HMBで筋肉は増える?

HMBで筋肉は増える?
読了目安 6〜8分最終更新日 2026.11.01
答え効かない

運動後の筋肉の傷みの指標は下がります。筋トレ中の筋肉量は増えません。

根拠

筋トレをしている18〜45歳の302人(二重盲検のランダム化比較試験11件)をまとめた分析では、HMBと偽薬で除脂肪量(筋肉量)の増え方に有意な差はありませんでした [1]。一方、運動後の筋肉の傷みの血液指標(CK・LDH)は、メタ解析53本をまとめた傘レビューでHMBで下がると報告され、根拠の確実性は中程度とされています [2]。

この答えの範囲

筋トレをしている若い〜中年の人の話です。高齢者や筋肉が落ちた人では、わずかに増えたとする分析が2本ありますが、どちらもぎりぎりの差で、根拠の確かさは低めです。

じゃあ、どうする?

筋肉を増やしたいなら、まず筋トレの内容と食事のたんぱく質の量を見直すのが一般的な順番です。運動後の筋肉の傷みを抑えたい人は試す余地がありますが、筋肉痛そのものが減るとは確かめられていません。持病や服薬がある人は、医師か薬剤師に相談してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。16 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 86 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量13.420研究件数と参加人数
一致度20.825結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度25信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 86.2 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 86 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

HMBとは

HMBは、必須アミノ酸のロイシンが体内で代謝されてできる物質です。筋肉の分解を抑えるとされ、筋トレをする人向けのサプリとして使われています。カルシウム塩と遊離酸という型があり、研究ではどちらも使われています。注意点は、飲むだけで筋肉が増えるわけではなく、研究も筋トレとの組み合わせで調べられていることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、カナダのマクマスター大学などの研究チームが2020年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、条件の近い試験の結果を集めて、まとめて分析する方法です。筋トレをしている18〜45歳の302人(研究11件)のデータが集められました。

研究の種類筋トレ中の若い成人でHMBを調べた、二重盲検のランダム化比較試験のメタ解析
対象筋トレをしている18〜45歳(302人・研究11件)
比べたものHMBと偽薬
結果除脂肪量・筋力の増え方に有意な差はなかった(体重はわずかに増えた)
メタ解析の結果HMBをとっても、除脂肪量(筋肉量)の増え方に偽薬との有意な差はありませんでした。

筋力の増え方にも差はなく、体重だけがわずかに増えました [1]。

除脂肪量とは、体重から脂肪を除いた重さで、筋肉が大半を占めます。アスリート161人(研究5件)を集めた、アメリカのコンコーディア大学シカゴなどの2022年のメタ解析でも、除脂肪量への効果は小さくプラス寄り(0.30)でしたが、統計的に確かな差ではありませんでした [3]。プラス寄りの結果は、たんぱく質の摂取が1日体重1kgあたり1.6g未満のときに限られる傾向でした。

筋トレ経験のある男性53人の8週間の試験でも、HMBをとったグループと偽薬のグループで、筋力などの変化に差はありませんでした [4]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

アメリカのペンシルベニア大学などの研究チームが2020年に発表した試験では、脚の除脂肪量だけHMBを足したグループで多く増えました [5]。全員がホエイプロテインをとったうえでHMBか偽薬を足しましたが、全身の除脂肪量には差が出ませんでした。

脚だけ増えた試験筋トレに慣れていない若い男性16人(12週間)

脚の除脂肪量はプロテインだけより増えましたが、全身では差がありませんでした。

複数のメタ解析をさらにまとめた傘レビューでは、23〜79歳の11本の分析で除脂肪量が増えました(0.22) [6]。ただし、若い人と高齢者・筋肉が落ちる状態の人の研究が混ざり、上のメタ解析と重なるため、この記事の判定には数えていません。

高齢者・筋肉が落ちた人では?

筋肉量がわずかに増えたとするメタ解析が2本ありますが、どちらもぎりぎりの差で、ほかの分析では差が出ておらず、結果は割れています。根拠の確かさは低めです。結果のばらつきが大きいためです。

  • 高齢者596人(RCT10件)のメタ解析では、筋トレにHMBを足しても、筋トレだけと比べて手足の筋肉量に有意な差はありませんでした。握力と体の動きの点数はやや良くなりました [7]
  • サルコペニア(加齢による筋肉の減少)と診断された人のメタ解析(RCT5件、筋肉量は154人)では、骨格筋量の指標がわずかに高い結果(0.32)でした。信頼区間の下限がゼロにかかるぎりぎりの結果で、中国の南開大学などの著者は、根拠は限られていて慎重に解釈する必要があるとしています [8]
  • 病気などで筋肉が落ちやすい人2137人(RCT15件)のメタ解析も、増加は小さく(0.25)、統計的にはぎりぎり確かと言えない差でした [9]
  • 別のサルコペニアのメタ解析(6件)では、握力は高まりましたが、除脂肪量や骨格筋量の指標に有意な差はありませんでした [10]
  • ビタミンDが足りない60歳以上117人の12か月の試験では、HMBとビタミンDを一緒にとった運動しない人で、6か月時点の除脂肪量が増えました。ただしHMBの研究開発を行う企業の所属の著者による試験で、ビタミンDとの併用のため、HMBだけの効果とは言えません [11]

運動後の筋肉の傷みは?

前向きな結果が出ているのは、この傷みの指標です。栄養の工夫と運動後の筋肉の傷みを調べたメタ解析53本をまとめた、イランのテヘラン医科大学などの2024年の傘レビューで、HMBは運動後の血液中のCK(筋肉が傷つくと増える酵素)とLDHを下げました。根拠の確実性は中程度です [2]。

健康な人324人(研究10件)のメタ解析では、HMBをとると運動後のCKが平均60.71 U/L低く、効果は6週間以上とった研究ではっきりしていました [12]。

運動習慣のない男性28人の日本の試験では、HMBを2週間か4週間とってから腕に強い負荷の運動をすると、偽薬より筋力と関節の動く範囲の落ち込みが小さく、腕のはれも小さくなりました [13]。1日1.5 gの少なめの量を2週間とった20人の試験でも、筋力と関節の動く範囲の落ち込みは小さくなりましたが、ほかの傷みの指標には差がありませんでした [14]。

傷みの指標が下がることと、回復が早まることは別の話です。傘レビューでは、HMBは筋肉痛そのものを減らす栄養素には挙がっていません [2]。

よく言われていることは本当?

  • 筋トレと一緒にとると筋肉が増えやすい効きません。 筋トレ中の若い成人302人のメタ解析で、除脂肪量の増え方に偽薬との差はありませんでした [1]
  • 筋肉の分解を防ぐ・傷みを抑えて回復を早める傷みの指標は下がります。 運動後のCKとLDHが下がった一方、回復が早まるかや筋肉痛が減るかは確かめられていません [2]
  • 高齢者の筋肉の減少(サルコペニア)を防ぐ根拠は弱いです。 わずかに増えたとするメタ解析が2本(0.25、0.32)ありますが、どちらも信頼区間の下限がゼロにかかるぎりぎりの差で、高齢者596人の分析では差がありません [9] [8] [7]
  • 筋力が上がる若い人では上がりません。 サルコペニアの人では握力が良くなったメタ解析があり、別記事で扱う話題です [1] [10]
  • 筋トレ初心者やたんぱく質が足りない人には効きやすい根拠は弱いです。 アスリートの分析で、プラス寄りの結果がたんぱく質1日体重1kgあたり1.6g未満のときに限られる傾向でしたが、確かな差ではありませんでした [3]
  • クレアチンと一緒にとると効果が高まる研究が足りません。 大学ラグビー選手16人のシーズン中の試験では、クレアチンだけと比べて上乗せはありませんでした [15]

02注意点

研究で使われた期間は、2週間の試験から12週間の試験、12か月の試験までさまざまです。副作用については、集中治療室(ICU)に入院した大人266人の試験で、HMBをとった134人のうち3人に高血糖が起きました [16]。健康な人の副作用は、今回集めた研究では確かめていません。持病がある人、服薬中の人、妊娠中の人は、使う前に医師や薬剤師に確認してください。

研究の対象と自分を照らして考える

筋トレ中の若い〜中年の人の結果を、高齢者や病気の人にそのまま当てはめないでください。

03まとめ

HMBは、運動後の筋肉の傷みの指標を下げますが、筋トレ中の筋肉量は増やしません。
高齢者や筋肉が落ちた人では、わずかに増えたとする分析が2本ありますが、どちらもぎりぎりの差です。
筋肉を増やすなら、まず筋トレと食事のたんぱく質を整えましょう。

04よくある質問

Qいつ飲むと効きますか?

飲むタイミングを比べた結果は、今回集めた研究では確かめていません。傷みの指標が下がった日本の試験では、運動の前に2週間か4週間とり続けていました [[30589391]]。

Qプロテインと一緒にとれば筋肉は増えますか?

全員がホエイプロテインをとったうえでHMBを足した試験では、脚の除脂肪量だけ増え、全身では差がありませんでした [[32164702]]。プロテインのとり方は[プロテインは筋トレの前と後どっちに飲むといい?](/evidence/protein-timing)で扱っています。

Qクレアチンと一緒にとると効果が高まりますか?

大学ラグビー選手16人の試験では、クレアチンにHMBを足しても、クレアチンだけより良くなりませんでした [[32460801]]。クレアチンそのものは[筋トレでクレアチンを摂ると何が良いのか?](/evidence/creatine-training-benefits)をご覧ください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(16本)

[1]ロイシン代謝物HMBは若い人の筋トレによる体組成・筋力の変化を高めない

発表年
2020年
研究機関
カナダ・マクマスター大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
302人
結果の向き
差なし

筋トレ中の18〜45歳の302人(研究11件)で、HMBは除脂肪量や筋力の増え方を高めなかった。

[2]運動による筋損傷に対する栄養の取り組みのアンブレラレビュー

発表年
2024年
研究機関
イラン・テヘラン医科大学
掲載誌
Nutrition reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

メタ解析53本をまとめ、HMBは運動後のCKとLDHを下げた(根拠の確実性は中程度)。

[3]HMBはアスリートの体組成を改善するか

発表年
2022年
研究機関
アメリカ・コンコーディア大学シカゴ
掲載誌
Journal of strength and conditioning research
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
161人
結果の向き
差なし

アスリート161人(研究5件)で、除脂肪量への効果は小さくプラス寄り(0.30)だったが確かな差ではなかった。

[4]ロイシン代謝物は筋トレ経験のある男性の位相角や筋力を変えない

発表年
2021年
研究機関
イタリア・ボローニャ大学
掲載誌
Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
53人
結果の向き
差なし

筋トレ経験のある男性53人の8週間の試験で、HMBと偽薬のあいだに変化の差はなかった。

[5]プロテインとHMBカルシウムの併用で脚の除脂肪量が増加

発表年
2020年
研究機関
アメリカ・ペンシルベニア大学
掲載誌
Journal of the International Society of Sports Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
16人
結果の向き
結果が割れている

筋トレに慣れていない若い男性16人で、HMBを足すと脚の除脂肪量は増えたが全身では差がなかった。

[6]HMBの体組成と筋力への効果:メタ解析のアンブレラレビュー

発表年
2025年
研究機関
イラン・タブリーズ医科大学
掲載誌
Journal of cachexia, sarcopenia and muscle
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究11件を統合
結果の向き
良い方向

23〜79歳を含む11本の分析で除脂肪量がわずかに増えた(0.22)。若い人と高齢者が混ざり、元の研究と重なる。

[7]高齢者の筋トレ効果を高めるHMBの役割

発表年
2025年
研究機関
スペイン・サラマンカ大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
596人
結果の向き
差なし

高齢者596人(RCT10件)で、筋トレにHMBを足しても手足の筋肉量に有意な差はなかった。

[8]サルコペニアの人へのHMBの効果

発表年
2025年
研究機関
中国・南開大学
掲載誌
Maturitas
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
154人
結果の向き
結果が割れている

サルコペニアの人で骨格筋量の指標がわずかに高かった(0.32)が、信頼区間の下限がゼロにかかった。

[9]HMBが臨床現場で骨格筋量と身体機能に与える影響

発表年
2019年
研究機関
Bear DEほかの研究チーム
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,137人
結果の向き
結果が割れている

筋肉が落ちやすい人2137人(RCT15件)で、筋肉量の増加は小さく(0.25)、ぎりぎり確かと言えない差だった。

[10]サルコペニアの人へのHMBまたはHMBを多く含む栄養補助食品の効果

発表年
2024年
研究機関
中国・浙江省中医院(浙江中医薬大学附属第一病院)
掲載誌
Frontiers in medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究6件を統合
結果の向き
差なし

サルコペニアの人の研究6件で、握力は高まったが除脂肪量や骨格筋量に有意な差はなかった。

[11]カルシウムHMBとビタミンD3が高齢者の筋機能に与える長期の影響

発表年
2020年
研究機関
企業の研究部門
掲載誌
The journals of gerontology. Series A, Biological sciences and medical sciences
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
117人
結果の向き
良い方向

ビタミンDが足りない60歳以上の117人の12か月の試験で、運動しない人の除脂肪量が6か月時点で増えた。

[12]運動による筋損傷からの回復に対するHMBの効果

発表年
2018年
研究機関
イラン・テヘラン医科大学
掲載誌
Journal of the American College of Nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
324人
結果の向き
良い方向

健康な人324人(研究10件)で、運動後のCKが平均60.71 U/L低かった。

[13]2週間・4週間のHMB摂取が伸ばされながらの筋収縮後の筋損傷を減らす

発表年
2019年
研究機関
日本・帝京平成大学
掲載誌
Journal of the American College of Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
28人
結果の向き
良い方向

運動習慣のない男性28人で、HMBを2週間か4週間とると、運動後の筋力などの落ち込みが小さかった。

[14]少量のHMBが伸ばされながらの筋収縮後の筋力低下と柔軟性の制限を和らげる

発表年
2021年
研究機関
日本・帝京平成大学
掲載誌
Journal of the American College of Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
結果が割れている

運動習慣のない男性20人で、1日1.5 gを2週間とると筋力などの落ち込みは小さかったが、他の指標に差はなかった。

[15]クレアチンにHMBを足してもラグビーシーズン中の体格・成績の維持は変わらない

発表年
2020年
研究機関
アメリカ・ケネソー州立大学
掲載誌
Journal of the International Society of Sports Nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
16人
結果の向き
差なし

大学ラグビー選手16人で、クレアチンにHMBを足しても、クレアチンだけより良くならなかった。

[16]重症患者の機能回復のための筋トレとHMB

発表年
2025年
研究機関
中国・福建医科大学附属第一病院
掲載誌
Critical care (London, England)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
266人
結果の向き
差なし

ICUの大人266人で、HMBは疲れやすさを少し減らしたが、筋肉量など他の項目には効果がなかった。

ほかに参考にした論文(9本)

判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。