BCAAは運動の前と後どっちに飲むといい?

BCAAは運動の前と後どっちに飲むといい?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え注意が必要

筋肉痛は軽くなりますが、前と後のどちらが良いかは、小さな試験2件の結果が逆向きで決着していません。

根拠

運動の前に飲むか後に飲むかを直接比べた試験は小さなものが2件だけで、結果は逆向きでした。15人の試験は運動前が [1]、24人の試験は運動後が筋肉痛を抑えました [2]。BCAAそのものは、運動後の筋肉痛を軽くします [3]。根拠の確かさは低めです。前後を比べた研究の数が少ないためです。

この答えの範囲

若い男性の小さな試験での話です。

じゃあ、どうする?

筋肉痛を軽くしたいなら、前後のどちらかを選ぶより、運動の3日前から続けて飲み、運動の直前と直後にも飲む方法が、研究で最も良かったとされています [4]。筋肉量や運動能力は期待しにくいので、目的は筋肉痛の軽減に絞ると現実的です [5]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。9 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 62 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3240いちばん信頼できる研究の種類
研究の量7.220研究件数と参加人数
一致度12.725結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 61.9 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 62 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

BCAAとは

BCAAは、バリン・ロイシン・イソロイシンという必須アミノ酸の総称です。肉や乳製品などのたんぱく質に含まれ、筋肉の回復を助けるとされ、粉末やタブレットのサプリがあります。運動の前後や運動中に飲む人が多いのが特徴です。注意点は、プロテインを十分に摂っている人は、重ねて飲む意味が小さい場合があることです。

ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

前と後を直接比べた試験は2件だけ

運動の前に飲むか後に飲むかを同じ条件で比べた試験は、小さなものが2件しか見つかっていません。1件目は、日本の福岡大学などの研究チームが2018年に発表した二重盲検の偽薬対照試験です [1]。二重盲検とは、参加者も実施者もどの群か分からない状態で比べる方法です。

研究の種類運動の前・後・飲まない群を比べた二重盲検の偽薬対照試験
対象平均21.5歳の若い男性15人
比べたものBCAAを運動の前だけ・後だけ・飲まない(偽薬)の3群。腕の伸張性運動を30回行った
結果運動の前に飲んだ群で、筋肉痛や筋肉の傷みを抑える効果が大きかった
試験の結果運動の前に飲んだ群は、後に飲んだ群より筋肉痛や筋肉の傷みを抑えました [1]。

BCAAは1日9.6gで、運動日の前後3日間も飲み続けています。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

中国の桂林航天工業大学などの研究チームが2025年に発表した試験では、反対の結果でした [2]。運動習慣のない男子大学生24人で、筋トレの後に飲むほうが、前に飲むより筋肉痛の症状と炎症の指標を抑えました。

運動後が有利だった試験運動習慣のない男子大学生24人の試験

筋トレの30分後・24時間後・48時間後に、筋肉痛や血液の指標を測っています。

2件は、対象者(運動習慣の有無)や運動の種類(腕の運動と筋トレ)が違います。人数も少ないため、どちらが正しいとは決められません。

前後より「続けて飲む」ことが大切という見方

メタ解析の著者は、運動の何日も前から飲み続ける期間が長いほど、筋肉痛や筋肉の傷みを抑える効果が大きい可能性があると述べています [3]。別のメタ解析の著者は、BCAAは運動の後だけに飲むべきではないと結論しています。ただし、前後を直接比べた解析ではありません [6]。

19本の論文をまとめた系統的レビューでは、激しい筋トレのあとの回復に最も良かったのは、BCAAを1日2〜10g、運動の3日前から、運動の直前と直後にも飲む方法でした [4]。

BCAAは筋肉痛を軽くする

タイミングとは別に、BCAAそのものが筋肉痛に効くことは、まとめ研究でそろっています。18件の試験をまとめた解析では、運動の24〜96時間後の筋肉痛がプラセボより軽くなりました [3]。筋肉を傷める運動を一度したあとの試験10件のうち7件でも、24〜72時間後の筋肉痛が減っています [6]。一方、8件の試験をまとめた2017年の解析では、筋肉痛にプラセボとの差がはっきりしませんでした [7]。

なお、この節の内容の詳しい説明は BCAAは筋トレに良い? にもあります。

よく言われていることは本当?

  • BCAAは運動前に飲むと良い研究が足りず、まだ分かりません。 直接比べた2件のうち、運動前が有利だったのは15人の試験だけで、24人の試験は逆でした [1] [2]。
  • 運動後に飲むと回復が早まる研究が足りず、まだ分かりません。 運動後が有利だったのは24人の試験だけで、メタ解析の著者は運動後だけに飲むのは勧めていません [2] [6]。
  • 筋肉痛を軽くする効きます。 複数のまとめ研究が、運動後の筋肉痛が軽くなると報告しています [3]。根拠の確かさは中程度です。
  • 運動中の疲れを減らす、持久力が上がる効きません。 持久系の選手の15件の研究をまとめたレビューで、持久力や回復の意味のある改善は見られませんでした [8]。
  • 筋肉の分解を防ぐ、筋肉がつきやすくなる効きません。 運動選手の24件の研究をまとめたレビューで、運動能力や体組成(筋肉量など)への効果はごくわずかでした [9]。

02注意点

前後を比べた2件は、どちらも若い男性が対象で、人数は15人と24人です。研究で使われた量は、1日9.6gを運動の前後3日間にわたって飲む設計でした [1]。サプリの量を決めるときは、食事のたんぱく質の量も含めて考える必要があります。妊娠中の人、持病や服薬がある人は、始める前に医師や薬剤師に確認してください。

「前が良い」「後が良い」のどちらも言い切れない

ネットの解説で「運動前が正解」「運動後が正解」と断定しているものは、研究の裏づけが足りません。

03まとめ

運動の前と後のどちらが良いかは、小さな試験2件の結果が割れていて、決着していません。
筋肉痛を軽くしたい人には、BCAAそのものが効く一方、筋肉量や運動能力は期待しにくいという前提が当てはまります。
前後で悩むより、運動の数日前から続けて、運動の前後にも飲む使い方が、研究の条件に最も近いです。

04よくある質問

Q結局、運動前と運動後のどちらがよいですか?

研究では決着していません。直接比べた試験は2件で、15人の試験は運動前が、24人の試験は運動後が有利でした [[28944645]] [[40231445]]。

Q運動中に飲んだほうがよいですか?

運動中だけに飲む場合を前後と比べた研究は、今回の範囲には含まれていません。研究では確かめられていません。

Qプロテインを飲むときの飲み方と同じですか?

プロテインの前後のタイミングは別の記事で扱っています。[プロテインは筋トレの前と後どっちに飲むといい?](/evidence/protein-timing) を見てください。

Q筋肉をつけるためにBCAAは必要ですか?

運動選手の24件の研究をまとめたレビューでは、体組成への効果はごくわずかでした [[36235655]]。筋肉量が目的なら、期待しすぎないほうがよいです。

05参照した論文

判定に使った主な論文(9本)

[1]BCAAを飲むタイミングと運動後の筋肉痛・筋損傷:予備的な試験

発表年
2018年
研究機関
日本・福岡大学
掲載誌
The Journal of sports medicine and physical fitness
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
15人
結果の向き
良い方向

若い男性を3群に分けた小さな試験で、運動の前に飲んだ群は後に飲んだ群より筋肉痛や筋肉の傷みを抑えた。

[2]健康な男性の筋トレ後の回復に対するBCAAのタイミング

発表年
2025年
研究機関
中国・桂林航天工業大学
掲載誌
American journal of men's health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
24人
結果の向き
悪い方向

運動習慣のない男子大学生24人の試験で、運動の後に飲むほうが前に飲むより筋肉痛と炎症の指標を抑えた。

[3]BCAAの摂取は運動後の筋損傷と筋肉痛をどう変えるか

発表年
2024年
研究機関
チュニジア・スファックス大学
掲載誌
Sports medicine - open
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

18件の試験をまとめた解析で、BCAAを飲むと運動の24〜96時間後の筋肉痛がプラセボより軽かった。

[4]BCAAの摂取と運動後の筋肉の回復:量と飲み方

発表年
2021年
研究機関
スペイン・パブロ・デ・オラビデ大学
掲載誌
The Journal of sports medicine and physical fitness
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究19件を統合
結果の向き
良い方向

論文19本の系統的レビューで、BCAAを1日2〜10g、運動の3日前から、運動の直前と直後にも飲む方法が最も良かった。

[5]純粋なBCAAの摂取が運動能力と体組成に与える影響

発表年
2025年
研究機関
イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドン
掲載誌
Cureus
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
511人
結果の向き
良い方向

22件・511人の試験を見渡したレビューで、筋力・持久力・体組成が良くなるという根拠は一貫していなかった。

[6]単回の運動後の筋肉痛を減らすためのBCAA:系統的レビューとメタ解析

発表年
2021年
研究機関
ブラジル・ロンドリーナ州立大学
掲載誌
Amino acids
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

試験10件のうち7件で、BCAAは24〜72時間後の筋肉痛を減らした。

[7]BCAAと運動による筋損傷からの回復を調べたメタ解析

発表年
2017年
研究機関
イラン・テヘラン医科大学
掲載誌
Nutrition (Burbank, Los Angeles County, Calif.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
差なし

8件の試験をまとめた解析で、筋肉痛はどの時点でもプラセボとの差がはっきりしなかった。

[8]BCAAの摂取と持久系の運動能力を調べた系統的レビュー

発表年
2026年
研究機関
ブラジル・アルベルト・アインシュタイン病院
掲載誌
The Physician and sportsmedicine
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

持久系の選手の15件の研究をまとめたレビューで、持久力や回復がはっきり良くなることはなかった。

[9]運動選手のBCAA摂取を調べた系統的レビュー

発表年
2022年
研究機関
ポルトガル・コインブラ大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

24件の研究をまとめたレビューで、運動能力や体組成への効果はごくわずかだった。

ほかに参考にした論文(15本)

判定「注意が必要」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。