[1]健康な成人の食物繊維と腸内細菌の構成:メタ解析
- 発表年
- 2018年
- 研究機関
- オーストラリア・ボンド大学
- 掲載誌
- The American journal of clinical nutrition
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 2,099人
- 結果の向き
- 良い方向
64件・2099人のメタ解析で、食物繊維でビフィズス菌が増えた。多様性は差がなかった。

良くなります。便の中のビフィズス菌が増えます。
健康な成人の、便の中の菌の話です。乳児や病気のある人は同じとは限りません。便秘や免疫への効果は、この記事では扱いません。
イヌリンやオリゴ糖のような発酵しやすい食物繊維が、ビフィズス菌を増やす近道です。研究では、乳児から高齢者までを含む解析で、チコリ由来のイヌリンを一日 3〜20g、7 日以上とった試験が中心です [3]。ふだんの食事を全粒穀物に変えるだけでは、菌の変化は小さい結果でした。持病や服薬中の人、お腹の調子が気になる人は、医師や薬剤師に相談してください。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 98.5 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 98 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 4 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
腸内環境は、大腸にすむ細菌(腸内細菌)の量や顔ぶれの状態を指す言葉です。食物繊維は、人の消化酵素で消化されにくく、大腸まで届いて腸内細菌のエサになる成分です。野菜・豆・穀物・きのこなどの食品に含まれ、イヌリンやオリゴ糖のように発酵されやすいタイプはサプリにも使われます。この記事では、腸内環境を、ビフィズス菌などの量と、菌の種類の多さに分けて見ます。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、オーストラリアのボンド大学などの研究チームが2018年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じテーマの試験の結果を集めて、数字でまとめる方法です。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 健康な成人(64件・2099人) |
| 比べたもの | 食物繊維をとる群と、プラセボまたは食物繊維の少ない食事の群 |
| 結果 | 食物繊維の群でビフィズス菌と乳酸菌が多かった |
フルクタン(イヌリンなど)とガラクトオリゴ糖で、特に差が大きい結果でした。
乳酸菌も増えましたが、増え方はビフィズス菌ほど大きくありません。根拠の確かさは高いと言えます。
同じ向きの結果が、種類や年代を変えた複数のまとめ研究でそろっています。
菌の種類の多さ(多様性)は、同じようには増えません。64 件のメタ解析では、食物繊維の群とほかの群で差がありませんでした [1]。その後の試験は割れています。2020年の試験では、小麦ふすま由来の食物繊維を 12 週間とった人で、ビフィズス菌は増えましたが多様性は下がりました [7]。2021年の試験では、チコリの長鎖イヌリンを 2 か月とった 55〜80 歳で、多様性は高くなりました [8]。
ビフィズス菌は増えたので、多様性が下がることをそのまま悪いとは言い切れません。
根拠の確かさは低めです。試験ごとに結果が違い、参加者が数十人の試験が中心のためです。
全粒穀物や食物繊維の多いパンに置き換える試験は、6 件のうち、腸内細菌に変化があったのは 2 件でした。デンマークの試験では、全粒穀物の食事を 8 週間続けても、精製穀物と比べて大きな変化はありませんでした [9]。太りぎみの成人 70 人が、全粒のライ麦や小麦に 6 週間置き換えた試験も、菌の構成は変わりませんでした [2]。一方、白いパンを食物繊維の多いパンに 2 週間置き換えた 22 人の試験では、多様性が高くなりました [10]。根拠の確かさは低めです。研究の数が少なく、結果がそろっていないためです。
研究の多くは健康な成人を対象にしています。たとえば小麦ふすま由来の食物繊維の試験では、成人 48 人が一日 15g を 12 週間とりました [7]。量や種類は研究ごとに違い、多様性の変化は一定ではありません。乳児・子ども・病気のある人の結果は、同じとは限りません。フラクトオリゴ糖のまとめでは、お腹の張りやおならは対照群と差がありませんでした [4]。持病や服薬中の人、お腹の調子が気になる人は、医師や薬剤師に確認してください。
この記事の結果は便の中の菌の量で、便秘や免疫などの体の変化を示したものではありません。
食物繊維は、便の中のビフィズス菌と乳酸菌を増やします。
菌の種類の多さと、ふだんの食事を変えるだけの効果は、まだはっきりしません。
ビフィズス菌を増やしたいなら、イヌリンやオリゴ糖など発酵しやすい食物繊維を、続けやすい形で試すのが研究に近い方法です。
研究では 7 日以上とった試験がまとめられています [[35833477]]。3g と 7g のイヌリンを 4 週間とった試験でも増えました [[32320024]]。何日で何倍になるかは、研究から言えません。
食物繊維が少ない人でも多い人でも、イヌリン型フルクタンを一日 16g、3 週間とってビフィズス菌が増えた試験があります [[29307330]]。どちらの人でも増える結果でした。ただし、ふだんの食物繊維が多い人のほうが腸内細菌の反応は大きかったと報告されています。少ない人のほうが効く、とは言えません。
研究では、そう言い切れません。多様性が下がった試験でも、ビフィズス菌は増えていました [[31983281]]。多様性の変化が体にどう影響するかは、ここでは確かめられていません。
便秘は別の記事で扱っています。免疫は、健康な人で食物繊維が免疫を上げるという試験が見つかっていません。
64件・2099人のメタ解析で、食物繊維でビフィズス菌が増えた。多様性は差がなかった。
成人70人が6週間置き換えても、腸内細菌の構成は変わらなかった。
50件・2525人のメタ解析で、チコリのイヌリンでビフィズス菌が増えた。
試験8件のメタ解析で、フラクトオリゴ糖でビフィズス菌が増えた。
60歳以上の29件のメタ解析で、プレバイオティクスでビフィズス菌が増えた。
食物繊維の少ない成人50人が4週間食べ、ビフィズス菌が増えた。
成人48人が12週間とり、ビフィズス菌は増え、多様性は下がった。
55〜80歳が2か月とり、ビフィズス菌が増え、多様性も高かった。
成人60人が8週間ずつ食べ、腸内細菌に大きな変化はなかった。
成人22人が2週間置き換え、多様性が高くなった。
研究44本で、短鎖脂肪酸ははっきり増えるとは限らなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。