時間座り続けたときの着圧ストッキングによる足首の太さと静脈血流の変化

発表年
2011年
研究機関
ニュージーランド・ニュージーランド医学研究所
掲載誌
Advances in therapy
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
良い方向

20人の試験。はいた脚は足首が平均6.3mm細く、ひざ裏の静脈の血流は24%速かった。

[7]2時間立ち続けたときの着圧ストッキングの強さによるむくみの違いを調べた実験

発表年
2025年
研究機関
ドイツ・テュービンゲン大学
掲載誌
Applied ergonomics
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
44人
結果の向き
良い方向

はかない場合より、クラスIとクラスIIの両方でむくみが減り、クラスIIで最も少ない結果。

[8]日中立っていて脚がむくむ人が、医療用着圧ストッキングと弱い着圧ソックスを比べた試験

発表年
2022年
研究機関
ドイツ・グライフスヴァルト大学
掲載誌
Clinical hemorheology and microcirculation
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

18〜20mmHgの医療用2種類は、8〜10mmHgの弱い着圧ソックスより体積を大きく減らした。

[9]3時間のフライトで片脚だけに着圧ストッキングをはき、むくみを比べた試験

発表年
2019年
研究機関
デンマーク・コペンハーゲン大学ヘアレウ病院
掲載誌
European journal of internal medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
34人
結果の向き
良い方向

34人の試験。はいた脚は足首とふくらはぎが細くなり、はかない脚は太くなった。

[10]3時間座り続けたときの着圧ストッキングによる脚の血のたまりと動脈の働きの比較

発表年
2021年
研究機関
日本・山梨県富士山科学研究所
掲載誌
Vascular medicine (London, England)
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
結果が割れている

20人の試験。ふくらはぎに血がたまるのは減ったが、脚の動脈の働きの低下は防げなかった。

ほかに参考にした論文(14本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。