[1]手術後の吐き気の予防に手首のツボを刺激する効果
- 発表年
- 2015年
- 研究機関
- 香港・香港中文大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 4,742人
- 結果の向き
- 良い方向
手術を受ける人で、内関の刺激は偽の刺激より吐き気が起こる割合が低かった(40件・4742人)。

手術後の吐き気の予防に、内関の刺激が効きます。
手術を受ける人の、吐き気を起こりにくくする予防の話です。つわりは効きますが確かさは低めで、結果もそろっていません。
手術後の吐き気が心配なら、リストバンドなど針を使わない刺激は、試しやすい補助の方法です。吐き止めの薬と比べた解析では差がなく、薬より優れているとは言えません [1]。手術を受けるときは、使ってよいか事前に医師か看護師に確認を。強い吐き気が続くときは、医療機関に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.2 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 3 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 92.2 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
内関(ないかん。英語名はPC6またはP6)は、手のひら側の手首の中央、しわから少しひじ寄りにあるツボです。吐き気や胃の不快感を和らげるとされ、指で押す指圧のほか、手首に巻くバンド、鍼、電気刺激など、刺激の方法がいくつかあります。医薬品ではなく、体の表面から刺激する方法なのが特徴です。注意点は、強い吐き気や嘔吐が続くときは、ツボ押しで様子を見ずに医療機関へ相談することです。
答えの中心は、香港中文大学などの研究チームが2015年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、世界中のランダム化比較試験を集めて結果をまとめる方法です。調べたのは、手術を受ける人の吐き気を、内関の刺激で「予防」できるかです。内関を刺激した人と偽の刺激をした人を比べています。刺激には指圧のほか、鍼や電気刺激も含まれます。
| 研究の種類 | コクランレビュー(ランダム化比較試験のまとめ)吐き気の解析は40件・4742人 |
|---|---|
| 対象 | 手術を受ける人(吐き気を予防できるか) |
| 比べたもの | 内関の刺激 / 偽の刺激 |
| 結果 | 手術後の吐き気が起こる割合が低い(リスク比0.68) |
95%信頼区間は0.60から0.77で、根拠の質は低いとされています [1]。
リスク比0.68は、偽の刺激で吐き気が起きた割合を1としたとき、内関を刺激した人では0.68だったという意味です。嘔吐が起こる割合もリスク比0.60(45件・5147人)、追加の吐き止めが必要になる割合も0.64と低くなりました [1]。吐き止めの薬と比べた14件・1332人の解析では、吐き気の起こる割合に差はなく(リスク比0.91)、根拠の質は中程度とされています [1]。
2025年の更新版(63件・7534人)は、方法ごとに偽の刺激と比べました [2]。吐き気が起こる割合のリスク比は次のとおりです。
確かさはどれも低いか非常に低いとされています。針を使わない刺激は、薬と近い値でした [2]。
検索上位の記事やAIの要約で言われている6つの効き目を、研究で確かめました。
つわりでは、偽の治療(プラセボ)と比べた試験だけを集めた2026年のメタ解析(複数の試験をまとめた研究。24件・3017人)で、内関のツボ押しは効果が上位の方法の一つでした。ただし不確かさは大きいとされています [3]。2023年の別のメタ解析(つわりの補完療法33件をまとめたもの)では、偽のツボ押しと差がありませんでした [4]。2つは測ったものが違い、前者は症状を減らす効果、後者は「効果があった」とされた人の割合です。
乗り物酔いは、回転する筒や椅子、運転シミュレーターで酔いを起こす小さな実験が中心です(5本・合計201人)。結果は割れています。
偽の刺激と比べて差が出たのは、5本のうち1995年の1本だけです。
内関のリストバンドを1週間つけても、何もしなかった人と点数に有意な差はありませんでした [11]。
手術後でも、いつも差が出るわけではありません。2024年の帝王切開の試験では、吐き気止めの薬と併用した内関の指圧は、偽の指圧と比べて吐き気を減らしませんでした [12]。副作用は、皮膚の刺激・水ぶくれ・赤み・痛みなどの軽いもので、自然におさまったと14件の試験が報告しています [1]。乳房の手術を受けた女性の14件のまとめでは、リストバンドの指圧は副反応が出やすかったと報告されています [13]。
強い吐き気や嘔吐が続くとき、激しい腹痛・胸の痛み・頭痛を伴うとき、つわりで水分がとれないときは、ツボ押しで様子を見ず、医療機関に相談してください。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師・薬剤師に確認してから試すと安心です。
手術後の結果を、食べ過ぎや二日酔いの吐き気にそのまま当てはめないでください。
手術後の吐き気の予防には、内関の刺激で吐き気が起こる割合が下がります。
つわりにも効きますが根拠の確かさは低めで、乗り物酔いは結果が割れ、胃もたれは効果が確認されず、二日酔い・不安は研究が足りません。
試すなら補助として。つらい吐き気が続くときは、医療機関に相談しましょう。
研究では確かめられていません。見つかった研究は、手術後・つわり・実験で起こした乗り物酔いなどで、二日酔いを調べた研究は見つかっていません。
効きますが、根拠の確かさは低めです。結果がそろっておらず、偽のツボ押しと差がなかった解析もあります。妊娠中は、試す前に医師か助産師に相談してください。
手術後の研究で薬と比べた14件の解析では、吐き気の起こる割合に差がありませんでした。ただし、薬より優れているという意味ではありません。薬を使うかどうかは、医師に相談してください。
手術を受ける人で、内関の刺激は偽の刺激より吐き気が起こる割合が低かった(40件・4742人)。
更新版(63件・7534人)でも、針を使わない刺激でリスク比0.67だった。
プラセボと比べた24件・3017人の解析で、内関のツボ押しは上位の方法の一つだったが、不確かさは大きかった。
ツボ押しを偽のツボ押しと比べると、効果があったとされる割合に差がなかった。
33人の試験で、症状の改善は内関のリストバンドで40%、偽のリストバンドで35%と近かった。
64人の実験で、内関を押した人は偽の指圧の人より吐き気が少なかった。
25人の実験で、ツボではない腕につけた日も同じように症状が少なかった。
女性60人の実験で、内関の指圧は何もしない人より中くらいの吐き気が出るまでが長かったが、偽の指圧との差はなかった。
36人の二重盲検の実験で、指圧は偽の指圧と比べて酔いを防がなかった。
16人の実験で、指圧のビーズは偽の器具と体の不快感に差がなかった。
つわりのある74人で、リストバンドをつけても何もしない人と点数に差がなかった。
吐き気止めの薬と併用した内関の指圧は、偽の指圧と比べて吐き気を減らさなかった。
14件・1009人のまとめで、吐き気は減ったが、リストバンドの指圧は副反応が出やすかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。