ビタミンなどの抗酸化成分で白内障は防げる?

ビタミンなどの抗酸化成分で白内障は防げる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効かない

食事の抗酸化成分は白内障の少なさと関連しています。サプリは効きません。

根拠

ビタミンE・C・βカロテンのサプリをプラセボと比べた試験をまとめたコクランレビュー (RCT 9件・117,272人) で、白内障は減りませんでした (ビタミンEでRR 0.97) [1]。一方、食事でビタミンCを多くとる人は白内障が少ない関連があります (コホート研究12件でRR 0.80) [2]。観察研究24件・295,821人でも同じ向きでした [3]。食事の研究は、食事を変えて確かめた試験ではありません。根拠の確かさは低めです。研究の作りに弱さがあるためです。

この答えの範囲

加齢による白内障の話です。目の病気がある人、すでに白内障が進んだ人の治療の話ではありません。紫外線対策や禁煙は、この答えの範囲外です。

じゃあ、どうする?

白内障を防ぐ目的でビタミンやルテインのサプリを買う必要はありません。野菜や果物を食事でとるほうが、研究の向きと合います。マルチビタミンは 1 件の試験で少し減りましたが、男性医師だけの結果です [4]。持病や服薬がある人は、眼科医や薬剤師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。13 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 76 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1420研究件数と参加人数
一致度17.525結果の向きがそろっているか
新しさ310最新の研究が何年以内か
精度25信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 76.5 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 76 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

抗酸化成分とは

抗酸化成分は、体の中で細胞を傷つける「活性酸素」の働きを抑えるとされる成分です。ビタミンC・ビタミンE・βカロテン・ルテインなどがあり、野菜や果物に多く含まれます。サプリでも手に入ります。白内障は、目の水晶体が濁って見えにくくなる病気で、加齢が主な原因です。水晶体の濁りに活性酸素が関わると考えられてきたため、抗酸化成分が注目されました。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのメトロウェスト医療センターなどの研究チームが2012年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューは、決めた手順で試験を集め、結果をまとめる方法です。35歳以上を対象に、推奨量より多いβカロテン・ビタミンC・ビタミンEを2.1〜12年飲み続けた試験が集められました。

研究の種類ランダム化比較試験 (RCT) をまとめたコクランレビュー
対象35歳以上の成人 (9件の試験・117,272人)
比べたもの抗酸化ビタミンのサプリとプラセボ (偽薬)
結果ビタミンEもβカロテンも、白内障のリスクに差なし
まとめて分析した結果ビタミンEのサプリを飲んでも、白内障になるリスクはプラセボと変わりませんでした (RR 0.97)。βカロテンでも差はありませんでした (RR 0.99) [1]。

白内障の手術が必要になる割合も、ビタミンE (RR 0.98) とβカロテン (RR 1.00) で差はありませんでした [1]。

この結果は、1 件ずつの大きな試験とも合っています。男性医師で、ビタミンC 500 mgを毎日飲んだ試験は HR 1.02 [5]。健康な男性11,267人でビタミンEを毎日飲んだ試験も HR 1.02 で、差はありませんでした [6]。

食事でとる場合は?

食事の研究では向きが変わります。食事からビタミンCを多くとる人は、コホート研究12件をまとめた解析で白内障が少ない関連が見られました (RR 0.80) [2]。30歳以上の295,821人を含む観察研究24件の解析でも、ビタミンCを多くとっている人で白内障が少ない関連が見られました (OR 0.88) [3]。野菜を最も多く食べるグループも、最も少ないグループより白内障が少ない関連が見られました (RR 0.723)。ただし研究ごとのばらつきは大きいです [7]。

食事では差が出てサプリでは出ない理由は、確かめられていません。食事には、ほかの成分や食べ方の違いも含まれるためです。ビタミンEで比べた解析では、食事からの摂取は RR 0.73、サプリだけでは RR 0.92 でした [8]。観察研究なので、食事が白内障を減らしたとは言えません。根拠の確かさは低めです。食事の研究は食事を変えて確かめた試験ではないためです。

ルテインのサプリは?

加齢黄斑変性のリスクがある50〜85歳の3,159人が、ルテイン10 mg・ゼアキサンチン2 mgを毎日飲んだ試験 (中央値4.7年) では、白内障の手術が必要になる割合は変わりませんでした (HR 0.96) [9]。根拠の確かさは低めです。試験が 1 本だけで、対象も目の病気のリスクがある人に限られるためです。

よく言われていることは本当?

  • ビタミンC・Eのサプリで白内障を予防できる効きません。 コクランレビューで、ビタミンEにもβカロテンにも差はありませんでした [1]。
  • ルテインのサプリで白内障を防げる効きません。 試験は 1 本だけで、手術の割合は変わりませんでした [9]。根拠の確かさは低めです。
  • 野菜・果物の多い食事が白内障の予防になる関連しています。 食事で多くとる人は白内障が少ないという結果ですが、食事を変えて確かめた試験ではありません [3]。
  • マルチビタミンを飲むと白内障が減る1 件の試験では少し減りました。 男性医師の結果で、ほかの試験での確認はありません [4]。
  • 地中海食など食事の型を変えれば白内障の手術が減る減りませんでした。 5,802人の試験で、手術の割合に差はありませんでした (HR 1.03) [10]。
  • 紫外線対策や禁煙で白内障を防げるこの記事では調べていません。 ただし、喫煙は白内障の危険因子として、いちばん確かな関連があるとまとめられています [11]。
  • 目薬で白内障の進行を遅らせられるこの記事では調べていません。 眼科で相談してください。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

マルチビタミンだけは、少し減った試験があります。2014年に、アメリカのブリガム・アンド・ウィメンズ病院などの研究チームが発表した試験です [4]。50歳以上の男性医師14,641人が、マルチビタミンかプラセボを毎日飲み、平均11.2年追跡されました。白内障になるリスクはプラセボより少し低く、HR 0.91でした。

少し減った試験50歳以上の男性医師14,641人 (平均11.2年追跡)

ビタミンC・E単独ではなく複合サプリの結果で、差はわずかでした。

マルチビタミンと白内障をまとめた2014年の解析では、主に観察研究で白内障が少ない結果でしたが、白内障手術は減っていませんでした [12]。単独のビタミンが効かないのに複合で少し減る理由は、確かめられていません。

02注意点

試験で使われたのは、推奨量より多い量を数年にわたり飲み続ける条件です。例えば55〜80歳の1,193人が、ビタミンEを4年飲んだ試験でも、白内障の発症と進行は減りませんでした [13]。サプリは量を増やしても、白内障には効きませんでした。βカロテンのサプリでは、皮膚が黄色くなる人が一部にいました [1]。そのほかの副作用は、この研究データからは整理できていません。持病がある人、薬を飲んでいる人は、サプリを足す前に医師や薬剤師に確認してください。

食事を整えても、見えにくさがあれば眼科へ

サプリや食事で白内障が治るわけではないので、見えにくさがあるときは眼科を受診してください。

03まとめ

ビタミンやβカロテンのサプリは、白内障を減らしませんでした。
食事でとる抗酸化成分は白内障の少なさと関連していますが、食事を変えて確かめた試験ではありません。
サプリを買い足すより、野菜や果物のある食事のほうが研究の向きと合います。ただし、食事で白内障を防げると確かめられたわけではありません。見えにくさがあれば眼科で相談しましょう。

04よくある質問

Qマルチビタミンなら白内障を防げますか?

男性医師14,641人の試験では、白内障のリスクが少し低くなりました (HR 0.91)。ただし 1 件の試験で、女性や若い人で同じとは確かめられていません [[24268861]]。

Q食事なら、どの野菜を食べればいいですか?

野菜全体を多く食べる人で白内障が少ない関連が見られました [[26770452]]。特定の野菜が良いかは、研究では確かめられていません。

Q地中海食にすれば白内障の手術は減りますか?

5,802人の試験では、減りませんでした (HR 1.03) [[28467363]]。ほかの食事の研究は、[地中海食と認知症の記事](/evidence/mediterranean-diet-dementia)も参考になります。

05参照した論文

判定に使った主な論文(13本)

[1]加齢白内障の予防と進行を抑える抗酸化ビタミンのサプリ

発表年
2012年
研究機関
アメリカ・メトロウェスト医療センター
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
50,059人
結果の向き
差なし

9件のRCT・117,272人のまとめ。ビタミンEのサプリでもβカロテンでも、白内障のリスクはプラセボと差がありませんでした。

[2]ビタミンとカロテノイドの摂取と加齢白内障のリスク

発表年
2019年
研究機関
中国・西安交通大学
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
差なし

RCTをまとめた部分では、ビタミンEやβカロテンを飲んでも白内障は減らなかった(RR 0.97。コクランレビューと重なる試験)

[3]水晶体の病気と栄養の関係を調べた系統的レビュー

発表年
2019年
研究機関
ギリシャ・テッサロニキ・アリストテレス大学
掲載誌
Survey of ophthalmology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
295,821人
結果の向き
良い方向

観察研究24件・295,821人のまとめ。ビタミンCを多くとる人は白内障が少ない関連でした。

[4]男性医師でのマルチビタミンと白内障・加齢黄斑変性

発表年
2014年
研究機関
アメリカ・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院
掲載誌
Ophthalmology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
14,641人
結果の向き
良い方向

50歳以上の男性医師14,641人の試験。マルチビタミンで白内障のリスクが少し低くなりました。

[5]男性でのビタミンE・Cと加齢白内障のRCT

発表年
2010年
研究機関
アメリカ・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院
掲載誌
Archives of ophthalmology (Chicago, Ill. : 1960)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
11,545人
結果の向き
差なし

50歳以上の男性医師で、ビタミンC 500 mgを毎日飲んでも白内障は減りませんでした。

[6]セレンとビタミンEのがん予防試験の目の追加調査

発表年
2015年
研究機関
アメリカ・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院
掲載誌
JAMA ophthalmology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
11,267人
結果の向き
差なし

健康な男性11,267人で、ビタミンEを毎日飲んでも白内障の発症はプラセボと変わりませんでした。

[7]野菜の摂取と加齢白内障のリスク

発表年
2015年
研究機関
中国・梅州市人民病院
掲載誌
International journal of clinical and experimental medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
112,447人
結果の向き
良い方向

9件の疫学研究・112,447人のまとめ。野菜を多く食べる人は白内障が少ない関連でした。

[8]ビタミンEと加齢白内障のメタ解析

発表年
2015年
研究機関
中国・青島大学医学院
掲載誌
Public health nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

食事からのビタミンEは白内障が少ない関連でしたが、サプリだけでは差が小さい結果でした。

[9]ルテイン・ゼアキサンチンと白内障(AREDS2 試験)

発表年
2013年
研究機関
アメリカ・アメリカ国立眼研究所
掲載誌
JAMA ophthalmology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
3,159人
結果の向き
差なし

ルテイン10 mg・ゼアキサンチン2 mgを毎日飲んでも、白内障の手術が必要になる割合は変わりませんでした。

[10]地中海食と白内障手術の発生

発表年
2017年
研究機関
スペイン・ナバラ大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
5,802人
結果の向き
差なし

55〜80歳の5,802人の試験。地中海食を続けても、白内障の手術は減りませんでした。

[11]Smoking, dietary factors and major age-related eye disorders: an umbrella review of systematic reviews and meta-analyses.

発表年
2023年
研究機関
中国・蘇州大学
掲載誌
The British journal of ophthalmology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

メタ解析を横断した総まとめで、ルテイン・ゼアキサンチン・ビタミンCの摂取と白内障の関連は「示唆的」な水準。最も確かな白内障の危険因子は喫煙だった

[12]マルチビタミン・ミネラルのサプリと加齢白内障

発表年
2014年
研究機関
中国・第181病院
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

主にコホート研究のまとめ。白内障は少ない結果でしたが、白内障手術は減っていませんでした。

[13]ビタミンEのサプリと白内障のRCT

発表年
2004年
研究機関
オーストラリア・モナシュ大学
掲載誌
Ophthalmology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
1,193人
結果の向き
差なし

55〜80歳の1,193人で、ビタミンEを4年飲んでも白内障の発症・進行は減りませんでした。

ほかに参考にした論文(9本)

判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。