[1]BCAAを飲むタイミングと運動後の筋肉痛・筋損傷:予備的な試験
- 発表年
- 2018年
- 研究機関
- 日本・福岡大学
- 掲載誌
- The Journal of sports medicine and physical fitness
- 研究の種類
- ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
- 対象
- 15人
- 結果の向き
- 良い方向
若い男性を3群に分けた小さな試験で、運動の前に飲んだ群は後に飲んだ群より筋肉痛や筋肉の傷みを抑えた。

筋肉痛は軽くなりますが、前と後のどちらが良いかは、小さな試験2件の結果が逆向きで決着していません。
若い男性の小さな試験での話です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 32 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 7.2 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 12.7 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 61.9 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 62 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
BCAAは、バリン・ロイシン・イソロイシンという必須アミノ酸の総称です。肉や乳製品などのたんぱく質に含まれ、筋肉の回復を助けるとされ、粉末やタブレットのサプリがあります。運動の前後や運動中に飲む人が多いのが特徴です。注意点は、プロテインを十分に摂っている人は、重ねて飲む意味が小さい場合があることです。
ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
運動の前に飲むか後に飲むかを同じ条件で比べた試験は、小さなものが2件しか見つかっていません。1件目は、日本の福岡大学などの研究チームが2018年に発表した二重盲検の偽薬対照試験です [1]。二重盲検とは、参加者も実施者もどの群か分からない状態で比べる方法です。
| 研究の種類 | 運動の前・後・飲まない群を比べた二重盲検の偽薬対照試験 |
|---|---|
| 対象 | 平均21.5歳の若い男性15人 |
| 比べたもの | BCAAを運動の前だけ・後だけ・飲まない(偽薬)の3群。腕の伸張性運動を30回行った |
| 結果 | 運動の前に飲んだ群で、筋肉痛や筋肉の傷みを抑える効果が大きかった |
BCAAは1日9.6gで、運動日の前後3日間も飲み続けています。
中国の桂林航天工業大学などの研究チームが2025年に発表した試験では、反対の結果でした [2]。運動習慣のない男子大学生24人で、筋トレの後に飲むほうが、前に飲むより筋肉痛の症状と炎症の指標を抑えました。
筋トレの30分後・24時間後・48時間後に、筋肉痛や血液の指標を測っています。
2件は、対象者(運動習慣の有無)や運動の種類(腕の運動と筋トレ)が違います。人数も少ないため、どちらが正しいとは決められません。
メタ解析の著者は、運動の何日も前から飲み続ける期間が長いほど、筋肉痛や筋肉の傷みを抑える効果が大きい可能性があると述べています [3]。別のメタ解析の著者は、BCAAは運動の後だけに飲むべきではないと結論しています。ただし、前後を直接比べた解析ではありません [6]。
19本の論文をまとめた系統的レビューでは、激しい筋トレのあとの回復に最も良かったのは、BCAAを1日2〜10g、運動の3日前から、運動の直前と直後にも飲む方法でした [4]。
タイミングとは別に、BCAAそのものが筋肉痛に効くことは、まとめ研究でそろっています。18件の試験をまとめた解析では、運動の24〜96時間後の筋肉痛がプラセボより軽くなりました [3]。筋肉を傷める運動を一度したあとの試験10件のうち7件でも、24〜72時間後の筋肉痛が減っています [6]。一方、8件の試験をまとめた2017年の解析では、筋肉痛にプラセボとの差がはっきりしませんでした [7]。
なお、この節の内容の詳しい説明は BCAAは筋トレに良い? にもあります。
前後を比べた2件は、どちらも若い男性が対象で、人数は15人と24人です。研究で使われた量は、1日9.6gを運動の前後3日間にわたって飲む設計でした [1]。サプリの量を決めるときは、食事のたんぱく質の量も含めて考える必要があります。妊娠中の人、持病や服薬がある人は、始める前に医師や薬剤師に確認してください。
ネットの解説で「運動前が正解」「運動後が正解」と断定しているものは、研究の裏づけが足りません。
運動の前と後のどちらが良いかは、小さな試験2件の結果が割れていて、決着していません。
筋肉痛を軽くしたい人には、BCAAそのものが効く一方、筋肉量や運動能力は期待しにくいという前提が当てはまります。
前後で悩むより、運動の数日前から続けて、運動の前後にも飲む使い方が、研究の条件に最も近いです。
研究では決着していません。直接比べた試験は2件で、15人の試験は運動前が、24人の試験は運動後が有利でした [[28944645]] [[40231445]]。
運動中だけに飲む場合を前後と比べた研究は、今回の範囲には含まれていません。研究では確かめられていません。
プロテインの前後のタイミングは別の記事で扱っています。[プロテインは筋トレの前と後どっちに飲むといい?](/evidence/protein-timing) を見てください。
運動選手の24件の研究をまとめたレビューでは、体組成への効果はごくわずかでした [[36235655]]。筋肉量が目的なら、期待しすぎないほうがよいです。
若い男性を3群に分けた小さな試験で、運動の前に飲んだ群は後に飲んだ群より筋肉痛や筋肉の傷みを抑えた。
運動習慣のない男子大学生24人の試験で、運動の後に飲むほうが前に飲むより筋肉痛と炎症の指標を抑えた。
18件の試験をまとめた解析で、BCAAを飲むと運動の24〜96時間後の筋肉痛がプラセボより軽かった。
論文19本の系統的レビューで、BCAAを1日2〜10g、運動の3日前から、運動の直前と直後にも飲む方法が最も良かった。
22件・511人の試験を見渡したレビューで、筋力・持久力・体組成が良くなるという根拠は一貫していなかった。
試験10件のうち7件で、BCAAは24〜72時間後の筋肉痛を減らした。
8件の試験をまとめた解析で、筋肉痛はどの時点でもプラセボとの差がはっきりしなかった。
持久系の選手の15件の研究をまとめたレビューで、持久力や回復がはっきり良くなることはなかった。
24件の研究をまとめたレビューで、運動能力や体組成への効果はごくわずかだった。
判定「注意が必要」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。