もち麦(大麦β-グルカン)でコレステロールや血糖は下がる?

もち麦(大麦β-グルカン)でコレステロールや血糖は下がる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.02
答え効く

悪玉コレステロールには効きます。食後の血糖は良い関連があり、空腹時血糖とHbA1cとの関連は見られません。

根拠

大麦のβ-グルカンを食べた比較試験14件・615人のまとめで、悪玉(LDL)コレステロールが対照の食事より平均0.25mmol/L下がりました [1]。大麦を食べた比較試験31件のまとめでは、食後の血糖が30分・60分・120分で低く、長く続けた空腹時血糖とHbA1cとの関連は見られませんでした [2]。コレステロールの根拠の確かさは低めです。全粒穀物どうしを比べた別のまとめで、大麦に差が出ておらず、結果がそろっていないためです [3]。

この答えの範囲

大麦・もち麦を食事に取り入れた成人の研究です。内臓脂肪や便通は、ここでは扱っていません。コレステロールや血糖の薬の代わりになるかは、調べられていません。

じゃあ、どうする?

ごはんの一部をもち麦に置きかえる使い方が、日本の試験の形に近いです [4]。LDLの研究では、β-グルカンの量は毎日の中央値で6.5〜6.9g、期間は中央値4週間でした [1]。長い期間の血糖の指標が気になるときは、もち麦だけに頼らず食事全体で考えましょう。数値が気になる人や薬を飲んでいる人は、医師に相談してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。7 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1920研究件数と参加人数
一致度13.325結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 83.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

もち麦とは

もち麦は、大麦の一種で、もちもちした食感が特徴です。水溶性食物繊維のβ-グルカンを含み、ごはんに混ぜて食べるのが一般的です。コレステロールや血糖に良いとされています。注意点は、研究の多くが大麦全般を調べていて、もち麦だけを調べたものではないことです。ここに書いた内容は一般によく紹介されているもので、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

悪玉コレステロールへの効果

答えの中心は、カナダのセントマイケルズ病院などの研究チームが2016年に発表したまとめ分析(メタ解析)です [1]。メタ解析とは、同じテーマの比較試験を集め、結果を合算する方法です。3週間以上続けた比較試験が対象でした。

研究の種類大麦のβ-グルカンの比較試験のメタ解析
対象比較試験14件・615人
比べたもの大麦のβ-グルカンを含む食事と、対照の食事
結果LDLコレステロールが平均0.25mmol/L低い
まとめて分析した結果悪玉(LDL)コレステロールは、対照の食事より平均0.25mmol/L下がりました。

量は毎日の中央値で6.5〜6.9g、期間は中央値4週間でした [1]。

日本人の男性44人で、ごはんの一部を高β-グルカン大麦に置きかえて12週間続けた試験でも、LDLコレステロールは下がりました [4]。企業が資金を出した研究です。

食後の血糖は

イランのヴァラステガン医科学研究所などの研究チームが2026年に発表した、大麦を食べた比較試験31件のまとめがあります [2]。食後の血糖値は、30分で10.48mg/dL、60分で12.38mg/dL、120分で6.95mg/dL低く、180分では差がありませんでした。ランダム化かどうかは要旨に書かれていないため、「食べたあとの血糖が低い傾向と関連している」と読むのが正確です。

空腹時血糖とHbA1cは

同じ31件のまとめで、長く食べ続けても、空腹時血糖とHbA1c(過去1〜2か月の血糖の平均を表す指標)との関連は見られませんでした [2]。根拠の確かさは低めです。ランダム化かどうかが要旨に書かれていないまとめであるためです。コレステロールが高い人の試験12件のまとめでも、オーツ麦や大麦のβ-グルカンで空腹時血糖は変わっていません [5]。韓国の30人の小さな試験では、別の指標のグリコアルブミンが下がりましたが、この結論には使っていません [6]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

中国の第三軍医大学などの研究チームが2019年に発表した、全粒穀物とふすまを比べたまとめでは、大麦は対照と比べて血中の脂質を改善しませんでした [3]。効果がはっきりしたのはオーツ麦とオーツ麦のふすまです。大麦だけを集めたまとめと結果が分かれており、これが「根拠の確かさは低め」の理由です。

差がなかったまとめ全粒穀物とふすまの試験55件・3900人

大麦は総コレステロールやLDLなどの脂質を改善しませんでした。

よく言われていることは本当?

  • 悪玉(LDL)コレステロールを下げる効きます。 大麦のβ-グルカンの比較試験14件・615人で平均0.25mmol/L下がりました。根拠の確かさは低めです [1]。
  • 食後の血糖値の上昇をおだやかにする良い関連があります。 食後30〜120分の血糖が低い結果でした [2]。
  • 朝に食べると昼食後の血糖も上がりにくい研究が足りません。 日本人23人の小さな試験が1本あるだけで、企業が資金を出しています [7]。
  • 続けると血糖値(HbA1c)が下がる関連は見られません。 31件のまとめで、空腹時血糖とHbA1cに変化は見られませんでした [2]。

もち麦ごはんと体重の話は、麦ごはん(もち麦)は白米より痩せやすい?で扱っています。

02注意点

LDLの研究は、β-グルカンを毎日の中央値で6.5〜6.9g、中央値4週間続けた条件です [1]。食物繊維の多い食品は、おなかの調子に合わせて量を決めてください。糖尿病や脂質異常症で治療中の人、薬を飲んでいる人は、食事を変える前に医師や薬剤師に確認してください。

治療中の人は、自己判断で薬を減らさない

もち麦の効果は、薬の代わりになるかを調べた研究ではありません。

03まとめ

悪玉コレステロールには効きますが、根拠の確かさは低めです。
食後の血糖とは良い関連がありますが、空腹時血糖とHbA1cとの関連は見られませんでした。
ごはんの一部を置きかえて続けつつ、気になる数値は医師に相談してください。

04よくある質問

Qオーツ麦と大麦では、どちらが脂質に良いですか?

全粒穀物を比べたまとめでは、効果がはっきりしたのはオーツ麦とオーツ麦のふすまで、大麦は差が出ませんでした [[30244379]]。ただし大麦だけを集めたまとめではLDLが下がっており、結果は分かれています [[27273067]]。

Qどのくらい続けると効果が出ますか?

LDLのまとめの期間は中央値4週間でした [[27273067]]。日本人男性の試験は12週間でした [[18074229]]。何日で下がるかは、研究では確かめられていません。

Q糖尿病の人が食べると血糖は下がりますか?

食後の血糖は低い結果でしたが、空腹時血糖とHbA1cとの関連は見られませんでした [[41651462]]。治療中の人は、主治医に相談してから食事を変えてください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(7本)

[1]大麦のβ-グルカンがLDLコレステロールに与える影響の比較試験のまとめ

発表年
2016年
研究機関
カナダ・セントマイケルズ病院
掲載誌
European journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
615人
結果の向き
良い方向

大麦のβ-グルカンを含む食事を続けた比較試験14件・615人で、LDLコレステロールが平均0.25mmol/L下がった。

[2]大麦が血糖コントロールとインスリンの効きに与える影響の31試験のまとめ

発表年
2026年
研究機関
イラン・ヴァラステガン医科学研究所
掲載誌
Nutrition reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,325人
結果の向き
良い方向

大麦を食べた比較試験31件で、食後の血糖が30分・60分・120分で低く、空腹時血糖とHbA1cには差がなかった。

[3]全粒穀物とふすまが血中脂質に与える影響を比べたまとめ

発表年
2019年
研究機関
中国・第三軍医大学
掲載誌
European journal of nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,900人
結果の向き
差なし

55件・3900人の解析で、大麦は血中脂質を改善しなかった。効果がはっきりしたのはオーツ麦とそのふすま。

[4]日本人男性での高βグルカン大麦の、コレステロールと内臓脂肪への影響の試験

発表年
2008年
研究機関
日本・企業の研究部門
掲載誌
Plant foods for human nutrition (Dordrecht, Netherlands)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

コレステロールが高い日本人男性44人で、ごはんの一部を大麦に置きかえて12週間続けるとLDLが下がった。

[5]β-グルカンが血糖コントロールに与える影響のまとめ

発表年
2015年
研究機関
中国・広東医学院
掲載誌
International journal of food sciences and nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

コレステロールが高い人の試験12件・603人で、オーツ麦・大麦のβ-グルカンは空腹時の血糖とインスリンを変えなかった。

[6]大麦シリアルが血糖の指標グリコアルブミンに与える影響の試験

発表年
2025年
研究機関
韓国・慶熙大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
良い方向

太りぎみの韓国の成人30人で、大麦シリアルを6週間食べると、グリコアルブミンが0.87%低かった。

[7]大麦粉のパンと次の食事後の血糖を調べた日本人の試験

発表年
2020年
研究機関
日本・企業の研究部門
掲載誌
Nutrition (Burbank, Los Angeles County, Calif.)
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

健康な若い日本人23人で、大麦粉のパンを食べると、その食事と次の食事のあとの血糖が小麦粉のパンより低かった。

ほかに参考にした論文(15本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。