[1]大麦のβ-グルカンがLDLコレステロールに与える影響の比較試験のまとめ
- 発表年
- 2016年
- 研究機関
- カナダ・セントマイケルズ病院
- 掲載誌
- European journal of clinical nutrition
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 615人
- 結果の向き
- 良い方向
大麦のβ-グルカンを含む食事を続けた比較試験14件・615人で、LDLコレステロールが平均0.25mmol/L下がった。

悪玉コレステロールには効きます。食後の血糖は良い関連があり、空腹時血糖とHbA1cとの関連は見られません。
大麦・もち麦を食事に取り入れた成人の研究です。内臓脂肪や便通は、ここでは扱っていません。コレステロールや血糖の薬の代わりになるかは、調べられていません。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 13.3 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 83.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本・観察研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
もち麦は、大麦の一種で、もちもちした食感が特徴です。水溶性食物繊維のβ-グルカンを含み、ごはんに混ぜて食べるのが一般的です。コレステロールや血糖に良いとされています。注意点は、研究の多くが大麦全般を調べていて、もち麦だけを調べたものではないことです。ここに書いた内容は一般によく紹介されているもので、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、カナダのセントマイケルズ病院などの研究チームが2016年に発表したまとめ分析(メタ解析)です [1]。メタ解析とは、同じテーマの比較試験を集め、結果を合算する方法です。3週間以上続けた比較試験が対象でした。
| 研究の種類 | 大麦のβ-グルカンの比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 比較試験14件・615人 |
| 比べたもの | 大麦のβ-グルカンを含む食事と、対照の食事 |
| 結果 | LDLコレステロールが平均0.25mmol/L低い |
量は毎日の中央値で6.5〜6.9g、期間は中央値4週間でした [1]。
日本人の男性44人で、ごはんの一部を高β-グルカン大麦に置きかえて12週間続けた試験でも、LDLコレステロールは下がりました [4]。企業が資金を出した研究です。
イランのヴァラステガン医科学研究所などの研究チームが2026年に発表した、大麦を食べた比較試験31件のまとめがあります [2]。食後の血糖値は、30分で10.48mg/dL、60分で12.38mg/dL、120分で6.95mg/dL低く、180分では差がありませんでした。ランダム化かどうかは要旨に書かれていないため、「食べたあとの血糖が低い傾向と関連している」と読むのが正確です。
同じ31件のまとめで、長く食べ続けても、空腹時血糖とHbA1c(過去1〜2か月の血糖の平均を表す指標)との関連は見られませんでした [2]。根拠の確かさは低めです。ランダム化かどうかが要旨に書かれていないまとめであるためです。コレステロールが高い人の試験12件のまとめでも、オーツ麦や大麦のβ-グルカンで空腹時血糖は変わっていません [5]。韓国の30人の小さな試験では、別の指標のグリコアルブミンが下がりましたが、この結論には使っていません [6]。
中国の第三軍医大学などの研究チームが2019年に発表した、全粒穀物とふすまを比べたまとめでは、大麦は対照と比べて血中の脂質を改善しませんでした [3]。効果がはっきりしたのはオーツ麦とオーツ麦のふすまです。大麦だけを集めたまとめと結果が分かれており、これが「根拠の確かさは低め」の理由です。
大麦は総コレステロールやLDLなどの脂質を改善しませんでした。
もち麦ごはんと体重の話は、麦ごはん(もち麦)は白米より痩せやすい?で扱っています。
LDLの研究は、β-グルカンを毎日の中央値で6.5〜6.9g、中央値4週間続けた条件です [1]。食物繊維の多い食品は、おなかの調子に合わせて量を決めてください。糖尿病や脂質異常症で治療中の人、薬を飲んでいる人は、食事を変える前に医師や薬剤師に確認してください。
もち麦の効果は、薬の代わりになるかを調べた研究ではありません。
悪玉コレステロールには効きますが、根拠の確かさは低めです。
食後の血糖とは良い関連がありますが、空腹時血糖とHbA1cとの関連は見られませんでした。
ごはんの一部を置きかえて続けつつ、気になる数値は医師に相談してください。
全粒穀物を比べたまとめでは、効果がはっきりしたのはオーツ麦とオーツ麦のふすまで、大麦は差が出ませんでした [[30244379]]。ただし大麦だけを集めたまとめではLDLが下がっており、結果は分かれています [[27273067]]。
LDLのまとめの期間は中央値4週間でした [[27273067]]。日本人男性の試験は12週間でした [[18074229]]。何日で下がるかは、研究では確かめられていません。
食後の血糖は低い結果でしたが、空腹時血糖とHbA1cとの関連は見られませんでした [[41651462]]。治療中の人は、主治医に相談してから食事を変えてください。
大麦のβ-グルカンを含む食事を続けた比較試験14件・615人で、LDLコレステロールが平均0.25mmol/L下がった。
大麦を食べた比較試験31件で、食後の血糖が30分・60分・120分で低く、空腹時血糖とHbA1cには差がなかった。
55件・3900人の解析で、大麦は血中脂質を改善しなかった。効果がはっきりしたのはオーツ麦とそのふすま。
コレステロールが高い日本人男性44人で、ごはんの一部を大麦に置きかえて12週間続けるとLDLが下がった。
コレステロールが高い人の試験12件・603人で、オーツ麦・大麦のβ-グルカンは空腹時の血糖とインスリンを変えなかった。
太りぎみの韓国の成人30人で、大麦シリアルを6週間食べると、グリコアルブミンが0.87%低かった。
健康な若い日本人23人で、大麦粉のパンを食べると、その食事と次の食事のあとの血糖が小麦粉のパンより低かった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。